新年度を迎えました2013/04/08

先週は、近所の保育園から子どもたちの泣き声が聞こえてきました。
新年度ですね。

私は今年から新しい大学へ移りました。
大学のキャンパスは、埼玉県朝霞市にあります。最寄は武蔵野線北朝霞駅、東武東上線朝霞台駅です。
浜松の大切な仲間たち、学生たちとはちょっと距離ができましたが、研究室にみんなの写真を飾りました。

今日から授業。こちらでも新しいつながりをつくっていきたいと思います。
このブログを読んでくださっている関東圏の先生方で、新年度だけれど園に遊びに来てもいいよという方がいらっしゃいましたら、どうぞコメントに入れてください。喜んで遊びに行きます。

自然物で遊ぶ2013/04/14

あるところで大きな書店を見つけ、保育の書棚を探してみました。
ありました。でも手遊び、リズムにうた、壁面、工作・・・あれ? 自然に関する本が一冊も見当たりません。 「ない!自然が一冊もないよ!」と、思わず叫びそうになりました。そうですよね・・・一般的には幼児教育といえば、音楽か工作というイメージですよね、きっと。自然や環境認識や言葉や運動に関する本は、どこでも少ないのです。

そこで今回は、ホームページから購入する自費出版の自然遊びの本をご紹介したいと思います。

紹介するのは、「ふるさと子供グラフティ」(遊び中心)と、「ふるさと子供ウイズダム」(生活中心)。熊本の原賀隆一さんが描いた本(オールカラー)です。
この本は、クラスで子どもたちがながめる本としてもいいですし、保育者自身の遊びと生活のバリエーションを増やすためにも使えます。 私は、この本を何十冊購入したんだろう・・・(その事情はまたいつか)。自分の子育てでも使っていましたが、小学生たちが本をながめているうちに、「これやってみたい!」と、テレビゲームを捨てて外へ出ていく優れものでした。

大人も、この本をながめていると、遊び心がふつふつとわいてきます。園では、保護者や祖父母向けの貸出本にもぜひ置きたいものです。小学校のクラスに一冊、公民館に一冊、市役所や郵便局の待合室に一冊、高齢者のデイサービスの場に一冊と、ありとあらゆる場所に置いて、自然物で遊ぶ日本の豊かな文化を伝承したいものです。


原賀隆一さんのホームページ

このブログを書いていたら、ずっと以前に、「あと100年後に、どんな世界だったらいいと思いますか?」と聞かれて、「100年後も、日本の空が青かったらいいと思います」と答えたことを、ふと思い出しました。そのときには、子どもたちが自然物にさわってはいけない地域や、外で遊べない地域が出てくることを予想もしなかったのです。自然を大切にし自然と共に生きてきた人たちが苦しまないといけないなんて、ほんとに理不尽。

空が青くて、子どもたちを外に連れていけて、自然物にさわってもよい、そんな地域環境は貴重です。

森タワーの中に「まちの保育園」が2013/04/22

以前、共同研究をさせていただいた岩井久美子先生が園長として赴任されたことを聞き、さっそくおじゃまいたしました。
その園の名前は、「まちの保育園」。小竹向原にできたことは聞いていましたが、六本木にも!?
六本木といえば、私にとっては都会のなかの大都会。サントリーホールのそば?森タワーの中?え?ほんとに?


まちの保育園は、六本木1丁目駅から歩いてすぐ。アークヒルズ千石山森タワーの一階にありました。


まちの保育園
     
ビルの広場で、「か~ごめかごめ」と歌っている小さな子どもたちと保育者を発見。絶対、ここでしょう。


中に入ると、ビルの中とは思えないあたたかな空間がお出迎えです。


職員の皆さん手作りの棚に、子どもが作った木のオブジェが飾られていました。柿渋が塗られた手作り棚からは、みんなでいい保育を創りあげていこうという職員の皆さんの思いが伝わってきました。

保育室には、岩井先生がデザインした特注の家具が揃っています。


特注の家具を揃えた太っ腹の松本理寿輝理事長と、岩井久美子園長先生。


本棚も、市販の家具よりも一回り低く子どもたちが取り出しやすい高さです。保育の専門性が見えますね。


0歳児クラスのあたたかな空間
包み込まれるような0歳児室。先生方の笑顔がまた素敵でした。
子どもたちの心を育む空間として、色や形、材質や音などへの心配りが感じられます。

まちの保育園職員紹介
 
玄関に飾られた職員紹介の写真。男性保育者が多いなあと見ていたら、松本理事長と乙武さんが保育者のように自然に混じっていました。


森ビルには、なんとビオトープがありました。どうも、日本は少しずつ進化しているようです。


う~ん。六本木のビルの中の保育園・・・いい意味で予想を大きく裏切られました。
さすが百戦錬磨の岩井先生です。
保育園は、公立か私立か企業立かという運営主体よりも、「人」の影響が大きい。どんな人がどんな思いで、その園を運営しているか、保育しているかが保育の質に圧倒的な影響を与えることを感じた訪問でした。

松本理事長、岩井園長先生、ありがとうございました。

プロの手遊びはどこが違う?2013/04/25

毎日、体脂肪率と筋肉量がせめぎ合い。今日は図書リスト作りで一日座っているから体脂肪が勝ちそうです。私の筋肉がんばれ。

朝霞キャンパスの緑がきれい
                          気持ちだけでも戸外へ。


東洋大学の芝生広場から木を見上げる
                        若葉が美しい季節です。


さて、職業として保育を行うプロの保育者の手遊びと、そうでない人の手遊びはどこが違うのか。
先日から、これをずっと考え続けています。

育児サークルや子育て支援サークルとのおつきあいが長かった私は、保育者顔負けの絵本に詳しいママやパパ、手遊びが上手なママたちと出会ってきました。市民図書館に行っても、子育ての棚に、手遊び、パネルシアターなどの本が並んでいたりします。親向け手遊びのDVDも売っていますしテレビでもやっています。もう手遊びは保育者の専売特許ではありません。

保育者にしかできない手遊び・・・。
発声や言葉の安定と美しさ、清潔に歌うこと、子どもによく見えるように手や体をゆっくりと動かすことができること、鼓動をとり美しいリズムで行うこと、子どもの状態に合わせて変化させること、集団の雰囲気をつくること。そういう技法的な違いがあるかもしれません。
しかし、最も違う点は、保育者の行為には、根拠があり、意図があることです。(そうでないと給料がもらえない)
子どもを楽しませるための手遊びやパネルシアターは、誰にでもできますし、専門知識はいりません。

子どもの心身の状態に合わせて選ぶ。
子どもの発達段階に則した動きのものを選ぶ、または作る。
子どもの言葉や認識や音感や手指操作の発達などを意図して選ぶ、または作る。
子どもの翌日からの遊びにつながるものを選ぶ、または作る。
子どもの人格形成に与える影響を考え、文化として選ぶ。

これらには、発達と保育の専門知識が必要です。
手遊びやうたのように、表面的なスキルのようにしか見えないものに実は根拠と意図がある、それが保育者の行為。

保育者は、子どもに楽しみを与える人ではなく、子どもが楽しみをつくりだすことを援助している人。傍からは同じように見えるかもしれないけれども、違うんですよねえ。保育者は、集団保育の中で、ただ単に子どもを楽しませるために手遊びをしているわけではないことを、伝えられるようになりたいと思います。


                 卒業生Iさんのゼミ手帳。きっと職場でがんばっているだろうなあ。

 
               保育者が教材や活動を知ることは、料理人が野菜を知るのと一緒。