あけましておめでとうございます2015/01/02

皆様、今年もどうぞよろしくお願いいたします。初夢はやっぱ学生。一年中よーく夢に出没する学生たちです。

定番、新幹線からの富士山。

年末、ヒアリングにある園にお伺いしたら、そこで分厚いお土産をいただきました。
半年間、園の研修会で「環境構成の理論と実践」を読んで、各クラスの改善結果を発表されたそうで、クラスのリポートと、学習会のパワーポイントの発表資料でした。これをいただいたときの驚きったら!!

その園は二回もお伺いして、本にも写真を掲載させていただいた園です。その園の先生方が、本を題材に研修をされるなんて。なんと真面目で謙虚なのでしょうか。びっしりと線が引かれ付箋が張られたわが本を見た時の感激は言い表すことができません。研究のエネルギーをいただきました。

今年も、先生方の実践知・経験知を言語化・理論化する研究をしていきたいと思います。
突然の電話と訪問を、今年もどうぞお許しください。

地域に開いていく保育園2015/01/07

浜松市のなごみ保育園さんが、12月17日にオープンした「Ncafe」を見せていただきました。

保育園のお隣に、子育て支援の空間として子育て支援ひろばと、カフェ、絵本とおもちゃのお店ができ、これから小規模保育事業所もオープンするのだそうです。
幼稚園の隣に玩具屋さんが並んでいたり、保育園にテナントでカフェが入ったりするのは見たことがありましたが、保育園が運営する施設としては、たぶん日本では初めてではないでしょうか。


子育て支援ひろばCIRCUSの全景。


そんな大胆な試みを実現させたのは、若き園長、志賀口大輔先生。名画が表紙のシール帳や入園した保護者に保育を説明するファイルなど、これまでもその発想の斬新さには驚かされてきましたが、今回は一段と驚きが大きい。



Ncafeの中はこんな感じ。靴を脱いで上がるカフェはとてもくつろげる空間です。







絵本とおもちゃのお店は、浜松こどものとも社さんが担当されるそうです。


子育て中ではない人が気軽に園に来ることができる仕組みを作りたかったとお話しされる志賀口園長先生。
このNcafeから、新しいつながりやかかわりが生まれていきそうです。


保育者はジャージにエプロン?2015/01/14

「保育者が、ジャージを履くことをどう思いますか?」という質問をいただきました。

一昔前までは、保育者といえばジャージとエプロンが定番でしたが、ジャージを履いている園は本当に減りましたね。昔は動きやすくて洗濯してもすぐに乾くパンツといえばジャージしかありませんでしたが、今ではオシャレで機能性が高いパンツが増えたので、ジャージを履く人が減ったのではないでしょうか。

でも体育教室の先生は、やはりジャージですね。造形教室の先生はジャージ姿を見ません。個性としてジャージが似合う先生もいそうですし、ジャージが合う活動もあるでしょう。

保育者の服装には、自分の衣服としての機能の他に、子どもの環境としての機能保護者の信頼を得る機能があります。そのため服装の規定をもっている園もありますし、園長先生が髪の染色はこの色までと決めている園もあります。まだ服装や髪型の規定がない園は、職員会議などで、グループワークで規定を作ってみると、それぞれの考え方が共有できて面白いかもしれません。

以前、学生が全く服装が異なる二つの園の保育者にインタビューをしたことがあります。
園のほとんどの先生がキャラクターのエプロンをつけている園では、その理由を「キャラクターのエプロンをつけていると子どもが喜ぶし、子どもを自分に引き付けることができます」と回答されました。
シンプルな服を着ている園の先生は、「保育者がキャラクターの服を着ていたり、派手な服を着ていると、子どもの発想や遊びのイメージを壊してしまいます。私たちは子どもの遊びの邪魔にならないような服を選んでいます」と回答されました。全く逆の回答に学生はとても混乱したようでした。保育者の「子ども観」「遊び観」「保育者の役割の捉え方」が、服装選びに影響を与えていることがわかりました。


学生が考えた室内での遊びを援助する服。

保育者は、服や髪型で自分の気分や場の雰囲気を演出できます。誕生会はドレスアップしてきたり、元気な活動の日にはビタミンカラーで気分を上げたり、行事の日には着物やゆかたを着ることもできます。
服装を自分で選べ、部屋を自分たちで好きに変えられる仕事ってなかなかありませんから、先生方には、服装選びも、うんと楽しんでほしいと思っています。

質問を下さったH先生、ありがとうございました。

子どもを信じて待つ保育2015/01/22

森のようちえんピッコロの中島久美子先生に、ゲストティーチャーとして授業に来ていただきました。

中島先生は、小学館「新幼児と保育」、私の保育大賞「動物の死をめぐって」のエッセーが縁で出会いました。保育を見に行きお話を伺い、講演会も山梨まで聞きに行きました。

以前いた大学では、保育内容「環境」の授業で中島先生のエッセーを学生に配布していました。今の大学でも、今年から環境の授業を持つことができるようになったため、中島先生にお願いして大学まで授業に来ていただきました。




「こどもこそミライ」の映画にもピッコロの保育は紹介されていますが、その保育の醍醐味は、中島先生の話を聞くことで味わうことができます。森のように環境が豊かな場であっても、中島先生は、プロとして「保育」をしていらっしゃいます。全身全霊を込めて見守る姿勢、必要なときにはしっかりと子どもと向かい合う姿勢、保育なのです。

中島先生は、いくつかの保育のエピソードを使いながら、保育者の意図や思い、保育者の役割を、見事に学生に伝えていただきました。




(プロジェクターに映る森の写真は、私が準備しました)。


中島先生は、東京家政大学ナースリールームの井桁容子先生と雰囲気が似ていらっしゃいます。(よく言われるそうです)。不思議なことに、お話の本質的な部分も、お二人はよく似ていらっしゃるのです。井桁先生と中島先生は、それぞれ乳児、幼児と、保育対象は異なりますが、保育とは何か、子どもをどのように捉えているのか、保育者の役割は何かなど、保育のエピソードを使いながら保育の本質を語る、貴重な先生方です。

お話には、「子どもが命のなかに囲まれている」、「保育は生き方」、「自分のボタンは自分で押す」、「言葉で教えない」など、大切なキーワードが次々に出てきます。子どもにとって豊かな環境とはどんな環境なのか、私たちは子どもをどのように捉えているのか、私たちはどんな人間を育てようとしているのか、私たちはどんな未来をつくりたいのか・・・。話を伺いながら、どんどん深い思考へと導かれていきます。こういう講義が、何年経っても心に残るのだろうなあと思いました。

中島先生のお話を、ぜひ幼稚園、保育園の先生方にも聞いていただきたいと思いました。
「子どもを信じて待つ保育」・・・基調講演にぴったりの内容です。


建築と保育のコラボレーション2015/01/29

『子どもの環境づくり事典』を編纂されたワーキングチームの先生方より、研究会へのお招きがありました。

日本建築学会編『こどもの環境づくり事典』青弓社,2014

建築関係の皆さんと共に、保育施設の環境づくりを考えてみたいと思います。

公開研究会 こどもの環境づくり-その意義と実践-


こどものための保育施設を取り巻く状況は変化している。とりわけ,幼稚園・保育所・準認可保育所の従来の区切りを変え,保護者の就労状況等によらずこどもたちがそれぞれのニーズに合った保育を受けることができるよう制度を改革する,いわゆる“幼保の一元化”の本格実施が2015 4 月に迫っている。

そうしたなかにあって,こどもたちの成長・発達を助ける保育施設やその環境のあり方の本質に立ち返り,「何を目指して」「どのように」環境をつくっていくかを改めて議論し,保育環境に関わる多様な主体で共有することが求められる。こうした視座に立ち,当小委員会では様々な事例の視察や現場での議論を重ね,今夏その成果を発信すべく『こどもの環境づくり事典』を編纂した。

本公開研究会では,この本の出版記念も兼ねて,保育・幼児教育の現場の方,設計者,保育環境の研究者(保育,建築)のそれぞれの立場から,保育施設における環境づくりの意義と実践への考えを語り,相互理解の上に立つ環境の向上に資する議論を行う。

 

主 催:建築計画委員会 施設計画運営委員会 福祉施設小委員会(協力:こども環境学会)

日 時2015 2 14 日(土)14:0016:30

会 場:東京大学本郷キャンパス工学部1 号館15 号教室

<プログラム(予定)>

主旨説明:藤田大輔(岐阜工業高等専門学校)「今日のこども施設をめぐって」

主題解説

1. 設計者の立場から   井上 寿(環境デザイン研究所)

2. 保育の現場から   鈴木 真廣(社会福祉法人わこう村 和光保育園)

3. 保育研究者の立場から   高山 静子(東洋大学)

4. こどもの環境づくりのために〜設計・保育研究・保育現場をつなぐ 佐藤 将之(早稲田大学)

ディスカッション

まとめ:橘 弘志(実践女子大学)

司会 :山田あすか(WG主査:東京電機大学)

参加費:会員1,500 円、一般2,000 円、学生500 円(資料代含む/当日会場払い)

定 員70 名(申込み先着順)


申し込みについては、以下の日本建築学会のホームページに詳細があります。