一斉保育と自由保育、環境を通した保育2020/11/06

7キロも太ってしまいました…。完全に歩き不足、運動不足です。

研究に専念する一年、ブログは控えて…と思っていますが、

どーしても書きたい!書かせて下さい。


今、研究でまとめているのが「保育内容」です。

それも大人が意図的に提供する文化を中心に研究しています。

 

環境構成は、保育を大きく変えます。

しかし環境さえあれば、すべてOKというわけでもありません。

とくに発達に偏りがある子どもや、家庭での経験が不足している子どもには

保育者が意図的に行う活動の影響は大きいですね。

 

4月から気になっているのが「一斉保育」という言葉。

私の研究は、「一斉保育」を研究するものだと誤解されがちなのです。


その背景には「一斉保育」か「自由保育」かという二項対立図式があるようです。

 

「一斉保育」と呼ばれる園は、

保育者が望ましいと考える活動をさせる一斉活動中心の園。

「自由保育」と呼ばれる園は、

ブロックとままごとなどの意図のない環境で自由に遊ばせる園。


以前はそのどちらかが圧倒的多数でしたが、

平成元年に「環境を通した保育」が示され、

保育者が意図的に環境を選び、構成する保育へと移行してきました。

 



一斉保育の園は、まだ環境を通した保育に移行していないことが分かりやすいですが

子どもの主体的な活動を中心としているけれども環境構成を行っていない

自由保育の園もまだ多いと思います。


その意味では、現実的な割合で図を描くと、

以下の図が正確かもしれません。





「環境を通した保育」は、「一斉保育」とも「自由保育」とも違います。

また要領や指針には、一斉保育や自由保育は使われていません。


教育界は、経験主義か系統主義かといった二項対立から、

バランスの良い方向へと進んできました。

保育界もこの二項対立から脱したいものです。

 

環境を通した保育を行う園にあるのは、

○「子どもが主導する活動」か「保育者が主導する活動」か。

○「集団で行う活動」か「個別の活動」か

○「生活の場面」か「遊びの場面」か「課業の場面」か

それらが混在しているかです。



環境を通した保育では、

保育者の意図のこもった環境や文化に子どもは影響を受け、

その意味では完全な自由ではなく、

一斉であっても子どもは自由意志で参加をしているため

「一斉活動」か「自由活動」かと呼ぶのは適切ではないと思います。

 

子どもが主導する活動は、環境構成で非常に活発になります。

しかし環境を通した保育のなかにも、保育者が主導する活動もあります。

今回の研究には保育者が主導する活動の部分も多く含まれます。

 

ご意見をいただき11月9日に内容を修正しました。

K先生、いつもありがとうございます。

研究のまとめに協力いただく先生方、どうぞよろしくお願いいたします。


書店の保育関係の棚2020/11/14

書店が大好きです。でも書店の保育の棚だけは苦手です。

どの書店でも保育のコーナーに立つと、
「ここは昭和か!?」と叫びたくなる私です。
今日も眉間にシワを寄せたまま、書棚の前でしばらく立っていました。
いつものことながら保育の棚では本との出会いがなく、他の分野を探しにいきます。

先日行ったY書店の絵本の書棚は、
選書も並べ方もポップも素晴らしく、このポップはどんな店員さんが書いたのだろうとワクワクしました。
しかし隣の保育のコーナーでは、がっくりと気落ち。
小ジャンル分けのプレートが昭和のままなのです。
いつも書店で感じる、保育界の失われた30年・・・。

Y書店の分類は、
「パネルシアター」「壁面」「ペープサート」「歌遊び・指遊び」
「園行事」「折り紙」「器楽合奏」「造形遊び」「劇遊び」「言葉かけ」
昭和の幼児教育イメージそのものでした。
もちろん環境構成に関する本は売り切れなのか見つかりません。

今日行ったJ書店は、東京駅の二大書店以上に保育書が充実。
全部で17の保育の棚がありました!素晴らしい!
ただ、その分類は、「保育実務」が5棚、「保育一般」が4棚、
「保育理論」「保育フェア」「指導計画」「障害児保育」
「子育て支援」「パネルシアター」「養成教育」です・・・。

本は充実しているのに、ああ分類がもったいない。
私が見ている間、5人のお客さんが棚の前で探していましたが、
皆さん何も買わずに帰っていきました。えっ待って…。

私のようなマニアでない限り、17の棚から本を探すことは無理です。
本が決まっているのなら通販でよいし、きっと本を探しに書店に来たのでしょう・・。
「何かお探しですか、それならこの本はいかがでしょう」と声をかけたい、
いやでもそれは怪しすぎます・・・。

もしも私が書店員だったら、
令和の保育で書棚を分けて他店と差別化。
アンテナが高くよく本を購入する人向けの本と、
困り感で書店に来る人のお役立ち本を中心に棚を構成したい。
季節毎に保育者が必要な本の平積みを替えます。
(またいつもの妄想です)

休日に書店に足を運ぶ
まじめで熱意のある保育者が本と出合えるように
勝手に小ジャンルプレート名を考えてみました。

項目
◇大項目
「小ジャンルプレート名」・・・本のキーワード

◇保育理論と実践
①「環境構成・玩具」・・・環境づくり、環境の構成、保育室、園庭、玩具
②「子どもとの関わり」・・・コーチング、アドラー、敏感期、保育者の関わり
③「計画と記録」・・・教育課程、計画、記録ドキュメンテーション、カリキュラムマネジメント
④「保育理論」・・・遊びと学び、学習理論、モンテッソーリ、シュタイナー、レッジョ・エミリア、イエナプラン、コダーイ、さくら・さくらんぼ
⑤「保育実践」・・・森のようちえん等各園の実践紹介の本、ESD、STEAM、IBプログラム
⑥「乳児保育(012歳の保育)」・・・乳児、012歳、ケア
⑦「幼児教育」・・・要領、指針、主体的、協同的、対話的、プロジェクト、10の姿

◇子どもの把握と理解(障がい児保育が少なければ上記の理論と実践に入れるのも有)
⑧「発達、子どもの理解」・・・発達、脳、子どもの理解
⑨「障がい児・病児保育」・・・発達障害、気になる子、敏感な子ども、ギフテッド、病児保育、感覚統合

◇保育内容5領域と養護
⑩「保育内容健康」・・・運動遊び、柳澤、はう運動遊び、ムーブメント、リズム運動、睡眠、生活リズム、映像メディアの影響、免疫
⑪「保育内容人間関係」・・・ごっこ遊び、劇遊び、集団遊び
⑫「保育内容環境」・・・自然、環境教育、数量・図形、文字、認識、
⑬「保育内容言葉」・・・絵本、素話、詩、手遊び・指遊び、パネルシアター
⑭「保育内容表現(音楽・造形等)」・・・音、音楽、造形、描画、絵、わらべうた、リトミック
⑮「安全・食育」・・・安全・事故、感染、病気、食、栄養、アレルギー

◇保護者の支援・マネジメント
⑯「保護者・地域との連携・支援」・・・子育て支援、相談、お便り、地域連携
⑰「行事・その他」・・・運動会、発表会、造形展・その他
⑱「マネジメント」・・・チーム、職員、評価、苦情解決、マネジメント
⑲「保幼小連携」・・・小学校との連携、

◇保育者養成
⑳「保育者養成テキスト」・・・教科書

太字は保育者の研修ニーズや関心が高いと感じているものです。
あ~このテーマで平積みのテーブルをつくりたい。
今の時期に、保育の棚に免疫や腸内細菌に関する本と
保護者向けお便りの本を一緒に平積みにしたら
売れただろうな~。(妄想がますます暴走)

教育界は古いとか変わらないとか言われることがありますが、
「新しい情報」を得た現場は、着実に変わっています。
保育者は、新しい情報と出会いにくいのです。
昭和の本を読んでいる人が、
新しい時代の教育を行うことは難しいです。

書店は、その地域の文化の発信地。
そこから発信される情報の質が良ければ、
その地域の教育は着実に変わります。

こんなマニアックな内容を最後まで読んでいただきありがとうございます。
私が棚を整理してもいいよという書店さん、いらっしゃいませんか。