人間の学習、AIの学習2018/05/23

書店に平積みになっている
新井紀子「AI vs 教科書が読めない子どもたち」東洋経済新報社2018
もう読んだ方も多いと思います。

AIvs教科書が読めない子どもたち

TEDのプレゼンで衝撃を受け、ブログに下書きを書いたのですがアップしないままでした。
新井紀子先生のプレゼンはこちら。
TED日本語「ロボットは東大入試に合格できるか」

この本で、読解力調査の詳しい結果を読んだ感想は、「やはりそうだったか」でした。
問題文に回答が書いてあっても正解できない中学生が、相当数いるようです。
学力が伸びない子どもは、「文の意味を読み取ること」に、課題を抱えているのです。
教育の現場で肌で感じている直感と実に合う研究結果でした。

この本には、人間とAIの違いがくり返し説明されているのですが、
どうしても頭に浮かぶのは、赤ちゃんたちのこと。

このままでは、
「意味を読み取ることが苦手」
「あいまいさ、状況に合わせることが苦手」
「相手の感情の理解など、想像、類推が必要なことが苦手」

のような、AIと同じ限界を抱える子どもが、
ますます増えてしまうのではないか、と感じていました。
人間の学習は、コンピュータとは異なる三項関係の学びです。



赤ちゃんが、犬を見て、犬に興味をもっているときに、
大人が「ワンワンがいるね」と大人が話すことで
赤ちゃんは「ワンワン」という言葉を学習します。
最初は、犬も猫も熊もみんな「ワンワン」。実に応用の幅が広い。
そのうち、犬の特徴をどう認識するのか、犬だけを「ワンワン」といい、
「ワンワン」を「イヌ」と結びつけて、イヌの概念を獲得します。

赤ちゃんは、大人との関わりによって
自分自身と、環境に関する言葉を習得します。
言葉をもつことによって、
自分の感情や行動をコントロールする、
人と上手くコミュニケーションをとる、
知識を習得し思考することができるようになります。



しかし、AIの学習方法は、三項関係による学びではありません。
データとして入力できるものだけを学習するわけですから、
学習できる内容には限りがあります。

もしも、赤ちゃんが、人との関わりが伴う学習を得られなかったら・・・。
赤ちゃんが、三項関係以前の人との信頼関係すらつくれなかったら・・・。

ひどいイラスト、お許し下さい。
これらでは、環境に自ら注意を向けて学習する行動が強化されません。

最近、電車のなかで、「車掌さんがボタンを押しているね」とか、「赤ちゃんがいるね」とか、
子どもが目を向け興味をもっていることについて話しかける大人を見ることが減りました。
親がスマホ、子どもはタブレットの場合、会話はほぼありません。
ダメでしょ、静かにしなさい、は聞きますが
それらの言葉を何百回聞いても子どもの言葉が増えることはないでしょう。



まずは、子どもと関わる大人が、子どもが興味をもっていることについて話すこと、
大人自身が、あたかかく豊かな言葉をもつことが必要です。

読解力といっても、その土台は乳児期。
赤ちゃんを育てている保護者や保育者が、
自分の話しかけが、読解力をはじめとした学力につながると知れば、
きっと多くの大人が、子どもに話しかけるようになるのではないでしょうか。

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