体操やリズム遊びの動きづくり2013/05/16

保育学会でお世話になった皆様ありがとうございました。福岡で元気をいっぱいいただいて帰ってきました。


福岡では和光保育園さんの撮影に伺いました。周囲はマンションに囲まれていますが、子どもの目には緑しか映りません。詳しくは後日、本で。


保育は、子どもの姿から始めることが基本。

造形、身体表現、音楽表現の場合、遊びでの表現だけではなく、保育者が文化を提供することも多くあります。その場合も、子どもの姿をよく見て、子どもの発達や心の状態に合ったものを考えます。
教材や活動を選択あるいは作るには、基準が必要ですが、各領域の発達過程の整理や、教材・活動選択の基準づくりはこれからの仕事です。

たとえば、体操やリズムの動きを作るときには、体と動きの発達の理解が必要。

発達は、中心(腰)から末端へ。頭部から尾部へ。
動きは、単純な動きから、複雑な動きへ。
粗大な動きから、微細な動きへ。
目的のない動きから、目的をもった動きへ。

0歳児は、腰と口内とつま先。(参考:飯島正博「不器用な子どもの動きづくり」かもがわ出版,2005)
1、2、3歳児は、手指と全身の粗大な運動。
4、5、6歳児は、調整が必要な運動。
こういうポイントがわかっているだけでも、子どもに合った動きや活動を選びやすくなるでしょう。

子どもの姿から活動を想定するという大原則がわかり、
各領域ごとに、子どもの発達と活動のポイントが整理されると、
保育者はグンと仕事が楽になると思います。

もっと保育者の役に立つ理論を作りたいものです。
音楽と造形表現分野で共同研究をして下さる方、募集中です。

プロの手遊びはどこが違う?2013/04/25

毎日、体脂肪率と筋肉量がせめぎ合い。今日は図書リスト作りで一日座っているから体脂肪が勝ちそうです。私の筋肉がんばれ。

朝霞キャンパスの緑がきれい
                          気持ちだけでも戸外へ。


東洋大学の芝生広場から木を見上げる
                        若葉が美しい季節です。


さて、職業として保育を行うプロの保育者の手遊びと、そうでない人の手遊びはどこが違うのか。
先日から、これをずっと考え続けています。

育児サークルや子育て支援サークルとのおつきあいが長かった私は、保育者顔負けの絵本に詳しいママやパパ、手遊びが上手なママたちと出会ってきました。市民図書館に行っても、子育ての棚に、手遊び、パネルシアターなどの本が並んでいたりします。親向け手遊びのDVDも売っていますしテレビでもやっています。もう手遊びは保育者の専売特許ではありません。

保育者にしかできない手遊び・・・。
発声や言葉の安定と美しさ、清潔に歌うこと、子どもによく見えるように手や体をゆっくりと動かすことができること、鼓動をとり美しいリズムで行うこと、子どもの状態に合わせて変化させること、集団の雰囲気をつくること。そういう技法的な違いがあるかもしれません。
しかし、最も違う点は、保育者の行為には、根拠があり、意図があることです。(そうでないと給料がもらえない)
子どもを楽しませるための手遊びやパネルシアターは、誰にでもできますし、専門知識はいりません。

子どもの心身の状態に合わせて選ぶ。
子どもの発達段階に則した動きのものを選ぶ、または作る。
子どもの言葉や認識や音感や手指操作の発達などを意図して選ぶ、または作る。
子どもの翌日からの遊びにつながるものを選ぶ、または作る。
子どもの人格形成に与える影響を考え、文化として選ぶ。

これらには、発達と保育の専門知識が必要です。
手遊びやうたのように、表面的なスキルのようにしか見えないものに実は根拠と意図がある、それが保育者の行為。

保育者は、子どもに楽しみを与える人ではなく、子どもが楽しみをつくりだすことを援助している人。傍からは同じように見えるかもしれないけれども、違うんですよねえ。保育者は、集団保育の中で、ただ単に子どもを楽しませるために手遊びをしているわけではないことを、伝えられるようになりたいと思います。


                 卒業生Iさんのゼミ手帳。きっと職場でがんばっているだろうなあ。

 
               保育者が教材や活動を知ることは、料理人が野菜を知るのと一緒。
              


数に強くなる2012/07/24

保育士を辞めた後、保育内容の体系化をコツコツと続けてきましたが、今年は数量の体系化の仕上げをしようと、移動時間には算数、数学に関する本を読むように心がけています。研究のために読み始めましたが思いもよらずおもしろい。数学の勉強をしながら、(どうしてこんな役に立ちそうにないことをやらないといけないの)と思っていた学生時代にこういう本と出会いたかったものです。なぜ小中学校では、教科書以外の本を薦めてもらえなかったのでしょう。考えると不思議です。


畑村洋太郎  「数に強くなる」  岩波新書、2007
「直感でわかる数学」の著者。数字が大嫌い、数学の教科書を見るだけでじんましんが出る人のために書かれた本だそうです。
前回の研究会で、「わかりにくい算数の授業をする先生は、数の本質がよくわかっていないからではないか」と発言された先生がいました。まさにその通り!とひざを打つ思いでしたが、(といっても私も本質をわかっているわけではありませんが)、数の本質がわかる授業なんて受けたことがない人がほとんどでは。数を理解するには、こういう本を何冊も読むことが近道ではないかと思います。



遠山啓  「数学の学び方・教え方」 岩波新書、1972
はしがきには、こうあります。
「いま、多くの人々が、日本の教育のあり方に対して憂慮の念をいだいています。学校は子どもをのびのびと学んだり、遊んだりさせる場所ではなくなり、毎日のようにテストをやらせ、子どもたちをたがいに競争させ、その競争に負けた子どもは一生涯うだつがあがらないようにする仕組みができつつあるようです。すべての子どもを賢くするためにつくられたはずの学校が、いまでは子どもたちを優等生と劣等生にふるいわけ、子どもたちを序列づけるための施設にかわりつつあります」・・・1972年で、このひらがなづかいと平易さ、驚きます。
内容も、はしがき同様、大変にわかりやすく説明されています。

それにしても、多くの子どもが数や算数が嫌いになるのは、「教育」ではないのかもしれません。
保育園のときに「クラスで一人でも最後まで跳び箱を飛ばせられないのであれば、跳び箱に取り組んではいけない」と言われていましたが、小学校は学年で教育内容が設定され子どもに合わせて教育内容を選択ができないのですから大変です。 幼児教育は、子どもに合わせて活動の選択ができます。



遠山啓  さんすうシリーズ ほるぷ出版は、ただいま取り寄せ中。

「具体物」と「抽象概念」をつなぐ「抽象化された具体物」2012/07/07

モンテッソーリの研修に参加した際、講師が、自分は子どもの頃算数が嫌いだったが、モンテッソーリ教具に出会い、算数のおもしろさに気づいたという話をされました。もしも、子どものときに教具と出会えていたら、きっと自分は算数が大好きになっていただろうと。

私も研修を受講して講師の話に納得。モンテッソーリ教具は、体系的に実によく考えられています。モンテッソーリはかなり理系の女性だったようですね。優しさにあふれたモンテッソーリがなぜ遊びを嫌ったのか、本を読んだだけではわからなかった謎が、算数教具を実際にさわるなかで溶けた気がしました。

モンテッソーリの感覚教具には、抽象化された具体物がそろっています。

子どもたちは、幼児期に「じゃがいもを、たくさん収穫する」、「大きいさつまいもと、小さいさつまいもを分ける」など、具体的、直接的な経験を積み重ねますが、そこから、小学校での数量・形などの抽象的な概念の世界へ入るには段差が大きすぎると感じています。その間に、抽象化された具体物があることで、段差を埋めることができます。


 
 
 



 
 
                      もっともお気に入り。青い12枚の三角形。美しいです。

                     


小学校では、具体物を使った算数的活動によって算数を理解することが学習指導要領に示されていますが、小学校は一斉授業がメイン。ゆっくりと時間をかけた個別学習ができるのは、幼児教育の強みです。
これまでモンテッソーリ教具は、提示の仕方が決まっているために使用しない園も多かったのですが、小学校へ上がる前の半年間の6歳児保育で、モンテッソーリ教具を「活用」できないかと考えています。

今年の共創祭(学園祭)では、ディコレスプログラムの一環として、2年生が各クラスごとに子ども向けのイベントを行います。私が担当するクラスのテーマは「おもちゃ」。対象は乳幼児とその保護者、幼稚園・保育園の先生方です。
園や家庭で、手軽に手作りできるおもちゃと季節の飾りを展示する予定です。モンテッソーリの理論を取り入れた手作り玩具に加えて市販のモンテッソーリ教具も展示します。来場された保護者の皆さんや先生方と、教具や玩具についてお話できることが今から楽しみです。

かわいい幼児教育2012/06/25

昨日のゼミで「本屋に行っても保育コーナーに保育に関する本がない」と言った学生がいました。それがわかるあなたはすごい。

よそのまちへ行くと本屋に入って保育・教育書を探すのが私の習慣。そして毎回、保育書コーナーでゼミ生同様、「どうして保育の本がないのよ」と憤慨し、他の書棚を見て気分を回復します。

先日、ふと気づきました。保育の本には、「かわいい」が、あふれている!!
表紙には、まるっこいくまやらうさぎやらがウインクしてるし。タイトルにも、「かわいい壁面」、「かわいい折り紙」・・・。
たしかに、保育者は小さいものや幼いものを愛おしく思う人たちですから、かわいいに惹かれるのはわかります。
しかし、保育図書の「かわいい」は、野の花や子どものかわいらしさとは異なる幼稚さを感じます。



「かわいい」は、保育の目標にも方法にもありません。

「保育所保育指針」や「幼稚園教育要領」に、「かわいい保育室を準備しましょう」、「かわいいお遊戯をさせましょう」なんてどこにも書いていませんし、書いてあったらおかしいですね。
かわいい絵本、かわいいパネルシアター、かわいいおもちゃ、かわいいうた・・・何を保育の目的にしているの?って言われそう。 「かわいい保育」なんて、変です。もしも、「子どもをかわいく飾り立てる親」や、「かわいいお洋服ばかり着せる親」がいたら、子どもをペットやおもちゃにしていると批判を受けるでしょう。

「かわいい」を好むのは、個人の趣味のレベル。保育者が私生活で「かわいい」を満喫する分には、何の問題もありませんが、自分の趣味は園の幼児教育には持ち込まないのがプロ。先生の机に「かわいい」本が並んでいたら、保護者は先生の専門性を疑ってしまうかもしれません。
何よりも、幼稚な教材や活動と、幼稚な環境しか与えてもらえない子どもたちは、不運です。

保育書のコーナーを見ると、その地域の園の雰囲気が何となく伝わってきます。
全国の書店で、今まで一度だけかわいい雑誌が平積みになっていない保育コーナーを見つけたことがありますが、そこはお受験が盛んな地域でした。それも何だかなあ・・・。

文化の薫りと、専門性が感じられる保育書が平積みになっている本屋さん、どこかにありませんか?

保育内容の幼小連携2012/01/03

今年度の入学生から小学校教諭の養成が始まり、学内でも幼小連携に関する話題が増えました。

保育士をしていたときには、「小学校学習指導要領」を購入して読んでいました。何に使っていたかって、主に懇談会の資料です。幼児期の遊びや環境構成が小学校以降の学力にどうつながるのか、それを説明するのに要領を見ながら知恵をしぼっていたのでした。

「学習指導要領」は、今は文部科学省のページで簡単にダウンロードできますね。

ゼミ生のOさんが、幼児期の数量経験を卒論テーマにしていることもあり、研究の合間に、改定された小学校の指導要領に関する資料を読み込みました。いろいろ読んでみましたが、保育者が小学校の算数を理解するために一冊読むとすれば以下がお薦め。 金本良通「小学校新学習指導要領の展開 算数科編」明治図書出版 2008


ここで、数量図形に関する年長のねらい、内容と、小学校一年生の算数の目標、内容を比較してみましょう。

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「幼稚園教育要領」 領域 環境

 

1 ねらい

1) 身近な環境に親しみ,自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ。

2) 身近な環境に自分からかかわり,発見を楽しんだり,考えたりし,それを生活に取り入れようとする。

3) 身近な事象を見たり,考えたり,扱ったりする中で,物の性質や数量,文字などに対する感覚を豊かにする。

 

2 内容

2) 生活の中で,様々な物に触れ,その性質や仕組みに興味や関心をもつ。

4) 自然などの身近な事象に関心をもち,取り入れて遊ぶ。

7) 身近な物や遊具に興味をもってかかわり,考えたり,試したりして工夫して遊ぶ。

8) 日常生活の中で数量や図形などに関心をもつ。

 

3 内容の取扱い

4) 数量や文字などに関しては,日常生活の中で幼児自身の必要感に基づく体験を大切にし,数量や文字などに関する興味や関心,感覚が養われるようにすること。

 

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「小学校学習指導要領」 第一学年 算数

 

1 目標

1) 具体物を用いた活動などを通して,数についての感覚を豊かにする。数の意味や表し方について理解できるようにするとともに,加法及び減法の意味について理解し,それらの計算の仕方を考え,用いることができるようにする。

2) 具体物を用いた活動などを通して,量とその測定についての理解の基礎となる経験を重ね,量の大きさについての感覚を豊かにする。

3) 具体物を用いた活動などを通して,図形についての理解の基礎となる経験を重ね,図形についての感覚を豊かにする。

4) 具体物を用いた活動などを通して,数量やその関係を言葉,数,式,図などに表したり読み取ったりすることができるようにする。

 

2 内容

A 数と計算

1) ものの個数を数えることなどの活動を通して,数の意味について理解し,数を用いることができるようにする。

ア ものとものとを対応させることによって,ものの個数を比べること。

イ 個数や順番を正しく数えたり表したりすること。

ウ 数の大小や順序を考えることによって,数の系列を作ったり,数直線の上に表したりすること。

エ 一つの数をほかの数の和や差としてみるなど,ほかの数と関係付けてみること。

オ 2位数の表し方について理解すること。

カ 簡単な場合について,3位数の表し方を知ること。

キ 数を十を単位としてみること。

2) 加法及び減法の意味について理解し,それらを用いることができるようにする。

ア 加法及び減法が用いられる場合について知ること。

イ 1位数と1位数との加法及びその逆の減法の計算の仕方を考え,それらの計算が確実にできること。

ウ 簡単な場合について,2位数などの加法及び減法の計算の仕方を考えること。

B 量と測定

1) 大きさを比較するなどの活動を通して,量とその測定についての理解の基礎となる経験を豊かにする。

ア 長さ,面積,体積を直接比べること。

イ 身の回りにあるものの大きさを単位として,その幾つ分かで大きさを比べること。

2) 日常生活の中で時刻を読むことができるようにする。

C 図形

1) 身の回りにあるものの形についての観察や構成などの活動を通して,図形についての理解の基礎となる経験を豊かにする。

ア ものの形を認めたり,形の特徴をとらえたりすること。

イ 前後,左右,上下など方向や位置に関する言葉を正しく用いて,ものの位置を言い表すこと。

D 数量関係

1) 加法及び減法が用いられる場面を式に表したり,式を読み取ったりすることができるようにする。

2) ものの個数を絵や図などを用いて表したり読み取ったりすることができるようにする。

 

〔算数的活動〕

1) 内容の「A数と計算」,「B量と測定」,「C図形」及び「D数量関係」に示す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとする。

ア 具体物をまとめて数えたり等分したりし,それを整理して表す活動

イ 計算の意味や計算の仕方を,具体物を用いたり,言葉,数,式,図を用いたりして表す活動

ウ 身の回りにあるものの長さ,面積,体積を直接比べたり,他のものを用いて比べたりする活動

エ 身の回りから,いろいろな形を見付けたり,具体物を用いて形を作ったり分解したりする活動

オ 数量についての具体的な場面を式に表したり,式を具体的な場面に結び付けたりする活動

 

〔用語・記号〕

一の位 十の位 + - =  

 

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6歳は、発達段階がぐんと変わる時期とはいえ落差を感じますよね。
幼小連携で留意する点は、教育内容の連続性、子どもの経験の連続性です。

幼児期は、身体と五感を使った直接体験による学びが効果的です。自然のなかでの遊び、栽培や飼育、生活の活動を重視している園では、子どもたちはごく自然に数量体験を積み重ねています。

とは言っても「じゃがいも4こ」といった具体的・直接的な経験から、いきなり「2+2=4」なんて抽象的な概念の学習にとぶのはとても大変。そこで、幼児期や小学校低学年で具体と抽象をつなぐための玩具や教具がどれだけ揃っているかが大切になります。注目しているのがモンテッソーリ教具。具体と抽象をつなぐ年長後半の保育にぴったりです。ほかにも輸入おもちゃで良いものがいろいろありますね。これに、保育者の意図的な言語による援助が加われば、鬼に金棒です。

最近、私は環境構成の研究が多かったのですが、指導要領を読んでいると、久しぶりに保育内容の体系化をやりたいという欲求がムクムク。0歳から5歳まで発達段階と活動を体系化するというとっても楽しい作業です。実は、言葉領域は10年以上前に終わっているのです。次は環境領域を完成させたいな・・。いかん。研究にもどります。

ぐりとぐらは47歳2011/06/23

浜松こどものとも社の安田社長から「ぐりとぐらは47歳」という話を伺いました。北欧には代々使えるおもちゃをつくり続けるおもちゃメーカーがありますが、日本には、長く読み継がれる絵本を出し続ける出版社があります。

絵本を販売するこどものとも社さんには、福岡でも、浜松でもお世話になっています。
「高山さんは日本で一番おもちゃにうるさいよ」と言われることがありますが、いーえ、私は「日本で一番、子どもの文化にうるさい」のです。子どもの人格形成は、親や先生と同じ、あるいはそれ以上に子どもが見聞きする文化に影響を受けます。保育者は、絵本やおもちゃや番組や歌などにうるさくて当然。子どもが喜べば何でもいい、なんてプロではありません。

保育室で大声と甲高い裏声と大きな音に囲まれ、テンションが高く、楽しく、興奮させる子どもだましの文化ばかり乳幼児期に与えられた子どもが、小学校になったからといって、いきなり先生の話をよく聞き、よく考える子どもになるなんてことは、まあ、考えづらいでしょう。

暮らしの質が人格を育みます。会話のある暮らしをし、どの子どもにも豊かな言葉の獲得を助けること。そのためには、園で提供する文化を選択する必要があります。保育者は、子どもの文化を選択するプロでありたいものです。

季節と子どもの興味や活動に沿った絵本を選択(川和保育園)


ケアの専門性2011/06/02

今日も素敵な先生方との出会いがありました。声をかけていただいた皆様、ありがとうございます。

このところ、ずっと「ケア」について考え続けています。

保育園は、さまざまな家庭のお子さんが利用します。

仕事と家事の両立は大変です。忙しさで、ゆっくり子どもの髪をとかしたり、子どもの顔を拭くゆとりさえない保護者もいるでしょう。仕事でくたびれきって玄関先で涙が出る日もあるかもしれません。家族や仕事の問題で悩み、子どもを優しく受け止めることができない経験は多かれ少なかれ誰にもあるのでは。立派な家庭なんてないし、家族って、人生って、いろいろあるのが普通です。
保育士は福祉の専門職ですから、どんな保護者であっても同じように丁寧に対応し、どの子どもにも同じように接します。子どもに服を身ぎれいに着せ、髪をやさしくとかし、手をかけ、かわいがります。 家庭の状況がどうであれ、保育園で先生にかわいがってもらえる子どもは幸せですね。

子どもの髪をとかすことや、子どもの服の裾を直すこと、その行為はごく普通の行為なのだけれど、多数の子どもに同時に、そして、どの子どもにも心をこめて行為することは、誰にでもできるわけではありません。
わたしも、お昼寝のときに、つらい状況にある子どもの背中を、「絶対に幸せになるんだよ」、「負けちゃだめだよ」と、心をこめながらさすることがありました。他人の人生にはわたしは何もできない。でも、その子どもの幸せを祈ること、今日、その子どもを大切にケアすることはできます。なんてありがたい仕事でしょう。

以前看護学教育学会に参加したときに、看護師にとって「ふれること」は「技」だ、というような発言がありました。普通の人のふれ方と、プロの看護師のふれ方は違う。なるほど。「ケアする心」と「ケアする技」の一致が専門性か、保育士も同じだなあと思いながらお話を伺っていました。

疲れた自分の顔に悲しい思いをしたり、仕事を続けることを悩む日があるかもしれないけれど、保育者は、毎日、その労働で、子どもたちの笑顔と保護者の生活を支えています。ケアの仕事は、ほんとうに崇高な仕事だと思います。