行政や機関が行う巡回相談2019/08/12

毎日暑いですね。この猛暑のなかで、子どもたちに心をくだき、汗を流している先生方、ほんとうにお疲れ様でございます。

全国の保育園の先生たちが抱えている問題は、どの園でも似ていると感じることがあります。
皆さんだったら、次のような状況が起きている園に、どんなアドバイスをしますか?(以下保育者の言葉)

・ものを投げる、破壊する、他の子の遊びを邪魔するなど破壊そのものが遊びとなってしまう。
・一人不安定な子がおもちゃを投げたり絵本を本棚から次々出しては投げ、踏んづけを始めると他の子も影響されて同じことを始める。
・噛み付き、不安定、ハイパーセンシティブな子、抱っこから絶対下りない子などがクラスに何人もいて、その子どもに一人大人が付くと、保育が成り立たない。

いかがでしょうか。うちも似た状況で大変という先生方、いらっしゃるのではないでしょうか。
私も、1歳児クラスでは一人の子どもに保育者がつき、私一人で10人以上見ている状況に疲れ切っていました。
どうしてこのような状況が生まれているのでしょうか。

その子どもが1歳か、2歳か、3歳かによって、行動の捉え方が変わりますね。

物を投げるという行動の捉え方でも、
子どもが、保育者の関心をひきたがっているのか?
それとも発達欲求で粗大な運動を求めているのか?
「乱暴な行動をしなさい」という情報を出している物的環境なのか?
発達欲求が満足できない物的環境のせいなのか?
によって対応が変わります。

情緒が不安定な子どもも、
朝からお菓子しか食べていないから?
眠りが足りないから?
家庭で映像漬けで脳疲労を起こしているから?
体調が悪いことが多いから?
家庭で安心感が得られないような状況があるから?
安心感のない居場所がない保育室だから?
その子どもの特性?
など、さまざまな要因が考えられます。


ではこのような「困った」ことが起きたときに、専門家としてどうするか。
保育のなかで困ったとき、「医者ならどうするか」と考えてみましょう。
保育者は、保育実践の専門家です。

①本など情報を探して読み、その子どもの理解と対応を変える
②本など情報を探して読み、保育内容を変える
③本など情報を探して読み、物的環境を変える
④研修を探して行き、解決策を探す
⑤アドバイザーに来てもらいアドバイスをもらう
⑥みんなで情報を出し合い話し合う
⑦保護者に情報を共有し助けを求める
⑧その状況から自分が出る

私はもっぱら①から④でした。
自分の専門知識が高まると子どもがよく見え、対応のバリエーションも増えます。
保護者にも話がしやすくなります。ただ失敗も多くありました。
図書館にも本をいつもリクエストしていました。
そのときは辛いとしか思えませんでしたが、
大変だったからこそ専門性を高められたのかもしれないと思えます。

⑤のアドバイザーですが、市町村、県によって、
1人~10人以上の「保育指導官」または「保育専門官」がいます。
有名なのは、世田谷区の巡回指導相談です。
長野県の幼児教育のアドバイザーも、保育園に対してとてもいい仕事をされています。
園内で行き詰まったら、行政に連絡して相談してみましょう。
いない場合には、専門官をおいてもらうように働きかけることもできます。
行政以外の専門家に頼みたい場合には、依頼を行います。

特に配慮が必要な子どもや、行動が理解しにくい子どもで悩んでいる場合には、
発達支援センター、療育施設等の専門機関から、アドバイザーを派遣する制度があります。
これは全国どこでも行われていますので調べてみましょう。

⑦の保護者の力を借りることは有効だと思います。
「保育参加」制度をつくり、毎日保護者や祖父母に園を開放し来ていただきましょう。
体遊びやじゃれつき遊び、散歩には、人が多く必要です。
保育者は、日中の「託児」をしているわけではありません。
託児の場合には、保護者の協力を得ることは考えられませんが、
保育者は、保護者とともにその子どもを育てています。
どうしても無理な保護者もいるかもしれませんが、
良い先生に辞められるより有給を使って協力したい父母・祖父母はいるはずです。
保護者の思いを信じ、保護者の力を借りてみましょう。
わが子が幸せでいられるには、クラスの先生も子どもたちも幸せでないと難しいです。

ただ、①~⑦の、調べること、働きかけることは、元気なときにしかできません。
心身が病みそうなときには、⑧を選ぶことがあってもよいと思います。