一人遊び・並行遊びの保障2015/10/13

最近、1歳児、2歳児クラスの人数が増え、先生方がとても苦心されているお話を伺います。
「えー、2歳児が一クラス30名ですか!」と、驚いていたのは数年前のこと、今は1歳児が35名以上という話も聞くようになりました。人間は一度に一人、多くても二人ぐらいしか子どもを産みませんから、同じ年齢の子どもが、10人以上で生活する空間は、生物としては特異な空間です。

そのため、今担当制や、グループ保育などで、子どもの生活を少しでも安定できるものにしようとする試みが広がっています。先日乳児の全国研修会で、担当制を行っている保育者に手を挙げていただいたところ、会場の四分の一ぐらいの手が上がりました。全国研修に参加する先生方は熱心とはいえ、増えましたね。

クラス規模が大きいにも関わらず、個人差がとても大きい1、2歳で、4、5歳児のように一斉に食事をし、一斉にトイレに行かせていると、子どもを長く待たせる保育、無理に急がせる保育になってしまいます。
また、一人遊び、並行遊びの発達段階の子どもたちに対して、一斉に同じ玩具で遊ばせる保育や、一斉に同じ活動をさせる保育を行うと、これも子どもに無理をさせることになります。

心優しい先生は、発達に合わない活動をさせることや、子どもを急がせることや待たせることを、とてもつらく感じます。またクラスの人数が多いと、子ども同士のトラブルも増えますので、保育者の不全感(うまくできない感)は高まり、いい先生が辞めてしまう原因にもなりかねません。

そこで今回は、1歳児の一人遊びの保障、2歳児の並行遊びを保障する環の工夫をご紹介します。

まず、012歳の親子を対象とする子育てひろばの事例です。

最初は体育館のような空間でした。元気な子どもは走り回り、おとなしい子どもは遊べなくなります。
ここにブロックやままごとを出すと、子どもが集まりトラブルが起きやすくなります。玩具が室内に散乱する空間です。


数か月後です。テーブルを置き、じゅうたんを置くだけでも、空間がいくつかに分かれました。
ブロックなども、じゅうたんの上に置くだけで、部屋中に散乱することが減ります。


数年後です。色の異なるじゅうたん、たたみ、テーブルや棚によって空間を複数に分けています。
保護者が利用するため、一つひとつの空間は、保育室よりも広めです。
牛乳パックの枠、段ボールの仕切り、大型積木など、空間を仕切るために使えるものが置かれています。


次は、空間の混み合いを防ぎ、一人遊びや平行遊びを保障するヒントです。
パネルじゅうたんは、つい、市松模様に敷きたくなりますが・・・。


色を分けて敷くと、空間を分けたり、遊びのイメージを助けることができます。(保育実習室での実験)


牛乳パックの手作りの仕切りで、空間を分ける園もあります。(裾野市公立保育園)


段ボールの枠は、高さや長さを変えてつくることで、一人遊びのになったり、一人遊びや平行遊びを保障する敷物になったりします。 (三鷹駅前保育園)


段ボールや枠も、パーソナルスペースを守ることを助けます。狭い空間を設計に組み込む園も多いですね。(まちの保育園六本木)



一人遊びを保障できる小さなじゅうたんもありますが、パネルじゅうたんも広さを小さくすることで、一人遊びや平行遊びの保障ができます。(愛恵保育園)

ご参考まで。

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