遊びの素材を選ぶ2015/06/29

「放っておいても子は育つ」と言われた頃、家の周りには、草や土といった遊びの素材がありました。しかし今多くの地域はコンクリート。子どもが、草や土のような応答性が高く想像力を付け加えることができる素材と出合う機会は減っています。長時間保育、1,2歳児の保育需要の増加、人的配置の厳しさからも、保育室内に草や土のような遊びの素材を準備する必要性が増しています。

しかし市販の玩具は何百種類とあります。そこから子ども自身が遊びを作りだすことができるものや、乳幼児の細やかな発達に合ったものを選ぶことは至難の技です。

領域「保育内容環境」には、「物の性質を理解する」ことが含まれています。そこで授業では一回分を使って様々な種類の積み木やブロックと、それらの物によって生じる遊びの違いを考察する演習を入れています。ブロックや積み木は、幼稚園や保育園で、子どもたちが室内で最も日常的に使う玩具でもあります。

たとえば、複雑な形と人工的な色彩をもつプラスチックのブロックでは、どのようなものをつくりやすく、どんな遊びが生じやすいか?


シンプルな形と色のカプラでは、どのようなものをつくりやすく、どんな遊びが生じやすいか?
子どもは、そこで何を経験し、何を学習しているのか。

あれかこれかではなく、どんな子ども、どんな園、どんな状況のときに適しているかまで考えられればと思いますが、私の力不足で、そこまではいきません。

他にも、基尺の揃った和久積木と、基尺がバラバラの積木、フレーベル積木、シュタイナーの積木、文字が書かれた積木、レゴブロック、井形のブロックなど、様々な種類の素材を出して、その違いを体感する機会を作ります。
本当は反転授業(授業以外の時間で素材を使った遊びを体験・リポートして授業にもち合い話し合う)にしたいのですが、まだ日常的に、これらの素材を触る場がないため、今は授業内での体験が優先です。


一人当たりの量を少量にして「創造的な作品」をつくる課題を出すと、学生から「足りない」と言われます。幼児は「もう少し量が多ければいいのに」なんて言いませんが・・・。



ゼミで、基尺が合わない大型積木同士を組み合わせて何かを作る課題を出したときには、学生たちは「作りにくい!」と途中で怒り始めました。(幼児は「基尺が合っていないから作りにくい」なんて訴えませんが・・・)。
また、ふわふわの柔らかい大型積木を見つけると、学生たちがよく始めるのが投げ合いです。どうも年齢は関係がなく、素材自体に行動を引き出す要因があるようです。

素材選びの目を育む授業を研究中です。

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