「壁面製作」は「環境構成」ではない2011/07/04

今年度の全国保育士養成協議会の研究大会では、「環境構成技術」について発表します。
2年間をかけて遊びと生活場面から抽出した技術から、「環境構成技術」を再構成しました。
インパクトのあるポスター発表にするために、色画用紙でうさちゃん、リスちゃんを作りました。(わざわざ)


日本全国に何万箇所とある幼稚園・保育園で、毎月どれだけの色画用紙が飾りに使われていることでしょう・・・。  色画用紙は子どもの製作に使ってほしいし、エコな保育をひろげたいものです。

追加情報。ある本で保育者の持ち帰り仕事のトップは、この壁面製作だという結果が紹介されていました。毎月、保育者の貴重な時間が、色画用紙を切って壁を飾るために使われているとするならば、大変にもったいないことです。記録も計画も増え、支援の必要な子どもや保護者も増え、保育者の仕事は増加しています。

乳幼児に人工着色料がたっぷり入ったお菓子は与えないように、人工的な色彩環境を準備する必要性は低いように思います。どんなに優れた色彩感覚の持ち主であっても、原色の色画用紙で、調和のとれた美しい色合いの壁面飾りをつくることは難しいでしょう。季節感や感性を育てることが目的であるならば、野の花や絵、写真を飾ったり、本物の季節飾りを飾るほうが望ましいと思います。

保育者養成では、保育の原理に沿った環境構成技術を教える必要性があります。
壁面製作ではない、子どもを生活と遊びの主役にするための環境構成技術を体系的に教えることができる教員を増やしたい、と思います。

つみきのお勉強2011/07/13

「つみきのお勉強」と聞いて、「え~、なんでお勉強なの?つみきってあそぶものでしょ?」と、お母さんに聞いたのは、飛び入り参加してくれた小学生のなっちゃんです。

主題演習で積み木の学習を行いました。

今回、使用するのは、和久洋三さんの和久ブロック(立方体・直方体)と、数の木、ケルンモザイクです。ワークショップのファシリテーターは大隅さんです。

                  神妙に説明を聞く学生達となっちゃん。

                  まずは積んでみます。


                  背中が真剣。

                  塔をつくっています。



                  横に穴をあけて・・・

                  入っちゃいました。

                 それでは、ぼくも・・・

                  入っちゃいました。

                  定番記念撮影。お疲れ様でした。

保育のプロになるみんなには、本当は、日常的に積み木で遊んでほしいんだけどなあ。。。。

もっと、知りたいと思った人は、
和久洋三「遊びの創造教育法④積木遊び」、「⑤積木遊びと造形」、「⑥色面の遊びと造形」玉川大学出版部、
を読むべし。子どもと積木を出会いをつくる保育者の導入は、④の84ページに載っています。


日本医学教育学会2011/07/24

土曜日に広島まで日本医学教育学会に学びに行ってきました。
聡明で志の高い研究者・臨床家による発表と議論に強い刺激を受けました。
医師と看護師は、養成の質を保証する仕組みが進んでいます。


会場である広島国際会議場は、平和祈念公園の中にあります。
慰霊碑からは、原爆ドームが見えました。



慰霊碑の前まで歩いていくと、皆、慰霊碑の写真を撮ったり、慰霊碑の前で記念撮影をしていました。
そのなかで手を合わせて祈ったわたしは、まわりには奇異にうつったかもしれません。
でも、手を合わせずにいられなかった。
「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」。何十万という人が犠牲になりました。

暴力のない平和な社会をつくる聡明で勇気のある次の世代を育てたい。
日本医学教育学会と平和記念公園は、保育教育学の構築を改めて決意する機会となりました。


屋内で体を動かす遊び2011/07/28

大量のレジュメ作成という高山の窮地を助けてくれたみんな、ありがとうございました。

最近、どこへ行っても、屋内運動遊びに目が止まります。
外へ出られない、窓を開けられない、そんな状況でできること。。。

一人あるいは数人で家の中で体を動かせる遊び
土間・廊下で・・・・・・・なわとび、まりつき、トランポリン、フープ、リボンバトン、ケンケンパ。
部屋で・・・・・・・・・・・・ダンス、踊り、太鼓、けん玉、お手玉、うたを歌うこと、前回りや逆立ち。
兄弟姉妹がいるならば・・・ハイハイ鬼ごっこ、(うさぎ)ジャンプ鬼ごっこ、転がり鬼ごっこ。

ふと思いつき、日本まりつきの会 DVDと、まりを買ってしまいました。
研究室で怪しい音がしていたら、それはまりつきです。(私がやってどうする!)

保育園・幼稚園であれば、体をうんと動かせるさくらんぼリズム。
ピアノがなくても口ピアノでどこでもできます。運動量が多く、感覚統合の理論が入った動きは洗練されていますし、1・2歳でも真似できるということで一番のお薦めです。
車ばかりで歩かない子が多い、粗大な運動が不足している子どもが多いクラスでも、取組む価値があるかも。さくらんぼリズムは、あまりかしこまらずに使うと、とても楽しいリズム遊びです。

自由に年齢に合った運動が楽しめるのは、運動会のマーチング曲を使ったダンス。「草競馬」など、鼓動を活かして、輪になって歩いたり、ひざをたたいたり、自転車こぎの動きをしたり自由に動きを考えます。体力がない、踊りに自信がない先生でも自由に動きを作れますし、子どもたちが動きを考えて行うこともできます。

先生方に教えていただいた「雨の日の遊び」は、昨年の6月のブログ(以下)にあります。
http://hoiku.asablo.jp/blog/2010/06/25/5246481


 体をうんと動かした子どもの表情は、青空のよう。


育てにくい子にはわけがある2011/07/31

土曜日に、「子育て支援セミナー」を開催しました。浜松市子育てひろば事業の一貫で、浜松の未来を育てる会主催です。私は、講師と運営の兼任で、せっかく遠くからお越しいただいた先生方とゆっくりお話をすることもできず、大変に申し訳ありませんでした。

今回、作業療法士の木村順先生をお招きして、3時間の講演をいただきました。
木村先生は、感覚統合をわかりやすく解説した著作や講演で評判の先生です。
幼児期のグレーゾーンが3割~4割という木村先生の実測値は、実感と比較していかがだったでしょうか。

終了後、参加者から、「発達障害の話は何度も聞いたことがありますが、『感覚』の話は初めて聞きました」、「初めて聞く理論でした」と伺いました。エアーズの感覚統合理論は、乳児・幼児の保育を選択するうえで不可欠な理論だと考えています。(授業では一こましか使えませんが)。学習の前提として情緒の安定がありますが、その情緒の安定の前提として感覚の統合があるということ・・・。今後、保育者研修でも感覚統合を取り上げていただけるとよいですね。

育てにくい子どもがクラスに数人いる場合、毎日子どもと一緒に生活する保育者は、親以上に苦しんでいる場合も少なくないと思います。「幼稚園や保育園の先生は、すぐに対処方法を知りたがる」と言われることがありますが、苦しいときに、処方箋がほしいと望むのは当たり前だと思います。(私だってそうです)

今すぐに子どもをよく理解したい、自分にできることを知りたいという先生に。木村先生が書かれたとてもわかりやすい次の2冊をお薦めします。

①木村 順「育てにくい子にはわけがあるー感覚統合が教えてくれたもの」大月書店、2006


内容紹介(大月書店ホームページより)

発達が気になる子どもたちの原因を理解するために|落ち着きがない、乱暴で加減ができない、こだわりが強い、順番を待てない、姿勢が悪い、抱っこを嫌う、手をつなげない、人の話を聞けないなど、発達がちょっと気になる子どもたちが増えている。その原因のひとつと考えられている触覚防衛・重力不安・聴覚防衛など、感覚統合の不全について事例を示しながらわかりやすく解説。


 

②木村 順「発達障害の子の感覚遊び・運動遊びー感覚統合をいかし適応力を育てよう」講談社、2010

内容紹介(講談社ホームページより)
子どもをすくすく成長させる15の「遊び」を厳選紹介!

●手先が不器用
●運動が苦手
●姿勢が悪い
●集中力がない
●音にこだわる

いますぐ家庭でできる!
●ツイスターゲーム
●タッチング遊び
●しがみつき遊び
●数当てクイズ etc.

<本書の内容構成>
1.「体の使い方」がわからない子どもたち
2.自覚しにくい「3つの感覚」が成長のカギ
3.いますぐ家庭でできる「感覚遊び・運動遊び」
4.「気づいたらできていた」を目指して