両足ジャンプができるということ2014/04/07

ある団体より、昨年度行われた研究大会の報告書を送っていただきました。ありがとうございます。

実践のための研究」として行われた各保育園の研究報告は、他の保育者に役立つ内容として、わかりやすく(論理的に)まとまっていました。また、研究の目的と方法、研究(実践)の内容、その考察が一貫してまとめられ、「おお、目的・方法・結果・考察が串団子になっているよ! この研究も、この研究も、素晴らしい!」と夜中にひとり興奮しながら読んでいました。その研究成果や考察には、私自身、「なるほど」と気づきを得られる報告が数多くありました。

そのなかでふと目に留まったのが、2歳10か月で両足跳びができない子どもに対する実践でした。
その子は、歩行の確立が1歳1か月。男児にしてはかなり早いほうです。しかし、その子どもは「歩くときも走るときも、膝が伸びたままだった」という記述がありました。歩行開始後も段差が苦手で、スロープを降りることができなかったそうです。子どもの姿を細やかに捉えています。

私は読みながら、「そうか、膝が伸びているとジャンプができないのか」と大発見。ハイハイは、膝を曲げないとできないので、四つ這いの経験と、歩行前に床からの立ち上がりを繰り返す経験はできていたのかと気になりました。上半身と下半身のなめらかなつながりができていない姿勢からは、腰を中心にした運動も、まだまだ経験が必要ではないかとも思いました。

この研究では、考察に「意図的にいろいろな動きを経験する機会が必要」とありました。本当に、その通りですね。
運動に何か課題があるとき、動きを分けて経験できるようにします。それに加えて、その動きの前の発達段階に戻って、これまで獲得していない動きを遊びのなかで経験することも良いかもしれません。
たとえば、2歳でも5歳でも、リズム遊びや、表現遊びとして、動物になってハイハイしたり、動物になって鬼ごっこをするなどで、這う、転がるなどの動きを、経験することができます。また、歩行前に行う床から立つーしゃがむを繰り返す経験は、体操の動きに入れて毎日行うこともできます。
「転んでも手をつかない子どもが多くて、何をしたらいいですか」という相談もよくありますが、手をつくのも0歳の後半で自然に練習する動きですから、顔から転ばないための動きを考えて、体操やダンスでやってみてはどうでしょうか。細やかに子どもの姿を捉えている保育者は、体操や踊りの動きを目の前の子どもの姿に合わせて作ることができると思います。


 
高山静子「ひだまり通信」チャイルド本社より


母子手帳(父子手帳)や、保健センターなどで配布や掲示するものは、上とは違い、ハイハイの前に「お座り」が入っています。そうすると、親であれば当然座らせます。腰が据わっていない子どもを無理やり座らせたら、赤ちゃんはビクとも動けません。

保育は、総合的に捉えることが大切ですが、ときに細やかに部分に焦点をあててみてみると、それまで見えなかったことが見えるようになるものですね。報告書、大変勉強になりました。お送りいただきありがとうございました。

コメント

_ 高山静子 ― 2014/04/16 17:37

伊藤先生、いつもブログをお読みいただきありがとうございます。研究報告書は、聖隷福祉事業団さんの研究大会の報告書です。ホームページもありますので、団体にお尋ねになってみるともしかすると読めるかもしれません。保育者の貴重な時間を使ってつくった研究報告書や実践研究を互いに共有しあえる仕組みをつくりたいですね。お問い合わせをいただきありがとうございました。

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