映画ベイビーズがDVDで発売!2013/05/04

埼玉県民になって、初のゴールデンウイークがやってきました。(拍手)
浜松では、たこが揚がっているだろうなあ。博多ではどんたくの季節ですねえ。

                   2010年の浜松まつり、初めて練りを見たときにはびっくりしました。




さてモンゴル、ナミビア、アメリカ、日本の4か国の赤ちゃんの育ちを描いた映画「ベイビーズ」が、DVDで発売されました。アマゾンで今、2,953円。
仲間たちとおしゃべりしながら見たいDVDです。
http://babies-movie.net/

アマゾンで、外国映画のドキュメンタリーベストをながめていたら、購入したいDVDばかり。
「キング・コーン」(タイトルだけで中身が想像つきますね)、「フード・インク」など、食の問題に関するドキュメンタリーがかなりベスト50に入っていました。マイケル・ムーア監督のアメリカの医療保険制度を取材したドキュメンタリー「シッコ」も、今見たい映画ですね。
若い人たちと話していると、けっこうオカルト、恐怖映画好きがいますが、ドキュメンタリー映画もかなり怖いですよ。だって現実だもの。ポテトチップスとコーラを準備して、怖さ倍増にしながら見るのがいいかも。

私は原稿書き中。日曜日の夜までワード以外は絶対に開けないぞ!と決めると、なぜかブログを書きたくなります。ほんと悪い癖です。。。

げ・ん・きに連載、松井和氏の「親心を育む」2013/05/10

園と家庭をつなぐ げ・ん・き 137号 (エイデル研究所)が届きました。



ありがたいことに、「げ・ん・き」には、環境構成の「理論」を連載させていただいています。

先日の授業でも学生に、「保育には正解はない。けれど原則はあります。理論は、実践の骨組です。理論という軸をもつことで、保育者はより自由な実践をすることができるのです」と熱く語ってしまいました。(学生たち、なんか堅物の教員がやってきたと思っているだろうなあ・・・)

私が理論を書けるのは、「げ・ん・き」が読み物中心の雑誌だから。園でこの雑誌を見かけると、(おっ、この先生は本が好きだぞ!)と思ってしまいます。


さて、私が「げ・ん・き」で、いつも一番最初に読むのが、松井和氏のエッセーです。
松井和氏は、こどものともを創刊された松井直氏のご子息であり音楽家です。

実は私、松井和氏の講演を、福岡で三回、聞いたことがあります。その内二回は、講演の主催者側として。
主催した一回目は、専門学校の学生たちが「ぜひお話を聞きたい」と手紙を書き、実現した講演会でした。

もう一回はひだまりの会で企画した子育て中の親向けの講演会でした。中央市民センターの大ホール中が爆笑につぐ爆笑。講演が終わった後、ママたちが背筋をぴんと伸ばし、はれやかな顔で帰っていく姿が忘れられません。松井氏の講演は、社会から取り残されたような不安を抱きやすい専業主婦に、誇りと自信を与えてくれる内容なのです。私は、子どもを預けて外で働いた母ですが、やはり手をたたいて大笑いしました。(人によっては違うらしいです)

今月のエッセーも、松井氏が吹く尺八の音のように、腹の底にずっしりと響いてくる内容です。
私は、家庭養育の現状から、親が家庭で子育てをすれば、自然に親子がかかわりをもつというのは、もはや幻想にすぎないのではないかと思うことがあります。松井氏は、園による保育と家庭養育をつなぐ実践として保育体験を勧めておられます。

明日から保育学会。うれしいことに福岡市の中村学園大学です。

体操やリズム遊びの動きづくり2013/05/16

保育学会でお世話になった皆様ありがとうございました。福岡で元気をいっぱいいただいて帰ってきました。


福岡では和光保育園さんの撮影に伺いました。周囲はマンションに囲まれていますが、子どもの目には緑しか映りません。詳しくは後日、本で。


保育は、子どもの姿から始めることが基本。

造形、身体表現、音楽表現の場合、遊びでの表現だけではなく、保育者が文化を提供することも多くあります。その場合も、子どもの姿をよく見て、子どもの発達や心の状態に合ったものを考えます。
教材や活動を選択あるいは作るには、基準が必要ですが、各領域の発達過程の整理や、教材・活動選択の基準づくりはこれからの仕事です。

たとえば、体操やリズムの動きを作るときには、体と動きの発達の理解が必要。

発達は、中心(腰)から末端へ。頭部から尾部へ。
動きは、単純な動きから、複雑な動きへ。
粗大な動きから、微細な動きへ。
目的のない動きから、目的をもった動きへ。

0歳児は、腰と口内とつま先。(参考:飯島正博「不器用な子どもの動きづくり」かもがわ出版,2005)
1、2、3歳児は、手指と全身の粗大な運動。
4、5、6歳児は、調整が必要な運動。
こういうポイントがわかっているだけでも、子どもに合った動きや活動を選びやすくなるでしょう。

子どもの姿から活動を想定するという大原則がわかり、
各領域ごとに、子どもの発達と活動のポイントが整理されると、
保育者はグンと仕事が楽になると思います。

もっと保育者の役に立つ理論を作りたいものです。
音楽と造形表現分野で共同研究をして下さる方、募集中です。

便利な保育園が奪う本当はもっと大切なもの2013/05/19


長田安司 「便利な」保育園が奪う本当はもっと大切なもの 幻冬舎 2013年1月
 読まなくてはと思っていた本を、思いがけずいただきました。

この本のタイトルは、保育者が日頃感じている不安を、ズバリ現わしています。
私自身も、保育者として感じてきましたし、「長時間保育や病児保育が本当に親のためになるのか」という疑問は、多くの保育者が感じていることでしょう。親の労働支援と、子どもの健やかな育ちや保護者の幸せとの狭間で、良識ある保育者たちは心を痛めています。

長田先生は、
●三歳児神話は神話ではない。
●母親が働くと出生率が上がるのはまやかしである。
●保育に競争原理が導入されると、保育の質の格差が広がる。
●待機児を解消しても少子化は止まらない。
等の論拠を示しながら待機児童解消政策に真っ向から議論を挑みます。

そして、
○待機児童対策よりも子育てひろばの充実を。
○保育園は子どもの成長・発達を保障する場にしよう。
○親が子育ての喜びや幸せを感じ親の役割の大切さを学んでいく場にしよう。
という提案がなされます。

後半では園長の役割と実践が、具体的に説明されています。

「保育園が真の役割を果たすことができるようになれば、日本の社会は、これから遭遇する絶望的な混乱から救われる(「はじめに」より)というメッセージ、確かに伝わってきました。
本書は振れ過ぎた保育政策を揺り戻すきっかけとなりそうです。
ぜひ全国の園長先生に読んでいただきたいと思いました。


長田先生が提案されている、保育園が「親が子育ての喜びや幸せを感じ親の役割の大切さを学んでいく場」になるためには、長田先生も指摘されているように、保育者が、「子育て支援」という言葉を用いる際には、「親の子育ての支援」と、「親の就労支援」の区別を意識して使うことが必要だと思います。

長時間保育や病後児保育、駅前保育は、親の就労支援であり親の子育ての支援にはなりません。
子育て広場を拡げてきた「地域ぐるみの子育てをすすめるひだまりの会」では、「男性も女性も、親が子どもと関わることによって得られる喜びや人間的成長を支援すること」を「子育て支援」と呼び、母親の自己実現支援は、他のやりたい団体に任せましょうと言ってきました。
男性が仕事で自己実現しても「子育て支援」とは言われないのに、女性が子どもから離れて仕事や自己充実を図ることは、「子育て支援」と呼ばれます。(そんなのおかしいし)


ただ、子どもが家庭で育てば、自然に親子の関わりが生まれ子どもが健やかに育つというのは、日本では現実的ではありません。家庭で育つことで、テレビベビーシッターに子守をされ、一日に一回も外へ遊びに行かず(犬でも一日に一回は散歩に連れて行ってもらえるのですが)、3歳までに不可欠な親子の関係と運動や遊びを経験できないまま入園する子どもが増えてしまう可能性もあります。また、子どもをのびのびと遊ばせたいと思っても、マンションの室内では子どもが走るだけで苦情を受け、公園もなく安心して歩かせる場所はショッピングセンターしかないという地域もあります。

012歳の子どもの健やかな育ちを保障するには、子育てひろばの推進と同時に、子どもが育つ環境としての地域(ハード)の作り直し、保健政策として乳幼児期の愛着形成と遊びや運動の確保の推進を進めていくことが必要です。表面的なニーズに振り回されずに真のニーズを把握することは、保育でも施策決定でも同じかもしれません。志の篤い行政職員の皆さんを応援しています。。。私には何ができるのだろうか。


共励保育園 長田安司先生のブログ
まんさく博士ブログ


保育内容を保護者に説明する2013/05/23

平成20年に改正された「保育所保育指針」では、保育所の社会的責任として、「保育所は、保護者や地域社会に当該保育所が行う保育の内容を適切に説明するよう努めなければならない」と、努力義務が示されています。

公立保育所の場合には、市町村のホームページに保育園情報があります。しかし以前こども未来財団にあった全国の保育所情報が例の仕分けで消えてしまって以来、保育内容の説明がないページが多くあります。市町村の担当課には、「保育所保育指針」を理解した保育の専門性を保持する専門官が必ずしもいるわけではないため、情報公開の程度は、市町村によって異なります。

これに対して、私立の保育園では、各園で、ホームページ等での保育内容の説明が行われてきました。最近、一段とその説明内容と方法が洗練されていることを感じます。社会福祉法人の園では、園長先生やベテランの保育者が数年で移動することがないため、各園で着実に実践を蓄積できることと、戦後の焼け野原のなかで保育所を始められた園では若い二代目、三代目の園長に交代しはじめていることも、関係あるのかもしれません。

いつも、園の先生方の実践には驚くばかりですが、最近とくに、これはすごい!と感心した実践をご紹介します。
まずは、浜松市のなごみ保育園の志賀口先生の実践です。

                  これが、保護者への保育園の説明ファイルです。本のような厚さです。

                  保育の内容や環境の意図が、写真とともに詳細に説明されています。

 各年齢の発達のポイントや保育なども説明されます。卒園の写真を見ることで保護者は見通しをもてるでしょう。

          保育者が参加する研修、園内研修の様子を含め専門性の向上のための努力が説明されています。

この冊子は、園長先生が二年ほどかけてまとめられたそうです。私が何より感心したのは、園長先生が、これだけの保育内容を説明できる保育の専門性があるという事実です。保護者が入園時にこの冊子を渡されたら、保育園に対する信頼が、一気に高まるでしょう。


福岡市の和光保育園でも、保育園では珍しい設備を発見しました。
プロジェクターが、公共施設のように天井に作りつけになっています。これは珍しいですね。
これは、入園式、卒業式の際に、保護者にDVDを見せるために取り付けをされたそうです。
和光保育園さんは、保護者支援で大変に勉強させていただいた園です。保護者を共感的に理解しようとしていらっしゃる先生方だからこそ、保護者への説明には口頭に加えて視覚的な補助が必要だと気がつかれたのでしょうね。


入園式では一年間の保育の流れを写真で見せます。保護者に見通しと期待を、持っていただけるそうです。

卒園式では、0歳からの子どもたちの姿を編集し流し、保護者にはDVDを焼き増ししてお渡しされるそうです。卒業式の保護者の様子が目に浮かびます。


こちらは、浜松市のこまつ保育園。保護者が自由にみることができる保育内容のファイルです。
    
今日の保育、今週の保育といった保護者向けに壁に張った報告を、ファイルにまとめています。
時々しかお迎えに来ないパパやママ、祖父母も、保育の内容を見ることができます。


                  今年の造形展の記録だそうです。今年こそ行きたい。

                      作品の制作のプロセスが説明されています。


保護者に対する写真を使った保育内容の説明資料は、保育者同士が実践と理論を共有し合い、高め合うためにも効果的ですね。

実践を見せていただくたびに、保育現場の進化のスピードは本当に早いと感心します。
カメ(私)も、全力疾走でついていきます。