「かわいい」とルッキズム2022/10/12

この間、パンを焼きすぎて真っ黒なパンが炎を上げるのを見ました。
鍋をよく焦がすので電気鍋に変えたのですが、パンも燃えるとは・・・。

さて、今年も卒業論文の季節が来ました。
卒業後保育者になる学生たち、毎年卒論を指導していたのですが、
これからは動画の時代だとInstagramなど動画を使った情報発信も研究しています。
私が一番動画に疎いので、今いろいろと動画を見て勉強中です。

そこで「日本はルッキズム大国?」という内容の動画を見つけてしまいました。

スウェーデンの暮らしや文化を発信している方の動画です。
ルッキズムとは、「外見による差別や偏見」のこと。
論文や本を調べてみましたが日本語ではまだ少ないようです。

日本では「背が高い」とか「やせた」「色が白い」など見た目をほめることは普通ですが、
スウェーデンでは、人の外見については口にしないというお話でした。
なるほどー、そうですよね。
多様性に価値をおいていれば、そういった外見をほめないはずです。
実に納得。気軽に人の外見を口にしていた自分が恥ずかしくなりました。

そこで気づいてしまったのです。
保育者が子どもに「かわいい」や「かっこいい」を連呼することは
見た目を重視する価値を助長するのではないかということでした。

「かわいい」は女の子に言い、
「かっこいい」は男の子に言うことが多い気もします。
そうなると別の問題もありますね。

また「かわいい」や、「やばい」は、汎用性が高すぎるため
語彙が貧しくなるという課題もあります。

「かっこいい」には心のかっこよさもあるため一概には言えませんが、
「かわいい」「かっこいい」問題、もう少し考え続ける必要性がありそうです。

森を開拓した保育者たち2022/10/31

「開拓」の文字は、北海道の歴史資料館では見たことがありましたが、
生きている人で「ぼくたちが森を開拓しました」と話す人に初めて会いました。
それも保育園の保育者たちがゼロから木を伐り、下草を刈り、園庭をつくったというのですから驚きです。

開拓者たちが集まるのは、札幌市の「富丘バオバブ保育園」と「富丘ニンニン保育園」。

一度、子どもがいない森を見せていただいたのですが、実は子どもの姿が想像できませんでした。
私はたいていの園庭や保育室は子どもがいなくても姿が想像できる自信があったのですが、
この起伏の豊かな森で、ゼロから年長までが遊ぶ姿が想像がつきませんでした。
そのうえ0歳児クラスの保育者たちは、急な坂を重いカートを押しても毎日この森に遊びに来たいというのです。

それで、もう一度子どもがいる日に見学に伺いました。


0歳児クラスから年長まで、なんとも自然に混じりあって遊んでいました。
保育者は子どもをゆったりと見守り、一緒に遊んでいます。
森に響く子どもたちの声が心地がよく、いつか座り込んで子どもの姿をながめていました。

日頃、「園庭を森に」、「保育室は森のように」とお話していますが、
やはり本物にはかなわない、と実感しました。
自然の複雑さ、多様さ、勾配の高さ、腐葉土の深さ、香り、風、命の豊かさ・・・・・・、
この森の豊かさを、認可保育園で日常的に享受できる子どもたちは、いや~幸せですね。

この森の開拓は、男性保育者が中心に行ったそうです。
この園は、男性保育者の割合がとても高いのです。(たぶん日本一、このことは別に書きます)
森を開拓するって、どれほど大変でしょう。
こんな貴重な園庭を作ってくださった先生方に感謝しかありません。
森を開拓してくださった先生方、見せてくださった先生方、
ほんとうにありがとうございました。