脳に関するあれこれ2016/12/28

先日伺った園で、園長先生より「面白いですよ」と教えていただいた新書を、図書館に借りに行きました。
鈴木大介「脳が壊れた」新潮新書、2016

ついでに脳に関する本を借りてきました。
池谷裕二「進化しすぎた脳ー中高生と語る大脳生理学の最前線」講談社ブルーバックス、2007
宮本省三「脳のなかの身体ー認知運動療法の挑戦」講談社現代新書、2008


おもしろかった。

「脳が壊れた」は、ルポライターの著者による脳梗塞の闘病体験。
リハビリで脳と身体のつながりが回復していく姿は
脳が発達していく乳幼児の姿と重なる部分もあり、
赤ちゃんや幼児の世界を内側から見ているような気持ちになります。
目の前の物に手を出したいけれども出せないときの体の動きや気持ちの描写は、
2、3か月の赤ちゃんと同じなのではないだろうか。
物事に優先順位がつけられず、周囲にあるものに振り回される姿は
「1歳半の壁」を乗り越える以前の子どもたちを内側から追いかけているよう。
外に出ると、矢印マークを追いかけたくなり、
クワガタの死体をポケットに入れる筆者の姿に、
あの子はこんな見え方、感じ方かも、と感じる場面も多々ありました。
ずっしりとくるのは妻との生活。
家族に苦しんでいる人にも、この本はお薦めかも。
保育者には、「愛しすぎる女たち」を薦めることがありますが、
愛しすぎる男たちに、「脳が壊れた」を薦めたい。

さて「脳のなかの身体」は、認知運動療法をわかりやすく紹介した新書。
手足が麻痺したとき、従来のリハビリでは、
手足の骨や関節や筋肉など、物理的な身体に働きかけていましたが、
認知運動療法は、脳機能の改変による運動機能回復を目指すのだそうです!
一方向からのリハビリから双方向のリハビリへの転換です。
「感覚と運動は分離できない」-「知覚するために動く」。
「自己の身体を知り、身体を介して外部世界を知る」と
身体に関する本質的な言葉が次々と目に飛び込んできます。

「進化しすぎた脳」は、対話形式で幅広く脳に関する基礎知識を扱います。
「動物相手に実験しているとわかるんだけど、
下等な動物ほど記憶が正確でね、つまり融通が効かない。
しかも一回覚えた記憶はなかなか消えない」。
人間の脳では記憶はほかの動物に例を見ないほど
あいまいでいい加減
なんだけれど、
それこそが人間の臨機応変な適応力の源にもなっているわけだ」。
「(脳は)汎化をするために、脳はゆっくりと、そしてあいまいに情報を蓄えていく」。
のように、話し言葉での説明なのでわかりやすい。

012歳児クラスはなぜ子どもの手の届くところに玩具を置き
いつも手が使える状態にしているのか、
保育ではなぜ運動や動き、食事や睡眠を重視するのか、
適切な保育を理解するには、脳や身体の生理学的な理解が必要だと常々思います。
心理学による「子ども理解」だけでは、実践の根拠として足りない。
保育では、心理×生理×生態の総合的な「子ども理解」が必要ですが、
学問領域を超えた科目は、教える教員がいないから設置自体が難しい。
保育は、前提とする学問領域が幅広すぎです。


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