暖房を使わない新年2012/01/02


                    辰年です。


              そばに寄るとこんなかわいい表情です。いただきものの干支セットです。

年末年始は、例年同様朝から晩まで研究三昧。しかし今年はちょっとだけ違う。暖房なし!なのです。窓辺にダンボール、座る床にはコルク、靴下とズボンは重ねばき、厚着してひざかけをすれば完璧。あ、そうそう郵便受けの隙間もふさぎました。寒がりの私も、これで夜も暖房なしで過ごせることがわかりました。

狭い部屋で使っている電気ストーブが最低でも300W使うことにふと気づき、27Wの電気座布団を購入ましたが、今のところほとんど使いません。窓と床下からの冷気がないと、部屋はとても暖かいことに気づきました。

さて、研究に戻ります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

保育内容の幼小連携2012/01/03

今年度の入学生から小学校教諭の養成が始まり、学内でも幼小連携に関する話題が増えました。

保育士をしていたときには、「小学校学習指導要領」を購入して読んでいました。何に使っていたかって、主に懇談会の資料です。幼児期の遊びや環境構成が小学校以降の学力にどうつながるのか、それを説明するのに要領を見ながら知恵をしぼっていたのでした。

「学習指導要領」は、今は文部科学省のページで簡単にダウンロードできますね。

ゼミ生のOさんが、幼児期の数量経験を卒論テーマにしていることもあり、研究の合間に、改定された小学校の指導要領に関する資料を読み込みました。いろいろ読んでみましたが、保育者が小学校の算数を理解するために一冊読むとすれば以下がお薦め。 金本良通「小学校新学習指導要領の展開 算数科編」明治図書出版 2008


ここで、数量図形に関する年長のねらい、内容と、小学校一年生の算数の目標、内容を比較してみましょう。

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「幼稚園教育要領」 領域 環境

 

1 ねらい

1) 身近な環境に親しみ,自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。

2) 身近な環境に自分からかかわり,発見を楽しんだり,考えたりし,それを生活に取り入れようとする。

3) 身近な事象を見たり,考えたり,扱ったりする中で,物の性質や数量,文字などに対する感覚を豊かにする。

 

2 内容

2) 生活の中で,様々な物に触れ,その性質や仕組みに興味や関心をもつ。

4) 自然などの身近な事象に関心をもち,取り入れて遊ぶ。

7) 身近な物や遊具に興味をもってかかわり,考えたり,試したりして工夫して遊ぶ。

8) 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。

 

3 内容の取扱い

4) 数量や文字などに関しては,日常生活の中で幼児自身の必要感に基づく体験を大切にし,数量や文字などに関する興味や関心,感覚が養われるようにすること。

 

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「小学校学習指導要領」 第一学年 算数

 

1 目標

1) 具体物を用いた活動などを通して,数についての感覚を豊かにする。数の意味や表し方について理解できるようにするとともに,加法及び減法の意味について理解し,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。

2) 具体物を用いた活動などを通して,量とその測定についての理解の基礎となる経験を重ね,量の大きさについての感覚を豊かにする。

3) 具体物を用いた活動などを通して,図形についての理解の基礎となる経験を重ね,図形についての感覚を豊かにする。

4) 具体物を用いた活動などを通して,数量やその関係を言葉,数,式,図などに表したり読み取ったりすることができるようにする。

 

2 内容

A 数と計算

1) ものの個数を数えることなどの活動を通して,数の意味について理解し,数を用いることができるようにする。

ア ものとものとを対応させることによって,ものの個数を比べること。

イ 個数や順番を正しく数えたり表したりすること。

ウ 数の大小や順序を考えることによって,数の系列を作ったり,数直線の上に表したりすること。

エ 一つの数をほかの数の和や差としてみるなど,ほかの数と関係付けてみること。

オ 2位数の表し方について理解すること。

カ 簡単な場合について,3位数の表し方を知ること。

キ 数を十を単位としてみること。

2) 加法及び減法の意味について理解し,それらを用いることができるようにする。

ア 加法及び減法が用いられる場合について知ること。

イ 1位数と1位数との加法及びその逆の減法の計算の仕方を考え,それらの計算が確実にできること。

ウ 簡単な場合について,2位数などの加法及び減法の計算の仕方を考えること。

B 量と測定

1) 大きさを比較するなどの活動を通して,量とその測定についての理解の基礎となる経験を豊かにする。

ア 長さ,面積,体積を直接比べること。

イ 身の回りにあるものの大きさを単位として,その幾つ分かで大きさを比べること。

2) 日常生活の中で時刻を読むことができるようにする。

C 図形

1) 身の回りにあるものの形についての観察や構成などの活動を通して,図形についての理解の基礎となる経験を豊かにする。

ア ものの形を認めたり,形の特徴をとらえたりすること。

イ 前後,左右,上下など方向や位置に関する言葉を正しく用いて,ものの位置を言い表すこと。

D 数量関係

1) 加法及び減法が用いられる場面を式に表したり,式を読み取ったりすることができるようにする。

2) ものの個数を絵や図などを用いて表したり読み取ったりすることができるようにする。

 

〔算数的活動〕

1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。

ア 具体物をまとめて数えたり等分したりし,それを整理して表す活動

イ 計算の意味や計算の仕方を,具体物を用いたり,言葉,数,式,図を用いたりして表す活動

ウ 身の回りにあるものの長さ,面積,体積を直接比べたり,他のものを用いて比べたりする活動

エ 身の回りから,いろいろな形を見付けたり,具体物を用いて形を作ったり分解したりする活動

オ 数量についての具体的な場面を式に表したり,式を具体的な場面に結び付けたりする活動

 

〔用語・記号〕

一の位 十の位 + - =  

 

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6歳は、発達段階がぐんと変わる時期とはいえ落差を感じますよね。
幼小連携で留意する点は、教育内容の連続性、子どもの経験の連続性です。

幼児期は、身体と五感を使った直接体験による学びが効果的です。自然のなかでの遊び、栽培や飼育、生活の活動を重視している園では、子どもたちはごく自然に数量体験を積み重ねています。

とは言っても「じゃがいも4こ」といった具体的・直接的な経験から、いきなり「2+2=4」なんて抽象的な概念の学習にとぶのはとても大変。そこで、幼児期や小学校低学年で具体と抽象をつなぐための玩具や教具がどれだけ揃っているかが大切になります。注目しているのがモンテッソーリ教具。具体と抽象をつなぐ年長後半の保育にぴったりです。ほかにも輸入おもちゃで良いものがいろいろありますね。これに、保育者の意図的な言語による援助が加われば、鬼に金棒です。

最近、私は環境構成の研究が多かったのですが、指導要領を読んでいると、久しぶりに保育内容の体系化をやりたいという欲求がムクムク。0歳から5歳まで発達段階と活動を体系化するというとっても楽しい作業です。実は、言葉領域は10年以上前に終わっているのです。次は環境領域を完成させたいな・・。いかん。研究にもどります。

ごっこ遊びのお人形2012/01/05

 新年だから(?)、ごっこ遊びで使っているお人形をちょっと集めてみました。



                 定番のくまちゃん、うさちゃん、よく乳児保育室でお会いします。
                  ある程度の硬さがあり、2歳児にも扱いやすい人形。


        
               手足が動く人形よりも、抱いたり背負ったりねかしつけたりしやすいですね。


                             上のくまちゃんより一回り大きめ。それらしく遊びたい45歳児クラスでよくお目にかかります。
                 ちっちゃな指が5本、何よりこのお人形たち、目が合うのです。


上のお人形よりも一回り大きめ。人形をつくったことがある方ならわかると思いますが、このお人形、芸術の域ですよね。保育用品には、このお人形よりも大きな動物や家族の人形が紹介されていますが、大きすぎる人形はお世話がしにくくなるようです。



                                子育て広場で撮影させていただいた手作りの人形。実に個性豊か。



                   これも子育て広場で撮影。軍手の手作り人形です。


                 このお人形やぬいぐるみたちは、オムツ換えや着脱練習用。
                 くまちゃんのお尻はちょうど10か月の赤ちゃんぐらいです。



             新年なので研究室にいるキャラクターも勢揃いしてみました。園では相談室向けです。                



 ちょっと福袋チックな内容になってしまいました・・・。新年だからお許しを。


卒論お疲れさまでした2012/01/10

今日・明日は卒論提出日。最後の最後まで手を抜かずにがんばる姿、すてきです。

卒論
                     どーん。 よく、書いたね~。(これまで書き直しをした卒論の山)

互いに助け合い励まし合って書いた卒論。ゼミ生たちを誇りに思います。

モンテッソーリの研修会に参加してきました2012/01/13

土日を使って、モンテッソーリの研修会に参加してきました。
自分の経験には偏りがありますし、いい加減なことを教えてはいけませんので、私にとって現場と研修は必須です。

今回のテーマは日常生活の練習。
あのモンテッソーリの有名なエピソード、鼻かみの指導を実際に見てみたいと思いました。
貧民教育にたずさわったモンテッソーリは、ペスタロッチ同様、著作から福祉の心、深い祈りを感じます。
何度読んでも、子どもの保育で保護者の暮らしが変わっていく同じ場面でおんおん泣いてしまうのです。

さて研修。実に学びの多い二日間でした。椅子に座る、歩くの基本動作に始まり、日常生活がこんなに教材化できるんだ~なるほど~と興奮した二日間でした。

講師の先生が、「絶対にこうしないといけないと思わないでくださいね」と所々で確認し、「園に合わせて」、「子どもに合わせて」と、受講者が教条主義的な受け止め方をしないように留意していらっしゃることが印象的でした。 

子どもは動きながら学ぶこと、困難や性質をピックアップして教材化すること、子どもの発達段階に沿って体系的に教具を準備すること、自己選択と自己決定によって自立を促すこと、繰り返しによる着実な定着を促すこと、達成感と満足感による情緒の安定と自信、などなど普通の保育をされている先生方にも、活用できる理論と、具体的なヒントが多く見つかります。                

よく、「高山さんは、さくらんぼですか?コダーイ?シュタイナーもやるんですか?」なんて、保育の流派?を尋ねられることがあるのですが、私はこのブログを読んでいる皆さんと同じく「子ども派」です。目の前の子どもに合わせてよりよい方法を探し、主体的に活用するのが保育者の職務。他者を援助するのに、感情レベルの判断も、先入観も、保育者には似つかわしくありませんもの。生涯をかけて保育に専心した先人達に学ぶ姿勢を持ち続けていきたいと思います。
また、どこかの研修で隣に座っていましたら、よろしくお願いします。
残念ですが、今回は受講した団体の紹介と、写真はなしで。

                             代わりに お花

保育者の服装2012/01/16

センター試験が終わりました。ストレスでまだめまいがしてます。

島田市の保育士さんから、質問です。
「毎日服に悩んでいるんですけど、保育者の服についてどう思いますか」
まずこの質問を読んで、服に悩んでいらっしゃるなんて、とてもプロ意識の高い先生だと感じました。

保育者の服装も、保育者が意図的に行う環境構成の一つですね。
服装、声の出し方、話し方、動き方・・・保育者は子どもの環境として、自分を「演出」します。
平素はおだやかに、ときに厳しく、ときに優雅に、あるときはヒーローのように・・・。

日常は、子どものイメージや遊びの世界をじゃましないことが最優先になるかと思います。
大きなキャラクターのついたエプロンが保育室をうろうろしていたら遊びのじゃまですし、赤いジャージの足が6本も、乳児保育室を動き回っていたら落ち着かないでしょうね~。それほど遊びをじゃましない色柄であれば、自分が好きで気持ちよ~く保育ができる服を着るのがいちばんではないでしょうか。

日本カラーデザイン研究所「心を伝える配色イメージ」講談社には、色の組み合わせで人格を表現するデザイン例が紹介されています。「癒しなごみ系」、「お嬢様」、「おたく」、「貴公子」、「スポーツマン」など・・・。
ながめるだけでも楽しいのですが、一つ一つの色につけられた細かい解説がまたおもしろい。たとえば、「イエロー・グリーン・・・フレッシュで健全なイメージを与える色。公正で分け隔てなく人と接する人柄の表現に欠かせない」といった具合。これを一つひとつ読んでいくと、とっても笑えます。専門家の仕事ってすごい。

私の場合、今は授業がメインの仕事。顔立ちが庶民的でどうも顔に信頼感が少ないので、信頼をイメージする「紺色」を着ることが多いんです。相手に緊張感を与えると言われる「黒」も、授業でよく着ます。
学生たちに、わたしはこわーいとイメージが定着したら、大好きな淡いピンク色やクリーム色を着たいなと思います。


           調和し合う自然界の色。色彩の本には「自然はカラーコーディネイトの見本」とあります。

保育をちょっぴり楽しくする小物2012/01/20

先日御紹介した尾木まり先生監訳の『保育者のストレス軽減とバーンアウト防止のためのガイドブック』には、保育者のストレスを軽減する発明品という愉快なコラムがあります。

「後ろまで見える視野拡大装置」、「一度に6~8人が座ることができる拡がるひざ」など・・・。
こういうのを読むと、つい私も、「いない子どもが瞬時にわかるコンタクト」とか、「一度に四人の赤ちゃんを抱っこできる腕」とか、「親御さんの顔を認識して、今日その親御さんにお伝えしなくてはいけないことが、目の前に文字で現れる透明スクリーン」とか、考えはじめてしまいます。

最近、わたしが活用しているもので、(これ、保育者のときにもっていたらよかったのになあ~)と思う小物が二つあるので、御紹介します。

一つ目は万歩計。小さくてポケットにクリップで留めておけます。
もう一つは体重計。生協で買った普通のタニタの体重計ですが、『体内年齢』が表示されるのです。今日は45歳だわ、キャッ今日は42歳!なんて年齢よりも若いと、なんとなくうれしい。
保育者って見た目の若さが、「魔女」レベルの方、多いですよね。 きっと、体内年齢もうんと若いのではないでしょうか。

                             今日は43歳。日によって、実年齢を上まわることも。飲みに行った日は最悪です。


心の若さの計測計もあるといいですね。


祈りから始まる保育学会2012/01/24

週末、聖隷福祉事業団主催の保育学会に参加させていただきました。

保育学会は、福祉施設の内、児童の福祉施設が一堂に介する大会です。場所は遠州栄光教会でした。
最初に礼拝から始まりました。私は教会でお話をしたことはあっても礼拝に参加したのは初めてでちょっぴり緊張。賛美歌をうたい、牧師様から聖書を通して子どもへのまなざしについてお話があり、賛美歌をうたい祈りをささげます。祈りから始まる研究大会。私も今日お集まりの先生方が、一人ももれなく保育者としての誇りと喜びを持ち帰っていただけますように、と深く祈りました。

研究発表は、創造性にあふれるとても時間を使った研究ばかりでした。研究としてまとめることは大変な労作業であったと思います。なかでも、もっともわくわくした研究が、「もしも保育室がからっぽになったら」。楽しそうでしょう?保育者らしいセンスに満ちた研究でした。

コメントでは「保育の当事者学を構築しましょう」とお話をさせていただきました。(そうだ、私たちこそ、保育の専門家だ)と感じて下さった先生方に、私が「当事者学」と出会った本を御紹介したいと思います。


中西正司 ・上野千鶴子 『当事者主権』 岩波書店 2003

上野千鶴子から当事者学を学ぶ

私は何度、この本を読み返したことでしょうか。
上野千鶴子さんの本は、元気が出ます。(ときに出すぎます)

ゼミ最終日のサプライズ2012/01/24

今日は、ゼミの最終日。
まだ自主ゼミアワーだというのに、ゼミ長が、「先生に絶対指導してもらいたいところがあるんです」と、研究室に迎えにきました。しかし私は他の学生と動画の動作確認中。「明日は主題演習の発表会で動画がうまくいかなくて大変なのよ」、「みんなでやっててよ~」というのですが、「いえ、絶対に先生を連れてこいとみんなから言われたんです」と、引き下がらないゼミ長。

「じゃあ後から行くからやってて~」と、固まってしまったパソコンをあきらめ、学生達が自主ゼミをやっている部屋へ行くと、鍵がかかっている。(うん?何?あれ?ここじゃなかった?でもゼミ生の声がするし)と、ドアをガチャガチャいわせていると、自動ドアのようにドアがあき、「ハッピ~バースデイ~トゥユ~」と、ゼミ生たちの合唱。

(あら~サプライズだったんだ~)とそこでやっと気づいた私でした。
廊下で足音がするたびに、ろうそくをつけたり消したりしていたのだそうです。ごめんなさい。


                手作りのチョコレートケーキとシュークリームのタワー。おいしかったね。


               大好きな色のお花たち。見るだけで幸せな気分になります。



ほんとによく泣き、よく笑ったゼミでした。ドラマがいっぱいだったね~。
みんなありがとう。心優しく努力家のゼミ生たちに囲まれて、とっても幸せでした。
あっ、Mさん、課題提出は待ってるから。

ソーシャルワークの人間観2012/01/27

1.あるがままのその人でOK
2.社会の主人公
3.誰しも生活の主人公
4.誰しも一人前
5.お互いに対等
6.相互依存
7.弱い存在
8.プロシューマー
9.多様な役割とその調和
10.多様な生活者の立場とその調和
11.変化し、成長する
12.状況によって変化する

上記は、岩田泰夫氏が示す「ソーシャルワークの人間に対する考え方」、北島英治・副田あけみ・高橋重宏・渡部律子編の社会福祉基礎シリーズ 『社会福祉援助技術論 ソーシャルワークの基礎理論』に掲載されています。(本には詳しく解説されています)このシリーズ本は何度も開きます。

福祉では、「福祉哲学」なんて大上段に構えず、行為の前提としての価値を、誰もが活用できる形に整理しているところがすごい。人間と関係に対しても、「自立」や「孤立」でもない、「ずぶずぶの依存」でもない、「助けあって補いあってお互い様」感覚を、言語化しています。

子どもの保育も保護者の支援も、保育者がもつ人間観に影響を受けます。私は教育系で育った人間ですが、福祉の実践理論を手にすることで、保護者支援が楽になりました。保育士が教育者になり、資質レベルで語られるようになる前に保育実践の価値・倫理を整備したいものです。