両足をぴんと伸ばして座る赤ちゃん? ― 2014/03/03
めったに読まないフェイスブックで、
「最近、かつての子どもたちとは異なって、両足をぴんと伸ばして開脚状態で座ってしまう赤ちゃん、抱っこされている赤ちゃんが多くなっているというのです」と書かれていて、とても気になり、「子どもの姿フォルダ」から、赤ちゃんが座っている写真を探してみました。
約30年前の赤ちゃん。ベビーカーに縦抱きの前抱っこが始まり、それらが問題になりました。しかしビデオもおしゃぶりも歩行器も、育児には使われることが少なく、赤ちゃんは親が抱くかおんぶして泣き止ませるしかなかった頃です。
この子どもはハイハイをしてから自分でお座りをした子どもです。発達段階としてはまだ全身に力みがあります。(足を動かしにくそうだったので服のボタンをはずしてしまいました)

同じく15年前の赤ちゃん。この頃もまだ歩行器は使わない方がよいものとされていました。ビデオが普及し、家庭ではビデオを見ている赤ちゃんが増えました。この頃からスリングが流行しはじめました。
この時期独特の姿勢を見せています。上の写真と同じように腕や足をつけ根から大きく動かしています。

2年前のここみ広場の写真撮影会での赤ちゃん。スリングが減り、この後、外国製の首が座らない時期から縦抱きをする抱っこ紐が流行しました。
この足首と、手首に、赤ちゃんらしさが出ていますね。大人に姿勢の真似をしてほしい写真です。

撮影会では、腰が据わっていない発達段階で座らせる姿勢も、保護者にお願いして撮影させていただきました。

この写真も無理に座らせた子どもです。自然な発達よりも早くからお座りをする場合には、足の緊張はむしろ低いですね。

自然にハイハイして座った子どもも、大人に座らせられた子どもも、ひざや足首がぴんと伸びているという姿は見たことがありません。もしも、本当に、ひざや足首がまっすぐで開脚する赤ちゃんが増えているのであれば、足の緊張が強い生得的な課題がある子どもが増えているのか、環境に合わせて姿勢をとっているのか、のどちらかであると考えられます。
前者は、エコチル調査が行われていることと関係しているのかもしれません。その場合足だけがぴんと伸びているのではなく、背中や肩、ひじや手首にも緊張が強いはずです。
後者は、最近、歩行器や、赤ちゃんを天井から吊り下げてジャンプする育児用品が日本の育児に使われるようになっていることと関係しているのでしょうか。ネットを見ていると、ハイハイする前の段階でそれらに入れられる赤ちゃんがいるようです。また1、2か月からの縦抱きも最近増えました。1、2か月から縦に抱くことと、足の緊張との関係があるのでしょうか。
ひざが伸び、つまさき立ち状態の赤ちゃんは、ハイハイが難しいでしょう。腰が据わらないまま立ち上がると転びやすく転んだときにとっさに手が出るかも心配です。歩行後に、ハイハイや寝返りの姿勢が入る遊びをして、手や腕、腰や足首、足の親指を使う運動をするとよいですね。
う~ん、そういう状況があるとなると、0歳児の子育て支援で、赤ちゃんをママやパパのおひざに座らせて手遊びなんかしていては、逆効果のような気がします。
赤ちゃんは、親が遊んであげ続ける必要がないこと、赤ちゃんには探索活動が重要であり、親は見守ることが大切なことを伝え、どうしても遊んであげたいママには、赤ちゃんを仰向けに寝かせたマッサージやあやし遊びを伝えることを優先したいものだと思いました。仰向け姿勢で自分の足をなめて遊ぶ赤ちゃんの写真を広場に張るとか、初めて赤ちゃんが飛行機の姿勢をした日は、「飛行機記念日」として初めて歩いた日並みにスタッフ全員が大拍手をするとか。何か新しい工夫が必要ですね。
それにしても仰向けで寝ている時期からの子育て支援をしている広場でも、ひざをぴんと伸ばした赤ちゃんは増えているのでしょうか?3月中に、ここみ広場に行ってみようっと。
コメント
_ 山田真理子 ― 2014/03/06 12:40
_ 高山静子 ― 2014/03/06 18:25
山田先生、重要なご指摘ありがとうございます。バン○という製品ですね。ユーチューブで検索するとさまざまな育児用品が想像を絶する使われ方をしていますね。
4か月未満の寝返りが目立ってきているとのご指摘からは、生まれつきの問題プラス、新生児からの縦抱きがやはり影響をしているのではないかと考えさせられます。
また、光や音刺激が強く新奇性が高い環境に新生児を置けば、ずっと危険な環境に置かれているのと同じわけですから、体が緊張し続けることはありえますね。寝ているときにも、叫び声や鉄砲の音やらテレビゲームの甲高い信号音など、自然界とは全く違う音ばかり聞こえてきたら、赤ちゃんは安心して眠ることも難しいでしょうね。
とても重要なご指摘だと思います。
4か月未満の寝返りが目立ってきているとのご指摘からは、生まれつきの問題プラス、新生児からの縦抱きがやはり影響をしているのではないかと考えさせられます。
また、光や音刺激が強く新奇性が高い環境に新生児を置けば、ずっと危険な環境に置かれているのと同じわけですから、体が緊張し続けることはありえますね。寝ているときにも、叫び声や鉄砲の音やらテレビゲームの甲高い信号音など、自然界とは全く違う音ばかり聞こえてきたら、赤ちゃんは安心して眠ることも難しいでしょうね。
とても重要なご指摘だと思います。
足が伸びて座る乳児は、最近、お座りを支える浮き輪のような子育てグッズが増え、お座り体勢を足で支える必要がなくなっていることもあるように思えます。
さらに気になるのは4ヶ月未満での寝返りが目立ってきていることです。もちろん背中の緊張が強い結果でもあるのですが、音、光、振動と過刺激の中にいる子どもたちのSOSかもしれません。
「子どもと保育研究所ぷろほ」は、保育士・幼稚園教諭と、保育者をめざす学生、保育者を養成する教員へ、保育の専門性向上につながる学びの場ですので、ご紹介よろしくお願いします。