積み木遊びが充実するヒント ― 2026/04/14
積み木遊びの「写真集」が出ました。
北海道から宮崎まで51園のこどもたちが表現した遊びが紹介されています。
積み木のコーナーに置いたら、こどもたちがワクワクしてながめることでしょう。
保育者が読めば、積み木の他にどのような素材があれば遊びが広がるか、素材選びの参考にもなります。
こどもたちが、(どうやって飛行機の羽を丸く作ったのだろう)と試行錯誤が始まったら、
その試行錯誤に任せるもあり、ヒントとして「なんかこの本に積み方がのっているらしいよ。先生は積み木が苦手だからよく分からないんだけどね」と以下の本を渡すのもありだと思います。
園長先生の本棚へ探しにいって借りてくるとか、園長先生にこの本をクラスに買ってくれるように交渉するとか、いろいろな体験に結びつけることもできるでしょう。
困ったとき、行き詰ったときに、本を読めばヒントが見つかる!
分からないことは自分で調べてみよう、見つけてみよう、そういう主体的な学びの姿勢を育みたいですね。
本はタブレットと違って、グループで一緒にながめることができることが教材としての強みです。
『こどものとも』70周年企画展 ― 2026/04/09
『こどものとも』70周年を記念する企画展があると聞き、さっそく行ってきました。

新潟で研修の後、特急しらゆきに乗って移動。

石川県立図書館二階の研修室へやってきました。
金沢市は福音館書店の創業の地です。
この地で松井直らが「人間性の真実にふれる絵本」をどんなに貧しい家庭でも買えるようにと発刊したのが「こどものとも」です。
展示から、その思いを改めて受け取りました。

70年間の「こどものとも」が844冊の表紙がずらり。

手に取れる本のなかには読んだことがない本がありました。
絵本作家、画家さんのインタビュー動画は全部拝聴。

一階のロビーには、ぐりとぐらになれる帽子(こども用・大人用)や服(こども用)がありました。
わたしは乗る勇気がありませんでしたが、後日園長先生からこれに乗った写真が送られてきました。
さすがは園長先生です。
展示は、4月19日(日)までだそうです。(月曜休館)
こどもの負担が少ない慣れ保育(慣らし保育) ― 2026/04/05
このブログで私の”生存確認”をして下さっている皆さん、いつもありがとうございます。
園でSNS発信をするところが増え、この時期、慣らし保育の映像が流れてきます。
泣いている赤ちゃんを必死であやす先生たちの映像。
絵面(えづら)だけを見れば、「赤ちゃんが泣いてる、かわいい~」なのかもしれませんが、私は基本保育者なので見ているだけでいたたまれない気持ちになります。
1歳のこどもは、大好きなママが2時間たてば戻ってくる、なんていう見通しはもてません。
(ここはどこ?!ママがいない!)と必死に泣くこどもの姿を、流してよいものでしょうか。
映像の保育者も、顔では笑っているけれど、きっとつらく感じていると思います。
今慣らし保育を、こどもも、保育者も、保護者も負担が減る方法へと変えている園があります。
新しい方法を、慣れ保育と呼んでいる場合もあります。
ある園では、0歳の慣れ保育は3月(育児休暇期間中)から一か月かけて行います。
親子で通園し、こどもは園と先生たちに慣れていきます。
食事も午睡も、保護者と一緒に行います。
保護者も、朝荷物を準備してこどもを園へ連れていく生活リズムに慣れ、職場復帰に備えます。
別のある園では、4月の最初は親子で通園します。
保護者が一緒にいれば、こどもは食事もとれるし、午睡もできます。
こどもが園の生活に慣れ、次の段階として保護者と離れる、いきなりではなく、小さなステップをつくっています。
「だから4月はそんなに大変ではないですよ」と園長先生は言います。
こどもの泣きには、こどもの成長に必要な泣きと、不必要な泣きがあります。
慣らし保育によるこどもと、保護者と、保育者の苦しみは、方法を変えることで軽減できる苦しみではないでしょうか。(偉そうにごめんなさい)。

予備の玩具を遊び別に整理する ― 2026/04/01
新年度が始まりましたね。

年度末から年度始め、春休みのない保育園・認定こども園の先生方はいつにも増してご多忙な日々をお過ごしのことと思います。
新人の保育者にベテランの経験知・実践知をどのように伝えるか、
その仕組みの一つとして、絵本や倉庫を整理するアクションリサーチを行っています。
先日は、玩具の予備棚を見せていただきました。
こんなに大きい玩具の予備棚はめったに見ることがありません。
「再構成をさせて下さい」と園長先生にお願いしたところ、快くお引き受けいただきました。
再構成前の予備の玩具棚、玩具別に整理して並べられています。

これを全部棚から出して遊びの種類(仮)を書いた紙のところへ分けていきます。
遊びの種類は、見立てつもりごっこ、操作・構成、数量・図形、言葉・文字、科学・社会、音楽表現と運動(大きい物が多いので別置き)、造形表現(別置き)に分かれました。

そして遊びの種類別に再度収納します。

再構成する際に留意した点は以下の通り。
①遊び別で分けました。
ブロック、パズル、汽車など玩具の名前で置くと、玩具でコーナーを考えたくなります。(汽車コーナーなど)
保育者は、その時期のこどもの遊びを実現するために、必要な玩具を選びます。
そこで遊びの名前毎に玩具を棚に並べました。そうすることで「この遊びのためにこの玩具が必要」と「遊び」(発達欲求)を意識しやすくなるのではないか、と考えました。
②「ままごと」は、「見立てつもり・ごっこ遊び」と表示します。
「ままごと」と書くと「仕事のごっこ遊び」や、「物語のごっこ遊び」を想定しにくくなるので、「お家ごっこ」と「仕事ごっこ」に分けて棚に入れました。
③テーブルゲームは、数量感覚を育むものと、文字に気づくもの、形や色で簡単にできるゲームに分けました。
とくに年長児向けのテーブルゲームは、幼児教育の教材として欠かせません。
分けることで量の偏り(意識の偏り)に気づき、これから増やすものが分かります。
④テーブルゲームは箱に概要を書いていただき、新人の保育者でも内容を分かるようにしました。
⑤遊び別に棚を分ける意味を新人の先生にも分かるように、扉の裏に発達による遊びの変化の図を貼りました。
⑥量があるものは引き出し式のケースは使わずに、上部が空いたケースのみを使いました。またケースには大きな文字で入っているものを書きました。多忙な保育者がすぐに取り出し片付けやすくします。
意識を変えることは難しいけれど、意識を促す仕組みやしかけをつくることはできます。
その仕組みづくりを検討し、園でお試しいただいている段階です。
玩具の整理は先生方が手伝ってくださったので、2時間ほどで終了しました。
園長先生、先生方、どうもありがとうございました。
自然がつくるでこぼことどろんこ ― 2026/03/29
冬に旭川へ行ったとき、「春の園庭はドロドロベチョベチョですよ」と聞いていました。
本当でした。3月末の園庭です。

私はツルツル滑って歩けないのですが、こどもたちは平気で登り、走っています

昼には、どろんこになったスキーウエアが干されていました。


この景色に、先生と保護者のこどもへの愛を感じました。
面倒がらない大人ってすてきです。
倉庫の量と位置 ― 2026/03/15
研究のために園へ伺うと見せていただく場所があります。
それは倉庫。
どこに倉庫があるか、どんな棚でどのぐらい量が入る倉庫があるかは、保育に影響を与えています。
たとえばトイレに倉庫がない園(あるんです、これが)では、保育者がトイレットペーパーの補充に廊下の倉庫まで行って交換。一人担任であればこどもに目が届かない時間が増えます。
保育室に倉庫がない園(これもあるんです)では、保育者は保育に必要な用品を取りに行くために廊下を走ることになります。倉庫のドアが複雑で、保育者が荷物をもって出入りするのに二人が必要という園もありました。
また倉庫がないために棚の上に物が置かれて、改築したばかりの保育室が雑然としていることがあります。
倉庫の場所や量が、保育者の動きと負担感に影響を与えることを感じています。
改めて保育の質が高い園の写真を見直すと、やはり保育室内の倉庫が充実しています。

ながかみ保育園さん
倉庫内の整理も大事。カテゴリー別に整理され、すぐに取れる、すぐに戻せるようになっていると、保育者も助かりますね。

にしき保育園さん
倉庫の整理は、主任や主幹の先生に期待したいところですが、今後は、園専門の収納アドバイザーのニーズが出てくるかもしれませんね。
指導監査を保育の質につなげる ― 2026/03/10
現場でよく聞く困りごとには、「指導計画」の書式があります。
指針・要領に則って保育を変えた園では、これまでの月カリや週案の書式が使いにくいという悩みを抱えています。マインドマップや環境図を書く方式など各園で試行錯誤していますが、監査では昭和からの伝統的な書式で書くように指導されることがあるそうです。
都道府県や市区町村による指導監査の指摘事項についてネットで調べる内に、東京都中央区で指導監査に携わる方が書いた書籍を見つけました。
書き込み線を引いて内容を熟知したい情報の場合、やはり紙の本が助かります。
本書によると、指導監査には主に「運営管理」「保育内容」「会計経理」の三つの枠があり、本書はこの内、「運営管理」を中心に説明しているそうです。法律をまとめた本と違ってとても分かりやすい。私も本書を読んで初めて知った情報がいくつかありました。
「保育内容」に関する監査の情報は、東京都や東京の各区がネットに指摘事項等の情報を公開していて参考になります。ただ「環境を設定」や「評価・反省」などの「保育所保育指針」とは異なる用語が気になります。
なぜ、こどもを虐待している園は、監査では発見できないのか。
指導計画(書類)は、「保育所保育指針」を超えた細かな指摘が行われるのに、なぜ指針から大きく外れた保育(実践)は指摘事項にならないのか・・・。
保育の質は社会の重要課題です。
本書のタイトルにあるように保育の質につながる監査と保育の書類のあり方について研究を続けたいと思います。
保護者との連絡に使うベトナム語・ポルトガル語・英語他 ― 2026/02/17
以前、日本保育協会さんから保育の用語を英語、中国語、ポルトガル語などに翻訳した冊子が出ていました。
偶然書店で、それらの冊子が一冊の本にまとまっているものを見つけました。
掲載されているのは、中国語、ポルトガル語、ベトナム語、タガログ語、英語、スペイン語。
翻訳されているのは、園の一日、行事、調査票、送迎時間連絡カード、持ち物絵カードなど、
翻訳アプリが便利になったとはいえ、保育でよく使う書類の翻訳を一覧できるのは助かります。
ある園では一つのクラスに10か国語以上の言語を母語とするこどもがいるそうです。
保育も、幅の広い多様性を前提とした保育に変える必要性がありますね。
夏の園庭・冬の園庭 ― 2026/02/07
夏は最高気温が35℃で、冬の最低気温はマイナス15℃の旭川市(2025年)。
これまでの人生で初めて「吹雪く」と「ホワイトアウト」という言葉を使いました。
夏の園庭とは様変わりした冬の園庭にも圧倒されました。
園庭改造を重ねておられる「おひさまの森」の夏の園庭


そしてこちらが「おひさまの森」の2月の園庭


こどもも先生もスキーウエアを着こんで園庭で遊んでいました。
雪遊びは、登ったりすべったり転がったりといった全身を動かす遊びです。
水遊びと同じ大はしゃぎの遊びが毎日できるとはうらやましい限りです。
雪とこどもたちと先生方の笑顔がまぶしく、見ていてほんとうに嬉しくなりました。
マイナスの気温の中で準備や片付け、園庭の整備も重ねた上で、こどもたちと一緒に遊ぶ先生方、ほんとうに毎日お疲れ様です。
車まんなか社会をこどもまんなか社会に ― 2026/01/27
あっという間に年を超えてしまいました。
2026年は、いよいよ多くの保育現場が変わり出す、という予感がしています。
「こどもまんなか社会」も、三年目に入ります。
子育て支援元年と比べると子育て家庭への経済的な支援、相談体制の充実など子育てを応援する制度が揃ってきました。ただ何十年も変わらないままなのは、こどもが育つ、こどもを育てる住宅環境と、まちの環境です。
壁や床が薄い集合住宅では、こどもが走ると苦情、泣くと苦情です。
こどもが走るだけで叱らないといけない家で子育てをして楽しい人はいないでしょう。
運動という基本的な欲求を充足できないこどもも問題を抱えかねません。
こどもを外で遊ばせたい”意識高い系”の親だってつらい。
こどもと歩けば危ない危ないと叱ってばかり、公園には日陰もない、遊具のそばにベンチはない。
道路は、車が優先です。
車はどこでもスイスイ曲がり、ベビーカーや車いす、高齢者は段差のたびに苦労します。
斜めの歩道は、ベビーカー等を押しにくく、体に不自由があると転びやすい。
まちは、社会的弱者に厳しいのです。
こどもたちを育てているのは、人だけではありません。
家も道も街路樹も、こどもたちを育てています。
家庭や地域が、こどもを育てる環境として貧しいと、平日は園にこどもを預け、休日にはどこかに連れて行き、物やサービスを与える状況が生まれがちです。地域が豊かであればこどもの体験格差も生じにくいでしょう。
子育てしやすい住宅やまちのモデルは、すでにあります。
経済的に恵まれた人が住むまちは歩道は広く、道にも公園にも緑があふれています。
こどもまんなか社会では、住宅と地域環境の格差を減らすハードの充実にも期待したいと思います。

水と緑が豊かな公園




