病気やケガと上手くつきあう2020/05/07

仏教でいうところの四苦、「生老病死」。
病気やケガといった苦しみは、人が生きる上で逃れることができない苦しみです。

大事なわが子に、病気もケガもしないでほしいというのは、親としては当然の願い。
しかし、子どもが病気もケガもしないためには家を無菌に保ち、一生涯家から一歩も外に出さないことしかありません。一生、病気もケガもしないことは、人間である以上無理な願いです。

子どもたちに、ケガや病気をしてほしくないのは、保育者も同じです。
ただの託児であれば、子どもに一切ケガや病気をさせないようにします。
しかし保育では、ケガや病気を一切しない保育をめざすことはできません。それは乳幼児期は、子どもが生涯健康に生きるために必要な免疫力や身体能力を獲得する重要な時期だからです。

たとえば、保育では、自分を大きなケガから守るための身体能力を習得できるように、自然環境に近い園庭をつくり様々な動きの機会を提供します。同時に大きなケガをしないように子どもを守ります。デコボコの園庭で転んで小さなケガをすることは、子どもが高い身体能力をもつ上では、むしろ望ましいことといえます。

同様に、一生病気と上手くつきあっていくためには、乳幼児期に病気への免疫力をつける必要があります。予防接種でつける免疫には限りがあります。子どもの身体は、次々と生まれる新しいウイルスに立ち向かわなくてはなりません。命に関わるような病気は避けないといけませんが、様々な病原体に対する抵抗力をつけていく過程では、せきや発熱などの防御反応を繰り返すことも必要だと考えられます。

最近免疫に関する研究の翻訳が続いています。乳幼児期に過剰に清潔な状態で育つことや過剰な投薬によって腸内細菌の様相が変わること。それがアレルギーなどの自己免疫疾患の原因や、病気へのかかりやすさや重症化に関係すると指摘されるようになりました。本を読んでいると「乳幼児期には土は食べた方がいい」とか「腸内細菌で情緒の安定度が変わる」などギョッとするような記述が見られます。15年ほど前だったでしょうか、O-157が保育園で流行した際に清潔な子どもほど重症度が高いという研究を読んだことがありましたが、腸内細菌研究は今とても進んでいるようです。

子どもたちには、病気にかからず、ケガもしないでほしい。
でも免疫力と、大きなケガから身を守る身体能力を獲得してほしい。
保育の選択には、常に矛盾がつきまといます。




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