免疫力を高めるをテーマにしたお便り2020/06/05

ほとんどの園が再開しましたね。

この暑さのなかで、マスクをして園庭で動き回る先生方が心配です。
マスクをしての運動は危険。熱中症の危険性も高まります。
子どもにも運動量が高い活動では、マスクを外すように促すと思います。
園庭では、保育者もマスクを外すことが必要です。

もしも「先生は絶対にマスクをしてください」と、保護者から意見が出るようでしたら、
海外の園のように、園庭にビーチパラソルを立てて
保育者はアイスティーを飲みながら、座って子どもたちを見守るのはどうでしょうか。
マスクをするのであれば、保育者は走り回らないこと。
先生方が健康を崩したら、園の保育は成り立ちません。
健康第一です。


さて園長先生方より、保護者向けにお便りを頻繁に出しているとお話を伺い、
私も、保護者向けに「お便りの案」を書いてみました。
(スキャナーが今使えず見にくいですね。すみません)


【親子ともに、病気に負けないための10のポイント】
①早く寝る、②腸によいものを食べる、③消毒、殺菌しすぎない、④疲れすぎない、⑤水分補給、
⑥換気、湿度、⑦日光にあたる、⑧体を冷やさない、⑨動く、外で遊ぶ、⑩笑う、うたう

他の保護者向けのお便りの下書きはダウンロード用のページにあります。

ご参考まで。

ところで、保育者に「園庭でもマスクをして」という保護者や、
子ども同士がじゃれあう姿を見て「密になっている」と怒る保護者は、
子どもと外で遊んだ経験がなく、家でも関わっていない可能性がありますね。
要観察かもしれません。

お家で子どもを見ている保護者のために2020/04/22

*保護者を支援するお便りのヒント*を書いてみました。
医療従事者等子どもを預けて働いている保護者もおり、一律にお便りを出せないとは思いますが、保護者が家庭で煮詰まっている、預けたいという保護者が多いという先生方の声に応えて書いてみました。あくまで参考になさってください。
冒頭のメッセージは、状況により異なると思いますので入れていません。地域には公園がない、道路が危険で散歩はできないなど子育て環境は異なると思います。ご自身の地域に合わせて改変してください。運動量の高い遊びの紹介や、テーブルゲームの紹介など先生方の専門性を加えてくださいね。

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ピンチをチャンスに~外出自粛期間だからこそできること

1 親子ともに免疫を高める生活をしましょう
午前中に光を浴び、ふだんよりも早く夕食を食べ、家族で早めにたっぷりと寝ちゃいましょう。不安だと免疫が下がるので、気持ちの軽くなる音楽をかけたり、家族でテーブルゲームや、あっちむいてほいをしたりして笑う生活をしましょう。

2 「関わり貯金」をしましょう
ふだんは忙しくてできなかったことを、この時期にやってみましょう。一緒に遊ぶ、ご飯を子どもとゆっくり作る、部屋の掃除の仕方や洗濯の干し方をていねいに教えてみるなど、ふだんはできない「関わり貯金」をして、10年後に(あの時期があってほんとうによかった)と思いだしましょう。

3 子どもの発達欲求を理解しましょう
子どもは発達するために心と体を動かしたいという欲求にあふれています。乳幼児期は手を使い、動き、人と関わることによって脳のシステムを作る時期です。そのため子どもが家にいると家が散らかります。また親にまとわりつきます。
家が散らかったら「ああ立派な脳ができたな」とあきらめましょう。まとわりついてきたら、「人との関わり方を学びたいんだね、なんて学習意欲の高い子なんだ」と喜びましょう。親が「めんどうだ」と思うことはたいてい子どもにとっていいことです。

4 親子で運動を毎日しましょう
植物は動かないので脳は不要です。人間は道具を使い動き人と関わるために脳が必要です。とくに2歳頃からはバタバタとした動きを欲します。人込みをさけて動き回る時間を作りましょう。マンションの室内では、床に分厚いマットを敷いて防音をしたうえで、手押し車、布団の上で転がる、相撲、ダンス、体操(運動量の高い大人向けを)子どもが全身を動かすことができるようにしましょう。掃除や洗濯などの家事も運動です。

5 子どものストレスになるものを知りましょう
子どもにも礼儀を守りましょう。「ばかじゃないの」など、大人に言わない言葉は言わないようにしましょう。子どもの行動や話は、一度「それがしたいんだね」「そう思ったんだね」と、声に出して受け止めてみましょう。
子どもによって映像メディアの光や音刺激がストレスになる子どもがいます。スマホでゲームをすると機嫌が悪くなる、テレビを見た後は異常に動き回るという行動が見られたらメディア視聴は控えましょう。

6 追いかけられたら追いかけましょう
逃げると追い、追うと逃げるのが子どもです。子どもは親が電話をしたり、仕事に夢中になったりしていると「私を見て、見て」と寄ってきます。そんなときには一度仕事をあきらめ「好き好き大好きだよ」と抱きしめ、高い高いやグルグル回しなど子どもがもういやと逃げていくほど関わりましょう。仕事の机は子どものすぐそばに置いて、子どもにまなざしを送り声をかけるようにしましょう。


子育て支援施設の支援機能をチェックする2019/10/06

休日は雨。孫たちと一緒に某市の子育て支援センターへ行きました。
でもまた出ました悪い癖。孫と遊ぶより、すぐに環境チェックをしてしまうのです。。。

「子育て中の親子が自由に交流できるフリースペース」とうたわれた施設は、
木の広場や水遊びの広場など設備も充実しています。
しかし実際に利用してみると、
そこは公営の『屋内遊戯場』であり、子育て支援の場ではありませんでした。

まず、全体の空間づくりと、雰囲気づくり。
ショッピングセンターの子どもの遊び場やゲームセンターよりもうるさく、
体感的には80㏈をはるかに超えている感じです。
そのうえ赤ちゃんのコーナーの真横に、楽器のコーナーがあり、赤ちゃんの空間が最もうるさい。
乳児を子育て中の保護者は睡眠不足がちで肩こりもあります。
ここを利用するとますます疲労が増え、頭痛が起きるかもしれません。
大型遊具が多く設置されているコーナーも吸音材を使っていないために、声と音が響いていました。

次は、人的環境です。
スタッフは立って子どもを監視、いえ失礼、子どもの安全を見守っていました。
残念ながら笑顔で親に話しかけたり相談にのる人を、この日は見ることができませんでした。
物的環境を変えれば、スタッフは笑顔で座っていられるのに、う~ん言いたい!と悩みました。

安全性はどうでしょう。
『子育て支援の環境づくり』の事故防止チェックリストの項目を浮かべながらチェック。
赤ちゃんのハイハイ広場には堅いおもちゃ、転倒すると危険な大きさの玩具があります。
幼児が遊ぶ場所には「走りません!」とあちこちに書かれています。
いや、「走りなさい」という環境の情報をなくせばよいのですが・・・。
スタッフは大型遊具のそばに立ち、子どもに「下から登りません」と、注意をしていました。

どこにでもある危険な遊具えん

段差が小さく広い階段、足がかりのある斜面(黄色の矢印部分)は、
ハイハイの赤ちゃんでも登ることができます。
しかし赤ちゃんが上に上って座ると落ちる形状(赤の矢印部分)になっています。
小さな段差をはずしてしまえば、赤ちゃんは上らないので、保護者に注意をしなくてよくなります。

大人が注意をして見ていないと大きな事故が起きる可能性がある遊具は、
公園にも園にもあります。
保護者がハラハラして、わが子だけを見ていないといけない場所では、
人と情報交換をしたり、ちょっとした相談をすることはできません。

子育て支援の場は、安心と心地よさがあることで、相談や、人との気持ちの良い交流が生まれます。

子育て支援の場は、子育てをはじめたばかりの保護者が
気軽に相談し交流できる場所、深刻な相談を防止する場としてつくられました。
集合住宅やまちのなかでは、赤ちゃんや小さな子どもは迷惑がられるばかり。
道ばたや縁側のような居場所や交流の場がなくなった地域のなかで、
みんなで一緒に育てられる場所、それが子育て支援の場です。
まちのハードが子どもが育つ、子どもを育てる環境として貧困になったため、
地域子育て支援拠点が必要になりました。

子どもを健やかに育てられる地域環境がなく、
子育て支援の場に行っても居心地が悪く、
子育てを大変だとしか感じられなければ、
保育園への入園希望者は増える一方でしょう。

子どもが育つ環境として、まちのハードを見直し、
子どもが歩ける、遊べるまちづくりに改善するとともに、
各市町村の子育て支援施設の機能を点検をする必要性を感じました。

子育て支援の機能を果たしているかどうかは、相談件数でチェックができます。
イベント以外の毎日の利用者数と、毎日の相談件数が重要です。

新入園の子どものストレスを軽減する4月の保育2019/04/01

新年度を迎えました。

新入園児の保育と、一時預かりは、保育のなかでも最も難しいもの。
とくに1歳前後の子どもは、親との信頼関係ができており、
かつ時間の見通しがつかない発達段階にあり、
後で、お父さん、お母さんがお迎えに来ることを理解するまで時間がかかります。
(最近は、親と離れても泣かない子どもが増えていると聞きますが・・・)

子どもたちが園の生活に慣れるために保育者にできることをまとめました。

まず保育者にできること。
1)物的環境の工夫

・物的環境は、保育者を助ける。4月は生活習慣より子どもが楽しく遊ぶことを優先。
・室内は、家庭では体験できない楽しい遊びの素材や道具を準備する。
・室内の遊びの素材や道具をたっぷり置く。
(以上児クラスから借りる場合は、大きさや形状など安全性を再確認)
・パズル、絵本、自動車など、情緒が安定しなくても遊べる分かりやすい玩具を多く置く。
・自動車や電車、その絵本は取り合いになるため、置くのであれば大量に置く。または一人遊びの場に置く。
・絵本は子どもの手の届くところ、よく見えるところにたくさん置く。家庭で読んだ経験がある絵本の名作を揃える。
・体育館では子どもは不安。空間が分けられていない保育室は、午睡用の絨毯や、食事用の机を置き、そこにできるだけ多くの安全な玩具を置く。
・パーソナルスペースをつくる。段ボール箱、枠、一人用絨毯、など自分のスペースを確保できる空間をつくる
・壁の飾りや誕生表より、子どもの手の届くところの環境づくりを優先する。
・できるだけ室内が混み合わないように、グループで散歩、園庭、室内、ホールなどに分かれる。
・柔らかいものを置く。柔らかい空間をつくる。
・できるだけ外に。砂場の道具は取り合いにならない量を出す。
・動物や虫がいる園では、それらも活用。

2)子どもとの信頼関係をつくる工夫
・赤ちゃんでも、子どもに自己紹介をする。「私は〇〇だよ。・・・・・」
・赤ちゃんでも、泣いていても、子どもに場所の紹介をする。
「ここにはね、木の自動車が置いてあるんだよ。ここでね、ブイーンって自動車を走らせるんだよ、
あっちまでブイ~ンって走らせることもできるね」と遊んでみせる。
・赤ちゃんでも、子どもが見ていたら、その人の紹介をする。「〇〇先生だよ」、「〇〇ちゃんだよ、おんなじ1歳だよ」
・黙って抱っこしているだけでは不安。子どもの体をさわるときは話しかけてから行う。

3)保護者に安心を伝え、保護者の信頼を得る工夫
・保護者には、「泣くのは、信頼関係がしっかりできている証拠で、とてもいいことです」と伝える。
・とても不安そうで離れられない保護者がいた場合には、「一緒に園庭や室内で遊んで、園の楽しさをたくさん伝えてあげてください」と、親にしばらく遊んでもらう。
・保護者と親しげに話し、子どもが、保育者のことを信頼できる人だと感じられるようにする。
・初対面では見た目が大事。保護者が信頼して預けることができる服装や話し方を心がける。
・机等には、ふだん読んでいる専門書(表紙が幼稚でないもの)を置いておく。
・「3000万語の格差ー赤ちゃんの脳を育てる保護者と保育者の話しかけ」を生活表のところなどにおき、保護者が赤ちゃんに話しかけて、情緒が安定した状態で園に来ることができるようにする。
(線を引いた本を置いているだけで、保育者の専門性の高さが垣間見える)

4)その他
・01歳の新入園児は、子ども一人に大人一人が必要。保育者だけで頑張ろうとしない。
・園長、事務員、ありとあらゆる園内の人に助けを求める。
・保護者にも協力を求める。
・保育者自身が、高い専門性が必要な難しい職務についていることを自覚する。
三つ子や六つ子を保育できる人は、超プロフェッショナル。
上手くできなくても、自分を絶対に責めないこと。
・保育者同士で、「今日もよく頑張ったね」とお互いに褒め合う。


保護者に行えること(保育者が、保護者に伝えること)
・子どもの前で、先生とニコニコと話す。
(先生は信頼できる人だということを子どもに見せる)
・絶対に子どもの前で園や保育者の悪口を言わない。
・園のなかでは、子どもに(赤ちゃんでも)、「ここが〇ちゃんの靴箱だね、ここが〇だね」と子どもと一緒に見る。
・泣いているときには、保育室のなかを見て
「ここはおままごとだね、〇ちゃんの大好きな絵本があるよ、わあ、砂場があるよ、すべり台があるね」と子どもと一緒に室内や園庭の楽しさを伝える。
可能であれば、室内で一緒に遊ぶ。
・別れるときには、保護者が不安を抱かない。
(不安は子どもに伝わる)
・お迎えに行ったときに泣いていなくても、できるだけ早く迎えに行く。
・体を動かすことが、子どものストレス解消。公園へ連れて行く。
・どんなに先生がいい人でも、保育者は子ども数人に一人で関わりには限界がある。
家庭の朝夕の短い時間で、濃い関わりをすることを意識する。
・夜はテレビを見せたりゲームをさせたりせずに、できるだけ会話をする。
(ストレス、脳を疲労させるものはできるだけ避ける)
・夜は早く寝かせる。親もいつもより早く寝てストレスをためない。
(寝かしつけようとすると寝ないので無理はしない)
・親子ともに、ビタミンCたっぷりの果物など、栄養を意識的にとる。
・朝は、テレビを消し、子どもと会話をしながらゆっくり支度をする。
・朝から子どもを怒らずに、楽しく園に行けるようにする。
・保育者には、感謝や肯定的なことをできるだけ伝える。
(保育者が精神的に安定していることと子どもにも伝わる)
・他の保護者や、他の子どもとも仲良くするようにする。
(他の子を知っていると家庭での会話もはずむ。わが子だけ幸せになることはありえない。わが子の友達が健やかに育つことでわが子も幸せになれる)

慌てて書いたので、読みにくくてすみません。


4月1日の黒目川の桜。入学式を待ってくれているようです。


電車であやとり2014/12/28

保育園で子どもたちがあやとりをしている写真を撮ろうとすると、「ほうき」、「かめ」、「はたおりき」、「やまのうえ」と次々に子どもたちが見せてくれました。・・・うう、私はそんなにできない。
12月。卒園前の子どもたちは、あやとりも上手です。



そして休日。駅のホームであやとりをしている幼児を見かけました。
電車でゲーム機をもっている子どもはよく見ますが、あやとりをしている子どもを見るのは初めて。
周囲の人からもあたたかいまなざしで見られ、「上手ね」と声をかけられることもあるでしょう。
ひも一本で荷物にもなりません。

今月の園便りに、「帰省の際には、あやとりのひもを一本持っていくと便利ですよ」なんて園の先生が書いたのかな、それとも育児雑誌の帰省特集に、「あやとりのひも」が載ったのかしら、なんて想像しました。いずれにしても素晴らしい。

今年も大変お世話になりました。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。


赤ちゃんの体を育む2014/09/07

0歳は、運動の中心である腰、知性の原点である注意力、心の根っこである人への信頼感、この3つが育つ大切な時期です。これらは、愛情を注げば自然に育つ性質のものではありません。子育ては本能ではできない学習性の行動。子育て支援を担う保育者としては、これらを育むポイントを、保護者にわかりやすく説明できるとよいですね。

今回は、運動の中心である『腰』を育てることについて、ポイントを書いてみたいと思います。
顔から転ぶ子どもが増えているというデータがありますが、2歳をすぎても歩くとすぐに疲れて抱っこをせがむ子どもや、歩行がいつまでも安定せずに転びやすい子どもが増えているという声も聞きます。0歳児クラスや子育て支援の担当者は、家庭生活の変化に配慮しながら、保育・支援内容を考えていきたいものです。

ポイント1 早寝早起き、夜ぐっすり。午前はにぎやか夜静か。
 
運動には脳の成熟が現れます。生活リズムが脳成熟の基盤。脳が機能し健やかに発達するためには、睡眠が大切です。今は昼は静かで夜がにぎやかな家庭も多いものです。赤ちゃんは昼間に太陽の光を適度に浴びることが必要。昼間は家に人を呼んだり散歩や買い物に行くなどしてにぎやかに過ごし、夜8時頃には静かに真っ暗な部屋で眠ることが、発達の基盤になることを、0歳の時期に上手に伝えておきたいものです。

ポイント2 仰向けで手足をバタバタ動かすことが大切、育児用品はほどほどに。
0歳の基本姿勢は、仰向けか、うつぶせ。仰向けで手足をバタバタと動かし、腰をねじり、思い通りに体が動かないよと時に泣いたりしながら、体を上手に動かせるようになっていきます。
子どもが求めてもいないのに抱っこばかりされていたり、お座りを介助する育児用品に長時間入れられていたり、ベビーカーやチャイルドシートや歩行器に長時間座らされたりしていると、赤ちゃんは運動する機会がありません。
目を合わせずに抱きっぱなしは、おサルさんの子育て。人間の子育ては、仰向けで目と目を合わせ、手に物を持たせます。子育て支援では、赤ちゃんを仰向けに寝かせて視線を合わせて話しかける保育者の姿を見てもらえるように工夫しましょう。またハイハイは、歩行よりも難しい協調運動であり、腰が据わった子どもでないとできません。まだハイハイをしていない時期に、大人が無理やりお座りをさせてしまうと、赤ちゃんはビクとも動けなくなります。
仰向けやハイハイを促す環境をつくり、探索をあたたかく見守る保育者の姿勢を意識的に見せたいものです。




ポイント3 さわって、くすぐり、キャッキャと笑わせると、手が開いて足が上がる。
体の緊張が強い、あるいは逆に弱すぎる場合には、歌いながら、なでてさすって体をできるだけさわりましょう。赤ちゃんはうれしいと、手が開き、足をピョコピョコと動かします。仰向けで上からあやすと、手のひらが開きます。仰向けで腕や足を大きく動かすことで、腰も据わります。
本能で、赤ちゃんはあやせません。初めてのことはわからないし、知らないこと、見たことがないことはできなくて当然です。他の人の自然な子育てを見る機会を、子育て支援や日常の保育で作りたいものです。




ポイント4 なめる、さわる、体を動かすことを見守る。
早期教育の情報があふれているため、赤ちゃんには刺激を与えないといけないという誤解が流布しています。しかし一方的に赤ちゃんに与える刺激はむしろ害。「何か刺激を与えなくては」と、乳児期からテレビを見せて、自分で遊べない子どもや、人よりも映像刺激を好む子どもに育ってしまうと、保護者は後で苦労することになります。
赤ちゃんの遊びは大人には理解しがたいもの。赤ちゃんは、自分の手や物を見つめたり、さわったり、なめたり、体を動かすこと自体が遊びであり、発達に必要な行動であることを、上手く解説できるとよいですね。


保育者は、子どもが「自分でできた」と思うように、援助することが上手です。
保護者に対しても、説教がましくなく、楽しく自然に子育てについて知ることができるように工夫してみたいものです。

仰向けで遊ぶあかちゃんたち2014/03/22

先週、前任校の卒業式を見届けてきました。学生たちの晴れ姿に感無量でした。みんなおめでとう!!
その後、浜松駅近くの子育て支援広場「ここみ広場」へ。今日は赤ちゃん広場の日だそうです。


浜松市地域協働センターのここみ広場の入り口。木製のドアがついていました。



お部屋の中は、何度もレイアウトを変えているのだとか。スタッフの来場者への思いが伝わってきます。
赤ちゃんの保護者がとても利用しやすいスペースです。


写真の許可をいただきました。ママたちの笑顔がとても素敵でした。

「無料幼児教室」や「幼稚園予備校」のような子育て広場があるなかで、乳児期からの健やかな子どもの育ちの支援と親子関係形成の支援を行っている「ここみ広場」は、とても貴重な存在です。

それにしても、意識をし始めると、首の据わらない赤ちゃんを縦抱きにしているパパやママが目につきます。「お父さん、赤ちゃんは首のところを手で支えて・・・」と声をかけたいけれどどうしよう・・・と一人スーパーで悶々とする私でした。


乳幼児期の教育(保護者向け通信)2014/03/16

一体化の議論によって、幼児教育=学校教育、幼児教育=先生が前に立って何かを教えること。認定こども園では何か幼児教室的なことをしなければならないという誤解が、ごく一部の保育者に生じつつあります。

「学校教育」「保育・教育」という言葉が連呼されることによる「保育」(養護+教育)の危機に対して、私は何ができるのか。お正月に自分の無力さに腹立ちを感じながら、乳幼児期の教育をテーマに保護者に向けた通信をカリカリ書いていました。まだ下書きですが、お便りを出す現場がないので清書する気にもならず、2か月間放置。実習訪問も終わったため、ダウンロードできるサイトをつくりました。

通信は下書き(字やイラストはめちゃくちゃ汚いです)ですから、先生方が完成させて、自分らしい文章とイラストで自由に活用していただければと思います。下書きは高山とか書く必要もありません。

保護者向けのお便りをダウンロードできます

保育園や幼稚園は、毎月通信を出すことができるという「強み」があります。
そのお便りをちょっと工夫するだけでも、幼児教育に関心が高い熱心な親御さんには、安心していただけると思います。
ある園長先生は、保護者でいろいろと心配される方には、「うちの園の方針は、お茶ノ水女子大学付属幼稚園」と同じ保育方針なんですよ。文部科学省も、幼児期は遊びが教育であると言っているんです」と説明するそうです(笑)。

最近いろいろと考えさせられたので、過去に出した保護者向けのひだまり通信も掲載しました。012歳児クラスをお持ちの先生方、子育て支援に携わる皆様方にご活用いただければと思います。

ここ数日、口の中が痛くておかゆとジュースだけ。明後日の卒業式までには直したい・・・。

家庭にこもりがちな親子に2013/12/23




P研(保育の専門性研究会)のメーリングリストで、貸出用の玩具を希望する家庭に保育士さんが届けるという取り組みが紹介されていました。めぐみ保育園 絵本とおもちゃの貸出宅配サービス にこにこ便
初めての家庭でも、玩具を届ければドアを開けてお話ができるし、玩具の説明で家に上がることもできるそうです。本当に先生方の工夫は素晴らしいですね。

子育て支援者が集まると、家族だけで子育てをしている親子にどうアプローチするかが話題に登ります。
今回は、子育て支援の広場や支援センターのスタッフが、実際に行っている工夫をご紹介します。

□ホームページを設ける
初めての場所に行くのは誰でも不安。園内の様子広場やセンターの中の様子がわかる写真など、少しでも安心して利用できる情報を公開します。電話番号は市外局番から。転居してきた人にもわかる地図も必ず入れます。
□利用したくなる情報を掲載する
パンフレット、通信やホームページには、読むと思わず利用したくなるような情報を優先的に掲載します。たとえば、転居してきた人や一人で利用する人が多いこと、3か月の赤ちゃんでも利用できること、子どもは親と密着しているよりも多様な人のなかで育つことが大切なこと、模倣とかかわりで子どもは伸びることなどの情報です。
□親が外へ出たくなるような情報を掲載する
通信やホームページには、自然とかかわって楽しげな子どもたちの様子、小さな子ども同士で楽しそうに遊んでいる様子、他の子どもが楽しそうにしている様子など、他の子どもの真似をしてトイレにいく様子など、子どもが健やかに育つには、自然と人のなかで子どもを育てることが大事だと感じる情報を掲載します。
□家庭内でのこもりきりでの子育てを防止する情報を掲載する
家庭にテレビベビーシッターさんがいて、早期教育のDVDや乳幼児向け番組・DVDが赤ちゃんや幼児の相手をしてくれる場合には、公園や支援の場を利用する必要性がありません。テレビを消すと子どもは親に遊んでほしがるため、親が子どもを外へ連れ出すことが増えます。日本小児科医会等の「2歳まではテレビを見せないようにしましょう」という情報を転載して活用します。
□電話の応対では会って話すときよりもあたたかく心をこめて応対する
保護者が電話で問い合わせをするときには、初めてで不安があったり、悩みがあるときも多いもの。電話の応対は直接会ったとき以上にあたたかく丁寧な対応をしています。
□乳児向けのイベントを開催する 
ベビーマッサージ、夜泣き講座など、子育てをはじめたばかりの時期に、保護者が外へ出て人と自然のなかで子育てができるようなきっかけづくりになるようなイベントを優先して開催します。
□乳児向けの環境構成を行う
支援の場は、おとなしい人や、一人の人、赤ちゃんを連れた保護者が、最も居心地が良くなるような環境を構成します。1歳をすぎて粗大な動きが多くなったときには、広い空間のある屋内や公園など、思い切り体を動かすことができる場が子育ての中心になるように援助をします。
□ママスタッフやママボランティアを仕組み化する
スタッフやボランティアに参加するママやパパは口コミ力が強力です。ママボランティアさんたちは、公園でも、あの人は一人きりではないかしら、と思う人を見つけると、思わず声をかけてしまうそうです。
□集団検診(3か月検診)の場で、スタッフや利用者がパンフレットを直接手渡しする
3か月検診が集団検診の場合、ほとんどの人が一人で来ていて待ち時間も長いもの。スタッフが「私がスタッフをしています」とちょっとそこで話をしたり、ママスタッフが子どもを連れて「赤ちゃんでも来れます」とチラシを配ります。一言でも話をすると、ハードルがぐんと下がり行きやすくなります。
□主任児童委員、保健師さんなど連携を取り、場に来てもらって内容を説明する日を設ける
保健師さんや相談窓口にいる職員と連携することによって、相談後に一緒に広場につきそってくれる保健師さんや紹介で来場する人が増えます。一度、場に招待をして、スタッフたちと話をすることが大切なようです。主任児童委員の研修では、子育て広場でのボランティア体験を行っているところもあります。
□新生児訪問のときにパンフレットを手渡ししてもらうように保健所に毎月通信を持参する
□転居してきた人がいく市役所の窓口にパンフレット(名刺大)を置いてもらう
□産婦人科、小児科、スーパー、薬局などにパンフレットを置かせてもらう
□地域の回覧板で、地域の親子に向けて通信を配布してもらう


他にもこんな工夫があるという場合、ぜひお教えいただければと思います。
上記は、子育て広場などいつでも来ることができる場をもっている支援者が行っている工夫ですが、
子育て家庭への訪問を中心的な支援活動とするホームスタートジャパンの取り組みも広がっています。

連絡帳(ノート)のポイント2013/10/06

後期の授業がはじまり、いこいの広場は学生たちの声でにぎわっています。

保育の専門科目では、専門知識や技術のなかに、人間観や社会観などさまざまな価値観が含まれています。職業教育を通して教養を身につけ、学びを重ねるごとに考え方や生き方を深め、ふるまいが美しく誠実になる学生がいるとするならば教員にとってこれほどの喜びはありません。

対人援助職である保育士の場合、乳幼児から青年期までの子どもと保護者という成人を、援助・協働の対象とし、同僚、上司、地域の方、ボランティアさんなどさまざまな人と職務を共にします。相手が、子どもでも大人でも、障がいや疾患があっても、基本は変わりません。
たとえば保育園で書く連絡ノート。その書き方を大学等で学ぶ学生は少ないと思いますが、保育士としての対人援助の基本は、連絡ノートを書くときにも応用ができます。


なごみ保育園さんのオリジナル連絡ノート。


保護者に、文章で子どもの様子を伝えるときには、3つのポイントが考えられます。
1つめは、明るくあたたかい文章で書くこと。
2つめは、子どもの姿を肯定的に描くこと。
3つめは、具体的に様子が目に浮かぶように書くこと。

ネガティブな内容は、連絡ノートに書く必要性がありません。

この3つは、子どもとの日常のかかわりの基本と同じです。明るくあたたかく肯定的にわかりやすく。日頃からニコニコと子どもを見守っている先生は、ノートにも、笑顔の文章があふれていることでしょう。

ノートやメールで相談があり、返信を書く必要がある場合には、基本は面談と同じと考えてみてはどうでしょう。
①まず、保護者の気持ちを受け止める
②子どもの行動や気持ちを代弁する
③具体的な行動のアドバイスがあれば伝える
④親の気持ちが軽くなるような言葉を添える(保育者の見方、発達の見通しなど)

子どもとも保護者とも、①が最初。「くやしかったねえ」、「大変でしたね」など、まずは受容を基本にしたいですね。
このような連絡ノート、通信、保育参加、行事等、保育の日常による保育園・幼稚園での保護者支援の具体例は、那須信樹編「家族援助論」保育出版社に書きました。環境を通した保護者支援は、柏女霊峰・橋本真紀編「保育相談支援」(新プリマーズ)ミネルヴァ書房に書いています。