玩具と関わりの質2016/03/01

フルスピードで自転車操業を続けていたら、転んで骨折しちゃいました。さすがに反省中です。
掛札逸美先生のブログで、電気仕掛けのおもちゃ(光や音楽や言葉が出る)で遊ぶ時は、従来のおもちゃ(木のパズルやブロック)や本で遊ぶ時に比べて、親子の会話の量と質が落ちるという研究が紹介されていました。

現場にいらっしゃる先生方は、遊びの素材や道具によって関わりの質と量が異なることを体験的にご存知だと思います。これらを言語化して共有化できるとよいですね。

遊びの素材と道具(自然物、素材、廃材、玩具等)選びによって変わると考えられるもの
・遊びへの集中度
・遊びの継続性とひろがり
・友だちとの関わりの質と量
・大人(保護者・保育者)とのやりとりの質と量
・トラブルの発生頻度、けがの重症度
・維持管理にかける時間、コスト
・空間全体の雰囲気
・経験と学習
・感性
思いつくものを書き出してみると、けっこうありますね。

玩具には、個人で活動に没頭しやすいものと、友達との関わりが生じやすいものがあります。
「個人で没頭しすぎるので使う場と時間に悩む」と、先生方に伺うのがラキュー。逆に没頭しやすいタイプの子どもが好きな玩具とも言えます。昔ならば昆虫採集に、はまるタイプの子どもかも。

光保育園にて。

ある先生から、夕方の早い時間の異年齢保育では、友達との関わりが生じやすいものを選び、遅い時間は個人で遊ぶ玩具を準備していると聞きました。
先生方の工夫には、いつも驚かされるばかりです。

子どもと環境の関係について考える本2016/03/24

この1か月間、車椅子に乗って様々な体験をしました。
自分でやりたいのにできない2歳児の悔しさを味わい、身近な人の優しさにふれ、「お手伝いしましょうか」と声をかけて下さる見知らぬ方の多さに感激し、あきらめることを知り、子育て中もこうだったなと思い出しました。

さて今回は、人間と環境の関係について考える本の紹介です。
質問をいただいたS先生、遅くなってすみません。



深さと拡がりは深海級。引き込まれるとなかなか戻れなくなるのがこの2冊。
大橋力「音と文明ー音の環境学ことはじめ」岩波書店2003
河野哲也「環境に拡がる心ー生態学的哲学の展望」勁草書房2005*

人間と環境に関する研究の本では、
ロバート・ギフォード他「環境心理学(上・下)」北大路書房2005
波多野誼余夫「認知心理学 学習と発達」東京大学出版会1996
佐々木正人「アフォーダンスと行為(身体とシステム)」金子書房2001
エドワード・S.リード「アフォーダンスの心理学ー生態心理学への道」新曜社2000
認知心理学、環境心理学、生態心理学が、発達心理学と共に「保育の心理学Ⅰ」として保育者に必要な知見が整理されるといいですね。(私にはできませんが)

乗り物の中での読み物として、面白く読めるのはこの二冊。
三島博之「エコロジカル・マインドー知性と環境をつなぐ心理学」日本放送出版協会2000*
傳田 光洋「皮膚は考える」岩波書店2005
身体の重要性を改めて感じることができます。

*印はブログで以前にも紹介したことがある本です。