落ち葉で押し葉づくり2013/12/01

紅葉の季節です。
大学への道

園へ伺うと、落ち葉をラミネートした飾りを見かけることがあります。
ここ最近、点々とセロテープのはがれた痕が残った壁の補修方法を探していたので、そうだ落ち葉で隠してみようと思いつきました。

まずは落ち葉拾い。心のなかでは、(きゃ~きれい!うわあこの葉はグラデーションが最高!なんていい色なんだろう)と、とても興奮しながら拾っているのですが、そこは大人ですからさりげなく黙って拾います。子どもがいれば、一緒に「きれいだねえ」と、共感しながら拾えるのになあ。
自然の色合いや形はなんて美しいのでしょう。


次に、新聞紙で葉をはさみ、ダンボールー新聞紙ーダンボールの順で重ねて研究室で一番重い本を載せました。
何日か新聞を変えましたが、水分が多い葉は変色して黒くなってしまいました。


そして、ラミネートの台紙にはさんでラミネーターへ。

枯葉の息遣いは消えてしまいましたが、それでも色と形の美しさは残りました。昆虫採集の標本を思い出します。


葉が紅葉しない地域や、葉が落ちる頃になると街路樹の枝をバッサリと切ってしまう地域、枯葉をさわれない地域などもあります。きれいな落ち葉を楽しむ経験ができる子どもたちは、とても幸せですね。


基礎ゼミで岩波ブックレット2013/12/10

今年は基礎ゼミにあたる「子ども支援学演習Ⅰ」(33人)を担当しました。基礎ゼミを持つのは初めて。保育を行う上で基盤となる論理的・相対的な情報収集・思考と表現、コミュニケーション力を高める場にと思いましたが、30回の授業は試行錯誤で、学生たちには申し訳なかったと後悔しきりです。

子ども支援の第一段階として、子どもが育つ環境としての地域・家庭の理解を挙げ、グループで地域のフィールドワークを行ったり、自分が住む地域の支援の現状を調べたり、文献にあたったりしました。
しかし、その子育ての問題が発生する要因である貧困や、環境汚染や、消費文化の問題など、社会問題を扱う時間が取れず、出す課題の量にも限界を感じていました。福祉・教育のありようを考えるには、現実に社会で起きている問題を理解することからしか始まらない…。でも、悩み続けていると、ある朝(あるいは夜中に)、突然アイディアがパッとひらめくのが常です。
「そうだ!岩波ブックレットがある!」

薄くて、わかりやすい文章。一つのブックレットに一つの社会の課題が示されています。学校の行きかえりに読むのにもちょうどいい量です。さっそく課題を出してみました。終わって図書館へ行くと一年生が本を選んでいます。「どれもこれもおもしろそうで迷う」と、彼女たちの手には数冊のブックレットが抱えられていました。いいかも。
私は農薬汚染のブックレットを借りに行ったのですが見つからず、代わりに2冊借りてみました。

岩波書店 岩波ブックレット
安田睦彦「お墓がないと死ねませんか」岩波書店,1992
角田和彦「劇症型アレルギー」岩波書店,1998

子ども支援学演習Ⅰでは、虐待等、子育てで起きている問題は、母親や個別の家族の問題というよりも社会全体の問題であること。子育ての課題は、私たち一人ひとりの価値観や暮らし方の課題であること。一人でもできることがああること。私たちはみんなつながっていて、ほんのちょっとの優しさと勇気で誰かを幸せにすることができること。そんな気づきが得られればと思います。基礎ゼミの最後では、「教養がある人」の行動や暮らし方のイメージについて、学生たちに話を聞いてみたい。

西日本新聞社の食に関するブックレット「食卓の向こう側」シリーズも、図書館にリクエストしました。(朝霞図書館では、ブックレットや文庫の棚ではなく、食品や栄養の書棚に所蔵されています)「ペットボトル症候群」や「フェイク(もどき)食品」など、身近な食の問題が取り上げられています。O‐157や発ガン性物質が、食べ物をよく噛むことで毒性が低下する話など、興味深い取材記事もありました。

私の場合、食に関する問題を読むと、しばらくは粗食・小食になるので、ダイエットにピッタリです。

お誕生会の保育者の出し物2013/12/16


                              ぐりとぐらも冬景色。でも冬に卵は落ちてないか・・・。長袖を着せなくては。


休日に某駅の大型書店へ行き、保育の書棚の前で、また一人ため息をついていました。
(保育の書棚の前でため息をついている中年のおばさんを見かけたら、それは私かもしれません(笑))
パネルシアター、手作りカード、発表会・・・日常の保育内容に関する本がほとんどありません。「なぜ保育の書棚に保育の本がないんだあ、責任者でてこ~い」なんてことは言いません。これが売れる本なのでしょう。

反対になぜカードや出し物系の本が売れるのかを考えてみると、保育者がいかに行事に頭を悩ませているかと、捉えることもできそうです。パネルシアターやエプロンシアターが流行したのも、毎月のお誕生日会やイベントでの保育者の出し物として、手軽に一人で作ることができるという利点があったからかもしれません。

最近では、行事のやり方や内容が、少しずつ変わってきていることを感じます。
保育園でも、かつては毎月一回、その月に誕生日を迎える子どもたちの誕生会が行われていましたが、誕生会の意味がわかる3歳児以上のみが参加で、012歳児は参加しないという話も、聞くようになってきました。各クラスで、その子どもの誕生日にお祝いをする園誕生日にはバッジをつけて、園内のみんなから「おめでとう」と声をかけてもらう園、誕生日には保護者が園に来てクラスの子どもたちに生まれたときの話をする園、親御さんにメッセージを送る園など、誕生会一つとっても、子どもや保護者にとって意味のある行事になるように工夫する実践を、多く聞くようになりました。

誕生会では、保育者が出し物をするという園もあるようですが、その場合には、子どもたちが驚いたり感動したり、翌日からの遊びに影響を与えたりするような内容をやってみたいものです。たとえばその先生がやっている本物の趣味やスポーツ、特技を舞台の上で見せるのはどうでしょう。ギターを弾くとか、本気で歌うとか、クラッシックバレーやフラダンスを踊るとか、着物の着付けをしてみせるとか、ダイビングの格好をしてくるなんていかがでしょう。
先生方が集まって練習をするのであれば、先生同士で「みかんのはな」や「おちゃらかほい」をしたり、先生同士で美しいわらべうたをしてみたり、一人お手玉や集団お手玉、縄跳び、まりつき、切り紙、遠くまで飛ぶ紙飛行機など、子どもたちが、あこがれるような内容を演出するのはどうでしょうか。保護者や地域の人にお願いすることもできますよね。他の先生と違うことをするにはちょっと勇気がいるかもしれません。まずは先輩の先生や園長先生に相談してみましょう。

これを読んで下さっている保育者の皆さん、以上児研究にあたったら、「発表会の内容」とか、「誕生会の出し物」とか、行事のやり方を取り上げてみませんか。

家庭にこもりがちな親子に2013/12/23




P研(保育の専門性研究会)のメーリングリストで、貸出用の玩具を希望する家庭に保育士さんが届けるという取り組みが紹介されていました。めぐみ保育園 絵本とおもちゃの貸出宅配サービス にこにこ便
初めての家庭でも、玩具を届ければドアを開けてお話ができるし、玩具の説明で家に上がることもできるそうです。本当に先生方の工夫は素晴らしいですね。

子育て支援者が集まると、家族だけで子育てをしている親子にどうアプローチするかが話題に登ります。
今回は、子育て支援の広場や支援センターのスタッフが、実際に行っている工夫をご紹介します。

□ホームページを設ける
初めての場所に行くのは誰でも不安。園内の様子広場やセンターの中の様子がわかる写真など、少しでも安心して利用できる情報を公開します。電話番号は市外局番から。転居してきた人にもわかる地図も必ず入れます。
□利用したくなる情報を掲載する
パンフレット、通信やホームページには、読むと思わず利用したくなるような情報を優先的に掲載します。たとえば、転居してきた人や一人で利用する人が多いこと、3か月の赤ちゃんでも利用できること、子どもは親と密着しているよりも多様な人のなかで育つことが大切なこと、模倣とかかわりで子どもは伸びることなどの情報です。
□親が外へ出たくなるような情報を掲載する
通信やホームページには、自然とかかわって楽しげな子どもたちの様子、小さな子ども同士で楽しそうに遊んでいる様子、他の子どもが楽しそうにしている様子など、他の子どもの真似をしてトイレにいく様子など、子どもが健やかに育つには、自然と人のなかで子どもを育てることが大事だと感じる情報を掲載します。
□家庭内でのこもりきりでの子育てを防止する情報を掲載する
家庭にテレビベビーシッターさんがいて、早期教育のDVDや乳幼児向け番組・DVDが赤ちゃんや幼児の相手をしてくれる場合には、公園や支援の場を利用する必要性がありません。テレビを消すと子どもは親に遊んでほしがるため、親が子どもを外へ連れ出すことが増えます。日本小児科医会等の「2歳まではテレビを見せないようにしましょう」という情報を転載して活用します。
□電話の応対では会って話すときよりもあたたかく心をこめて応対する
保護者が電話で問い合わせをするときには、初めてで不安があったり、悩みがあるときも多いもの。電話の応対は直接会ったとき以上にあたたかく丁寧な対応をしています。
□乳児向けのイベントを開催する 
ベビーマッサージ、夜泣き講座など、子育てをはじめたばかりの時期に、保護者が外へ出て人と自然のなかで子育てができるようなきっかけづくりになるようなイベントを優先して開催します。
□乳児向けの環境構成を行う
支援の場は、おとなしい人や、一人の人、赤ちゃんを連れた保護者が、最も居心地が良くなるような環境を構成します。1歳をすぎて粗大な動きが多くなったときには、広い空間のある屋内や公園など、思い切り体を動かすことができる場が子育ての中心になるように援助をします。
□ママスタッフやママボランティアを仕組み化する
スタッフやボランティアに参加するママやパパは口コミ力が強力です。ママボランティアさんたちは、公園でも、あの人は一人きりではないかしら、と思う人を見つけると、思わず声をかけてしまうそうです。
□集団検診(3か月検診)の場で、スタッフや利用者がパンフレットを直接手渡しする
3か月検診が集団検診の場合、ほとんどの人が一人で来ていて待ち時間も長いもの。スタッフが「私がスタッフをしています」とちょっとそこで話をしたり、ママスタッフが子どもを連れて「赤ちゃんでも来れます」とチラシを配ります。一言でも話をすると、ハードルがぐんと下がり行きやすくなります。
□主任児童委員、保健師さんなど連携を取り、場に来てもらって内容を説明する日を設ける
保健師さんや相談窓口にいる職員と連携することによって、相談後に一緒に広場につきそってくれる保健師さんや紹介で来場する人が増えます。一度、場に招待をして、スタッフたちと話をすることが大切なようです。主任児童委員の研修では、子育て広場でのボランティア体験を行っているところもあります。
□新生児訪問のときにパンフレットを手渡ししてもらうように保健所に毎月通信を持参する
□転居してきた人がいく市役所の窓口にパンフレット(名刺大)を置いてもらう
□産婦人科、小児科、スーパー、薬局などにパンフレットを置かせてもらう
□地域の回覧板で、地域の親子に向けて通信を配布してもらう


他にもこんな工夫があるという場合、ぜひお教えいただければと思います。
上記は、子育て広場などいつでも来ることができる場をもっている支援者が行っている工夫ですが、
子育て家庭への訪問を中心的な支援活動とするホームスタートジャパンの取り組みも広がっています。

大学教員の採用基準2013/12/30

以前、新任教員研修会に参加した際、学長から大学教員は教育職としての自覚をという話がありました。その際カリフォルニア大学の教員採用基準になるほどと思いましたが、FDニュースに内容の掲載がありましたのでご紹介します。(これは11月に下書きを書いたものです。頻繁に更新しないように記事を小出しにしています)

「カリフォルニア大学の教員採用基準」
① 専門科目に対する能力を十全に備えていること。
② 専攻分野において、弛まぬ進歩を遂げていること。
③ 授業のための教材を組織化し、これを分かりやすく提示する能力をもっていること。
④ 授業の主題と他の分野との関連性を学生に分からせる能力を持っていること。
⑤ 学習・教授課程において、学生の意欲をかき立てるとともに、教師も情熱を持っていること。
⑥ 入門段階の学生には好奇心を起こさせ、より進んだ学生には創造的な勉学を促す能力を持っていること。
⑦ 学生に対するガイダンスや助言活動に熱心に関わっていること。
竹村牧男「大学教員としての教育能力のあり方について」Toyo University FD News 第12号 東洋大学

う~ん、列挙されると努力目標が明確になりますね。私はどれも頑張れといったところですが、とくに今の課題は③。私のように実践者が大学の教員になる場合、改めて高等教育に関する学びを得て、経験を相対的に使う姿勢が必要になります。具体性のある話ができることは実践経験者の強みですが、内容が具体に偏りすぎたり、具体例を使うことで教員の主観や経験話の授業であると、学生に誤解をさせる場合もあります。
研究成果だけを講義しても実践者の養成教育はできず、理論に基づくことのない経験と主観を話すことも高等教育としてふさわしくなく、理論と実践とを結びつける授業内容と方法を研究し、保育者養成教育の教材開発をすすめる必要があります。理論を実践で活用するには、原則的な理論を構築しその教授を優先することも大切だと考えています。科目内での教育課程編成も一つのポイントとなりますが、興味深い研究成果を見つけました。

幼児教育研究部がない国立教育政策研究所


勝野頼彦「平成24年度プロジェクト研究調査研究報告書5 社会の変化に対応する資質や能力を育成する教育課程編成の基本原理」『教育課程の編成に関する基礎的研究』 国立教育政策研究所,2013


 ←の矢印をつけた部分です。


保育者を、福祉と教育の専門職として養成する教育について来年も模索を続けたいと思います。
今年もお世話になりました。皆様、どうぞよいお年をお迎えください。