連絡帳(ノート)のポイント2013/10/06

後期の授業がはじまり、いこいの広場は学生たちの声でにぎわっています。

保育の専門科目では、専門知識や技術のなかに、人間観や社会観などさまざまな価値観が含まれています。職業教育を通して教養を身につけ、学びを重ねるごとに考え方や生き方を深め、ふるまいが美しく誠実になる学生がいるとするならば教員にとってこれほどの喜びはありません。

対人援助職である保育士の場合、乳幼児から青年期までの子どもと保護者という成人を、援助・協働の対象とし、同僚、上司、地域の方、ボランティアさんなどさまざまな人と職務を共にします。相手が、子どもでも大人でも、障がいや疾患があっても、基本は変わりません。
たとえば保育園で書く連絡ノート。その書き方を大学等で学ぶ学生は少ないと思いますが、保育士としての対人援助の基本は、連絡ノートを書くときにも応用ができます。


なごみ保育園さんのオリジナル連絡ノート。


保護者に、文章で子どもの様子を伝えるときには、3つのポイントが考えられます。
1つめは、明るくあたたかい文章で書くこと。
2つめは、子どもの姿を肯定的に描くこと。
3つめは、具体的に様子が目に浮かぶように書くこと。

ネガティブな内容は、連絡ノートに書く必要性がありません。

この3つは、子どもとの日常のかかわりの基本と同じです。明るくあたたかく肯定的にわかりやすく。日頃からニコニコと子どもを見守っている先生は、ノートにも、笑顔の文章があふれていることでしょう。

ノートやメールで相談があり、返信を書く必要がある場合には、基本は面談と同じと考えてみてはどうでしょう。
①まず、保護者の気持ちを受け止める
②子どもの行動や気持ちを代弁する
③具体的な行動のアドバイスがあれば伝える
④親の気持ちが軽くなるような言葉を添える(保育者の見方、発達の見通しなど)

子どもとも保護者とも、①が最初。「くやしかったねえ」、「大変でしたね」など、まずは受容を基本にしたいですね。
このような連絡ノート、通信、保育参加、行事等、保育の日常による保育園・幼稚園での保護者支援の具体例は、那須信樹編「家族援助論」保育出版社に書きました。環境を通した保護者支援は、柏女霊峰・橋本真紀編「保育相談支援」(新プリマーズ)ミネルヴァ書房に書いています。


議員さんの一日保育士体験2013/10/11


黒目川は、日差しも風も秋の気配。

全国保育研究大会に参加される皆様、そして準備に携わる皆様、大変にお疲れ様です。本日は最終日ですね。
これまで大学の仕事を休めずお断りさせていただくことが多かった大会ですが、今年は「保育の社会化に向けて~保育の営みをいかに社会に発信するか」の分科会に助言者として参加することができました。学びの多い三題の発表でしたが、なかでも北九州市保育士会の発表は圧巻でした。

20年間の研究をまとめた本の発刊。保育所を理解するためのDVDの作成と各園への配布とユーチューブへのアップ、駅前の大型ビジョンを使って保育のCMを流すなど、保育にかける情熱に圧倒されました。
なかでも議員さんや学校の先生、民生児童委員さんなどを招いての一日保育士体験は、何と昭和58年から続けていらっしゃるのだとか。一日体験をした方を集めて振り返りと交流の会も開いているそうです。
保育所での保育士経験がある議員さんは、「国の最低基準以上の人的配置でないと子どもの最善の利益を守れない」、「保育は人が重要」という訴えがあったときにもその意味がありありとわかるでしょう。


八木義雄監修 北九州市保育士会編著「自我の芽生えとかみつき」蒼丘書林、2013
待井和江監修 北九州市保育士会編著「感性を育てる保育実践①~④」ミネルヴァ書房、1999
北九州市保育士会作成の認可保育園のパンフレット

それにしても、議員さんの一日保育士体験のような素晴らしい実践が30年近く続けられてきているというのに、それが全国に知られていないことが本当に惜しい。「各地域・園で保育者が積み上げた貴重な保育実践を保育者の共有財産とする仕組み」を、みんなで考えていく必要があります。


久しぶりに参加した全国保育研究大会でしたが、発表者や参加者の真剣さに触れながら、研究の助言や指導にあたる保育者や研究者は、公立と私立では保育者の労働条件が異なることをふまえて、保育者が実践研究によってバーンアウトすることがないように配慮する必要性についても、改めて感じて帰ってきたのでした。

講義で学生の活動性が高まるしかけ2013/10/17

台風が通りすぎた後に竜のような雲が。目は月です。台風の被害に心が痛みます。皆様は大丈夫でしたか。

昨年は、全国保育士養成協議会で、講義で使用してきた参加型の学習を整理して発表しました。その後、お会いした方から、「あれ、使ってるよ」と声をかけていただくと、とてもうれしいものです。

保育では、体を通した学びを重視します。成人の学習でも、表現したり、人と意見を交換しすり合わせたりと身体をいったん通すことで、知識が腑に落ち、学びを深めることができると実感しています。
また保育は体を動かし、他者とコミュニケーションをとる仕事なので、講義を一日中黙って聞いていることが得意ではちょっと困るかなと。授業を通して多様な人とコミュニケーションをとることや、得た知識を相手に伝わるように表現することが得意になるようにと意識しています。

今回は、これまで専門学校や短大等で使用してきた学生の参加度が高まる授業の手法を紹介します。これらは本や研修で学んだり、自分で開発したもの。授業の規模は50名程度ですが、100名以上の講義でも活用できます。しかし手法は教室のハードに制限を受けますので、教室によっては使えない手法もあります。これらは毎回全部を行うわけではなく、90分間に、講義を聞いてノートをとる学習と、活動性が高い学習を組み合わせて行います。保育と同じで計画通りにはいきません。

1)前回の復習と導入

①前回のキーワードを提示し説明するコメントペーパーを提出
→遅刻が多くて困ったときには最初の15分間で課題提出を数回行うと遅刻が減りました。
②課題の作品を教室の後ろに並べ全員で閲覧する
→お便りなどイラストを使った課題は必ず全員で閲覧します。
③課題の作品やコメントのうち、いくつかをパワーポイントで紹介する
→お便りであれば、キャッチコピーが上手い、保護者の視点に立った言葉づかい、イラストが味があるなど良い部分を取り上げます。
④課題の作品や調査結果をグループで発表する
→数人がグループで発表する課題は、時間を測り、発表者はその時間内は立って話し続ける仕組みにします。一番よかったと思う人を「せーの」で指すこともあります。
⑤課題に互いに赤ペンとコメントを入れる
→肯定的なコメントを書くように促します。
⑤今日のキーワード等を提示し、ノートに講義を受ける前の自分の考え等を書く
→たとえば環境認識の発達がテーマのときには、1歳、3歳、5歳の絵を想像して描く課題を出します。


2)講義の理解と思考・発展

①マイクを回して質問に回答する
→たとえば環境構成の必要性を理解する授業では、保育室の写真を示してそこで生まれる遊びを一人ずつ話します。「正解はありません」「どんなちょっとしたことでもいい」を繰り返します。
②示された質問に対して全員がジェスチャーで回答する
→大きく○×を作る方が活動性は高まりますが、胸の前で小さく○か×かを出す方が安心なようです。
③あるテーマについてグループ(3~4人)で話をする
→正解がなく原則をつかむ課題や、思考を深めるなど非常に使いやすい手法です。グループでの課題は難しいものがよいようです。
④説明された概念を1分間にまとめ2人組で話し、その後一人が全員の前で発表する
→斉藤孝さんの授業の真似です。定義化がすんでいるもの、指針や要領の内容など必ず理解する必要があることに用います。重要な概念の場合には、相手を変えて二回、三回話をした後にじゃんけん大会で発表します。理論の講義は学生を睡眠へいざないますが、1分で話すことを予告しておくと眠れなくなるようです。
⑤読んでまとめる
→テキストの一章分を読んでくるように課題を出しておき、一章分を20分間でA4一枚にまとめます。その章に含まれる重要な概念をコメントシートに10分でまとめることもあります。保育内容科目では、保育所保育指針や幼稚園教育要領のねらいと内容を書き写し、内容に関連するイラストを必ず入れる課題を出します。
⑥概念を補足する子どもの姿(写真)をノートに絵で描いて写す
→乳児の手指操作や身体の発達などを理解するときに使います。机間を回りながら「手首はどんな動きになってる?」とコメントするなど、一人ひとりがポイントを見取っているかを確認します。
⑦子どもの行動や表情、言葉の真似をする
→乳幼児の発達や心の理解が深まります。体のどの部分が緊張しているのか、どんな気持ちなのかを感じ取ることができます。
⑧概念は、声を出し体を使って覚える
→1年で学習した内容を3年では忘れていることに悩み開発した手法です。発達の原則など生涯忘れてほしくない理論は、声を出し振りをつけて覚えます。身体を使った豊かな表現は保育者に必要ですし。ただ真面目キャラの私にはちょっとつらいです。
⑨数人で今日のノートを見せ合う、相手のノートに肯定的なコメントを書き入れる、グループでお勧めノートを一冊選び発表するなど
→コメント力は保育で日常的に使います。否定的なコメント例を出して肯定的に変えることをしておくと「肯定的」がわかりやすいようです。
⑩ワークシートを個人で行い、二人組あるいはグループで話し合う
→指針や要領の理解や構造をつかむなど知識の学習に使います。正解がなく、意見が異なる内容に使用することもあります。
⑪テーマに沿って開発したアクティビティに取り組む
→環境構成の基準を知るカード、机上ゲームで学習する内容に気づくなど開発しました。オリジナルのアクティビティは「教育内容に詳しい」と作成しやすいそうです。
⑫ロールプレイを行う
→保育者と子ども、親と子の関係など、子どもの気持ちを理解するために使います。
⑬模擬保育を行う

→遊びの援助の原則を理解するときには、グループに分かれて年齢別ごっこ遊びなどを実際に行います。

3)終結・学習成果の確認(ここは一人で作成することが原則。課題にする場合もあります)

①講義内の重要な概念をコメントペーパーに説明し提出する
→最後の15分ほどを使います。課題を出した後は机間を回り学生が質問しやすいようにします。
②学んだ概念を中学生や後輩に説明する内容を書き提出。書き出しは「あのね○○さん」と口語体で書く
→論文が上手でも、この課題が苦手な学生もいます。相手に合わせた言葉遣いができるかがポイントです。
③学習内容を、キャッチコピー・詩・イラスト・図で表現し提出する
→文章が苦手な学生は、表現方法を変えると優れた成果を出す場合があります。どこかで多重能力理論の説明をし、課題の意味を伝えておきます。
④学習内容をふまえた事例への対応を考え提出する
→その際、具体的な事例が載る本を、参考資料として紹介することもあります。参考資料はできるだけ実物を教室へもっていきます。
⑤学習内容を保護者向けの通信の形にまとめて提出する
→イラストや本の著作権、職員会議の資料と保護者向け通信で使用する言葉の違いは事前に説明します。
⑥学習内容に関連する保護者の相談事例を提示し回答を書き提出する
→たとえば自我の発達を学んだ後に、子どものイヤイヤに困る保護者の相談事例を出します。
⑦学習内容の中で、重要な概念を問うテストを作成し提出する
→よく内容を理解していないとできない課題です。深く思考する課題を出すと、力を持て余している学生は喜んで課題に専念し、考えることに不慣れな学生は怒り始めることもあります。


参加型の学習は成果物があるため、教員が授業のために使う時間は増えますが、学生の表現力やコミュニケーション力の向上、知識の定着などが目に見えるためとてもやりがいがあります。一人の学生は、これから何十人、何百人の子どもと保護者に影響を与えます。日本中に保育の根幹を理解した学生が増えていくとうれしいですね。まだ今は参加型、活動性が高い学習のレベルですが、主体的な学習のための教材開発と学習環境整備を進めて、協同的な学習へとつなげていくことが目標です。私の場合人間が浅いから内容と手法でカバーです。新人教員がんばります!

一時預かり事業の研修試案2013/10/23




以前、尾木まり先生の下で「一時預かり事業」について研究を行ったことがあります。(一時預かり事業のあり方に関する調查研究:平成20年度厚生労働科学研究費補助金政策科学総合研究事業(政策科学推進研究事業) 研究代表者:尾木まり 2008)。 私は、橋本真紀先生と研修を研究しました。

ヒアリングでは、保育士資格があっても乳児保育の経験者は少ないことや、乳児保育の経験はあっても子育て支援の必要性と一時預かり事業の意義、一時的な保育場面における保護者支援については研修が必要であることがわかり保育士資格や経験の有無にかかわらず、一時預かりの研修は、すべての従事者が受講することが望ましいとしました。

一時的な保育(一時預かり事業)のニーズは高く、今後各市町村で研修が行われると思います。一時的な保育は、保育と同様、質が伴うことで子どもの健やかな育ちと保護者の支援につながります。そこで尾木先生、橋本先生にご相談して、ブログに、研究成果の一部である基礎研修の研修試案をアップすることにしました。


【一時預かり事業 研修科目】

基礎研修
一時預かり事業の意義と基本姿勢 2時間
一時的な保育における子どもとのかかわりと遊び 2時間

一時的な保育における保護者支援の内容と方法 2時間

一時的な保育の事故防止と健康管理 2時間
事故発生後の対応と危機管理 2時間

一時的な保育の実習 3時間

(スキルアップ研修)

子どもの発達と子どもとのかかわり 4時間

一時的な保育における子どもの遊びとその援助 2時間

一時的な保育の生活援助の内容と方法 2時間

一時的な保育における保護者支援の内容と方法 4時間


【基礎研修後に受講者が獲得する知識・技術・態度】

1.一時預かり事業の意義と基本姿勢

保育者としての倫理(個人の尊重、個人情報保護、守秘義務)を守る

子どもの人権を尊重する

自己研鑽の必要性を知り自己研鑽を行なう

子育て支援が求められる背景を知る

子育て支援の利用に肯定的なまなざしをもつ
一時預かり事業の概要を知る

一時預かり事業の意義(保護者・子ども・親子関係支援)を知る

記録を理解し活用する

スタッフ間の連携を知る

2.一時的な保育における子どもとのかかわりと遊び

子どもとの信頼関係を形成する具体的なかかわりを知る

不安を安心に変える具体的なかかわり方を知る

一時的な保育の子どもに対する遊びの援助を知る

乳幼児に行いがちな人権侵害行為について具体的に知り人権侵害を行わない

3.一時的な保育における保護者支援の内容と方法

一時的な保育における保護者とのかかわりの特徴を知る

保護者へのかかわりにおけるマナーと心得を知る

問合せ・申込・受付・帰宅時の対応の心得を知る

保護者への報告書の書き方を知る

保育中のトラブル等の報告の仕方を知る

4.一時的な保育の事故防止と健康管理

一時的な保育の特徴と起きやすい病気について知る

一時的な保育で起きやすい事故(屋内・屋外)を知る

子どもの事故の特徴を知る

年齢による危険な行動を知る

安全を守るうえで保育中に気をつけることを知り行動する 

声かけによる安全の確認と情報の共有化の重要性を知り行動する

感染症の予防について知る

健康管理と異常の早期発見を行なう

5.事故発生後の対応と危機管理

事故が発生した場合の初期対応について知る

簡単な応急処置を行なう

報告について知る

危機管理(災害・不審者など)の基本を知る

救急法を行う
6.一時的な保育の実習

倫理を守る姿勢を知る

一時的な保育の準備、預かる場面からお迎えまでと、その後のスタッフ間の話し合い等、一連の流れを知る

スタッフ間の連携を知る

子どもとのかかわりと遊びを知る
事故防止と健康管理の行動を知る

保護者へのかかわりの実際を知る

記録・報告書の実際にふれ記述の仕方を理解する

【研修の留意事項】
○研修受講対象は、保育従事者に加え事務・受付・運営等一時預かり事業にかかわるすべての担当者とする。

○基礎研修は、保育士資格の有無に関わらず受講することが望ましい。
○研修担当者は、研修講師に対して研修内容(研修終了後に獲得する知識・技術・態度)を事前に提示し、研修講師は研修修了後に獲得する知識・技術・態度を踏まえ、その目標に 添った研修を行うように努める。

○研修内容は一時的な保育を行う上で不可欠な知識や技術を優先する。たとえば「子どもの遊びとかかわり」では手遊びやおもちゃ製作よりも不安で泣く子どもを安心させるかかわりを優先する。

○実習は、継続的な保育の場ではなく一時的な保育を行っている場で行うこと。

○研修は、講義、演習、実習を組み合わせて実践に結びつく効果的な方法で行うこと。スキルアップ研修は継続的に行うことが効果的であり、団体・地域の課題に合わせて柔軟に行う。

 

子どもの遊ぶ権利に関する国連のコメント2013/10/27

IPA(子どもの遊ぶ権利のための国際協会)JAPANが主催する会に、数年ぶりに参加しました。
子どもの権利条約第31条と、国連子どもの権利条約ジェネラルコメントNo.17を学ぶ会です。

子どもの権利条約第31条は以下の通り。
  1. 締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に参加する権利を認める。
  2. 締約国は、児童が文化的及び芸術的な活動並びにレクリエーション及び余暇の活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。

    この条約に対して、国連子どもの権利委員会第62委員会は、「子どもの権利条約第31条に関する一般的見解(ジェネラルコメントNo.17)General comment No. 17 (2013) on the right of the child to rest, leisure, play, recreational activities, cultural life and the arts を採択し、締結国に向けて発表しました。このコメントの作成にあたってはIPA日本支部のメンバーの貢献も大きかったようです。

    国連は、子どもの権利ジェネラルコメントで、政府が以下のような行動を起こすことを求めています。
    (IPA日本支部「みんなで考えよう国連子どもの権利条約ジェネラルコメントNo.17」IPA日本支部事務局2013)
    1.人々の意識を高めること
    ・子どもの発達に、第31条が重要であること、環境整備が必要であることを全ての人に知ってもらうよう何らかの手を打つ。
    ・思春期の子どもの言葉や動作を否定的に見る大人の見方を変えるための策を取る。
    2.差別をなくすこと
    ・どんな条件のもとでも、全ての子どもが、遊びやレクリエーション、文化、芸術活動にアクセスできることを保障する法律を作る。
    3.都道府県その他全ての組織、企業は次のことに対して規制を設けること
    ・遊び道具や施設の安全性、使いやすさの基準を作る。
    ・開発提案書の中では、必ず遊びやレクリエーションに触れる。
    ・有害な文化、芸術、レクリエーションからの保護や、メディア・映像の選別の基準を設ける。
    ・戦争ゲームやおもちゃの製造販売を禁止する法律をつくることを奨励する。
    4.インターネットの普及と安全性の向上を図ること
    ・より多くの子どもが新しいメディアにアクセスできるように環境を整備する
    ・規制や措置を行いつつ、より安全で魅力的な選択肢を増やす戦略を立てる。
    5.マーケティングとメディアに対する規制を行うこと
    ・暴力、性的描写、差別的な観念を強化するようなおもちゃ、ゲーム販売に関する政策を見直す。
    ・子どもがテレビをよく見る時間帯のCMについて制限を設けることを奨励する。
    6.苦情申し立てができる仕組みを作ること
    ・第31条の権利が侵害された時苦情申し立てができる独立した機構を作る。

    グローバルなマーケットが、子どもたちを地域の文化や芸術に参加する機会から遠ざけているというコメントには、なるほど!と膝を打つ思いでした。日本では、とくにマーケティングとメディアに対する行動を起こすことが、子どもの育ちにも保護者の子育て支援にも重要であるように思います。子ども向け商品でありながら危険なサイトへのアクセス規制ができないゲーム機、子ども向け番組のCMで子どもの射幸心をあおること、子ども向け番組やゲームに殺人や暴力、いじめが含まれることなど、日本の子育てでは他国の子育てとはまた別の苦労があります。

    今、乳幼児期から、DVDやテレビゲームや大人の準備したサービスで、子どもが愉しませてもらう時間は増えていますが、子ども自身が遊びを創り出す空間と時間は減っています。
    会では「『~と、国連の人がいっている』と使っていきたい」という発言で締めくくられました。
    子ども・子育て会議でも、この国連コメントを活用したいですね。会を準備されたIPAの皆さんに感謝。


 園の棚に並べられたビデオ(掲載許可をいただきありがとうございます)