応答的な関わりを理解するロールプレイ2019/07/28

「保育者の関わりの理論と実践」が、やっとamazonや楽天に流れるようになりました。
職員会議で本を使って演習を行った園より感想が届いています。皆様、ありがとうございます。
感想を読むたびに、本に入れればよかったと感じる補足をこちらに書きますね。

保育では、これまで「言葉かけ」「言葉がけ」と言われすぎています。
柏女霊峰先生も、「発信型の技術」への偏りと、
「受信型の技術」を習得する必要性を、早くから指摘されていました。

演習では「応答的に会話をする」という基本の確認が必要です。
以下の補足は、受容の演習の際にご活用いただければと思います。

私の研修でご覧になったことがあるかもしれませんが、
原色のボールなどを使って、子どもとの会話について考えることができます。
リーダーと子ども役で二人でモデルを見せることや、
全員でロールプレイを行うこともできると思います。
解説は、私の4歳児レベルのイラストで申し訳ありません。


会話はキャッチボール。相手のボールを受け取って投げ返します。


たとえば散歩先で子どもが「まだ遊びたい」という玉を投げてきたら、
子どもの投げたボールをうけとること、これが会話のはじまりです。

でも、大人は子どもの投げたボールは無視しがち・・・


こんな言葉や、

こんな言葉を使いがちかと思います。
自分のボールを投げる前に、まずは子どもが投げたボールを受け取りましょう。

散歩先から帰る、集まりの前に片づけるなど、保育者は日課としてわかっています。
まだ見通しをもてない年齢の子どもには、事前にできることは何か考えることもできます。

また、「帰ろうか」という前に言うべきことはないのか、ハートの部分を考えてみることもできます。



心身の活動量が高い体操2019/06/05

やっとアサブロの写真UP機能が回復。ブログをアップします。

小学館から「0・1・2歳児の保育」の夏号(2019年6月)が送られてきました。

小学館012歳児の保育
表紙の写真、実にいいですね。

陽だまりの丘保育園のこだわりの乳児保育室、
天野珠路先生の「震災に備える園舎と備蓄」、
「ドイツの保育室の吸音環境」など、気になる記事が満載でした。

でも、やはり最初に読んだのは、
楽しみにしていた今井寿美枝先生の「はう運動遊び」の実践です。

はう運動遊び特集

転んでも手をつかず、顔から転ぶ子どもが増えた、
転んで顔を切った子どもの保護者から厳しい苦情を受けているなど、
現場の悩みを聞いています。
子どもの顔のケガは、保育士の退職につながる深刻な問題です。

地域の子育て家庭への支援が、0歳児の保護者に届いていない地域では、
転んだときに手が出ない子どもが多く入園してくると思います。

転んでも手が出ない子どもさんの保護者に
「顔から転ばないためには、家庭でこんな遊びをするとよいですよ」
とお伝えするためにも、保育者ははう運動あそびを知っておきたいもの。
「はう運動あそび」は、協調運動であり、活動量が高いことに加え、
人との関わりが伴い、目を合わせて笑いあえることが特徴です。

今井先生の三部作。子どもの発達が気になる保護者にもお勧めしたい。

幼児期の子どもがぐんぐん変わる3部作

そして今回今井先生がはう運動あそびを音楽に合わせた体操にしたことを伺いました。
さっそく今井先生にお願いをして送っていただきました。

活動量の高い体操


地域や園庭に子どもが駆け回る広い場や起伏がない場合には、
心身の活動量の高い体操や遊び等で、運動を補ってみるのはいかがでしょうか。

保育者の関わりは専門性2019/04/13

二年連続でやってしまいました。日本保育学会での発表の登録ミス・・・。
連名発表の皆様にも、ほんとうに申し訳ない。
今年も、空き時間は、書店のブースにいると思います・・・。

保育の専門性を言語化する研究の第二弾が出ます。
「保育者の関わりの理論と実践-教育と福祉の専門職として」エイデル研究所


保育という複雑な職務を養成可能にするためには、構造として分けることが必要です。
環境構成に続いて、今回は、この「指導・援助」の部分の理論化を試みました。

これまで、子どもとの関わりについては、保育者養成では科目すらありませんでした。
「え~!、保育士や幼稚園教諭って子どもとの関わり方を学ぶ科目がないの!?」
とっても驚かれます。そうなんです。なかったんです!

私は、ニュースに出る”不適切”な保育は、養成にも責任があると考えています。
保育者は、関わりの技術を習得することなく、個人の人間性と努力で集団の子どもと関わります。
一人ひとりの子どもと丁寧に関わり、同時に全員の子どもに目を配るなんて、人間業ではありません。
手遊びやピアノや造形の技術程度で、何とかなるわけがない。
一人で、1歳の6人、3歳の20人を”適切”に保育するには、環境構成や関わりの高度な技術が不可欠です。
しかしこれまで「集団の保育」は、「家庭の養育」と同じレベルで考えられてきました。

保育士養成課程の見直しでは、「子どもの理解と援助」という名称の科目が設置され、大きく前進しました。
ただその内容は、「保育の心理学Ⅱ」から移行したことと、幼稚園教諭養成課程の「幼児理解の理論及び方法」と兼ねるため、心理の視点から子どもを理解する方法が中心であり、「援助や態度」は、「基本を理解する」に留まっています。しかも、「援助や態度の基本とは何か」書かれている本はこれまでありませんでした。

この本では、根拠に基づく関わりができるように理論と実践を結びつけ、技術として習得が可能な関わりをまとめました。演習のワークを16入れて、園内研修、集合研修、養成の授業で使えるようにしています。

きっとこの本が出れば、長年関わりを研究されている先生方がもっと良い本を出して下さるでしょう。
それによって、保育の質がより高まることを願っています。

科学関連絵本が充実しました2018/10/04

以前注文した本が、保育実習室に揃いました。

実習準備室の高山の棚に並べておいていますので、
学生の皆さんは、手にとって閲覧してくださいね。


絵本を自分の主観や好みで選ぶと、保育室の絵本が偏ります。
目の前の子どもには、図鑑型の子どもも、物語型の子どももいるはずです。
理数系科目が苦手だった人は、意識的に自然科学の本を置くことができます。
マルチ能力理論を意識して、バランスよく絵本を選ぶとよいかもしれません。


別冊太陽248「かこさとし 子どもと遊び、子どもに学ぶ」平凡社2017

本屋で買い損ねていましたが、福井のかこさとしふるさと絵本館で発見。
絵本作家であり、遊びの研究者であり、活動家であった、かこさとしさん。
この本のなかで、子どもが未来を拓く鍵は、
外遊び、手伝い、本を読み言葉を正しく巧みに使えるようにする。
この三つとお話されていたことが、紹介されていました。


3000万語の格差2018/04/28


ダナ・サスキンド3000万語の格差:赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』
翻訳 掛札逸美 明石書店 2018(のチラシ)
             

人生ではじめて、解説、というものを書いてみました。

いつも掛札先生の「保育の安全研究・教育センター」の

ホームページを読んでいたのですが、

http://daycaresafety.org/

あるとき、たまたま掛札先生と近くの席に座り、

「いつも読んでます」と挨拶に行ったことがきっかけで、

この翻訳本が生まれました。編集は、明石書店の深澤さんです。

 

この本には、012歳の子どもが大人と豊かな会話を交わすことの重要性と

その時期の関わりを豊かにする方法が、

臨床、研究を織り交ぜて書かれています。

 

「3000万語の格差」は、

3歳の終わりまでに、家庭によって

保護者が子どもと話す言葉にはこんなに差があるんだよ、

という「家庭による言葉の格差」を象徴する言葉です。

 

本のなかに、子どもとたくさん話をした親が、

「今日も私は子どもの脳を育てたわ」話すシーンがあります。

「親の話しかけが赤ちゃんの脳をつくる」ことを知れば、

みんなこぞって赤ちゃんに話しかけるのではないかしらと思います。

でも、子どもにただ一方的に話しかけたり、

テレビを見せたりCDを聞かせたりと

言葉のシャワーを浴びせても、効果は薄い

大人が、子どもの心と体に注意を向け

子どもが関心をもっていることに対して

応答的に、バラエティに富んだ言葉(豊富な語彙)で

あたたかく肯定的な内容を話すことが大事である

とポイントや具体例が示されています。

            

今回、はじめて掛札先生と一緒に仕事をさせていただいて、

そのスピード感に圧倒され、仕事の緻密さに本当に驚きました。

掛札先生は、この本の参照文献等のリンクを貼ったウェブサイトも公開されるそうです。

http://www.kodomoinfo.org/

本は、Amazonで予約受付中。


挑戦も、安心も、の園庭環境2018/03/26

待ちに待った本が、届きました。

木村歩美、井上寿著
『子どもが自ら育つ園庭整備: 挑戦も安心も大切にする保育へ』
ひとなる書房 2017
子どもたちが挑戦できて
大人が安心して見守ることができる。
それこそ、多くの保育者が求める園庭ではないでしょうか。
本書には、「子どもが育つ園庭づくりのポイント」
「大人が安心して見守ることができるための園庭づくりのポイント」が
豊富な写真とともに、まとめられています。

園庭の改善に取り組んだ各園のプロセス紹介では、
一日で撤去した遊具も、なぜ撤去したのか、
その理由と写真が掲載されているのです。
この、じっくりゆっくり、試行錯誤のプロセスが、
子どもへのまなざしが変わるために必要な時間だと感じました。

また、
p88からの「園庭を構成する環境要素とその関係性」と、
p116からの「園庭での大人の安心感には何が必要か」は、
大型遊具を選ぶ園長のみならず、
園庭づくりや園設計、遊具開発に携わる方にも、
読んでほしいポイントです。

園庭や公園の遊具には、
大人がハラハラして見守らないといけないものが
とても多くあります。
元々事故が起きやすい形状をしているために、
保育者が、子どもを止めないといけないことがおきます。

この本を読んで、
保育者が、ハラハラする大型遊具と、
安心して見守ることができる大型遊具の違いを理解し、
その改善方法がわかると、
安心して大人が子どもを見守ることが増えるでしょう。
「園庭が変わると、子どもが変わり、大人が変わり、保育がもっと楽しくなる!」
ですね。(カバー裏より)

環境構成の原則の研究者として、
とても面白いと感じた部分は、
p38のコラム「どんな『動き』を誘いだしたいか」です。

木村先生は、乳幼児期に身につけていく動きを、
①地球で生きていくために要求されるもの、
②生活を維持・向上させるために要求されるもの、
③社会を維持するため・競技に取り組むために要求されるもの
の3つに分け、
①②を優先することが大事だと述べます。

この観点で、改めて全体の写真を見直すと、
自然界にある形状に近い遊具づくりが行われていて、
「直線、等間隔、同じ太さなど自然界では存在しないパターンで構成された」
人工的な遊具よりも、①の動きを引き出し、
自分の身を守る力も高まるように構成されていることがわかります。

p124の「声かけの怖さ」は、
保育者や保護者に読んでほしい部分です。

最後に、p146~157の
小林じゅん子先生(前西池袋そらいろ保育園園長)が書かれた
「私たちの縁庭物語」は、感動ストーリーでした。
読み終わった後、「すばらしい」と拍手したくなります。

園庭を改善してみたいと思う保護者や保育者は、
まずプロローグと第一章のカラー写真をながめ、
そして「私たちの縁庭物語」を読んで、
そして本文へは、いかがでしょうか。

今回は、私の本に対してAmazonにいただいたコメントを
ちょっと真似して書いてみました。

今日は、研究会のエクスカーションで、本書に紹介されている
鳩の森愛の詩瀬谷保育園さんへおじゃまします。楽しみです。

自然科学に関する絵本2018/02/17

先日の授業研究会は、千田先生が紹介して下さった保育内容環境の教材で盛り上がりました。

私も、研究会では紹介できませんでしたが、
年末から、何度も眺めているのが、かこさとしさんを特集した雑誌。
とくに「科学者が読むかこさとし」の特集が面白い!




自然科学の絵本に恵まれている日本の子どもたちは何と幸せなのでしょう。
私も、子どものときに、これらの本と出会いたかったものです。

まずは授業で使う絵本の購入をしようと、リスト作成をしました。
内容は難しいものもありますが、難しいことが好きな年長さんのために入れました。
だるまちゃんシリーズ、101ちゃんや、カラスのパンやさんシリーズなどは定番ですから入れていません。
かこさとしさん以外でも、自然科学に関する絵本を厳選しました。
何十年も絵本を出し続けてくれる日本の出版社には感謝です。

宇宙 (福音館の科学シリーズ) 福音館書店         ISBN-10: 4834007367

地球 (福音館の科学シリーズ) 福音館書店         ISBN-10: 4834004457

(福音館の科学シリーズ)   福音館書店         ISBN-10: 4834002012

人間 (福音館の科学シリーズ)  福音館書店       ISBN-10: 4834012786

か わ (こどものとも絵本)    福音館書店         ISBN-10: 4834000672

絵巻じたて ひろがるえほん かわ 福音館書店     ISBN-10: 4834082717

ゆきのひ (こどものとも傑作集) 福音館書店       ISBN-10: 4834001172

どうぐ (かがくのえほん)     福音館書店         ISBN-10: 4916016351

ちのはなし (かがくのとも絵本)福音館書店        ISBN-10: 4834007294

かさぶたくん (かがくのとも絵本)福音館書店      ISBN-10: 4834016404

はははのはなし (かがくのとも絵本) 福音館書店   ISBN-10: 4834003191

あなたのいえ わたしのいえ   福音館書店         ISBN-10: 4834003175

地下鉄のできるまで       福音館書店         ISBN-10: 4834003515

万里の長城         福音館書店 ISBN-10: 4834026523

ほねはおれますくだけます (かこさとし からだの本) 童心社ISBN-10: 4494009288

よわいかみ つよいかたち (かこ・さとし かがくの本) 童心社         ISBN-10: 449400958X

うつくしい絵       偕成社   ISBN-10: 4034170107

ピラミッド―その歴史と科学  偕成社; ISBN-10: 4035293202

小さな小さなせかい―ヒトから原子・クォーク・量子宇宙まで 偕成社       ISBN-10:4034372206

大きな大きなせかい―ヒトから惑星・銀河・宇宙まで 偕成社;         ISBN-10: 4034372109

あめ、ゆき、あられ くものいろいろ 農山漁村文化協会ISBN-10: 4540042882

じめんがふるえる だいちがゆれる 農山漁村文化協会ISBN-10: 454005144

ひをふくやまマグマのばくはつ 農山漁村文化協会ISBN-10: 4540051458


巣鴨駅で絵本探し2016/09/30

夏の実習訪問の合間に、巣鴨駅へ絵本を探しに行ってきました。
巣鴨駅を出て目の前の大きな道路を左へ歩いて行くと、
5分ほどで福音館書店が見えてきます。絵本好きにはたまらない聖地です。

実はこの福音館書店の社屋の一階に、絵本の販売所があります。

出版されている福音館書店のハードカバーの絵本と、
「かがくのとも」等の月刊誌や「母の友」が購入できます。
ここで絵本を購入できるなんて、誰が思うでしょうか?

この看板がついている入り口から入ります。
昼休みと、土日はお休みなのでお気をつけください。


中はこんな感じ。四面に本が並べられています!(もうこれだけでワクワク)
福音館書店の現在出版されているハードカバーの絵本と、月刊誌が置かれています。

最近本屋さんでは保育に使う絵本を探すことが難しくなりました。
日本社会は高齢化が進んでいますが、本屋さんの絵本は年齢(出版年)が若い。
子どもを引き付け喜ばせるお菓子のような本が多く、心の栄養となる本を見つけることは難しい。
ここでは絶版だと思っていた本とも出合えます。


カウンターにあったぐりとぐら。
ここで声をかけて本を購入します。
「かがくのとも」や「こどものとも」などペーバーブックを7冊買って2,723円。
ちょっと得した気分です。

牛乳パックでぞうくんのさんぽ2016/09/21

紹介しなくちゃ、と思っているうちに9月後半になってしましました。

おはなし組木、「ぞうくんのさんぽ」
見るだけで、子どもが遊ぶ様子が想像できるでしょう?
浜松で初めてこの組木に出会ったとき、とても興奮しました。
重量感があるのもいいですね。

絵本は なかのひろたか「ぞうくんのあめふりさんぽ」福音館書店2006

私は、この組木をさわると、故森島文子さんの声で
「やあ、かばくん」と聞こえてきます。
語りって不思議。ずっと心に残っています。

自由に遊んでいいものですが、
遊び方の例は、作者の森島孝さんのでこぼこBLOGにもあります。

おはなし組木には、他にもおおきなかぶ、がらがらどん、など子どもたちになじみ深いお話が揃います。

このおはなし組木を、牛乳パックで手作りする方法が、「母の友」9月号に掲載されているそうです。
「母の友」福音館書店、2016.9
ちなみに「母の友」は、保育者の友である保育雑誌よりも内容が専門的です・・・はい、「母の友」は良い雑誌です。
9月号の「母の友」の購入は、お近くの書店やこどものとも社さんか、巣鴨駅の福音館書店直売部へ。


これは以前保育園で見せていただいたもの。手作りワークショップを行ったそうです。

保育者が一度演じてみせると、
子どもたちが何度も繰り返して遊べる、これがおはなし組木の魅力です。

保育実習室には、保育者や子どもが繰り返し演じるものとしては、
このおはなし組木しか置いていなくて手作りの人形を作る暇がないまま3年が過ぎました。
ついに手作りをあきらめ、ネットで手作り品を購入。お手玉人形等がやっと実習室に揃いました。

つくって下さった方、ありがとうございます。


わらべうたの布、手作りのテーブル人形、走り人形、ブラブラ人形、手袋人形など・・・。
ちょっと入れ方がごみ箱保育っぽい・・・人形たちごめんなさい。
こんな入れ方だと子どもが片づけにくく乱暴に扱うという見本になってしまいました。
また、どこかで入れ物を探してきます。

子どもからはじめる保育実践2016/05/12

保育学会でお声掛けをいただいた皆様ありがとうございました。一年分のエネルギーをいただきました。
大豆生田先生のあの黄色い本に引き続き、赤い本が出ました。もうお読みになりましたか?勉強熱心な園長先生は必ず手に入れている黄色い本。先生方とお話していると、「あの黄色い大きい本」で通じるのがすごい。


大豆生田啓友「『対話』から生まれる乳幼児の学びの物語」学研、2016

表紙は、目にまぶしい赤に帯は真っ青。う~ん、やはり原色が保育界では好まれるのでしょうか・・・。


表題通り、子どもたちとの対話のなかから展開していく保育の実践を読むことができます。
レッジョ・エミリアの実践を学んでいらっしゃる先生方が多いからか、自然の素材、廃材を使った造形表現への展開を多く読むことができます。また、子どもの豊かな言葉を引き出すという点、領域環境(環境認識と活用)に関する視点を得ることができる本です。今、一斉保育を行っている園でも、取り入れやすい実践や環境の工夫が紹介されています。

実践の研究や共有には写真は不可欠。実践の流れがわかりやすいですね。

「一斉保育」「お楽しみ会保育」は広がりやすいものですが、「教育とケアの意図をもった環境を通した保育」は、なかなか広がりにくいものです。小学校で教科書を使った授業よりも総合学習の方が指導が難しいことと同様ですね。

保育を着実に変えている園のプロセスを見ていると、次のような段階を経ているように思えます。
①一斉保育⇒②環境(園庭・保育室)を充実させる⇒③子どもが主体的に遊ぶ姿を見て子どもをよく知る⇒④子どもの姿から環境をつくることを試行錯誤する⇒⑤保育の実践を子どもと一緒に展開する。
この本を読んで、①⇒⑤から②③④へと行き来する可能性を感じました。

保育を改善している園には、子ども観と保育観をしっかりと持つ中心的な人(多くは園長先生)がいて、保育者同士が語り合うしかけをつくり、保育者に対しても継続的に子ども観・保育観を語り続けていることが、共通して見られるように思います。

他者の実践を読むと、様々な気づきが生じます。園によって、子ども、保護者、保育者、保育室の広さ等状況は異なります。遊びや表現の素材として何を中心に用いるかは、保育時間や空間、保育者の現状によって選択が異なるでしょう。日本の保育では、あるテーマを歌や身体での表現、鬼ごっこなどの集団遊びへと展開することが特徴的だとも気づきました。
写真がたっぷりでわかりやすく編集されたこの本は、他者の実践のどこが優れていて、どこを活用できるか、話し合う材料にもなりそうです。


この黄色い本が、研究室で見つかりません。誰か、私がどこへ置いたのか知りませんか・・・?