園に置いておきたい本~発達の理解2014/08/24

昨日のオープンキャンパスで思いがけず卒業生と会えました。とてもいい顔をしていました。
園でも、いきいきと仕事をしている保育者と出会うと、私まで元気をいただきます。

子どもの遊びをあたたかく見守る先生、
子どもたちにぴったりの環境を工夫している先生、
その子どもに合わせて上手に援助している先生、
それらの先生に共通していることは、子どもの発達をよく理解していること

発達が見えると、必要な環境や援助も見えます。
適切な援助、環境構成、記録、計画など保育者の技術は、発達の知識に支えられています

乳幼児の発達を、端的(超コンパクト)にまとめているのは、現行の「保育所保育指針」。養成でも発達を学びますが、大学の授業だけで発達を理解できるようになる人がいたらきっと天才。発達の理解に関しては、本を読めば読むほど理解が深まる性質のもので、子どもと関わりながら発達の本を読、そして子どもをまたよく見る、その繰り返で、子どもの発達が見えてくるようになると考えています。

ところが、乳幼児の発達は資格や免許を持っているのであれば知っていて当然とばかりに、現任研修も少なく、園の保育者貸出用の図書に、発達に関する本が置かれていることが少ないと感じています。専門職としては発達に関する本は個人で何冊も購入している方も多いと思いますが、やはり園にも、発達に関する本は揃えておきたいものです。お奨めしたい本だらけですが、厳選した4冊を写真でご紹介します。

真ん中は、①田中晶人、田中杉恵「子どもの発達と診断」シリーズ、大月書店、1984
このシリーズで発達を学んだ保育者たちは40代以上が中心でしょうか。乳児期前半、後半、幼児期前半、後半と発達を細やかに学ぶことができます。もう何十年も再版されている発達理解の基本シリーズです。ちょっとお値段が張りますが、本が好きな人にはぜひ挑戦してほしい一冊です。

 
②乳幼児保育研究会「発達がわかれば保育がわかるー0歳から就学までの目からうろこの保育実践」ぎょうせい、2009
保育者が書いた発達と保育の本。「保育者は本を読まない」「保育者は字が多いものは苦手」なんて誤解の上に保育の本は編集されていますが、字ばかりのこの本は10万部を突破。保育者は、保育の実践に役立ち、かつ専門性が高まる本を求めています。2も出ています。

 
③瀧薫「保育とおもちゃー発達の道すじに合ったおもちゃの選び方」エイデル研究所、2011
巻末には、年表のように手の発達や運動の発達、社会性の発達など発達のポイントがまとめられています。この発達表だけでもポイントとして理解しておきたいものです。「保育と絵本」にも巻末表があります。

④岩崎清隆他「発達障害と作業療法(基礎編)」三輪書店、2001
発達障害に関する本は、発達をステージとして捉える考え方や、細やかな発達の捉え方など、乳幼児の発達を理解する上で大変に参考になる本が多くあります。エアーズの「子どもの発達と感覚統合」など読むことで子どもの見え方が変わる本が多くありますが、そのなかで、もしも一冊選ぶとするならばこの本。図表を多く使って体系的にまとめられているため、見通しと幅広さをもって発達を捉えたい保育者がもつ基礎理論として、使いやすい本です。書店では、看護、小児医学、発達障害の棚へ行くと、発達に関する専門的な本を見つけることができます。

読みやすさは、③②①④の順番です。ご参考まで。

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