昭和の自由遊びと令和の遊び ― 2025/11/12
昭和の時代の保育は、保育者が主導する一斉活動と自由遊びでした。
子どもに経験してほしい活動を一斉活動として行い、それが終わると保育者がブロックやままごとのケースを出して「はいどーぞー」、これを「自由遊び」と呼びました。
しかし、令和の保育所保育指針や幼稚園教育要領には、「自由遊び」という概念はありません。
令和は「遊びを中心とする保育」ですが、これは昭和の時代の「自由遊び」を行うことではありません。
子どもが一日中ブロックやままごとのコーナーで遊んでも、遊びが幼児教育にはなりません。
むしろ昭和の時代に行っていた「一斉活動」を常時保育室に環境として準備すると考えてはどうでしょうか。たとえば一斉活動として色画用紙でクリスマスツリーをつくる活動をしていたならば、令和の時代は、その活動をコーナーに準備し、子どもが何枚でも繰り返し作れるようにします。保育者が多様な素材や道具を準備すれば、子どもは毎日繰り返すうちに大きなツリーを作ったり、立体のツリーを作ったりするかもしれません。
繰り返すことで、子どもは一斉の活動よりも試行錯誤ができ、考え工夫する体験ができます。一斉活動よりも遊びを中心とした方が子どもの能力が伸びるのは、繰り返しを十分にできるためです。
昭和は望ましい経験を一斉活動とし、令和は環境に準備して自発的な遊びを中心とします。そして令和の保育でも、歌やわらべうた、絵本、季節の行事のように保育者は文化を提供しています。遊びを中心とした保育は、毎日が小学校でいうところの生活科や総合学習と考えてみてはどうでしょうか。

遊びを中心にした保育は、放任でも、託児でもありません。
保育者の意図やねらいがあり、環境の構成があることで成り立つ教育方法です。
保育者の意図やねらいがあり、環境の構成があることで成り立つ教育方法です。