電車であやとり2014/12/28

保育園で子どもたちがあやとりをしている写真を撮ろうとすると、「ほうき」、「かめ」、「はたおりき」、「やまのうえ」と次々に子どもたちが見せてくれました。・・・うう、私はそんなにできない。
12月。卒園前の子どもたちは、あやとりも上手です。



そして休日。駅のホームであやとりをしている幼児を見かけました。
電車でゲーム機をもっている子どもはよく見ますが、あやとりをしている子どもを見るのは初めて。
周囲の人からもあたたかいまなざしで見られ、「上手ね」と声をかけられることもあるでしょう。
ひも一本で荷物にもなりません。

今月の園便りに、「帰省の際には、あやとりのひもを一本持っていくと便利ですよ」なんて園の先生が書いたのかな、それとも育児雑誌の帰省特集に、「あやとりのひも」が載ったのかしら、なんて想像しました。いずれにしても素晴らしい。

今年も大変お世話になりました。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。


赤ちゃんの体を育む2014/09/07

0歳は、運動の中心である腰、知性の原点である注意力、心の根っこである人への信頼感、この3つが育つ大切な時期です。これらは、愛情を注げば自然に育つ性質のものではありません。子育ては本能ではできない学習性の行動。子育て支援を担う保育者としては、これらを育むポイントを、保護者にわかりやすく説明できるとよいですね。

今回は、運動の中心である『腰』を育てることについて、ポイントを書いてみたいと思います。
顔から転ぶ子どもが増えているというデータがありますが、2歳をすぎても歩くとすぐに疲れて抱っこをせがむ子どもや、歩行がいつまでも安定せずに転びやすい子どもが増えているという声も聞きます。0歳児クラスや子育て支援の担当者は、家庭生活の変化に配慮しながら、保育・支援内容を考えていきたいものです。

ポイント1 早寝早起き、夜ぐっすり。午前はにぎやか夜静か。
 
運動には脳の成熟が現れます。生活リズムが脳成熟の基盤。脳が機能し健やかに発達するためには、睡眠が大切です。今は昼は静かで夜がにぎやかな家庭も多いものです。赤ちゃんは昼間に太陽の光を適度に浴びることが必要。昼間は家に人を呼んだり散歩や買い物に行くなどしてにぎやかに過ごし、夜8時頃には静かに真っ暗な部屋で眠ることが、発達の基盤になることを、0歳の時期に上手に伝えておきたいものです。

ポイント2 仰向けで手足をバタバタ動かすことが大切、育児用品はほどほどに。
0歳の基本姿勢は、仰向けか、うつぶせ。仰向けで手足をバタバタと動かし、腰をねじり、思い通りに体が動かないよと時に泣いたりしながら、体を上手に動かせるようになっていきます。
子どもが求めてもいないのに抱っこばかりされていたり、お座りを介助する育児用品に長時間入れられていたり、ベビーカーやチャイルドシートや歩行器に長時間座らされたりしていると、赤ちゃんは運動する機会がありません。
目を合わせずに抱きっぱなしは、おサルさんの子育て。人間の子育ては、仰向けで目と目を合わせ、手に物を持たせます。子育て支援では、赤ちゃんを仰向けに寝かせて視線を合わせて話しかける保育者の姿を見てもらえるように工夫しましょう。またハイハイは、歩行よりも難しい協調運動であり、腰が据わった子どもでないとできません。まだハイハイをしていない時期に、大人が無理やりお座りをさせてしまうと、赤ちゃんはビクとも動けなくなります。
仰向けやハイハイを促す環境をつくり、探索をあたたかく見守る保育者の姿勢を意識的に見せたいものです。




ポイント3 さわって、くすぐり、キャッキャと笑わせると、手が開いて足が上がる。
体の緊張が強い、あるいは逆に弱すぎる場合には、歌いながら、なでてさすって体をできるだけさわりましょう。赤ちゃんはうれしいと、手が開き、足をピョコピョコと動かします。仰向けで上からあやすと、手のひらが開きます。仰向けで腕や足を大きく動かすことで、腰も据わります。
本能で、赤ちゃんはあやせません。初めてのことはわからないし、知らないこと、見たことがないことはできなくて当然です。他の人の自然な子育てを見る機会を、子育て支援や日常の保育で作りたいものです。




ポイント4 なめる、さわる、体を動かすことを見守る。
早期教育の情報があふれているため、赤ちゃんには刺激を与えないといけないという誤解が流布しています。しかし一方的に赤ちゃんに与える刺激はむしろ害。「何か刺激を与えなくては」と、乳児期からテレビを見せて、自分で遊べない子どもや、人よりも映像刺激を好む子どもに育ってしまうと、保護者は後で苦労することになります。
赤ちゃんの遊びは大人には理解しがたいもの。赤ちゃんは、自分の手や物を見つめたり、さわったり、なめたり、体を動かすこと自体が遊びであり、発達に必要な行動であることを、上手く解説できるとよいですね。


保育者は、子どもが「自分でできた」と思うように、援助することが上手です。
保護者に対しても、説教がましくなく、楽しく自然に子育てについて知ることができるように工夫してみたいものです。

仰向けで遊ぶあかちゃんたち2014/03/22

先週、前任校の卒業式を見届けてきました。学生たちの晴れ姿に感無量でした。みんなおめでとう!!
その後、浜松駅近くの子育て支援広場「ここみ広場」へ。今日は赤ちゃん広場の日だそうです。


浜松市地域協働センターのここみ広場の入り口。木製のドアがついていました。



お部屋の中は、何度もレイアウトを変えているのだとか。スタッフの来場者への思いが伝わってきます。
赤ちゃんの保護者がとても利用しやすいスペースです。


写真の許可をいただきました。ママたちの笑顔がとても素敵でした。

「無料幼児教室」や「幼稚園予備校」のような子育て広場があるなかで、乳児期からの健やかな子どもの育ちの支援と親子関係形成の支援を行っている「ここみ広場」は、とても貴重な存在です。

それにしても、意識をし始めると、首の据わらない赤ちゃんを縦抱きにしているパパやママが目につきます。「お父さん、赤ちゃんは首のところを手で支えて・・・」と声をかけたいけれどどうしよう・・・と一人スーパーで悶々とする私でした。


乳幼児期の教育(保護者向け通信)2014/03/16

一体化の議論によって、幼児教育=学校教育、幼児教育=先生が前に立って何かを教えること。認定こども園では何か幼児教室的なことをしなければならないという誤解が、ごく一部の保育者に生じつつあります。

「学校教育」「保育・教育」という言葉が連呼されることによる「保育」(養護+教育)の危機に対して、私は何ができるのか。お正月に自分の無力さに腹立ちを感じながら、乳幼児期の教育をテーマに保護者に向けた通信をカリカリ書いていました。まだ下書きですが、お便りを出す現場がないので清書する気にもならず、2か月間放置。実習訪問も終わったため、ダウンロードできるサイトをつくりました。

通信は下書き(字やイラストはめちゃくちゃ汚いです)ですから、先生方が完成させて、自分らしい文章とイラストで自由に活用していただければと思います。下書きは高山とか書く必要もありません。

保護者向けのお便りをダウンロードできます

保育園や幼稚園は、毎月通信を出すことができるという「強み」があります。
そのお便りをちょっと工夫するだけでも、幼児教育に関心が高い熱心な親御さんには、安心していただけると思います。
ある園長先生は、保護者でいろいろと心配される方には、「うちの園の方針は、お茶ノ水女子大学付属幼稚園」と同じ保育方針なんですよ。文部科学省も、幼児期は遊びが教育であると言っているんです」と説明するそうです(笑)。

最近いろいろと考えさせられたので、過去に出した保護者向けのひだまり通信も掲載しました。012歳児クラスをお持ちの先生方、子育て支援に携わる皆様方にご活用いただければと思います。

ここ数日、口の中が痛くておかゆとジュースだけ。明後日の卒業式までには直したい・・・。

家庭にこもりがちな親子に2013/12/23




P研(保育の専門性研究会)のメーリングリストで、貸出用の玩具を希望する家庭に保育士さんが届けるという取り組みが紹介されていました。めぐみ保育園 絵本とおもちゃの貸出宅配サービス にこにこ便
初めての家庭でも、玩具を届ければドアを開けてお話ができるし、玩具の説明で家に上がることもできるそうです。本当に先生方の工夫は素晴らしいですね。

子育て支援者が集まると、家族だけで子育てをしている親子にどうアプローチするかが話題に登ります。
今回は、子育て支援の広場や支援センターのスタッフが、実際に行っている工夫をご紹介します。

□ホームページを設ける
初めての場所に行くのは誰でも不安。園内の様子広場やセンターの中の様子がわかる写真など、少しでも安心して利用できる情報を公開します。電話番号は市外局番から。転居してきた人にもわかる地図も必ず入れます。
□利用したくなる情報を掲載する
パンフレット、通信やホームページには、読むと思わず利用したくなるような情報を優先的に掲載します。たとえば、転居してきた人や一人で利用する人が多いこと、3か月の赤ちゃんでも利用できること、子どもは親と密着しているよりも多様な人のなかで育つことが大切なこと、模倣とかかわりで子どもは伸びることなどの情報です。
□親が外へ出たくなるような情報を掲載する
通信やホームページには、自然とかかわって楽しげな子どもたちの様子、小さな子ども同士で楽しそうに遊んでいる様子、他の子どもが楽しそうにしている様子など、他の子どもの真似をしてトイレにいく様子など、子どもが健やかに育つには、自然と人のなかで子どもを育てることが大事だと感じる情報を掲載します。
□家庭内でのこもりきりでの子育てを防止する情報を掲載する
家庭にテレビベビーシッターさんがいて、早期教育のDVDや乳幼児向け番組・DVDが赤ちゃんや幼児の相手をしてくれる場合には、公園や支援の場を利用する必要性がありません。テレビを消すと子どもは親に遊んでほしがるため、親が子どもを外へ連れ出すことが増えます。日本小児科医会等の「2歳まではテレビを見せないようにしましょう」という情報を転載して活用します。
□電話の応対では会って話すときよりもあたたかく心をこめて応対する
保護者が電話で問い合わせをするときには、初めてで不安があったり、悩みがあるときも多いもの。電話の応対は直接会ったとき以上にあたたかく丁寧な対応をしています。
□乳児向けのイベントを開催する 
ベビーマッサージ、夜泣き講座など、子育てをはじめたばかりの時期に、保護者が外へ出て人と自然のなかで子育てができるようなきっかけづくりになるようなイベントを優先して開催します。
□乳児向けの環境構成を行う
支援の場は、おとなしい人や、一人の人、赤ちゃんを連れた保護者が、最も居心地が良くなるような環境を構成します。1歳をすぎて粗大な動きが多くなったときには、広い空間のある屋内や公園など、思い切り体を動かすことができる場が子育ての中心になるように援助をします。
□ママスタッフやママボランティアを仕組み化する
スタッフやボランティアに参加するママやパパは口コミ力が強力です。ママボランティアさんたちは、公園でも、あの人は一人きりではないかしら、と思う人を見つけると、思わず声をかけてしまうそうです。
□集団検診(3か月検診)の場で、スタッフや利用者がパンフレットを直接手渡しする
3か月検診が集団検診の場合、ほとんどの人が一人で来ていて待ち時間も長いもの。スタッフが「私がスタッフをしています」とちょっとそこで話をしたり、ママスタッフが子どもを連れて「赤ちゃんでも来れます」とチラシを配ります。一言でも話をすると、ハードルがぐんと下がり行きやすくなります。
□主任児童委員、保健師さんなど連携を取り、場に来てもらって内容を説明する日を設ける
保健師さんや相談窓口にいる職員と連携することによって、相談後に一緒に広場につきそってくれる保健師さんや紹介で来場する人が増えます。一度、場に招待をして、スタッフたちと話をすることが大切なようです。主任児童委員の研修では、子育て広場でのボランティア体験を行っているところもあります。
□新生児訪問のときにパンフレットを手渡ししてもらうように保健所に毎月通信を持参する
□転居してきた人がいく市役所の窓口にパンフレット(名刺大)を置いてもらう
□産婦人科、小児科、スーパー、薬局などにパンフレットを置かせてもらう
□地域の回覧板で、地域の親子に向けて通信を配布してもらう


他にもこんな工夫があるという場合、ぜひお教えいただければと思います。
上記は、子育て広場などいつでも来ることができる場をもっている支援者が行っている工夫ですが、
子育て家庭への訪問を中心的な支援活動とするホームスタートジャパンの取り組みも広がっています。

連絡帳(ノート)のポイント2013/10/06

後期の授業がはじまり、いこいの広場は学生たちの声でにぎわっています。

保育の専門科目では、専門知識や技術のなかに、人間観や社会観などさまざまな価値観が含まれています。職業教育を通して教養を身につけ、学びを重ねるごとに考え方や生き方を深め、ふるまいが美しく誠実になる学生がいるとするならば教員にとってこれほどの喜びはありません。

対人援助職である保育士の場合、乳幼児から青年期までの子どもと保護者という成人を、援助・協働の対象とし、同僚、上司、地域の方、ボランティアさんなどさまざまな人と職務を共にします。相手が、子どもでも大人でも、障がいや疾患があっても、基本は変わりません。
たとえば保育園で書く連絡ノート。その書き方を大学等で学ぶ学生は少ないと思いますが、保育士としての対人援助の基本は、連絡ノートを書くときにも応用ができます。


なごみ保育園さんのオリジナル連絡ノート。


保護者に、文章で子どもの様子を伝えるときには、3つのポイントが考えられます。
1つめは、明るくあたたかい文章で書くこと。
2つめは、子どもの姿を肯定的に描くこと。
3つめは、具体的に様子が目に浮かぶように書くこと。

ネガティブな内容は、連絡ノートに書く必要性がありません。

この3つは、子どもとの日常のかかわりの基本と同じです。明るくあたたかく肯定的にわかりやすく。日頃からニコニコと子どもを見守っている先生は、ノートにも、笑顔の文章があふれていることでしょう。

ノートやメールで相談があり、返信を書く必要がある場合には、基本は面談と同じと考えてみてはどうでしょう。
①まず、保護者の気持ちを受け止める
②子どもの行動や気持ちを代弁する
③具体的な行動のアドバイスがあれば伝える
④親の気持ちが軽くなるような言葉を添える(保育者の見方、発達の見通しなど)

子どもとも保護者とも、①が最初。「くやしかったねえ」、「大変でしたね」など、まずは受容を基本にしたいですね。
このような連絡ノート、通信、保育参加、行事等、保育の日常による保育園・幼稚園での保護者支援の具体例は、那須信樹編「家族援助論」保育出版社に書きました。環境を通した保護者支援は、柏女霊峰・橋本真紀編「保育相談支援」(新プリマーズ)ミネルヴァ書房に書いています。


保育内容を保護者に説明する2013/05/23

平成20年に改正された「保育所保育指針」では、保育所の社会的責任として、「保育所は、保護者や地域社会に当該保育所が行う保育の内容を適切に説明するよう努めなければならない」と、努力義務が示されています。

公立保育所の場合には、市町村のホームページに保育園情報があります。しかし以前こども未来財団にあった全国の保育所情報が例の仕分けで消えてしまって以来、保育内容の説明がないページが多くあります。市町村の担当課には、「保育所保育指針」を理解した保育の専門性を保持する専門官が必ずしもいるわけではないため、情報公開の程度は、市町村によって異なります。

これに対して、私立の保育園では、各園で、ホームページ等での保育内容の説明が行われてきました。最近、一段とその説明内容と方法が洗練されていることを感じます。社会福祉法人の園では、園長先生やベテランの保育者が数年で移動することがないため、各園で着実に実践を蓄積できることと、戦後の焼け野原のなかで保育所を始められた園では若い二代目、三代目の園長に交代しはじめていることも、関係あるのかもしれません。

いつも、園の先生方の実践には驚くばかりですが、最近とくに、これはすごい!と感心した実践をご紹介します。
まずは、浜松市のなごみ保育園の志賀口先生の実践です。

                  これが、保護者への保育園の説明ファイルです。本のような厚さです。

                  保育の内容や環境の意図が、写真とともに詳細に説明されています。

 各年齢の発達のポイントや保育なども説明されます。卒園の写真を見ることで保護者は見通しをもてるでしょう。

          保育者が参加する研修、園内研修の様子を含め専門性の向上のための努力が説明されています。

この冊子は、園長先生が二年ほどかけてまとめられたそうです。私が何より感心したのは、園長先生が、これだけの保育内容を説明できる保育の専門性があるという事実です。保護者が入園時にこの冊子を渡されたら、保育園に対する信頼が、一気に高まるでしょう。


福岡市の和光保育園でも、保育園では珍しい設備を発見しました。
プロジェクターが、公共施設のように天井に作りつけになっています。これは珍しいですね。
これは、入園式、卒業式の際に、保護者にDVDを見せるために取り付けをされたそうです。
和光保育園さんは、保護者支援で大変に勉強させていただいた園です。保護者を共感的に理解しようとしていらっしゃる先生方だからこそ、保護者への説明には口頭に加えて視覚的な補助が必要だと気がつかれたのでしょうね。


入園式では一年間の保育の流れを写真で見せます。保護者に見通しと期待を、持っていただけるそうです。

卒園式では、0歳からの子どもたちの姿を編集し流し、保護者にはDVDを焼き増ししてお渡しされるそうです。卒業式の保護者の様子が目に浮かびます。


こちらは、浜松市のこまつ保育園。保護者が自由にみることができる保育内容のファイルです。
    
今日の保育、今週の保育といった保護者向けに壁に張った報告を、ファイルにまとめています。
時々しかお迎えに来ないパパやママ、祖父母も、保育の内容を見ることができます。


                  今年の造形展の記録だそうです。今年こそ行きたい。

                      作品の制作のプロセスが説明されています。


保護者に対する写真を使った保育内容の説明資料は、保育者同士が実践と理論を共有し合い、高め合うためにも効果的ですね。

実践を見せていただくたびに、保育現場の進化のスピードは本当に早いと感心します。
カメ(私)も、全力疾走でついていきます。

ここみ広場の新しい一歩2013/02/21

大学の保育実習室でひろばを開き、大学に多大な貢献をしてくださった「ここみ広場」が、3月に浜松駅前の浜松市市民協働センターへ移転することになりました。

「みんなのまちの縁側」 浜松市市民協働センター

「私は保育の専門性向上のために保育者養成に専念します。子育て支援よ、さようなら」と宣言をしたのが5年前。
しかしなぜか浜松に来ても、子育てひろばを始めてしまうことになりました。私の都合で大学での広場開設となりましたが、大隅和子さん、河村浩美さん、徳永こずえさんはじめ、心優しいここみ広場のスタッフの皆様には、学生共々たいへんにお世話になりました。


 
                 元共同研究室の何もない空間で準備をするここみ広場の皆さん(撮影2009)。 


このわずかな数年間で、ここみ広場の皆さんは、子育て支援のモデル提供、支援者への情報作成、外遊び、自然遊びの促進など、子育て支援の質を高める事業を行ってこられました。とくに、乳児期の子育て支援利用の促進には、目をみはるものがあります。0歳児を持つ保護者の利用を勧めるためにさまざまな工夫をされ、2年間で乳児親子の利用率を大幅にアップされています。(この内容は2013年5月の保育学会で河村浩美さんが発表されます)

ここみ広場は、これから浜松市市民協働センターという力強いサポートを得て、いよいよ市民主体の子育て支援を拡げるという次のステップへと一歩を踏み出すことになります。

新しいここみ広場を、皆様どうぞ応援してください。

クリスマスの前にイベントをするなら2012/12/29

城南区子どもプラザ(福岡市の地域子育て支援拠点の一つ)の通信を読んでいると、
相沢康夫さんの積木のイベントを開いたことが書かれていました。
積木ショーを見た子どもたちが、サンタさんに「クリスマスに積木をください」と、お願いしたのだとか。
なるほど~。クリスマス前に積木ショー。これは子育て支援のしかけとしていいかもしれませんね~。

「イベントをするなら翌日からの遊びや暮らしがよりよく変わること」が、子育て支援の鉄則です。

ひろばで聞くママの悩みの一つに、クリスマスプレゼントにテレビゲームをほしがる子どもと、買ってあげたいパパやじいじばあばとの戦いがありました。子どもたちが「クリスマスプレゼントは何がほしい」と聞かれて「積木!」と答えれば、ママの苦労は半減しますね。


実は今年、はじめて子どもたちを相手にした相沢さんの積木ショーを拝見しました。

いつも子どもたちが使っている積木が、台の上に並べられ、相沢さんの手でさまざまな形に変化していきます。
そのたびに子どもたちが、「うわあ~」「すご~い」と手をたたき、歓声をあげます。
その日は、相沢さんが魔法使いに見えました。(これほんと)

相沢康夫さんは、自称、百町森の積木の営業マン。
子どもの本とおもちゃ 百町森
http://www.hyakuchomori.co.jp/
相沢さんは、ネフ社の積木デザイナーでもあります。
お話していると、かなりの理系。

保育者は人間好きでファンタジー好きの女性が多いと感じていますが、
幼児教育では、理系の感覚と、男性の感覚を、意識的に取り入れていく必要があるかもしれませんね。


さて、皆様、今年も大変にお世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

ブログなんか書いているけど、お正月の間に仕事は終わるのだろうか・・・。

なぜキャラクターが保育に必要なのか2011/11/27

「園から帰ってくると、子どもの手にアンパンマンが書かれているんです。子どもがうれしそうにしているから、一応『よかったね』と言いますけど、ほんとは先生に、『手に書かないで下さい』と言いたい」
「園の行事で、ウルトラマン音頭を踊るわが子を見て情けなくて涙が出ました」
「うちのクラスには、ディズニー絵本と昔話のアニメ絵本しかありません。参観に行くと腹が立って仕方ありません」
「なぜ先生たちってあんなにアンパンマンが好きなんですか?」

・・・・厳しいけれど、これは以前子育て支援をしていたときに保護者から直接聞いた声なんです・・・。


保護者は、「幼稚園や保育園の先生は専門家」と期待を抱いています。熱心な保護者ほど、保育の内容が「素人っぽく」感じてしまったときの失望感は大きいようです。でも、保護者は、先生には遠慮をして何も言いません。

テレビ番組やDVDになってしまったキャラクターは、子どもが想像をつけくわえる余地が少ないもの。キャラクターは、どの子どもも同じ声、同じ話し方、同じ行動を想像します。幼児はとても想像力が豊かですが、それでもさすがに
ウルトラマンやアンパンマンを赤ちゃんに見立ててごっこ遊びをする子どもはいません。シンプルな大型遊具の場合には、子どもたちの想像によってお家になったり船や消防自動車になったりと変化します。しかしキャラクターがついていると、とたんに子どもたちは想像力を発揮しにくくなります。
映像の再現行為は、類推や人とのかかわりが育っていない子どもにもできます。一方、ままごとや絵本のごっこ遊びは、子どもによって想像する内容が異なり、イメージのすりあわせが必要になります。「こういうことにしよう」と話し合ったり、意見のぶつかり合いでけんかが生じることもあります。
遊びのなかでさまざまな能力を獲得する幼児期には、完成されていて子どもを楽しませるタイプのおもちゃではなく、子どもが想像力や思考力を発揮することで遊びが生まれるような、シンプルな素材と題材を選ぶ必要があります。



子どもを楽しませてくれるタイプの文化は家庭で十二分に与えられています。保育者は、消費文化を園には持ち込まず、市場から子どもを守り、子ども自身がつくりだす遊びを優先したいですね。
キャラクター玩具やキャラクター絵本は、相談室や一時保育で、うまく活用してみましょう。

保育の専門職の場合、専門知識という根拠に基づいて、玩具や絵本の選択を行います。
以前、研究である園へインタビューに伺った際、先生方に「なぜこの人形ですか」、「なぜこの玩具はこの高さですか」とお尋ねすると、「それは・・・」と、そのクラスの子どもたちの発達段階とその玩具の特性とを合わせて、選択の根拠を説明されるのが実に見事でした。家庭では、玩具や絵本を「子どもが喜ぶこと」を基準にすることも多いと思いますが、園は家庭のモデルでもありますので、保育の原理に基づいた選択を行い、それをわかりやすく保護者にも説明できるとよいですね。





原賀隆一さんよりいただいた色紙
             草は子どもが想像力を発揮できるシンプルな素材。絵は原賀隆一「ふるさと子供グラフティ」