子育て支援施設の支援機能をチェックする2019/10/06

休日は雨。孫たちと一緒に某市の子育て支援センターへ行きました。
でもまた出ました悪い癖。孫と遊ぶより、すぐに環境チェックをしてしまうのです。。。

「子育て中の親子が自由に交流できるフリースペース」とうたわれた施設は、
木の広場や水遊びの広場など設備も充実しています。
しかし実際に利用してみると、
そこは公営の『屋内遊戯場』であり、子育て支援の場ではありませんでした。

まず、全体の空間づくりと、雰囲気づくり。
ショッピングセンターの子どもの遊び場やゲームセンターよりもうるさく、
体感的には80㏈をはるかに超えている感じです。
そのうえ赤ちゃんのコーナーの真横に、楽器のコーナーがあり、赤ちゃんの空間が最もうるさい。
乳児を子育て中の保護者は睡眠不足がちで肩こりもあります。
ここを利用するとますます疲労が増え、頭痛が起きるかもしれません。
大型遊具が多く設置されているコーナーも吸音材を使っていないために、声と音が響いていました。

次は、人的環境です。
スタッフは立って子どもを監視、いえ失礼、子どもの安全を見守っていました。
残念ながら笑顔で親に話しかけたり相談にのる人を、この日は見ることができませんでした。
物的環境を変えれば、スタッフは笑顔で座っていられるのに、う~ん言いたい!と悩みました。

安全性はどうでしょう。
『子育て支援の環境づくり』の事故防止チェックリストの項目を浮かべながらチェック。
赤ちゃんのハイハイ広場には堅いおもちゃ、転倒すると危険な大きさの玩具があります。
幼児が遊ぶ場所には「走りません!」とあちこちに書かれています。
いや、「走りなさい」という環境の情報をなくせばよいのですが・・・。
スタッフは大型遊具のそばに立ち、子どもに「下から登りません」と、注意をしていました。

どこにでもある危険な遊具えん

段差が小さく広い階段、足がかりのある斜面(黄色の矢印部分)は、
ハイハイの赤ちゃんでも登ることができます。
しかし赤ちゃんが上に上って座ると落ちる形状(赤の矢印部分)になっています。
小さな段差をはずしてしまえば、赤ちゃんは上らないので、保護者に注意をしなくてよくなります。

大人が注意をして見ていないと大きな事故が起きる可能性がある遊具は、
公園にも園にもあります。
保護者がハラハラして、わが子だけを見ていないといけない場所では、
人と情報交換をしたり、ちょっとした相談をすることはできません。

子育て支援の場は、安心と心地よさがあることで、相談や、人との気持ちの良い交流が生まれます。

子育て支援の場は、子育てをはじめたばかりの保護者が
気軽に相談し交流できる場所、深刻な相談を防止する場としてつくられました。
集合住宅やまちのなかでは、赤ちゃんや小さな子どもは迷惑がられるばかり。
道ばたや縁側のような居場所や交流の場がなくなった地域のなかで、
みんなで一緒に育てられる場所、それが子育て支援の場です。
まちのハードが子どもが育つ、子どもを育てる環境として貧困になったため、
地域子育て支援拠点が必要になりました。

子どもを健やかに育てられる地域環境がなく、
子育て支援の場に行っても居心地が悪く、
子育てを大変だとしか感じられなければ、
保育園への入園希望者は増える一方でしょう。

子どもが育つ環境として、まちのハードを見直し、
子どもが歩ける、遊べるまちづくりに改善するとともに、
各市町村の子育て支援施設の機能を点検をする必要性を感じました。

子育て支援の機能を果たしているかどうかは、相談件数でチェックができます。
イベント以外の毎日の利用者数と、毎日の相談件数が重要です。

人形のお洋服、エプロン、具材など2018/11/12

浜松こどものとも社の安田さんから、園で使える手作り品のカタログをいただきました。
さっそく大学の保育実習室用に、いくつか購入しました。

納品を知らせる事務の方からのメールには、
「あまりにかわいらしくて納品チェックでテンションがあがりました」とあります。

人形のワンピースや甚平、浴衣、おむつカバー、布団、子ども用エプロンなど。

ごっこ遊び用の具材はこんな感じです。

現在、カタログが行方不明。
発見したら写真をアップします。

浜松市なごみこども園のお隣にある店舗でも、実物を見ることができます。
子どもの本とヨーロッパのおもちゃの店パディントンさん

服で就職希望者が増える!?2018/09/23

高校生の Iさんから、ブログの内容についてメールをいただきました。
許可をいただき、メールの内容を転載します。

「保育士の服装が園児に与える影響について」
「はじめまして。僕は、現在高校3年のIといいます。
メールの題にも書いたように、保育士の服装が園児に与える影響について気になることがありインターネットで検索していたところ高山さんのブログを拝見し、連絡させていただきました。

なぜ気になったかというと、保育士の方々の服装というと、キャラクターがプリントされているようなTシャツにエプロン、下はジャージというものがステレオタイプとしてあると思いますが、先生の服というのは子供が日々目にするものですし、もしもTシャツに絵画がプリントされていれば、園児たちの興味や関心がそちらのほうに向き脳の発達などに関係する可能性はないか?と考えたからです。   
近頃保育士不足や離職率の高さが問題になっているといわれていますし、今よりもスタイリッシュな服装をすることで例えばキャビンアテンダントの制服に憧れて、それを目指すように先生たちにとっても保育士という職業に対する誇りがさらに生まれて、それによって少しでも現状が改善される可能性はないかと考えています。

もし、今回の内容に関する情報をお持ちでしたら教えていただきたいです
突然失礼しました。」
メールを拝見して唸りました。
保育士の服装は、
保育士の「職業イメージ」や、「社会的地位・待遇」に、
確実に影響を与えているだろうと
個人的には思っていました。
このように「スタイリッシュな服装をすることで・・・」とハッキリ書かれると、
なるほど高校生でもこのような感じ方をする学生さんがいるのか、
と考えさせられました。
今でも、自らを人的環境として意識している専門性の高い保育者は、
子どもの遊びが豊かに展開できるように、シンプルな服装を選んでいます。
環境の研究で取材をさせていただいた園では、
キャラクターのエプロンをつけているのは、実習生か中学生でした。
保育者は、子どもの興味関心を広げたり、新しい興味を引き出すために環境を構成します。
壁に絵を貼るように、服もその一つとして活用できると思います。
日常は、専門職にふさわしく、かつ自分らしい服ですごし、
行事では、服で演出することもできます。
保育は、人格の土台に影響を与える重要な仕事でありながら、
(ただ子どもを預かっているだけ)
(子どもをただ遊ばせているだけ)
といったイメージをもたれやすいのは、
服装の影響も大きいのではないでしょうか。
一通のメールから、様々なことを考えさせられました。
Iさん、ありがとうございました。


自然は、静かに私たちを引きつけます。
服装も含め、自然界のような調和とリズムを、子どもたちのまわりに準備したいと願います。

*最近、写真が入らない、行間が取れないなどのトラブルが多くなかなか思い通りに書けない状況が続いています。読みにくいと思いますが、ご了解のほどをお願いします。

ウサギノネドコ2018/02/26

先日、授業研究会で見せていただいた教材が忘れられず、ネット検索を続けています。
二子玉川に科学ショップがあると知り、行ったら2月18日に閉店していました・・・。

同じくネットで見つけた京都にあるウサギノネドコ。http://usaginonedoko.net/
ネットショップもあるのですが、
どうしても直接見たくて、先週行ってきました。


店内の写真をブログへ掲載する許可をいただきました。



アクリルの中に閉じ込められているのは、花や木の実など。
自然の形を、手元でいつも眺められるなんて最高です。

3月までは、「自然の石・人工の石」の企画展中。
スタッフの説明がとても面白くて一時間以上も展示品を堪能しました。


一つだけ残っていた結晶を育てるキットは、園へのお土産に買いました。
子どもはさわることができないので、眺めるだけになりますが。
「銀河通信社」で通信販売があるそうです。

これが欲しかったのです。これは自分用に購入。
子どもの頃、タンポポをそのまま家に持ち帰ろうと、
根を掘って、植木鉢に入れては、
毎回枯らしていました。

大学で購入してもらったものと一緒に、
保育実習室に置いておくので、学生の皆さんお楽しみに~。

縫い物が苦手でも2018/02/04

先週末、学生たちとオルト保育園さんの作品展へ行きました。
と、下書きを書いたまま、もうふた月も経ってしまいました。

0歳児クラスの展示では、
子どもが様々な素材を選んで入れた容器が並んでいました。
(写真は個人情報保護のために粗く加工しています)


日々の遊びが、表現であることを示した展示、
おもしろいですね。

最近では、0・1・2歳クラスは、発表会も、造形展も、
日頃の写真掲示やビデオにする園も増えているようです。
行事を、日常を豊かにするきっかけや、
保護者との協働のきっかけにしている園もあります。

横には、子どもたちが使った素材が並べられ、
実際に保護者が体験できるようになっていました。
素材は、縫い物が苦手な人にも作ることができるものばかりでした。

この展示を見て、縫うことにこだわらなくても、
いろいろな素材を使えばいいのか、
と、目からうろこでした。

もちろん日常の遊びで使う場合には、
誤飲しない形と大きさであること
素材が口に入れても安全であることが必要です。

年長さんに、赤ちゃんのクラスで使う紐を編んでもらうこともできるのかも、
など、新しい発想をいただいた展示でした。
ありがとうございました。

自然素材の収集2017/11/28

先日、木曽の先生方に、
「木の実を集めるのが大変なんです」と愚痴をこぼしたら、
先生方が自分の保育室からあれやこれやと
珍しい木の実を持ってきてプレゼントしてくださいました。
なんと豊かな地域なのでしょう!

紙袋一杯の木の実を、無事に保育実習室まで持ち帰ることができました。
先生方、本当にありがとうございました。



購入した自然素材も、容器に入れてみました。

昨日の授業研究会×保育の質的研究会×ゼミでは、
中部大の千田先生が、松ぼっくりの種飛ばしを披露。
この種の形から、工作に広がる、松の実は食べられるけどあれ何の松?
松ぼっくりはフィボナッチ数だ、フィボナッチツリーがあると、話が広がりました。

千田先生には、次回の授業研究会で、講師をお願いしました。

今週の環境の授業では
森のようちえんピッコロの中島久美子先生の特別授業も予定。
今から楽しみです。

2,000円で保育が変わる!?2017/09/20

ある園長先生より、「2,000円でも保育は変わる」という話を伺いました。
他の園の先生から、「環境を変えたいが予算がない」と聞いたときに、
「2,000円でいいから100円ショップで買ってきてごらん」と、アドバイスをされているそうです。

2,000円で?!、いったいどのぐらい買えるのだろうと
先日、待ち合わせの時間まで25分ほどあったので、
100円ショップを探して、購入してみました。
「もっとも手を使う必要がある1歳児クラス向け購入!」と入り口で決めました。
20分であわてて購入したものはこれ。消費税が入って2,160円



お皿と器は大きなものを選択。
中華のトングと、サラダボウルは良いものがなかったので断念。

タッパは穴を開けて、園にあるブロックや、手作りのお手玉を出し入れする用。
抱えられるもっと大きいものが良いと思いましたが、後から考えるとそれならミルク缶があるから、
底が安定した四角を買えばよかったと後悔。

四角いケースは、手作りの大きなお手玉か、園にある積木などを並べて入れるためのもの。

最近すっかりなくなってしまった、腕や足に通す輪のおもちゃの代わりに、シュシュやバンダナや腕枕など。
調子にのってこればかり買いすぎました。
でも、1歳は口に入れる子どもがいるので、やはり安全な塗料の玩具の方が良いのだけれど。

「ひっぱる、はがす、出す、入れる、押す、振り回す・・・」とブツブツ言って子どもの手の動きをまねしながら、あわてて買い物をしている姿は、かなり怪しかったと思います。

他に、みかん箱サイズの段ボール箱で、中へ入る、出る動きを確保。
いちご箱サイズの段ボール箱には、ひもをつけて引き箱をつくりましょう。
牛乳パックを4つ並べて重い積木をつくれば、全身を使う粗大な動きが確保できます。
車が大好きな子どもは、積木を車がわりに押すでしょう。

後は、大小の布類があれば、包んだり、スカートにしたり、わらべうたもできるし、
人形や人形のお布団は、保護者や地域の人で上手な人につくってもらうこともできます。

食事用のテーブルを、離して並べて、そのテーブルの上にこれらを並べたり、
じゅうたんやマットで空間を分けて、絵本や既存のおもちゃと共に、空間をつくれば、
保育者には、雨の日も、子どもが遊ぶ姿を見るゆとりが、きっと出るでしょう。

う~ん、予算2,000円恐るべしです。


人形の表情2017/01/05

あけましておめでとうございます。


あるクラスで、「動物の人形で戦いをするんです」と、聞きました。
その動物を見ると、「ガオーッ」、「ギャオーッ」と、闘う顔をしていました。

子どもが、人形にうれしい、さびしい、悲しい
といった感情を「投影」するには、
人形は中立的な表情がよいと言われます。

大隅さんありがとうございます
たとえば、こんな感じ。


しかし、先の事例で気づいたのは、
ネガティブな感情を吐き出せない子どもには、
怒ったり泣いたりしている顔の人形やペープサートがあると、
セリフとして怒ったり泣いたり、感情の「吐き出し」ができるかもしれないということでした。

子どもは、遊びを通して受け入れられない現実を消化します。
人形に怒鳴ったりつねったり無理やり食べさせたりしている子ども、いますよね。
保育では、1歳児クラス以上には「抱き人形」を置きますが、
可愛くニコニコ笑っている人形よりも、様々な感情を映しやすい人形を選びます。


また木製やプラスチック製で、積木と組み合わせて使ったり
机上でお話をつくって遊ぶ「小さな人形」も、各園で使われています。

子どもたちの会話を引き出し、
ファンタジーの世界を広げるときには、
扱いやすい大きさと形であることも大切です。

人形によって、イメージがふくらむ人形と、そうでない人形があります。
お話がふくらむ人形の代表、
オストハイマー社の人形が、保育実習室に年末届きました。
(今年度は、シュタイナー思想に基づく玩具を収集しています)。

授業で学生に紹介した後、教室に残って撮影。

「あれ、なすちゃん、どこ行くの?」の図。
右端の子は、学生たちからすっかり、「なすちゃん」と呼ばれていました。
花の妖精のはずなのですが・・・。


思わず、ストーリーをつくってしまいます。


学生が並べた人形たち。心の純粋さが構図に現れますね。

今年もよろしくお願いいたします。

片付けに困っています2016/12/13

初めて環境を通した保育へ変えたとき、
最も保育者が悩むのは、「片付け」のようです。

そこで、初めて子どもの手の届くところに玩具を置く園に向けて
日野の森保育園さんの玩具棚をご紹介したいと思います。

「保育とおもちゃ」「保育と絵本」の著者である瀧薫先生が、園長をお務めです。



このように、かごを使って棚を区切るようにすると、
0、1、2歳児クラスの大人は、片付けがしやすくなりますね。

積木や人形の数を子どもの様子を見て調整する
具材の大きさや数を調整することで
大人の大変さも変わるでしょう。

子どもは、最初は秩序を壊すことが仕事ですから、
その時期の大人は、適度な秩序感を環境につくることが仕事になります。
(決して砂漠や体育館のような完璧な秩序にすることではありません)

片付けを面倒がらない心の癖と、
秩序に対する感性は、幼児期までに着実に育みたいものです。

また、片付けで子どもは
数や大きさ・高さ・長さなどの数量感覚や
物の種類や名前を学習します。
分ける・並べる・順序づけるといった思考力の基礎も
片付けで、日々培うことができます。

片付けは、幼児にとって学習の時間。
「お片付け~」と号令をかけて、
ポイポイとごみのように箱に投げ込んで
あっという間に片づけてしまうのではもったいない。

効率的だけど、学習にならないゴミ箱型お片付け。
こんな状態は、子どもに「物は大切にしなくていいですよ」と
毎日メッセージを送っている感じがしますね。


ちなみに、日野の森保育園さんでは
345歳クラスになると、こんなに細やかに片づけていました。

マルチ能力理論と環境の構成2016/11/17

保育者のもつ専門性を理論化するのが私の研究テーマ。
環境構成に続いて、対人援助の原則の理論化を進めています。
今は研究成果をモデル研修によって保育者が活用しやすい理論へと
洗練しているところです。

研究は、子ども・保護者・実習生や同僚との関わりがテーマなのですが、
なぜか環境構成についての意見が集中するのが、このスライド。

参考: トーマス・アームストロング、マルチ能力が育む子どもの生きる力、小学館、2002、ハワード・ガードナー、多元的知能の世界、日本文教出版、2003

自分とは違う他者を援助するのが保育者の役割。
子どもたちは、それぞれが保育者とは違う人生を生きていく。
人は、それぞれが異なる能力をもち、異なる強みをもっている。


それをわかりやすく説明するために、
子どもって興味が違いますよね、と図に例を一つ二つ書いています。
すると最後のアンケートで、
「多様な能力に合った多様な環境を準備したい」という
意見が多く見られます。

そこで、授業でマルチ能力理論図を使った環境構成の演習をしてみよう
と思いつきました。
学生時代に、発達に合わせた環境構成に加えて
興味関心に合わせた環境構成を体験しておくことで
教材研究の幅が広がるかもしれません。

保育実習室にある玩具や遊具、素材、
そしてカタログから
強みを伸ばす環境を考える演習がいいかも。


ああ、でもどの授業内容を削ることができるか、そこが問題です。
時間には限りがあり
何かを入れると何かを削らないといけない。

保育と同じですね。