こどもになって世界を見る「こどもの視点カフェ」2023/06/27

院生たちと一緒にITOCHU SDGs STUDIO KIDS PARK
併設された、こどもになって世界を見る体験型カフェ
「こどもの視点カフェ」へ行ってきました。


昨年行われた「こどもの視展」の展示物の一部が
KIDS PARKと共にオープンしたカフェのなかに常設展示されていました。
カフェは予約は不要です。
イキイキ感とくつろぎが感がほどよくて赤ちゃん連れでも使いやすい、さすがのデザインでした。

「2歳の朝食」では2歳から見た牛乳やコップの大きさや重さを体験。
う~ん大きい。



「4メートルの大人たち」では、
子どもから見た大人の大きさを実感。
ランドセル体験は、予想以上に重くてとても歩けません。


乳児保育の授業では、
「赤ちゃんから見たら保育者は巨人だから、
子どものそばをガサガサ歩き回ったり、
巨人同士で大声で話したりしないでね」と説明していましたが、
まさにここでも「巨大生物」と表現されていました。

上田女子短期大学の幼児教育科の学生さんたちは、
この展示を自分たちの地域でも体験してもらいたいと
手作りで、4メートルの大人人形や
ランドセルを手作りし、ショッピングセンターでのイベントを開いたそうです。
会場では、保育士の知恵なども展示したのだとか。

上田ケーブルビジョンの6月12日UCVリポートで内容が紹介されていました。
https://ucv.co.jp/program/report/22649/

すばらしい取り組みですね。

地域に向けてのイベントの準備は
学生さんも教員の皆さんもほんとうにお時間を使っておられると思います。
準備される先生方、学生の皆さんを心から尊敬します。

7月2日(日)13時から16時まで、アリオ上田で、
第二回目の「こどものミカタフェス」をされるそうです。
応援しています!

保育環境ビフォーアフター2023/02/27

木村歩美先生が環境づくりについて解説するYouTube動画を発見しました。
動画をアップしたのは、「保育士チャンネル」【仕事Live】。
このチャンネルは、藤原里美先生の動画が面白いよと
人に教えていただいて、よく拝見していました。

この動画では、園長先生が
環境改善のプロセスを語り、
木村先生が解説を行っています。
保育室をたっぷりと見ることができるのも魅力です。
9分間ですから、昼休みにクラスで見るのにぴったりですね。

チームで保育をする保育では、
園内研修で全員が同じ情報を共有することで
保育の質を高めていくことができます。
たとえば
同じ本の読み合わせをする。
同じ動画を見る。
それを題材に、「自分の園ではどうするか」を話し合う。
このような主体的・対話的な学びを継続的に行うことで
学び合う文化、対話の文化がつくられていきます。

この動画も他園の保育室や改善のプロセスを知ることで
自園の環境づくりを考えるきっかけとなりそうです。

ただネットの保育関連の動画には、
昭和の時代のような残念な保育室や
昭和の時代はよくても、
今では「幼児期にはふさわしくない」と言われる実践も
数多くアップされています。
情報を、取捨選択しながら使いたいものです。

不適切な保育と不適切な関わり2023/01/31

もう不適切な保育のお話は書きたくないのですが、
今、このテーマでの研修が各地で行われているため、
情報を書いておきますね。
またこれからの時代、AIが文章を収集して知をつくると考えると、
ネットに書くことにも意味があるように思えてきます。

さて、ニュース等では、不適切な関わりを不適切な保育と呼んでいますが、
私の研究では、不適切な保育不適切な関わりは違います。
図で表すと以下の通り。
不適切な関わりは、不適切な保育の一部です。



不適切な保育には、
(1)重大な障害や死亡事故が起きる可能性が高いもの
(2)教育の放棄、ネグレクト
(3)子どもの人格を尊重せず、人権を侵害するもの
(4)子どもの意欲を奪い、劣等感や無力感を与えるもの
の4つがあります。(「保育内容5領域の展開」p38~43)

不適切な関わりには、
保護者への不適切な関わり
(「改訂保育者の関わりの理論と実践」p92~95)
子どもへの不適切な関わり
(「改訂保育者の関わりの理論と実践」p96~97)があります。

関わりの本では、保育者と子どもの関わりの質を高めるために
時間・空間の環境を変えることを提案していました。

しかしニュースになるような事例の場合には、
時間、空間以外にも、要因があります。

         図 不適切な関わりの要因


子どもへの不適切な関わりが起きやすい園、それは、
子どもに何かをさせることが中心になっている園
物的環境・時間の環境が悪く、先生が忙しい園
関わり方の学習が行われていない園
不適切な関わりが許される風土(雰囲気)がある園です。

私は、保育の質を高めるために、
園の代表者だけが講師の話を聞く集合研修よりも、
園の全員が参加し本を読み合う園内研修を推奨しています。
これは、上記の図の3の「学習機会の少なさ」と
4の「不適切な関わりが許される文化」の改善をねらうためです。

園内研修で本を読み合うと、
不適切な行為を全員が認識できます。
そして、「よく怒る先生は、発達が分からない先生」
「よく怒る先生は、関わり方が分からず困っている先生」
という情報が全員に共有されます。

そうすると、優しい先生たちが元気になり、
それまで怒鳴っていた先生が怒りにくくなるのです。

上記の図の不適切な関わりの要因である1、2、3、4は、
いずれも園長、主任のリーダーシップで変えられるものです。

もしも保育者の言葉がきつい、
優しい先生から辞めていくという状況がある場合、
これらの要因を改善してみるのはどうでしょうか。

研修講師の皆さん、
図は、研修等で引用してぜひお使いください。

親子の会話は最高の教育2023/01/29

昨年、半年間の休日を費やした本が、年末に完成しました。
単行本とkindleの電子版も同時に出していただきました。

親子の会話は最高の教育

風鳴舎の青田恵社長は、子育て中の現役ママ。
風鳴舎は、営業も編集も子育て中のママたちが多いのだそうです。
Amazonの本の紹介ページも、とてもユニークです。

応答的に話すこと、子どもが話すことが大事なの

この本は、ほめない、叱らない、声をかけない、親子の会話の本です。
「ほめ方、叱り方、声のかけ方」は、大人が子どもをどう動かすかの話。
「会話」は、一人の人間との応答的なコミュニケーションです。

赤ちゃんは言葉を話せなくてもコミュニケーションはできます。
そして、その人生最初の会話が、運動と社会性と知性の基盤となります。
人の発達は、コミュニケーションからはじまります。

現代には、スマホもゲームも動画もあるので、
保護者がよほど意識しないと、どの家庭でも「会話」は乏しくなりがちです。
心と体と知性の土台をつくる乳幼児期に、親よりも体験と会話が貧しい子どもは、
残念ながら、親より学力も、運動能力も、コミュニケーション能力も低くなる可能性が大です。

こんなに親がわが子の教育に関心をもっている時代なのに、
最も効果的な教育をおろそかしていることはもったいない。

編集者が「レシピ」と名付けて下さった通り、
日本の文化に合わせた具体的な会話の方法を解説しました。
「言葉が遅い」という育児相談の回答も後半に入れています。

メディア漬けの子どもたちに心を痛めている保育者の皆さん、
ぜひご活用ください。

TicTok積み木配信研究2022/12/24

Amazonで私のアカウントを不正使用して、川口市の七海さんという人がカメラを購入する事件が発生。
その日3万件のオウンメールが送られてきたために、Amazonの注文メールに気づけませんでした。
朝日ネットの相談窓口に、オウンメールをどうにかできないか相談しましたが、対応ができないとのこと。
長い間お世話になった朝日ネットのメールですが、残念ですが使えなくなりました。

さて、今年も卒論を全員が提出することができました。
今年は、積み木の面白さを紹介する動画作成の研究を行ったゼミ生がいます。
InstagramでもYouTubeでもなく、TicTokを選んでいました。

アカウント名は、「積み木おねえさん」
そう、あの「積み木おじさん」(相沢康夫さん)をもじった名前です。

TicTokは、このように動画が一覧できるのが良いそうです。
Mさん、Sさん、研究お疲れ様でした。

私が一番好きな動画は「積み木ランドの大冒険」です。

3年生のゼミ生たちも動画作成に協力しました。




その後この本を読み、大学生の事例の深刻さに動画研究を来年も進めてよいか、
今悩んでいるところです。


保育者の不適切な保育をなくすために22022/12/17

保育士による虐待をなくすための方法として
「監視カメラの設置」を推奨する番組やページを見ます。
厳罰や管理は、「虐待」を行う保育士には有効かもしれません。
しかし一般の保育者には、どのような影響を与えるでしょうか。
保育士になる人が減り、辞める人が増えるのではないかと心配しています。

日々子どもたちに心と体を尽くしてきて、
休日や夜間も、保育の準備と研修に時間を使い、
体を痛めても低待遇でも誠実に頑張ってきた保育士さんほど、
「監視カメラであなたの行動を監視します」と言われたら、
もうやっていけないと思ってしまわないでしょうか。

保育者の関わりは、時間と空間の環境を変えて、学ぶ機会があれば変えられます。
保育者も、保育者を取り巻く環境に影響を受けています。

不適切な保育をなくすために
詳細は「改訂保育者の関わりの理論と実践」p98 (郁洋舎、2021)

物的環境とは、保育室内に子どもが遊びを広げることができる環境があるかどうかです。
昭和の時代は、保育者が「さあ今日は〇〇をするよ」と保育者が準備し活動を進める保育者主導の保育が中心でした。そのため保育室は小学校の教室や体育館のような状態で、物的環境は整えられていませんでした。

しかし平成・令和では、子どもの主体的な学習を促す環境を構成し、自発的な遊びを中心とする幼児教育へと変わりました。
そのため保育室内は子どもの学びを促すためにさまざまな遊びの空間がつくられています。

物的環境づくりが行われている保育室
「改訂保育者の関わりの理論と実践」p14(郁洋舎、2021)

写真のような物的環境を整えている園では、保育者は子どもと会話を交わすため大声を聞くことがありません。

物的環境が整えられていない園では、保育者の指示に子どもが従う保育が行われます。
本来、乳幼児は、今自分が獲得しようとする能力を獲得できる遊びを自ら選びますが、保育者に指示された活動は、個々の子どもの発達に合わない場合が多くあります。とくに1,2歳児は、自我が発達が著しく自分でやりたいという意欲にあふれており、大人のように指示に合わせてくれない場合もあります。子どもが新しい能力を獲得するた
めには繰り返しが必要ですが、保育者が指示する活動では十分な繰り返しができません。子どもが今やりたくない活動をさせたり、やりたい活動をやめさせるために、保育者はさまざまな「声かけ」を行いますが、そういった場面では、脅しなどの不適切な関わりが生じやすくなるのです。

また、子どもと保育者のストレスを増やすその他の物的環境の問題としては、保育室が狭い、一クラスが20人や30人など規模が大きい、玩具の量自体が少ないことや質が悪いことが挙げられます。


時間の環境は、子どもが自分で判断し行動できるゆとりや
十分に遊び込むだけのゆっくりとした時間があるかどうかです。

たとえば1歳児や2歳児クラスで、全員がそろって「いただきます」をする場合には、昼食の前後は、保育者がバタバタと忙しくなる状況が生まれます。
6時に朝食を食べている子と8時に食べている子を一斉に同じ時間に食べさせようとすれば、子どもを待たせ急がせ、保育者の「声かけ」も必要になります。

保育士の専門性
保育者のゆとりをもった関わりは、時間と空間の環境から
「改訂保育者の関わりの理論と実践」p14(郁洋舎、2021)

上記の写真のように時間の環境が整えられている園では、保育者が子どもとていねいに会話をしながら食事を行っています。保育者の大声や、一方的な「声かけ」はほとんど聞かれません。

物的環境や時間の環境を変えている園は園独自で学習を行い
子どもも保育者も幸せな保育を追求しています。

行事中心、保育者の指導中心の昭和の時代と同じ保育の方法を行いながら、
「それぞれの子どもの思いや願いを受け止めるよう心掛けましょう」
「一人一人の多様性に配慮した保育を心掛けましょう」と
保育者に言うのは、酷ではないでしょうか。

保育者が忙しい、大変だ、つらい、不安だと感じることが多いほど、怒りの感情がわきやすくなります。
このホームページを読むような熱心な行政の担当者の皆さんには、保育者も子どもも幸せになる方向でこの問題の解決を考えていただきたいと思います。たとえば以下が考えられます。

・園内のパワハラ・モラハラ・不適切な保育の相談・通告窓口の設置
・適切な関わりと環境構成ができる保育指導官の選任と保育指導官による巡回指導
保育内容を適切に監査できる委員の選任
・保育内容が指針・要領に届いていない園への指導方法の検討
・関わり方の園内研修の促進
・保護者への幼児教育理解の促進
  (行事や、厳しい指導を求める保護者がいるため)
・乳児期早期の集合検診等を使った家庭の関わり方の支援
  (家庭で親に関わってもらえない子どもが多いことが保育者の負担を増やしているため)
・数園に一人の保育ソーシャルワーカーや臨床心理士の配置
・主任業務の見直しや主任業務の指導
・保育者と子どもの対数改善
・記録・保育準備時間の確保のための補助金
・保育者の待遇改善

管理や厳しい指導、プレッシャーが行政・市民・保護者→園長→保育者→子どもへと連鎖しないように、みんなで良い方法を考え続けたいですね。

保育者の不適切な関わりをなくすために2022/12/01

裾野市で保育者による虐待が発覚しました。胸が痛みます。
訴えた同僚の保育者によって子どもたちが救われました。

親はたった一人のわが子に声を荒げ手を上げることがあります。
乳幼児期の子どもと関わることは、誰がやっても難しいのです。
保育者は、その難しい年齢の子どもたちを集団で保育をします。
1歳児クラスの基準は、子ども6人に対して保育者1人です。
1歳児の三つ子、五つ子を一人で育てられる親がいるでしょうか?
保育は、いい人レベルでできるような簡単な仕事ではありません。

一般的に幼稚園の先生や、保育園の先生は
子どもとの関わりを学んで保育者になっていると思われがちですが、
それは大きな誤解です。
実は、保育士や幼稚園教諭の養成課程に、
「子どもとの関わり方」を学ぶ科目はありません。
赤ちゃんや幼児と関わるなんて誰にでもできるもの、
集団保育での子どもとの関わりは個人の人間性で行うもの、
という前提で、保育者は養成されているのです。

就職してから子どもとの関わりの技術を園内研修で学べる園はごく少数です。
そうでない園に就職した場合には、個人の人間性で対応するしかありません。
そのためどの園でも不適切な関わりが起こる可能性があります。

保育者の関わりは、専門性として身につけるものであり、高めることができるものです。
不適切な関わりをしてしまう保育者は、
知らないだけ、技術を身につける機会がないだけです。

不適切な関わりを知れば、子どもを叩いていた先生が叩かなくなり、
技術を身に着ければ、怒鳴っていた先生も怒鳴らなくなります。
ベテランはダメだとか、年齢が高いと無理だとか言う人がいますがそんなことはありません。
いくつになっても人は変われます。

「改訂保育者の関わりの理論と実践」郁洋舎には、
保育者を信じているからこそ、専門職としてふさわしくない関わりの一覧を掲載しています。
園長先生が、この見開きをコピーして職員全員に配るところもあるそうです。
すべての園に、このイラストを配布したい。

p96、97 イラスト:おおえだけいこ

【保育の専門職としてふさわしくない言葉の例】
①脅し、②人格の否定、③否定的な感情の吐き出し、④罰の示唆、
⑤執拗(しつよう)に長い説教、⑥強要、⑦子ども同士の比較、⑧あきれ、
⑨冷やかしやからない、⑩謝罪の強要、⑪保護者の否定、⑫乱暴な言葉

不適切な関わりをなくすための環境構成は、p98~105、
関わりの技術を身につける演習は、p108~149をご覧ください。

また、不適切な保育が行われている園では、不適切な関わりが増えます。
不適切な保育とは、①重大な障害や死亡事故などが起きる可能性が高いもの、
②教育の放棄、ネグレクト、③子どもの人格を尊重せず、人権を侵害するもの、
④子どもの意欲を奪い、劣等感や無力感を与えるものです。
(「保育内容5領域の展開」郁洋舎p38~44)

ニュースを見て不安を感じている保護者もいらっしゃることでしょう。
これから園へ子どもを預ける保護者には、行事の回数が多い園、
行事の指導が厳しい園、保育者の作った飾り物が多い園、
朝夕子どもが少ないブロックの取り合いをしている園を避けることをお薦めします。

保護者に安心していただくために関わり方の園内研修を行っている園は、
園長や主任が保護者に研修報告(掲示やお便りなど)を行うのはいかがでしょうか。

森を開拓した保育者たち2022/10/31

「開拓」の文字は、北海道の歴史資料館では見たことがありましたが、
生きている人で「ぼくたちが森を開拓しました」と話す人に初めて会いました。
それも保育園の保育者たちがゼロから木を伐り、下草を刈り、園庭をつくったというのですから驚きです。

開拓者たちが集まるのは、札幌市の「富丘バオバブ保育園」と「富丘ニンニン保育園」。

一度、子どもがいない森を見せていただいたのですが、実は子どもの姿が想像できませんでした。
私はたいていの園庭や保育室は子どもがいなくても姿が想像できる自信があったのですが、
この起伏の豊かな森で、ゼロから年長までが遊ぶ姿が想像がつきませんでした。
そのうえ0歳児クラスの保育者たちは、急な坂を重いカートを押しても毎日この森に遊びに来たいというのです。

それで、もう一度子どもがいる日に見学に伺いました。


0歳児クラスから年長まで、なんとも自然に混じりあって遊んでいました。
保育者は子どもをゆったりと見守り、一緒に遊んでいます。
森に響く子どもたちの声が心地がよく、いつか座り込んで子どもの姿をながめていました。

日頃、「園庭を森に」、「保育室は森のように」とお話していますが、
やはり本物にはかなわない、と実感しました。
自然の複雑さ、多様さ、勾配の高さ、腐葉土の深さ、香り、風、命の豊かさ・・・・・・、
この森の豊かさを、認可保育園で日常的に享受できる子どもたちは、いや~幸せですね。

この森の開拓は、男性保育者が中心に行ったそうです。
この園は、男性保育者の割合がとても高いのです。(たぶん日本一、このことは別に書きます)
森を開拓するって、どれほど大変でしょう。
こんな貴重な園庭を作ってくださった先生方に感謝しかありません。
森を開拓してくださった先生方、見せてくださった先生方、
ほんとうにありがとうございました。

「かわいい」とルッキズム2022/10/12

この間、パンを焼きすぎて真っ黒なパンが炎を上げるのを見ました。
鍋をよく焦がすので電気鍋に変えたのですが、パンも燃えるとは・・・。

さて、今年も卒業論文の季節が来ました。
卒業後保育者になる学生たち、毎年卒論を指導していたのですが、
これからは動画の時代だとInstagramなど動画を使った情報発信も研究しています。
私が一番動画に疎いので、今いろいろと動画を見て勉強中です。

そこで「日本はルッキズム大国?」という内容の動画を見つけてしまいました。

スウェーデンの暮らしや文化を発信している方の動画です。
ルッキズムとは、「外見による差別や偏見」のこと。
論文や本を調べてみましたが日本語ではまだ少ないようです。

日本では「背が高い」とか「やせた」「色が白い」など見た目をほめることは普通ですが、
スウェーデンでは、人の外見については口にしないというお話でした。
なるほどー、そうですよね。
多様性に価値をおいていれば、そういった外見をほめないはずです。
実に納得。気軽に人の外見を口にしていた自分が恥ずかしくなりました。

そこで気づいてしまったのです。
保育者が子どもに「かわいい」や「かっこいい」を連呼することは
見た目を重視する価値を助長するのではないかということでした。

「かわいい」は女の子に言い、
「かっこいい」は男の子に言うことが多い気もします。
そうなると別の問題もありますね。

また「かわいい」や、「やばい」は、汎用性が高すぎるため
語彙が貧しくなるという課題もあります。

「かっこいい」には心のかっこよさもあるため一概には言えませんが、
「かわいい」「かっこいい」問題、もう少し考え続ける必要性がありそうです。

生命の安全教育~性暴力から身を守る2022/07/17

1年ゼミの学生さんが、幼児期の性教育について研究をしています。
一緒に資料を探していると、文部科学省が6月に出したばかりの
「生命(いのち)の安全教育」の教材を発見しました。


幼児期向けには、
画用紙にカラーコピーをすれば、紙芝居として使えるでしょう。


があります。
生命の安全教育(文部科学省)

これらは場面別に以下の3つに分かれています。

そして、指導の手引きもありました。

文部科学省と内閣府が連携して
子どもたちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないように、
「生命(いのち)の安全教育」を全国の学校で推進するために作成された教材だそうです。

園で、子どもたちと話し合う素材として活用できますね。
作成にご尽力下さった皆様に感謝です。