絵本に詳しくなりたいときは2011/02/07

絵本ってあまりに種類が多くて選ぶのが難しい、という学生からの相談、よくあります。
子どもにあった本や、文化として絵本を選ぶコツはいろいろあるのだけれど、ここでお薦めしたいのは、「こどものとも社」の絵本のカタログ。私は毎年カタログや保育雑誌を捨てる時期になると、園のカタログをもらって帰り、スクラップブック(今でいうポートフォリオ)を作っていました。このカタログには、保育で用いるほとんどの出版社の絵本、紙芝居が網羅されています。一番最初には、保育園・幼稚園に置きたい「基本図書」がまとめられていて、まだ慣れないときには、それを参考にすると間違いないと思います。季節や行事ごとの絵本も参考になるでしょう。

こどものとも社
浜松こどものとも社の安田社長から、昨年のカタログをもらいました。残りあと1冊です。

ブログを見た学生は研究室へ走るべし。

追うほどに逃げる自己実現2011/02/14

2年生と3年生は今週から実習、みんなが健康で風邪をひきませんように。

本日いただいたお花。ありがとうございます。

「ミッション」
という言葉が夜中に浮かび、はねおきました。
大学に入る前の10年間、子ども関連の専門職種に囲まれボランティア団体やNPOばかりの偏った世界にいた私ですが、団体の立ち上げを手伝うために、全く関心がなかった経営(マネジメント)に関する本をずいぶん読みました。
そのなかで、伸びる会社は「ミッションが高い会社」であり、企業でも、社会的な使命感の有無が、その繁栄に影響していることを学びました。組織の中心者(経営者やリーダーなど)は、高いミッションと明確なビジョンを持っていることが大切で、組織を運営するときには、そのミッションやビジョンを共有することが重要なのだと知りました。

若い人たちが自分の人生を経営(マネジメント)していくときにも、この視点がとても大事だと思っています。自分の能力を高めることや自分が関心の中心という内向きの考えでは、自分の自己実現さえ危ういと思います。あの人は本当にすごいと周囲に一目置かれている人は、むしろ自分に関心が低く、社会のこと、人のことにしか関心がないような人。(今日もそういう素晴らしい先生とお話ができました。)
お金も、彼(彼女)も、自己実現も、追えば追うほど逃げるのかもしれません。

私が勤める大学は、地元に密着した小さな大学ですが、『地域共創学科』があります。その推進の中心者である学長は、「地域貢献」や「社会」という言葉を会議等でよく口にされるのです。そういうとき私はわが大学を誇りに思います。

大学に限らず企業でも、自己の利益にしか関心がない内向き組織は先細りするでしょう。社会のため、地域のためと高い志を持って働くときに、遠回りのようですが、組織の繁栄にもつながる気がします。また自己の利益のためではなく社会のために働くことが、「専門職」としての条件です。

子どもの貧困、子育てが困難な家庭の増加、幼保の一体化、地方移譲による最低基準の課題、今保育の世界は課題が山積です。保育の教員は、これらの問題の解決に時間を使う必要があります。

保育者の研究、研究者の研究2011/02/21

「み~どり子め~で~る母のあ~い~、永久に安らけく~~いわ~た保育士会」。
朝から何度も研究室でくりかえしております。実にうつくしい、いいうたです。

今年もいわた保育士会の研究大会に呼んでいただきました。ありがとうございます。
各園から代表が集まり、月に一回のペースでまとめていくことがどれほど大変なことか。しかしそれでも今年も大変に力作の発表がありました。本当は、「すばらしい!皆さんよくがんばりました!」で終わりたいのですが、今後のこともあり、いくつかコメントをさせていただきました。(先生方、好き勝手なコメントを述べて申し訳ありませんでした)

私は現場にいたときから不思議だなあ~と感じていたことがあります。それは、保育者は「実践も研究もして当然」と言われ、研究としてここが不十分、あれが足りないと指導を受けてきました。なんで研究者は「研究も実践もして当然」と言われないんだろう~。保育者が実践も研究もと言われるのであれば、研究者も実践ができるようになろうよ、へんなの、とブツブツ思っていたわけです。

自分が研究者の立場になり、しみじみ保育者が研究者と同じような研究を行う必要はない、と確信を持つようになりました。私の恩師である横山正幸先生は、「教員は、実践がもっとも大事だ。実践報告で良いのです」とおっしゃっていました。保育者の場合には、先行実践を調べ、他の園と実践を交流し、交流によって生じた新しい取り組みを報告し、その結果を考察するだけでもいいと思うんです。研究者のようにデータを分析したりしなくてもいいよ~と思ってしまいます。研究者はアンケート調査はできても、実践報告は絶対に書けないのですから。

一年目は〇〇について毎回二人ずつ文献を調べて発表し議論。二年目は各園で実践できる部分を実践し互いに見学に行く。その内容と考察を報告します!というようなじっくりと取組む研究会もよいのではないでしょうか。だって日頃研修時間がとりにくいのですから。他園を一年間見学して、記録して、意見交換して、それを自園の実践にいかして報告なんて方法もあるかもしれません。

保育者の研究は、子どもたちのため、保育の質を高めるためですから。先生方の貴重なお時間を、研究者に合わせるために使う必要はない。私たちの実践こそが知的財産だ、と胸を張って報告していただきたいと思います。
 経験知を言語化する(今年度の研究会での様子)