園庭に参りました2010/05/01

昨年は、保育所の教育機能研究のために、環境がすばらしいと言われている園にあちこちお伺いしました。そのなかでも、川和保育園は圧巻でした。雑誌等でよく取り上げられている有名な園です。

園庭のみならず、保育室内を見ても、本当に先生方がよく勉強されていることがわかります。中でも園庭はため息の連続でした。



まるでリゾートのような園庭。とても暑い日にお伺いしましたが、緑に覆われて涼しく感じます。



保育園でバナナボート・・・・なんとうらやましい。



デッキテラスで子どもたちが食事の準備を始めていました。この園の子どもたちは、何と豊かな暮らしをしていることでしょう。

子どもたちが土や緑にふれることは、今ではとてもぜいたくな活動。リゾートやキャンプに連れていってもらえる子どもや、大人たちががんばって冒険遊び場活動をしている地域の子ども、程度になりはじめています。自然がたっぷりあっても、親がよほど教育熱心でない限り、自然にかかわって遊ぶことは少なくなりました。

地域や家庭の環境を考えると、保育園はもう小学校のグラウンドのような状態ではいられないわけですが、しかしでこぼこをつくれば、服は汚れ小さなけがも起きます。保育者が保護者を納得させることができるだけの覚悟と専門性が必要です。

これほどのダイナミックな園庭で保育を行うためには、どれほどの専門性と覚悟が必要か、この環境を生み出している寺田園長先生の子どもへの深い慈愛と信念に、最も感動して帰ってきたのでした。



通信の工夫あれこれ2010/05/01

保育者は、保育の専門家ですから、保護者よりも知識や経験があるのは当たり前。知識や経験があると、初めて子育てする保護者に対して、ついあれこれとアドバイスしたくなります。

しかし、気づいたことをあれこれアドバイスしていると逆効果の場合もあります。

「育つ・つながる子育て支援」より、イラスト:大枝桂子

毎日夜更かししてつらそうな子どもさんに気づいても、その親御さんに、「もっと早く寝かせて下さい」なんて直接的に言うだけでは芸がない。夜更かししている子どもは、クラスにもたくさんいて、(10時に寝るなんてみんな普通なのに、なんでうちだけ?)と思ってしまうかもしれません。
保育者の常識は、一般の親御さんの非常識だったりします。

そこで、すべての親御さん向けに通信を書くという手段があります。読むという行為は、主体的な行動です。また夫や家族と一緒に見ることができるため、直接先生に言われるよりも、情報を受け取めやすくなります。

夜更かしだって、図にしてしまうとわかりやすい。



通信も、子どもへの声かけと同じ。

肯定的に、楽しく、わかりやすく。

「○○して下さい」
「○○が大切です」よりも、
「○○すると、こんなに楽」
「○○すると、こんなにいいことがある」という
伝え方ができるといいですね。

子育て支援の通信「ひだまり通信」ではこんな感じ。 「子どもの行動の解説」や「大人のかかわり方」を できるだけ具体的に書くようにしています。





イラストの分量を多くして、難しい単語や漢字はできるだけ使わず、情報のバリアフリーを心がけます。

通信やノートでは、とくに「!」の使い方には注意が必要。

「!」をつけると押し付けがましさが増し、文の表情が恐くなります。
「必ず持ってきて下さい!」
「夜更かしをさせていませんか!」

「!」をつける場合は、ポジティブな言葉につけましょう。
「絶対に大丈夫です!」
「お母さんは本当にがんばっていらっしゃいます!」 のように。

顔に表情があるように、文章にも表情があります。 にっこりと笑った楽しい通信を書いてみましょう。

研究室で先生方と2010/05/13



今日は研究室に、浜松市の保育園の先生方にお越しいただきました。うちの研究室はよくお客様がおいでになりますが、ポットを片手に現れたお客様は初めてです!さすが保育者は気のつき方が違います。

今年から地域共創センターの客員研究員に就任していただいた大橋先生にも、研究アドバイスのために加わっていただきました。 最後にみんなで記念撮影。



先生方、研究がんばってください!!

構造構成主義2010/05/16



私は月に数十冊単位で本を読みます。
ほとんどは授業準備と研究のためですが、教育・研究分野が「保育」のため、手に取る本は心理学、生理学、社会学、医学、看護学、教育学と広くならざるをえず、心理学も、認知心理、発達心理、臨床心理、教育心理、社会心理とさまざまな本を乱読することになります。購入するのはごく一部。ほとんどはパソコンに一部を入力して図書館に返却しますが、線を引いて読みたいものや、どうしても手元に置きたいものだけ購入します。

そんな私が2009年度に購入した本で、出会えてよかったNo1は、

西條剛央「構造構成主義とは何か」北大路書房 

「質的研究とは何か」で、西條剛央氏を知り、あれこれ線を引いて読みあさりました。「研究」と「研究者」に不信を抱いていた保育者時代。2年前に、自らその世界に入ろうと決めたわけですが、研究者コミュニティと、実践者コミュニティで、異なる言葉を使わなくてはならないこと、異なる価値観で仕事をしなくてはならないことに葛藤を感じてきました。実践者をエンパワーできる研究者をめざして研究という立場を選んだわけですが、本当に保育研究は保育にとって意味はあるのか?保育の実践者が本を書けばいいじゃないかと悩み続ける日々でした。

この一年、何度も西條剛央氏の本を読み直し、研究は実践の大きな骨組みを示すことはできるはずだ、それはきっと保育者の役に立てるはずだと自分を励ましてきました。これからも、きっと自分の役割に迷ったとき、この本に立ち戻るでしょう。西條剛央氏の誠実な文章にふれると、ねじ曲がりそうな心がまっすぐに戻ります。西條剛央氏に感謝しています。

もしも、私と同じ悩みを抱えているひとがいたら・・お薦めします・・いない?

夏の百町森セミナー2010/05/25



今年の夏は、百町森の保育セミナー に講師として呼ばれてしまいました!

百町森(ひゃくちょうもり)は、わたしが福岡にいたときから、一度ぜひ行きたいとあこがれていた、おもちゃと絵本のお店です。浜松学院大学に赴任することが決まったとき、(やった!百町森に行けるわ~)と喜んでいました。 

静岡県に引っ越してすぐに、新幹線に乗って静岡市にある百町森にでかけました。福岡にも東京にも素敵なおもちゃ屋さんはあるのですが、(これが百町森だわ、うん、なるほど、そうか、すごいわあ)と、1人興奮して、お店の中を長い時間かけて物色し、何も買わずに帰ったのでした。(お店の皆さん、すみません。)





大学の専任教員になるまでは、講演は年間100回は行っていましたが、今回のセミナーは特別です。百町森セミナーの講師に呼ばれるなんて、あこがれの武道館でライブをするミュージシャンの気分で、かなり緊張しています。(例えが古くてすみません)

セミナーでは、子どもの発達と遊びについて、わかりやす~く話をしたいと思っています。私は、講演の前後に先生方とお話をすることがとても楽しみなので、皆さん、当日はどうぞ気軽に声をかけてくださいね。

(画像は、 子どもの本とおもちゃのお店百町森さんのホームページより許可を得てお借りしました。)