保育の専門性を共有化する仕組み2013/02/11

明日から保育所実習が始まります。(ドキドキです)

幼稚園や保育園へ伺うと、ついつい目がいくのが事務室の本棚。
(この園の先生方はどんな本を読んで保育の専門性を高めていらっしゃるのだろう)と、気になります。

クラスに見学に伺っても、ついつい先生の机を探してしまう。
どんな参考資料を使っていらっしゃるのか、チラリ。
今度、先生方の机の上だけの写真とか、参考資料だけの写真を集めてみたいなあ。

「行くたびに保育が進化する園は、保育の資料をよく買われる園ですね」とは、多くの園に出入りする業者の方の弁。


たとえば、よくお邪魔させていただく、ときわ保育園さんの書棚はこんな感じ。他にもたくさん。
キューピーの後ろが気になるところ。レッジョ、モンテ、シュタイナーなど多様な本が並びます。


静岡県保育士会会長の村松幹子先生の園でも撮らせていただきました。
                  
                
 
                 
 
                  会長はこのブログを見て下さっているのだとか。恐縮です。

                  村松先生の園では、「おはなしのろうそく」も発見!



以前、インタビューに伺った船堀中央保育園では、一つひとつの玩具の意味を共有化するために、手作りのファイルを作成されていて、大変に感心しました。
造形展や発表会などの行事、日々の子どもたちの遊びや作品なども、ファイルにして、誰もが見ることができる形にしておけば、新人の先生も参考にできるでしょう。

専門職は、公共の福祉のために働きます。
本物は、知を占有しない。本物の保育者は、皆が良い保育をすることに意義を見出すから、どうすれば皆で力量を高め合えるかに関心をもっています。


先生方、保育の専門性を高める本や仕組みを、どうぞ私に教えて下さい。

ことばを育む環境構成2013/02/16

実習訪問で伺った曳馬保育園さんで、ことばを育む環境を見つけ、写真を撮らせていただきました。

              先生手作りの教材。題材は近くの川で見ている鳥たちだとか。すばらしいですね。
              パネルシアター形式や、飲料容器に張って動かせるようにするなど様々に応用できそうです。 


               走り人形や小さな人形は、ブツブツお話するのにいいですね。
               私もよくクラスの小さな人形や積木でお話を演じる練習をしました。(才能がないので)


               園の周囲の地図を子どもが見ることができる位置に。                                          
               廊下の高い位置に張れば保護者の子育て支援で、クラスに張ればおしゃべりの素材。
               おもしろいですねえ。 


子どもの話し言葉の育ちを支えること。これは幼児期のとても大切な課題です。話し言葉の豊かさは、子どもの深い思考を支え、人間関係を支えます。これから人生でさまざまな苦労があっても、自分の感情や状況を「物語」にする力をもつ子どもは、きっとその苦しみを乗り越えていけるでしょう。

子どもたち同士でさまざまなイメージをふくらませて遊んだり、子どもたち同士で話し合ったりする活動や環境を、保育者の知恵を合わせて、つくりだしていきたいですね。


ついでに 学園祭より
                 
子ども向けに置いたパネルシアター(歌の歌詞、リズム遊び用素材)を使っておしゃべりをしている子ども。

ストーリーのあるパネルシアターやペープサートは、「子どもを一時的に喜ばせる」ためのものではなく、子どもたちが繰り返し演じて遊ぶための教材です。ですから、絵本と同じように、絵や言葉の質が大切です。
(写真は芸術的な感性が薄い私のものなので真似しないでください・・・)
市販のパネルシアターの本は、漫画チックなものが多くて保育向けではありませんが、創造的な保育者の皆さんは、きっと市販のものよりも、クラスの子どもにぴったりの素敵なものが作れるでしょう。

ここみ広場の新しい一歩2013/02/21

大学の保育実習室でひろばを開き、大学に多大な貢献をしてくださった「ここみ広場」が、3月に浜松駅前の浜松市市民協働センターへ移転することになりました。

「みんなのまちの縁側」 浜松市市民協働センター

「私は保育の専門性向上のために保育者養成に専念します。子育て支援よ、さようなら」と宣言をしたのが5年前。
しかしなぜか浜松に来ても、子育てひろばを始めてしまうことになりました。私の都合で大学での広場開設となりましたが、大隅和子さん、河村浩美さん、徳永こずえさんはじめ、心優しいここみ広場のスタッフの皆様には、学生共々たいへんにお世話になりました。


 
                 元共同研究室の何もない空間で準備をするここみ広場の皆さん(撮影2009)。 


このわずかな数年間で、ここみ広場の皆さんは、子育て支援のモデル提供、支援者への情報作成、外遊び、自然遊びの促進など、子育て支援の質を高める事業を行ってこられました。とくに、乳児期の子育て支援利用の促進には、目をみはるものがあります。0歳児を持つ保護者の利用を勧めるためにさまざまな工夫をされ、2年間で乳児親子の利用率を大幅にアップされています。(この内容は2013年5月の保育学会で河村浩美さんが発表されます)

ここみ広場は、これから浜松市市民協働センターという力強いサポートを得て、いよいよ市民主体の子育て支援を拡げるという次のステップへと一歩を踏み出すことになります。

新しいここみ広場を、皆様どうぞ応援してください。

0・1歳の子どもの手2013/02/28

子育てひろばに行くと、子どもがいる時間のおだやかさにホッとします。会議をしていても、そこに子どもが一人いるだけで空気がほんわかとあたたかくなります。24時間一緒にいて責任が重い親御さんには申し訳ないけれど、私は子どもの姿を見るだけでテンションが上がり、笑顔も泣き顔にも癒されます。とくに、子どもが何かに専念しているときの姿はたまりません。

今回は、私が撮った写真から、とくに知的興奮を誘う0・1歳の「手」をピックアップしてみました。


握る手 保育者の皆さんはこの手を見ただけで月齢の想像がつくでしょう。
握っている手


物をつかむ手 
物をつかむ手


後ろへ物を放る手。保育者の皆さんはこのときの子どもの顔が目に浮かぶことでしょう。
後ろへ物を放る手


物を離す手
物を離す手


物を入れる手 左手は容器を握ったままです。背中や足にも注目。
物を容器に入れる手


ふたを閉める手 手のひらすべてを使っています。
ふたを閉める子どもの手

ここから、無駄な力み(りきみ)がなくなるまで、まだ何年もかかります。
人間は道具を使える手を獲得するために、なんと長い練習時間を必要とするのでしょう。


竹内敏晴氏の本を読んでから、私は子どもを理解するために、体や表情の真似をすることを始めました。
乳児保育の授業でも、細やかな発達段階を理解するために、子どもの行動の模倣を入れるようにしています。
「骨に刻み、血に流れるように」とまではいかないけれど、「体に染みつくように」講義ができればと思います。