能力を多元的に捉える ― 2012/06/28
さて、子どもの能力に関する知識は、子どもの把握と保育内容の選択や環境構成に影響を与えます。
能力を、IQ(知能指数)だけで捉えるか、多元的に幅広い能力として捉えるかです。
ハワード・ガードナーが理論化した Multipule Intelligences 多元的知能(マルチ能力や多重知能とも翻訳)は、ポートフォリオ、ルーブリック、個別化学習などの背景となる理論ですが、意外にこの理論が知られていません。
多元的知能理論とは、人間は誰しも7つの能力(その後、8、10と増えています)をもっているけれども、人によって能力の強みは異なるというものです。7つとは、言語的知能、論理数学的知能、空間的知能、身体・運動的知能、音楽的知能、人間関係的知能、内省的知能。8つ目の能力は博物学的知能とも、自然的知能とも翻訳されています。

ペーパーテストは、これらの能力の内、言語的知能と論理・数学的知能を中心に測ります。小学校の低学年から、一部の能力だけを測られることによって、「自分は能力が低い」と思い込まされている子どもがどれほど多いことでしょう。もしも運動能力だけで偏差値がつけられたら・・・。もしも人間関係能力だけで大学入試が決まったら・・・。一部の能力だけが、子ども期、青年期に評価されるって、やっぱり変です。
幼児教育では、子どもたちがこれらの多様な能力を伸ばせるように、環境を準備したいものですね。
「〇〇ちゃんは、運動が得意だね」、「〇〇ちゃんは絵がとてもステキだね」、「〇〇ちゃんは友達の気持ちに敏感だね」、「〇〇ちゃんは一人で虫をじっとながめているのが得意だね」と、一人一人のステキなところが発揮できる保育内容を組みたいもの。
そして小学校でもそれぞれが自分の強みを伸ばしていける学習形態で授業が進められ、子どもたちが自分の得意なことをしっかりと感じとることができたら、自分に自信をもつ子どもが増えるのではないだろうかと思います。
大学でも、できるだけ多様な能力を引き出せる授業を目指していますが、まだまだです。
多元的知能は、書店あるいは図書館で「ガードナー」あるいは「マルチ能力」で検索してみて下さい。
EQ(こころの知能指数)やキー・コンピテンシーのように、関係や場のなかで発揮できる能力に着目した理論も、理解しておくと保護者の早期教育への要望に対して回答がしやすくなるかと思います。
日本子ども家庭福祉学会リレーエッセー ― 2012/03/18

子ども家庭福祉学会は、私を育てていただいた学会といっても過言ではありません。社会福祉の専門職としても、幼児教育の専門家としても、どっちつかずの「保育士」。福祉も教育も、といえば聞こえはいいけれど、福祉にも教育にも入ることができない中途半端な立場に悩んでいたときに出会ったのが「子ども家庭福祉」という言葉でした。
学会では、発表の仕方や相手を尊重した誠実な質問の仕方など、先生方のふるまいから研究者としての姿勢をゼロから学ばせていただきました。
今年の全国大会は、2012年6月2日(土) ~ 3日(日) 会場は大阪府立大学。
大会のテーマは、なんと、『教育と福祉のコラボレーション』 パチパチパチ(拍手)
公開シンポジウムでは、山野則子先生がコーディネイターで、
一見真理子先生、「OECD等の国際動向から」
金澤ますみ先生 「スクールソーシャルワークの観点から」
吉田敦彦 「オルタナティブ教育の観点から」
何とぜいたくなメンバーでしょう。
今年の大会が今から楽しみです。

各国の子どもに対する職員の数とクラス規模 ― 2012/02/24
この白書は、乳幼児期の保育(教育とケア)が、効果的な人的投資として注目されていることを報告しています。
乳幼児期の質の高い保育への投資は、「乳幼児の発達上のメリット、女性と家庭への経済的利益、生産性と税収の増大によるプラスの社会経済効果、労働市場の規模と柔軟性、社会福祉および社会的結束と地域社会の発展、最後に学習の基盤がうまく築かれた場合の子どもの学業成績の向上など」をもたらすことが、これまでの研究により明らかになっています。反対に劣悪なケアを受けた場合には子どもへの悪影響があることも明らかです。
OECDの報告書を読むと、日本が乳幼児の保育への投資がいかに少ないか、また税の再配分により子どもの貧困を減らすことにまだ成功していないか考えさせられます。(私たちの責任です。政治家を選んでいるのも投票に行かないのも私たちですから)
子どもたちが人として尊重にされ、交通事故や虐待や犯罪に遭う子どもが少なく、ほんとうの意味で幸せに暮らせることが文化的な国の証といえるでしょう。事故に遭わずに無事に生きている子どもたちも、早期教育に駆り立てられ、かわいくと飾り立てられ、早くもっとと急がされ、親と教師から受験戦争に送り込まれている・・・なにかさびしいですね。 幼児教育も、35人に1人の保育者という構造の質は、あまりに貧しすぎです。地方分権の今こそ、成熟した地域社会をつくりたいものです。
そのためにも資料編から各国の職員一人あたりの子どもの数と、クラス当たりの最大人数を抜書きしてみたいと思います。(根性) 「 」内は報告書をそのまま抜書きしたもの。( )内は報告に書かれた内容の補足です。ご参考に。
〇〇子どもの数に対する職員配置数〇〇
〇オーストラリア(州により異なる)
長時間ケア施設:0~2歳は、子ども4~5人に対して職員1人、2~3歳は子ども10~12人に対して職員1人、3~5歳は子ども10~15人に対して職員1人。(以下同じく、前の数字が子どもの人数、後が職員数)
プリスクール・幼稚園:3~5歳は20~26人に対して教師1人と補助職員。
〇オーストリア
保育所8.7人対1人。
幼稚園16人対1人。
〇ベルギー:フランス語圏共同体
保育所:7人対1人。(子どもの年齢によって異なる)
エコールマテルネル(幼児学校):15人対1人。
〇ベルギー:フラマン語圏共同体
施設型デイケア:6.5人対1人
プリスクール:17人対1人、初年度(2歳半から)は、17人対2人。
〇カナダ(州により異なる)
1歳児:3~8人、3歳児7~10人、5歳児8~15人
〇チェコ
公立幼稚園:12人対1人
〇デンマーク
0~2歳は3.3人対1人、3~5歳は7.2人対1人、0~9歳の混合クラスは6人対1人。
〇フィンランド
3歳未満は4人に対して1人、3歳以上は7人に対して1人。
〇フランス
チャイルドケア(推奨):0~2歳は5人対1人、2~3歳は8人対1人(0~3歳は家庭型ケアが中心)
エコールマテルネル(幼児学校):3~5歳は25.5人対1人
〇ドイツ
報告なし。
〇ハンガリー
保育所:12人対2人。
幼稚園:22人対2人。
〇アイルランド
就学前教育クラス(4,5歳):25人対教員1人。(24%が30人以上補助員なしの学校で学んでいる)
就学前教育の場以外0~3歳:報告なし。3~6歳は8人対1人。
アーリースタートクラス(不利な子どもを対象、半日制):15人に2人。
〇イタリア
保育所:7人対1人。(0歳児はほぼ親がケアし、3歳以上児の98%が幼児学校)
幼児学校:通常25人対1人。例外28人対1人。障がい児がいる場合20人対2人。加えて教師補助員と宗教の教員がいる。
〇韓国
保育施設:1歳未満は3人対1人。1歳児5人対1人。2歳児7人対1人。3歳児15人対1人。4~6歳児:20人対1人。特別なニーズがある子どもがいるチャイルドケア施設は5人対1人。
幼稚園(推奨):3歳児15~25人対1人、4~6歳児は25人~30人対1人。異年齢混合は20人~30人。
〇メキシコ
公的規制なし。教育省が推奨する比率は25人対1人。「都市部のクラスでは職員1人当たりの子どもの数が30人、時には40人をはるかに越える場合も見受けられる。」
〇オランダ
「新チャイルドケア法では決められていない」が、報告には、0歳児4人対1人。(1~2歳児5人対1人。2~3歳児6人対1人。3~4歳児8人対1人。4~12歳10人対1人とある。
〇ノルウェー
0~3歳で一日6時間以上いるときには7~9人対1人。(0歳児はほぼ家庭養育)。3~6歳児は14~18人対1人。
〇ポルトガル
保育所:0~3歳児子ども10~12人対2人。(90%が家庭養育)
幼稚園:25人対1もしくは2
〇スウェーデン
地方自治体が決定し、「施設型ECECと家庭的では職員1人につき子ども5~6人が典型的である」(18か月未満の子どもはほとんどが家庭養育)
〇イギリス
施設型ケア:2歳未満児は3人対1人、2歳児は4人対1人、3~7歳児は8人対1人。
ナーサリー・スクール、ナーサリー・クラス(3~5歳児):13人対1人。
レセプション・クラス(4歳児):30人対2人。(教員とレベル3以上の補助職)
〇アメリカ
州により異なる。一般的に乳児4~6人対1人。プリスクール:10~20人に1人。2,3歳児はこの中間くらいの比率
●●クラス当たりの最大人数●●
●オーストラリア
行政区によっては上限なし。プリスクールおよび幼稚園は一クラス30人まで。
最大人数は28人(多くの地方では25人)
●ベルギー:フランス語圏共同体
3~6歳は最大32人。
●ベルギー:フラマン語圏共同体
デイケアスクール共に施設・学校が決定する。
●カナダ(州により幅がある)
1歳児クラスは6~18人。3歳児クラスは14~25人。5歳児クラスは16~25人。
●チェコ
28人。
●デンマーク
クラス定員に関する法律はない。一般に1,2歳では12人を越えない。3~5歳では22人を越えない。
保育所は大きさの要件がない。
就学前教育(6歳)は最大グループ人数は20人が推奨。13人を越えたグループには補助職員がつく。
●フランス
報告なし。
●ドイツ
一般的には、幼稚園の一クラス集団は25人を超えない。
●ハンガリー
保育所:12人。幼稚園:25人。
●アイルランド
0~3歳は20人。3~6歳は29人。
●イタリア
保育所は10人。幼児学校は最大25人。
●韓国
幼稚園:3歳児は15~25人、4~5歳児は、25~30人、異年齢混合クラスは20~30人。
●メキシコ
報告なし。
●オランダ
登録チャイルドケア施設の一クラスの平均人数は0~4歳が12人。初等教育の平均人数は4~7歳が20人。8~12歳が27.7人。
●ノルウェー
上限は定められてらおず、地域レベルで決められる。
●ポルトガル
保育所は最大人数は10~12人。幼稚園は25人。
●スウェーデン
統計による最大のクラス集団は17人。認可学校外施設の最大のクラス集団は30人(教員と補助教員)
●イギリス
報告なし。
●アメリカ
国立幼児教育研究所は3歳児、4歳児クラスのベンチマークとして最大10人を設定。37州がこの基準を達成。
p151には、「OECD調査の経験によれば、3~6歳児についての職員1人当たりの子どもの数は、北欧諸国の7人から、フランス、アイルランド、韓国、メキシコの25人まである」 ・・・日本はOECD調査の20か国よりも低い基準なのです。
児童福祉施設最低基準の条例 ― 2012/02/22
総務省 地方自治法の抜本見直し
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/bunken/minaoshi.html
この総務省のホームページでは、「見直しの目的」を次のように説明しています。(一部)
「地域主権改革は、地域に住む住民が、地域のことは地域に住む住民が決め、自らの暮らす地域の未来に責任を持つという、住民主体の新しい発想を求めていくものです。この地域主権改革を推進していくためには、地方自治体においても、その運営に当たって地域住民の意思がこれまで以上に反映されるよう、地方自治の仕組みそのものについても、地域の住民が自ら考え、主体的に行動し、その行動と選択に責任を負うにふさわしいものとしていくという観点から、地方自治の基本法である地方自治法についても抜本的な見直しを検討していくことが必要と考えられます」
地方自治が成功するには、賢明な市民、住民参画の意義を理解し仕組みに詳しく忍耐強い自治体職員、公のために働く議員が不可欠だと考えています。
子育て支援の施策調査の研究では、三重県名張市や、福岡県福間町(現福津市)など、住民ニーズにかなった施策を行っている市町村には、多くの住民が施策作りに参加する仕組みがあることがわかりました。たとえば住民のワークショップを繰り返し行ったり、当事者(代表者ではなく)と、市長の座談会など多様な手法がありました。
また、先進的な子育て支援を施策として実現している市町村には、志の高い行政職員の存在がありました。あるまちで、若いママたちの意見を聞いて計画を進める市の職員に、「なぜそんなに住民の意見を聞くのですか?」と尋ねると、「私は子育て支援で何が必要かよくわかりませんから、よくわかっている子育てサークルの皆さんの意見を聞くのは当然です。私たちの仕事は住民の夢を実現することであり、皆さんがこんなまちにしたいという夢を実現するために、お金を集める算段をしたり、必要な条例を改正するのが私たちの仕事です」という答えが返って来ました。厚生労働省の歴代の少子化対策室長の皆さんも、徹底した現場主義。とにかく自分から現場へ出向き、現場の声を徹底して聞いてそこから施策を考える姿勢には感心しました。
ある議員さんは、私たちが開いた子育て当事者の意見を聞くワークショップに来て下さり、みんなから集中砲火を受け、それでも議会で二度も質問してくださいました。住民、行政、議員がそれぞれに役割を果たすことで新しい施策が実現することを、これまでの子育て支援活動のなかで、体で学んできました。
この地方自治法の改正により、各都道府県では児童福祉施設最低基準の条例を定めることになります。一年間の経過措置があるため、静岡県でもこれからパブリックコメントを募集するものと思われます。
何度もこのブログで取り上げていますが、保育所の、1歳児6人に対して保育者一人、3歳児20人に保育者一人という日本の最低基準は、子どもの健やかな発達を保障する基準ではありません。(幼稚園の35人に一人も同様です)
子ども政策に力を注ぐ京都市、高知市、豊橋市などは、すでに国の最低基準を上回る条例を提案しています。
県のホームページをチェックし、意見を出せない赤ちゃんや幼児の代弁者として、一言でも意見を書き込んでいきましょう。

幼保一体化のとりまとめ案 ― 2012/01/30
●幼保を一体化した総合こども園(仮称)のポイント●
①総合こども園(仮称:以下省略)は、学校教育(学校教育法に位置づけられる幼児期の学校教育)と、保育(児童福祉法に位置づけられる乳幼児期の保育)と、家庭における養育支援を行う施設。
②総合こども園は学校教育を行うが、学校教育法の一条校には加えない。(第1条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。)学校教育法の改正は行わず、幼稚園は学校教育法に位置づけられたまま残される。
③認定こども園は全面移行、現行の保育所は乳児保育所をのぞき2015年から3年間で総合こども園へ移行、幼稚園には保育所のように年限を示さない。私学助成は残す。
④総合こども園では、家庭における養育支援が、必須事業となる。
⑤管轄は内閣府。総合こども園に移行しない幼稚園は文部科学省、乳児保育所は厚生労働省。所管は三つに分かれる。
⑥設置主体は、国、地方公共団体、学校法人、社会福祉法人、一定の要件を満たした株式会社、NPO法人。
⑦必須配置職員は、園長、保育教諭(仮称)、学校医、学校歯科医、学校薬剤師、調理員。
⑧職員の配置基準・研修時間の確保・保育室及びその面積等、一体化の目的である「質の向上」に関連する部分は未確定のままである。
⑨総合こども園においては公立・私立共に政治的行為は禁止となる。
⑩感染症防止のために、総合こども園では出席停止、臨時休業を行うことができる。保健計画の策定、保健室の設置が必要。
⑪一体化は、消費税増税が通り財源が確保されれば行う。
保育に支障がでない皆様はぜひ、新システムの会議資料やビデオをご覧いただければと思います。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/index.html

ソーシャルワークの人間観 ― 2012/01/27
2.社会の主人公
3.誰しも生活の主人公
4.誰しも一人前
5.お互いに対等
6.相互依存
7.弱い存在
8.プロシューマー
9.多様な役割とその調和
10.多様な生活者の立場とその調和
11.変化し、成長する
12.状況によって変化する
上記は、岩田泰夫氏が示す「ソーシャルワークの人間に対する考え方」、北島英治・副田あけみ・高橋重宏・渡部律子編の社会福祉基礎シリーズ 『社会福祉援助技術論 ソーシャルワークの基礎理論』に掲載されています。(本には詳しく解説されています)このシリーズ本は何度も開きます。
子どもの保育も保護者の支援も、保育者がもつ人間観に影響を受けます。私は教育系で育った人間ですが、福祉の実践理論を手にすることで、保護者支援が楽になりました。保育士が教育者になり、資質レベルで語られるようになる前に保育実践の価値・倫理を整備したいものです。
専門職と非専門職の行為 ― 2011/09/26
メールで「自分ひとりでも、保育を変えることはできますか」という質問をいただきました。私は、「はい、できます」と答えたいと思います。
保育を変えたいけれど、(他の先生方と違うことをすることはいけないのではないか)、(他の先生から嫌われるのではないか)と、いう不安を感じるかもしれません。
でも、「保育を変えることができますか?」という問いには、「私は子どもたちのために良い保育をしたい」という意志が含まれているように感じます。「子ども」を基準として行動している人は、きっと時間をかけて、変えることができると思います。

望月彰・谷口泰史編『子どもの権利と家庭支援』三学出版,2005に対人援助職の行為として次のような内容が紹介されています。(【 】内は高山が補足 一部を掲載)
・・・・「専門職」と「非専門職」の行為の違い・・・・
【意思決定と行為】
専門職・・・・・第一に、正式な教育と訓練の過程を通じて学ばれた知識体系に基づいて決められている
非専門職・・・第一に、個人的な意見と好み、あるいは所属機関の規則や決まりに基づいて決められている
【意思決定】
専門職・・・・・客観的であり、その状況の中の事実に基づいて意思決定する
非専門職・・・個人的な視点と都合に基づく主観的なルールによって意思決定する
【関心】
専門職・・・・・利用者の福祉とニーズが第一の関心事である。援助者は職務上の対人関係を自分の個人的なニーズ充足に使おうとはしない
非専門職・・・援助者の福祉とニーズが第一の関心事である。援助者は利用者と関係を結ぶことによって、援助者自身の個人的ニーズを満たそうとする
【利用者との関係】
専門職・・・・・利用者との関係は、目的が明確であり、目標達成指向であり、時間制限的である
非専門職・・・利用者との間の関係のあり方に方針が欠如しており、友人関係との区別がつかない
【情報共有】
専門職・・・・・新しい知識と情報を獲得し、それを同僚と共有することは援助者の義務と責任であると考えている
非専門職・・・新しい知識を獲得したりそれを同僚に教えることは自分の仕事ではないと考えている
専門職は、個人的な好みや感情ではなく、専門知識という根拠に基づいてその行為を選択すること。そのため保育環境や教育内容は保育目標や保育の原理との整合性が必要であること。・・・一度、このことをわかってしまったら、もう主観による保育には戻ることはできません。同僚も、きっと良い保育をしたい、良い保育者になりたいと思っているはず。まずは情報共有からはじめてみてはいかがでしょうか。
保育者はどこかに「子どものためスイッチ」があります。このスイッチを押すと体の奥底からパワーが湧いてきて、 自分には無理と思っていたことも軽々とやれてしまうのです(笑)。自分と同僚のスイッチを押してみて下さいね。

保育の質を高めるマネジメント(矢藤誠慈郎先生) ― 2011/09/21
マネジメントといえば、今年1月号の建帛社だより「つくし」掲載されていた「保育の質を高めるマネジメント」。これもおもしろかったですね~。矢藤先生らしい実に鋭い視点から、保育組織のリーダーについて書かれていました。
矢藤誠慈郎先生の「保育の質を高めるマネジメント」・・・建帛社のホームページで読めます。
矢藤先生のご専門は教育経営学。リーダーの資質等についても研究しておられます。
このコラムでは、リーダーの役割として、ナレッジマネジメントを解説し、保育組織のリーダーシップの基盤として、「相手の思いや知に思いを馳せ、耳を傾け、目を凝らす『受信力』」と「ファシリテーターとしての役割を果たすこと」を挙げておられます。園内のナレッジマネジメント・・・同僚性を高め、園内に学びの文化を涵養し保育の質を高める継続的な仕組みとなりますね。またこれは、一人ひとりの保育者に専門職としての自覚を促し、保育者としての誇りにもつながる、とても大切な視点だと思います。
矢藤先生は、今年度研修の研究も行っていらっしゃるそうです。これまたおもしろい内容になりそうですね。
矢藤先生、報告書、楽しみにしていま~す!

保育の質を確保する自治体の独自基準 ― 2011/09/06
各自治体でも、地方主権に向け質の確保が進められています。
さきに紹介した「遊育」 では、「都道府県等の保育所認可基準と条例化の動き」の特集が組まれていました。
特集には、保育所の独自基準を設けている自治体が詳細に紹介されています。
千葉県は、県として指針を設置。国に上乗せした基準設置を行っているのだとか。
「保育所の設置認可の基準等に関する指針」
横浜市では、保育士配置基準は、「1歳児4人につき一人以上、2歳児5人につき一人以上、3歳児15人につき一人以上、4歳以上児24人につき一人以上とする」とし、「保育所保育指針」に示された保育ができる保育士数を、市が確保しています。
「横浜市民間保育所設置認可等要綱」(18ページに掲載)
京都市は、1歳児5人に一人、3歳児15人に一人、4歳児20人に一人、5歳児25人に一人として、私立保育所に補助を行っているそうです。
国の保育所の保育士配置基準は、子ども1、2歳児6人に対して保育士一人、3歳児20人に一人、4,5歳児30人に一人です。どんなに優れた保育士であっても、この最低基準で「保育所保育指針」に示された保育内容を実施することは不可能といえます。35人に教員一人が基準の幼稚園も同様です。
30人の3歳児を一人の保育者が、一人ひとりの気持ちをうけとめつつ適切な援助をする・・・なんて人間技ではありません。日本の幼児教育の構造の質は先進国とはほど遠い観があります。
今でも厳しい配置基準ですが、認定こども園の基準では、短時間保育児は、3歳でも35人に一人となります。短時間保育児と長時間保育児が混在するクラスでは、預かり保育で子どもは残っていても、人的配置基準は保育所よりも低くなってしまうのです。また、幼稚園では、預かり保育の時間は、教員の規定がありません。実際に幼稚園では、無資格者が預かり保育の時間に子どもを保育しており、文部科学省の調査では、無資格者の割合は私立よりも公立の方が多いというデータが出ています。
一体化によって、一定時間のみが「教育」で、その時間以外の時間は「託児」、という感覚が広がることは大いに問題です。また「教師の指示により子どもが行う活動」が「教育」で、それ以外は「自由遊び」という誤解が拡がることも、危惧されます。
オムツをつけている3歳児が増え、家庭で食事や睡眠、排泄などの基本的生活習慣を獲得できずに園での支援が必要なお子さんが増加しています。「遊び」が教育という「幼稚園教育要領」の考え方では、基本的生活習慣の獲得を支援することは困難であり、遊び・食事・休息等、一日の生活全体を通して「教育と養護」を一体で行う「保育所保育指針」を保育内容の最低基準にする必要があります。
しかし、保育内容の質は「保育所保育指針」にあわせ、構造の質は、幼稚園と保育所の中間というのでは、今以上に規定された保育内容を実施することが難しくなります。一体化により、保育の質が下がることになっては、子どもの育ちにとってはマイナスですから、まずは構造の質の確保が必要。
「最初の1ドルは後の7ドルを節約する」。幼児教育で心身ともに健やかで聡明な人間を育てることは、問題発生に対応する税金を節約することにつながります。将来の税収も医療費も、人格の土台をつくる幼児教育の質にかかっているといっても過言ではありません。子ども第一主義の浜松市、子育て支援全国一を目指す静岡県にも大いに期待したいと思います。

情緒の安定を図る保育士の技術 ― 2011/08/09

最初は、保育者が情緒の安定(養護)のために行う技術を抽出する予定でしたが、保育者は、子どもの発達(教育)のために、ときには子どもに負荷をかけ情緒が不安定になる場面を意図的につくることにも気づかされました。挑戦的な環境を準備している園の子どもたちは、目の輝きが違いました。人間は、危険や厳しさが適度に配置されている環境で、生物として本来持っている能力が発揮されるのかもしれません。
報告書は、保育園の先生方にすぐに使っていただけるように、食事場面や睡眠の場面を写真で示し、ヒントを箇条書きでまとめました。あと数冊報告書が残っています。
保育園の先生方には、送料無料で送らせていただきます。御希望の方がございましたら、コメント欄に郵便番号、住所、園名、氏名をお書きください。(コメント欄は私しか見ることができないように設定しています。発送はお盆明けになります。)
●大変申し訳ありません。報告書は現在残部がございません。これまでの研究報告に関して、PDFで出せるようにしたいと思っていますがなかなか。せっかくお申し出いただいた先生方、申し訳ありませんでした。
