学びの二つの方向性2017/06/17

保育学会の発表で、印象的な質問を受けました。
ここ数年、0~6歳の保育内容を体系化する研究を発表しています。
今年は、「人間関係」の発達と、発達に合う教材や活動の体系化です。

「高山先生は環境の研究者だと思っていたので、
教材や活動とは、一番遠いと思っていたのですが」

(え~~!そうなの~!)と心のなかで叫んでいた私ですが、
「環境×文化→豊かな遊び」
自分だけの常識だと気づいた瞬間でした。

自然・物的環境を準備するだけでは、豊かな遊びは生まれません。
森のなかでも、テレビの再現遊びを繰り返す子どももいます。
保育者が、どんな文化を提供しているか、それによって遊びの質は変わります。
子どもは、自発的な活動の中でも学び、大人の指導からも学びます。
遊び中心の保育や、環境を通した保育は、自由放任の保育とは異なるものです。

保育者のもつ専門性は、まだまだ言語化・理論化されていません。
私の専門性言語化計画。

本当は、環境構成も、子どもの把握も、関わり方も、
発達に合った遊びと生活も、保育のマネジメントも
養成で教えられれば良いのですが、
言語化されていないために、科目すら設置されていない状況です。

専門性のなかでも、環境構成が、他者に見え、
子どもの行動に影響が強いため、
最初に、環境構成の理論化に取り組みました。
ほぼ、まとまりつつあるのが、2冊目の保育者の直接的な関わりです。

そして、保育者のときから研究を続けているのが
3冊目の子どもの発達と遊び。
名のない遊びも含めて
この時期には、こんな遊びが子どもたちから生まれる、
またこのような遊びを通してこのような学びを得る、
それらを保育者が知っていないと、
小学校の先取り教育か、
教育の意図のないお楽しみ会のような保育、になりがちです。
保育者が想定する遊びの幅が広いほど、子どもの活動は広がります。





保育者は、どんなに子どもへの愛情や思い(エンジン)を持っていても、
発達の理解や生活や遊びの具体的な知識(車輪)がないと、前へ進めません。

うた、踊り、リズム活動、体操、絵本など芸術的な文化の質や
伝承されるおにごっこ、わらべうた、手合わせ遊びなど遊びの質によって、
子どもの日々使う言葉が変わり、体が変わり、遊びが変わります。

何億年もの進化の過程を、遊びのなかで繰り返す子どもたちに
どの時期に、どんな環境をつくり、どんな文化を提供するのか。
それは、とても難しいけれども、創造的な仕事です。

実践の現場から、保育者の意図と技術を明らかにしたいと思います。

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