保育者の不適切な保育をなくすために22022/12/17

保育士による虐待をなくすための方法として
「監視カメラの設置」を推奨する番組やページを見ます。
厳罰や管理は、「虐待」を行う保育士には有効かもしれません。
しかし一般の保育者には、どのような影響を与えるでしょうか。
保育士になる人が減り、辞める人が増えるのではないかと心配しています。

日々子どもたちに心と体を尽くしてきて、
休日や夜間も、保育の準備と研修に時間を使い、
体を痛めても低待遇でも誠実に頑張ってきた保育士さんほど、
「監視カメラであなたの行動を監視します」と言われたら、
もうやっていけないと思ってしまわないでしょうか。

保育者の関わりは、時間と空間の環境を変えて、学ぶ機会があれば変えられます。
保育者も、保育者を取り巻く環境に影響を受けています。

不適切な保育をなくすために
詳細は「改訂保育者の関わりの理論と実践」p98 (郁洋舎、2021)

物的環境とは、保育室内に子どもが遊びを広げることができる環境があるかどうかです。
昭和の時代は、保育者が「さあ今日は〇〇をするよ」と保育者が準備し活動を進める保育者主導の保育が中心でした。そのため保育室は小学校の教室や体育館のような状態で、物的環境は整えられていませんでした。

しかし平成・令和では、子どもの主体的な学習を促す環境を構成し、自発的な遊びを中心とする幼児教育へと変わりました。
そのため保育室内は子どもの学びを促すためにさまざまな遊びの空間がつくられています。

物的環境づくりが行われている保育室
「改訂保育者の関わりの理論と実践」p14(郁洋舎、2021)

写真のような物的環境を整えている園では、保育者は子どもと会話を交わすため大声を聞くことがありません。

物的環境が整えられていない園では、保育者の指示に子どもが従う保育が行われます。
本来、乳幼児は、今自分が獲得しようとする能力を獲得できる遊びを自ら選びますが、保育者に指示された活動は、個々の子どもの発達に合わない場合が多くあります。とくに1,2歳児は、自我が発達が著しく自分でやりたいという意欲にあふれており、大人のように指示に合わせてくれない場合もあります。子どもが新しい能力を獲得するた
めには繰り返しが必要ですが、保育者が指示する活動では十分な繰り返しができません。子どもが今やりたくない活動をさせたり、やりたい活動をやめさせるために、保育者はさまざまな「声かけ」を行いますが、そういった場面では、脅しなどの不適切な関わりが生じやすくなるのです。

また、子どもと保育者のストレスを増やすその他の物的環境の問題としては、保育室が狭い、一クラスが20人や30人など規模が大きい、玩具の量自体が少ないことや質が悪いことが挙げられます。


時間の環境は、子どもが自分で判断し行動できるゆとりや
十分に遊び込むだけのゆっくりとした時間があるかどうかです。

たとえば1歳児や2歳児クラスで、全員がそろって「いただきます」をする場合には、昼食の前後は、保育者がバタバタと忙しくなる状況が生まれます。
6時に朝食を食べている子と8時に食べている子を一斉に同じ時間に食べさせようとすれば、子どもを待たせ急がせ、保育者の「声かけ」も必要になります。

保育士の専門性
保育者のゆとりをもった関わりは、時間と空間の環境から
「改訂保育者の関わりの理論と実践」p14(郁洋舎、2021)

上記の写真のように時間の環境が整えられている園では、保育者が子どもとていねいに会話をしながら食事を行っています。保育者の大声や、一方的な「声かけ」はほとんど聞かれません。

物的環境や時間の環境を変えている園は園独自で学習を行い
子どもも保育者も幸せな保育を追求しています。

行事中心、保育者の指導中心の昭和の時代と同じ保育の方法を行いながら、
「それぞれの子どもの思いや願いを受け止めるよう心掛けましょう」
「一人一人の多様性に配慮した保育を心掛けましょう」と
保育者に言うのは、酷ではないでしょうか。

保育者が忙しい、大変だ、つらい、不安だと感じることが多いほど、怒りの感情がわきやすくなります。
このホームページを読むような熱心な行政の担当者の皆さんには、保育者も子どもも幸せになる方向でこの問題の解決を考えていただきたいと思います。たとえば以下が考えられます。

・園内のパワハラ・モラハラ・不適切な保育の相談・通告窓口の設置
・適切な関わりと環境構成ができる保育指導官の選任と保育指導官による巡回指導
保育内容を適切に監査できる委員の選任
・保育内容が指針・要領に届いていない園への指導方法の検討
・関わり方の園内研修の促進
・保護者への幼児教育理解の促進
  (行事や、厳しい指導を求める保護者がいるため)
・乳児期早期の集合検診等を使った家庭の関わり方の支援
  (家庭で親に関わってもらえない子どもが多いことが保育者の負担を増やしているため)
・数園に一人の保育ソーシャルワーカーや臨床心理士の配置
・主任業務の見直しや主任業務の指導
・保育者と子どもの対数改善
・記録・保育準備時間の確保のための補助金
・保育者の待遇改善

管理や厳しい指導、プレッシャーが行政・市民・保護者→園長→保育者→子どもへと連鎖しないように、みんなで良い方法を考え続けたいですね。

不安のコントロール2021/08/20

夏の実習がはじまりました。
実習は、不安との戦いですね。
いまだに授業で緊張する私には、学生の緊張が痛いほど分かります。
不安もちの私が、不安をコントロールするためにやっていることを書いてみますね。

【不安をコントロールするためにやっていること】
1 早く寝る
夜はできるだけ早く寝て、早朝に起きて仕事をします。
負の感情のコントロールには、寝るのが一番です。

2 太陽の光を浴びる
遮光カーテンを使わずに朝日で起きます。
朝も日中も太陽の光を適度に浴びます。

3 明るい音楽、元気が出る音楽をかける
音楽は、気分のコントロールに最適です。
朝は、ユーチューブで「元気が出る曲」をかけ、
夜はリラクゼーションの音楽をかけることが多いです。

4 動く、笑う、話す
動きながら落ち込むのは難しいので、動きます。
笑いながら落ち込めないので、気分が落ち込んだら口角を上げます。
オンラインでも家族や友人と話すと気持ちが楽になりますね。

5 甘い物やお菓子はちょっとだけ
私はお腹が空いたり甘い物を食べたりするとイライラする体質なので、
甘くて美味しい物は、ちょっとだけ食べます。

6 練習する 
本番で緊張しないためには練習が一番。
練習をすると自信がつくので、緊張が少しはましになります。


今年は実習前に外出できないのでとくに不安になりやすいと思います。
実習前二週間は、実習で出会う子どものために使ってみましょう。
実習に不安を感じている皆さんの参考になれば幸いです。




新しい出発2021/04/02

4月1日、サバティカルを終了して復帰しました。
大学と、同僚の先生方に心から感謝。
本当にありがたいことでした。

4月から大学がキャンパスを引越したため、赤羽台キャンパスへ通勤します。


予測不可能な変化の激しい時代に向かって
保育同様、授業も変わらなければ、
と書いていたら、ご飯が焦げました。(鍋で炊いてます)

ICT活用の授業コンテンツづくりは、保育者の学びの素材にもなりそうです。
その気持ちでがんばってみます。

書店の保育関係の棚2020/11/14

書店が大好きです。でも書店の保育の棚だけは苦手です。

どの書店でも保育のコーナーに立つと、
「ここは昭和か!?」と叫びたくなる私です。
今日も眉間にシワを寄せたまま、書棚の前でしばらく立っていました。
いつものことながら保育の棚では本との出会いがなく、他の分野を探しにいきます。

先日行ったY書店の絵本の書棚は、
選書も並べ方もポップも素晴らしく、このポップはどんな店員さんが書いたのだろうとワクワクしました。
しかし隣の保育のコーナーでは、がっくりと気落ち。
小ジャンル分けのプレートが昭和のままなのです。
いつも書店で感じる、保育界の失われた30年・・・。

Y書店の分類は、
「パネルシアター」「壁面」「ペープサート」「歌遊び・指遊び」
「園行事」「折り紙」「器楽合奏」「造形遊び」「劇遊び」「言葉かけ」
昭和の幼児教育イメージそのものでした。
もちろん環境構成に関する本は売り切れなのか見つかりません。

今日行ったJ書店は、東京駅の二大書店以上に保育書が充実。
全部で17の保育の棚がありました!素晴らしい!
ただ、その分類は、「保育実務」が5棚、「保育一般」が4棚、
「保育理論」「保育フェア」「指導計画」「障害児保育」
「子育て支援」「パネルシアター」「養成教育」です・・・。

本は充実しているのに、ああ分類がもったいない。
私が見ている間、5人のお客さんが棚の前で探していましたが、
皆さん何も買わずに帰っていきました。えっ待って…。

私のようなマニアでない限り、17の棚から本を探すことは無理です。
本が決まっているのなら通販でよいし、きっと本を探しに書店に来たのでしょう・・。
「何かお探しですか、それならこの本はいかがでしょう」と声をかけたい、
いやでもそれは怪しすぎます・・・。

もしも私が書店員だったら、
令和の保育で書棚を分けて他店と差別化。
アンテナが高くよく本を購入する人向けの本と、
困り感で書店に来る人のお役立ち本を中心に棚を構成したい。
季節毎に保育者が必要な本の平積みを替えます。
(またいつもの妄想です)

休日に書店に足を運ぶ
まじめで熱意のある保育者が本と出合えるように
勝手に小ジャンルプレート名を考えてみました。

項目
◇大項目
「小ジャンルプレート名」・・・本のキーワード

◇保育理論と実践
①「環境構成・玩具」・・・環境づくり、環境の構成、保育室、園庭、玩具
②「子どもとの関わり」・・・コーチング、アドラー、敏感期、保育者の関わり
③「計画と記録」・・・教育課程、計画、記録ドキュメンテーション、カリキュラムマネジメント
④「保育理論」・・・遊びと学び、学習理論、モンテッソーリ、シュタイナー、レッジョ・エミリア、イエナプラン、コダーイ、さくら・さくらんぼ
⑤「保育実践」・・・森のようちえん等各園の実践紹介の本、ESD、STEAM、IBプログラム
⑥「乳児保育(012歳の保育)」・・・乳児、012歳、ケア
⑦「幼児教育」・・・要領、指針、主体的、協同的、対話的、プロジェクト、10の姿

◇子どもの把握と理解(障がい児保育が少なければ上記の理論と実践に入れるのも有)
⑧「発達、子どもの理解」・・・発達、脳、子どもの理解
⑨「障がい児・病児保育」・・・発達障害、気になる子、敏感な子ども、ギフテッド、病児保育、感覚統合

◇保育内容5領域と養護
⑩「保育内容健康」・・・運動遊び、柳澤、はう運動遊び、ムーブメント、リズム運動、睡眠、生活リズム、映像メディアの影響、免疫
⑪「保育内容人間関係」・・・ごっこ遊び、劇遊び、集団遊び
⑫「保育内容環境」・・・自然、環境教育、数量・図形、文字、認識、
⑬「保育内容言葉」・・・絵本、素話、詩、手遊び・指遊び、パネルシアター
⑭「保育内容表現(音楽・造形等)」・・・音、音楽、造形、描画、絵、わらべうた、リトミック
⑮「安全・食育」・・・安全・事故、感染、病気、食、栄養、アレルギー

◇保護者の支援・マネジメント
⑯「保護者・地域との連携・支援」・・・子育て支援、相談、お便り、地域連携
⑰「行事・その他」・・・運動会、発表会、造形展・その他
⑱「マネジメント」・・・チーム、職員、評価、苦情解決、マネジメント
⑲「保幼小連携」・・・小学校との連携、

◇保育者養成
⑳「保育者養成テキスト」・・・教科書

太字は保育者の研修ニーズや関心が高いと感じているものです。
あ~このテーマで平積みのテーブルをつくりたい。
今の時期に、保育の棚に免疫や腸内細菌に関する本と
保護者向けお便りの本を一緒に平積みにしたら
売れただろうな~。(妄想がますます暴走)

教育界は古いとか変わらないとか言われることがありますが、
「新しい情報」を得た現場は、着実に変わっています。
保育者は、新しい情報と出会いにくいのです。
昭和の本を読んでいる人が、
新しい時代の教育を行うことは難しいです。

書店は、その地域の文化の発信地。
そこから発信される情報の質が良ければ、
その地域の教育は着実に変わります。

こんなマニアックな内容を最後まで読んでいただきありがとうございます。
私が棚を整理してもいいよという書店さん、いらっしゃいませんか。

一斉保育と自由保育、環境を通した保育2020/11/06

7キロも太ってしまいました…。完全に歩き不足、運動不足です。

研究に専念する一年、ブログは控えて…と思っていますが、

どーしても書きたい!書かせて下さい。


今、研究でまとめているのが「保育内容」です。

それも大人が意図的に提供する文化を中心に研究しています。

 

環境構成は、保育を大きく変えます。

しかし環境さえあれば、すべてOKというわけでもありません。

とくに発達に偏りがある子どもや、家庭での経験が不足している子どもには

保育者が意図的に行う活動の影響は大きいですね。

 

4月から気になっているのが「一斉保育」という言葉。

私の研究は、「一斉保育」を研究するものだと誤解されがちなのです。


その背景には「一斉保育」か「自由保育」かという二項対立図式があるようです。

 

「一斉保育」と呼ばれる園は、

保育者が望ましいと考える活動をさせる一斉活動中心の園。

「自由保育」と呼ばれる園は、

ブロックとままごとなどの意図のない環境で自由に遊ばせる園。


以前はそのどちらかが圧倒的多数でしたが、

平成元年に「環境を通した保育」が示され、

保育者が意図的に環境を選び、構成する保育へと移行してきました。

 



一斉保育の園は、まだ環境を通した保育に移行していないことが分かりやすいですが

子どもの主体的な活動を中心としているけれども環境構成を行っていない

自由保育の園もまだ多いと思います。


その意味では、現実的な割合で図を描くと、

以下の図が正確かもしれません。





「環境を通した保育」は、「一斉保育」とも「自由保育」とも違います。

また要領や指針には、一斉保育や自由保育は使われていません。


教育界は、経験主義か系統主義かといった二項対立から、

バランスの良い方向へと進んできました。

保育界もこの二項対立から脱したいものです。

 

環境を通した保育を行う園にあるのは、

○「子どもが主導する活動」か「保育者が主導する活動」か。

○「集団で行う活動」か「個別の活動」か

○「生活の場面」か「遊びの場面」か「課業の場面」か

それらが混在しているかです。



環境を通した保育では、

保育者の意図のこもった環境や文化に子どもは影響を受け、

その意味では完全な自由ではなく、

一斉であっても子どもは自由意志で参加をしているため

「一斉活動」か「自由活動」かと呼ぶのは適切ではないと思います。

 

子どもが主導する活動は、環境構成で非常に活発になります。

しかし環境を通した保育のなかにも、保育者が主導する活動もあります。

今回の研究には保育者が主導する活動の部分も多く含まれます。

 

ご意見をいただき11月9日に内容を修正しました。

K先生、いつもありがとうございます。

研究のまとめに協力いただく先生方、どうぞよろしくお願いいたします。


病気やケガと上手くつきあう2020/05/07

仏教でいうところの四苦、「生老病死」。
病気やケガといった苦しみは、人が生きる上で逃れることができない苦しみです。

大事なわが子に、病気もケガもしないでほしいというのは、親としては当然の願い。
しかし、子どもが病気もケガもしないためには家を無菌に保ち、一生涯家から一歩も外に出さないことしかありません。一生、病気もケガもしないことは、人間である以上無理な願いです。

子どもたちに、ケガや病気をしてほしくないのは、保育者も同じです。
ただの託児であれば、子どもに一切ケガや病気をさせないようにします。
しかし保育では、ケガや病気を一切しない保育をめざすことはできません。それは乳幼児期は、子どもが生涯健康に生きるために必要な免疫力や身体能力を獲得する重要な時期だからです。

たとえば、保育では、自分を大きなケガから守るための身体能力を習得できるように、自然環境に近い園庭をつくり様々な動きの機会を提供します。同時に大きなケガをしないように子どもを守ります。デコボコの園庭で転んで小さなケガをすることは、子どもが高い身体能力をもつ上では、むしろ望ましいことといえます。

同様に、一生病気と上手くつきあっていくためには、乳幼児期に病気への免疫力をつける必要があります。予防接種でつける免疫には限りがあります。子どもの身体は、次々と生まれる新しいウイルスに立ち向かわなくてはなりません。命に関わるような病気は避けないといけませんが、様々な病原体に対する抵抗力をつけていく過程では、せきや発熱などの防御反応を繰り返すことも必要だと考えられます。

最近免疫に関する研究の翻訳が続いています。乳幼児期に過剰に清潔な状態で育つことや過剰な投薬によって腸内細菌の様相が変わること。それがアレルギーなどの自己免疫疾患の原因や、病気へのかかりやすさや重症化に関係すると指摘されるようになりました。本を読んでいると「乳幼児期には土は食べた方がいい」とか「腸内細菌で情緒の安定度が変わる」などギョッとするような記述が見られます。15年ほど前だったでしょうか、O-157が保育園で流行した際に清潔な子どもほど重症度が高いという研究を読んだことがありましたが、腸内細菌研究は今とても進んでいるようです。

子どもたちには、病気にかからず、ケガもしないでほしい。
でも免疫力と、大きなケガから身を守る身体能力を獲得してほしい。
保育の選択には、常に矛盾がつきまといます。




万全な感染症防止対策2020/05/05

非常事態宣言が継続になりました。
小学校・幼稚園は休校・休園が続きますが、
保育園と認定こども園は、市区町村と園により対応が異なります。

保育園は、乳児院や児童養護施設と同じ「児童福祉施設」です。
幼稚園とは違い、児童福祉施設は「感染防止のため閉園します」と簡単に言えません。
保育園や乳児院は、「大きな家庭」ですから、三密は避けられない場です。
しかし、虐待や保護者の疾患等どうしても家庭での養育が不可能な
高い福祉ニーズをもつ家庭
には応えなくてはなりません。
保育園と認定こども園は、福祉と教育の機能を果たす場であり、保育士は福祉と教育の専門職です。
しかし今の園では多様な家庭が利用しているため、保育者の気持ちは実に複雑だと思います。

開園継続に関して、首長が市区町村長あてに出した通知を読んでいると、
「保育等の提供にあたっては感染症防止に万全の対策をとること」という一文を見つけました。
きっと市区町村も、保育園宛の文書に「万全の対策をとること」と書くでしょう。
行政としては、「万全の対策」と書かざるを得ないことは理解できます。
しかしそれでは万全の対策をしなさいと指導したのにしない園が悪いことになります。

大きな家庭である保育園で、感染症防止に少しも手落ちのない万全な対策をした保育はできるものでしょうか。
2メートル以上離したベビーベッドに一人ずつ子どもを入れて防護服に手袋で食事と排せつ介助だけをする?
ホスピタリズムの説明に出てくる乳児院のように、子どもを抱かない、話さない?
子どもにマスクを強制着用?ずっと子どもたちのなめたところ、さわったところを消毒し続ける?
おしゃべり、うたうこと、叫ぶことを子どもに禁止する?汗をかかないようにじっとさせる?
何晩も考えてみましたが教育虐待のような保育ばかりが浮かび「万全な対策をした保育」が想像できませんでした。

保育の安全研究・教育センターの掛札逸美博士は、
空気/飛沫感染の場合、感染(ウイルスを体内に入り、定着)の完全な予防は不可能。
感染機会の低下は手洗い、マスク使用や人込みを避けることで可能であり、結果、蔓延(感染拡大)は防げる」と
説明しています。

保育園・認定こども園は、密だらけです。
保育では、子どもたちの汗や鼻水、よだれを拭き、
着替えや排せつの援助と、排せつ物の処理をし、
複数の子どもの肌にふれ、子どもを抱きしめ、
子どものそばで会話をする、密であることが不可欠な仕事です。
密でなければ、子どもは健やかに育ちません。

そのうえ狭い場所で大勢の子どもが生活する、家庭より密集した空間です。
世界でも最低の人員配置と不適切なクラス規模で頑張っているのが日本の保育者たちです。
ここに、完璧な感染防止という不可能な仕事を求められたら、
まじめな保育者は追いつめられてしまうでしょう。

子どもは感染しても症状が出ないことがあると言われています。
大勢の子どもたちと毎日濃厚接触すれば感染の可能性は高まります。
そして保育士が感染したら「〇〇園の〇十代の女性保育士が感染」と言われてしまうのです。
ニュースを見るたびに、想像力がある保育者は恐怖を感じると思います。
それでも、「うちは預かってくれない」と保護者の苦情を受けるのが保育園です。

福祉の基本は、利用者主体、自己決定です。
保育者は保護者に情報を詳細に伝え、行動は保護者が決定します。
「私たちは万全の感染対策を行います」と不可能なことを保護者に約束しないことです。
保護者を信じて、園ができること、できないことを伝えるのはどうでしょうか。

保護者に「感染防止のために園で行っていること」を具体的に示したうえで、
「空気(飛沫)感染であるため、完全な感染防止対策はできない」こと。
「感染リスクのある場で働く保護者も多いため、通園により感染機会は高まる」こと。
「かぜ症状があっても登園している子どもと、薬で熱を下げて登園している子どもがいる」こと。
「無症状であっても感染している子どもがいる可能性はある」こと。
「症状のある保育者は休んでいるが、無症状でも感染の可能性はあり、感染の可能性をゼロにはできない」こと。
「小学生がいる保育者と体調不良で休んでいる保育者がいて人手不足である」ことなど、
正確な情報をお伝えしたうえで、
保護者に登園するかどうかを判断していただくのが福祉の基本になると思います。
具体的な保護者への伝え方は、掛札先生のページやFBが参考になります。

***************
まったく体験したことがないこの初めての状況のなかで、
震災のときもそうでしたが、子どもと保護者と保育者を守るために行動する施設長たちがいます。
今後のために、ここに書いていこうと思います。

正確な情報収集と協議
・他地域の園から情報収集を行う。
・地域の園長同士で電話で市町村への働きかけを協議する。
・「保育の安全研究・教育センター」等、ネットでの情報を収集する。
・保育団体として協議し、働きかけを行う。

市区町村に対して
・担当課の職員、議員、市長に、対策の検討や激務に対する感謝を伝える。
・学校が休校となっている市町村では、行政担当者、市長、議員等に、「保育園は原則休園、必要な人には保育を行う」という決定を働きかける。
・市長に、市民へ休校要請の際に、登園自粛、企業への子育て世帯への配慮を促すことを入れていただくように働きかける。
・市長・議員・担当課へ、保育園は感染リスクが高い場であり開園は感染機会を増やすこと。保育者は感染リスクのある場で看護師や医師のような防護もできない状態で保育を行うことを現場の責任者として伝える。出勤職員への危険手当を要望する。
・行政担当課へ、保護者へ出す「登園自粛のお願い文書」、「保育を必要とする方の申請書」の文案を提案する。
・市長・議員へ、マスク・手袋・消毒用品等の園への確保を依頼する。
・行政職員から理不尽な内容の指導があった場合は、「〇〇さん、録音しますのでもう一度今の指示をおっしゃってください」「私は現場の責任者として、この件は〇〇するべきだと申し上げました。問題が起きた場合には市からの指導であることを公表いたします」と優しくていねいにお伝えして内容を録音する。また文書で指導内容を送ってもらう(区長の指示か、課での決定か、個人からか通知者をはっきりさせる)

保護者に対して
・「保育の安全研究・教育センター」の保護者向け掲示や通信を参考に、文面を検討して出す。
・市区町村からの通知とは別に、園長からの文書を出す。園は大きな家庭なので三密は避けることができません。保護者は皆、感染リスクのある場で懸命に働いているため感染の可能性をゼロにすることはできません、と正確な情報を書いて保護者に選択していただく。
・保護者にかぜ症状のある保育者を休ませていること。職員が不安から退職したことなどを正直に伝える。
・家庭協力をしてくださる保護者への感謝を伝える。
・家庭に一軒ずつ、園長、主任、看護師が電話する。
・保護者には、園に来る際にはマスク着用を依頼する。
・感染防止のために、送迎は門で行う。
・定例の保護者の仕事を簡略化する。
・連絡ノート、お便り等の紙類を避け、SNSで情報をやりとりする。
・地域の人から「公園で遊ばせないでほしい」等の地域の苦情電話や、散歩をしていると「まあこんなときに」と聞えよがしに言われている状況は、保護者にも共有する。
・祖父母、地域の人に、保育士のマスク不足、消毒薬不足の窮状を伝える。
・できるだけ園長・主任が朝夕門に立ち、保護者と対話する。
・子どもと接する担任保育士は、感染防止のために保護者とは挨拶のみでできるだけ話をしないように促す。
・心の相談窓口、経済的な困窮の相談窓口、ひとり親家庭への貸付金制度など、保護者に必要な情報をSNSで随時送る。
・休園中は弁当の持参を依頼する。

保育者に対して
・職員全員で対応について検討し、すること、できることをブレーンストーミングで貼り出す。
・感染防止の行動についてチェックリストで改めて確認する。
・各クラスに保育者が使用する使い捨て手袋を配置、必要な場面でどんどん使用できるようにする。
・休校中の小学生の子どもがいる保育者、職員は休ませる。
・出勤する保育者にはねぎらいと感謝の言葉を伝える。
・柔軟にクラスをつくり、交代制勤務にし、職員は自宅研修期間とする。
・自宅研修や園で、マスクを作成する。
・発熱や体調不良は隠さず、休むように伝える。

ある園長が「保育者には自己犠牲を払いなさいとは言えない」とおっしゃっていました。
私も同感です。使命感、責任感の強い先生方、どうかつぶれないで、自分も守ってください。

2020年4月より2020/04/01

園で働く先生方、感染防止のために
気苦労が耐えない毎日をおくっていらっしゃることと思います。
大変にお疲れ様でございます。

さて、2020年4月1日より、
大学よりサバティカルの機会をいただき、一年間研究に専念します。
めざすは、「保育内容の体系化」の研究を完成させ、
「子どもの把握と理解」の文献研究をすること。

0から6歳の保育内容の体系化は、
小学校1年から6年までの全科目の教育内容を整理するような仕事ですから、
20年前から手をつけているのにまとまらず、
何度も無謀すぎると投げ出しそうになっていましたが、
このタイミングでサバティカルをいただけることは、これはやるしかないでしょという気分です。
「木を見て、森も見る」、そのための地図をつくれればと思っています。

大学へは出校せず、大学の規定で、この一年講師はお受けできません。
その準備として、新宿スタジオさんから研修用DVDを出しました。
本の理論とDVDの実践を合わせることで、園内環境の質を高めることができると思います。
「関わりの理論と実践」は、大学のホームページに本を使った模擬授業がアップされました。

1年間で10年分の研究をするぞとはりきっていましたが、
この状況下で心配性の私が頻繁に移動することは難しく、
研究計画を大幅につくり直しているところです。

先生方の園にお伺いしたときには、どうぞお力添え下さい。




なぜ保育は誰にでもできると思われるのか2019/10/26

掛札逸美先生のホームページを読み、下書きに入れたままの記事があることを思い出しました。
掛札先生は1歳児3対1の配置を再考する新潟県の新聞記事と、人的配置の研究について書かれています。
https://daycaresafety.org/#toppage_update
保育の安全研究・教育センター

地方自治法の改正で児童福祉施設の最低基準は条例で定めることになってから、
保育者の配置人数は、市町村によって格差が生じています。
国の最低基準では1,2歳児は子ども6人に対して保育士1人ですが、新潟県の基準は日本一ですね。

さて、忘れていた記事は、「なぜ保育は誰にでもできると思われるのか」。

それは、保育園は、ただ子どもを預かる場であり、
「子育ては女性であれば本能で誰にでもできる簡単な仕事」と、
考えられているからではないでしょうか。

本屋で平積みになっている本のなかに、次のような文章を見つけました。
保育園不足にふれたあとに、
「幼稚園以前の子供を預かるのだから、保育士の資格などは不可欠ではない。
育児の経験者ならば、誰でもできる。
子供好きの女子学生でも、十分にできる。
要は、泣かれたくらいで右往左往しないことなのだ」
だから、資格をなくせば保育園不足が解消するという論理でした。
博識な方が書かれているだけにつらい。

赤ちゃんを育てるぐらい、誰にでもできる?
できません。
012歳の子どもの理解は難しいものです。
赤ちゃんはスリッパをなめ、手にした食べ物を投げます。
たった一人のかわいいわが子でも、
半数の親がたたいてしまうのが012歳の子育てです。

そのうえ、保育園は集団で子どもを預かり、
教育とケアを行う場所です。
わが子の子育て経験程度で、専門的な技術をもたない人が、
赤ちゃんの三つ子や、よちよち歩きの1歳の六つ子を毎日8時間預かったら、
食事やお昼寝すら満足にさせることができないでしょう。
普通の人であれば、イライラし怒鳴ることもあるのではないでしょうか。

この人数で子どもから離れることなく休憩もとらないクラスもあります。


(国の最低基準は6人に一人ですが、現在は補助金が出ているため5人に1人で書いています)

動き回る複数の子どもたちに、常に目と手を届かせるのは、「人間技」ではありません。
保育士は、聖徳太子以上の能力を求められています。

012歳の子どもたちは、オムツをつけ、食事も睡眠もすべて援助が必要です。
遊びのなかでのケガの危険性も高く、見守ることにも神経を使います。
単に子ども好き程度で、この人数の子どもたちの
食事の世話をし、昼寝をさせ、発達の援助をすることができるでしょうか?
複数の子どもの援助は、家庭の養育とは比べものになりません。
そのうえ、保育園は高い福祉ニーズをもつ家庭の子どもが優先入所です。
家庭で十分なケアを得られない子どもは、一対一のケアが必要です。

この厳しい人的配置のなかでも、
適切な教育とケアを提供している保育園は、
県や市町村、園の持ち出しの予算で人を手厚く配置し、
その上に、保育者が本を購入して学び、休日や夜間に研修に参加して、
環境構成や関わり等の高い技術を修得しているからです。
園と個人の努力で、保育の質は保たれています。
しかし、これまで配置基準が議論になると、
「1歳児は子ども6人に対して保育士1人が適当」と
専門家のなかには回答する人がいました。

1歳児6人に対して、保育者一人で、「保育所保育指針」の内容の保育ができるかどうか、
これが、配置が妥当かどうかの判断基準になるでしょう。
地方自治法が変わったときに作ったアンケート用紙で、
国の最低基準で保育を行う場合に生じる問題を仮説として立てた項目は以下の通りです。

・一人ひとりに対して目が行き届かない
・十分に養護の行き届いた環境をつくることができない
・子ども一人一人の生活リズムを保障できない
・子ども一人一人の気持ちを受け止めることができない
・一人一人と応答的に関わることができない
・食事の世話が十分にできない
・午睡の世話が十分にできない
・外遊びに連れていくことができない
・散歩に連れていくことができない
・子どもの情緒が不安定になりやすい
・かみつきやひっかきなど子ども同士のトラブルが起きる
・かみつきやひっかきなどを事前に止められない
・けがや事故が起きる

質の低い保育が、社会につけを回すことは研究で明らかです。
待機児童を解消しつつ質の高い保育を解消することは難しいことですが、
子どもを預ける保護者にもできることがあります。
仕事が休みの日は自宅で子どもを育てる
仕事を終えたらすぐに迎えに行く
朝夕は子どもに目をかけ、子どもが安定した状態で園に行けるようにする
保育者をねぎらう
議員に働きかけるなど。

保育は、誰にでもできる簡単な仕事と誤解されているために、
人とのコミュニケーションが苦手な学生は、
進路指導で、介護か保育への進学を薦められることもあります。

心優しい保育者が働き続けることができるためには、
保育という仕事へのまなざしを変えることも必要です。

子どもの声がうるさいと、2016/04/28

子どもの声がうるさいと保育園が開園できなかったニュースがありました。誰かを非難する気持ちにはなれないけれども、眠れなかったので、できることを一人ブレーンストーミングしてみました。保育者として「うるさい!」と怒鳴られた経験、私もあります。苦情ほど保育者が疲弊するものはありません。空想が混じっていますからつぶやきカテゴりーに入れます。

保育園・幼稚園等の子どもの声が、少しでも問題にならないように変えられること、できること。(個人的な発想)

保育以外のこと。
●コンクリートジャングルでは声は響く。森のなかでは子どもの声はうるさく感じない。より自然に近い吸音性や吸水性の高い道路等の開発。道路は、タイヤが通らない真ん中の部分は土にしてしまう。ビルやマンションを建てるときには、その階数分の木を周囲に植えることを条例化(5階建ては5本、30階建ては30本)。人が暮らしやすい景観と音環境を考えてまちづくりをする。人の暮らしの質を高めるまちづくりのための法令や研究促進・普及することだけを行う部署を設置。
●長時間労働、深夜労働をできるだけ減らす政策。疲れ切っている人、睡眠不足の人、夜勤で昼間寝ている人が、子どもの声や大人のおしゃべりをうるさいと感じてしまうのは仕方ない。必要以上の深夜勤務、長時間労働の人が減るような社会を考える。私を含めみんなが少しずつ不便なことを受け入れる。働く人を大切にしている企業とサービスを選ぶ。フェアトレード商品のように誰かの犠牲の上に成り立たないサービスを選べるようにする。
●住宅はもっと壁や床を厚くする。人が幸せに暮らせる住宅を促進する。
●公営住宅は駐車場を外側にして住宅の周囲は芝生で緑たっぷりの庭にする。経済的に厳しい家庭の子どもが家の周囲で安全に遊べるように優先的に整備する。
●高齢者が健康で外に出られるまちづくり。少し体が不自由になるだけで外に出られない車中心のまちづくりを、歩行者が安心して歩けるまちにする。都市部と住宅街は一方通行を増やし車は不便になるようにする。歩きたくなる、座って子どもをながめていたくなる居心地の良い場を増やし、人が自宅にこもらないまちをつくる。
●科研に暮らしの質枠づくり。みんなが幸せに生きられる社会をもっと追及する。
●事情がある人以外は、家の直前まで車に乗るという発想を止める。健康な人は今よりも少しずつ歩く。みんなで少しだけ欲張ることをやめる。

コンクリートジャングルでは、赤ちゃんの泣き声と子どもの声は過剰に響く


保育に関連すること。
○クラス規模や園規模の上限を設定。園規模が日本は大きすぎ。集団が大きくなれば音が大きくなるのは当然。
〇園庭に土をたっぷり入れる。園庭は凸凹を多く設けて吸音効果をあげる。木を植える。木材の園舎を促進する。緑化促進は保育園・こども園・幼稚園を優先する。
〇吸音材を入れる。助成金も。乳幼児期に投資する。
○長時間保育であれば早朝から夜遅くまでにぎやかになるので地域の人は苦しいはず。幼児期までは、親子がゆとりのある生活時間がもてるようにする。子育て中の育児時間取得を促進。一人ひとりが30分早く帰る。
○どんなに質の高い保育をしても、苦情は生じる。地域保健師のように、地域ソーシャルワーカーを配置する。学校・幼稚園・保育園・認定こども園・子育て支援施設の先生方が、苦情の相談をしたり、地域との調整に助力してもらえるソーシャルワーカーを行政に要請できるようにする。
○市役所の担当課は、市民・保護者からの苦情を園に伝達する際には、受け止めきれなかった感情を園長先生にそのまま伝えないように配慮をする。市職員→園長→保育者→子ども、とストレスが伝播しないように。

保育内容に関すること。
〇保育者は、先生が大声を出さない保育をめざす。保育の質が向上すれば、先生の声の大きさと質が変わるはず。
〇子どもの声の質が違えば、うるさいと感じる比率は変わるかもしれない。保育者が子どもの声の質、話の質に関心をもつ。乳児クラスは喃語の量と質、1~4歳児クラスは会話の量と質、5歳児は話し合いの量と質に関心をもつ。誰もが不快に感じる子どもの声は、泣き声や叫び声。飛行機等で赤ちゃんが泣くのを不快に感じるのは、その子が苦しんでいるから。奇声を心地いいと感じる人も少ない。気持ちのよい声が聞こえる保育を目指す。
〇保育者が子どもにお楽しみを提供する「お楽しみ会保育」は、お誕生会のみにする。保育者が、子どもを喜ばせ興奮させるお楽しみを提供する園では、あそび歌、体操などをCDやマイク、笛などを使って園庭等で行うため過剰な音が発生する。幼児期に必要な動きが含まれ子どもの運動欲求や表現欲求が充足されるような活動を選ぶ。子どもだましのお楽しみ活動ではなく、教育とケアの意図をもった保育内容を選択する。
〇原色やキャラクターを飾った保育室で、子どもたちを喜ばせ興奮させる「遊園地のような保育環境」を変える。子どもが環境との相互作用のなかで学びを得られる教育とケアの意図をもった保育環境をつくる。
〇意図的な環境構成を行っていない園では、子どもは年長でも走り回るだけだったり、戦いごっこに終始するため声が大きくなる。教育とケアの意図をもって保育環境をつくる園が増えれば単に大騒ぎするだけの子どもは減るはず。
〇年長クラスには、子どもが根気強く集中し達成感を得られる環境と活動を入れる。
〇「欲張ること、誰かを犠牲にして自分が利益を得ようとすることは、人として恥ずかしいこと、悪いことだ」と感じる感性を幼児期に育む。昔話や、勇気とまじめさなどをもった人間として魅力のあるモデルが登場する文化財を提供する。今の格差社会を繰り返さないために。
○保育者養成校の教員は、「お楽しみ会保育」や「遊園地のような保育環境」を教えない。養成校の教育内容を、根拠:専門知識に基づく内容にする。
〇保育団体が、質を担保した研修を行う。研修会で「お楽しみ会保育」を地域に広げない。
〇保育雑誌、保育関係の出版社は、「遊園地のような保育環境」、「お楽しみ会保育」を保育者に勧める情報を発信しない。専門知識に基づく保育情報を提供している出版社は、多くの保育者が読めるように宣伝に力を注ぐ。
〇休み明けは子どもが荒れる。休日の運動不足、欲求不満を発散するかのように叫び回る子どもがいる。休日に家庭でDVDやテレビゲーム以外の遊びができるように、玩具の貸出や情報の提供を行う。朝からテレビを見てそのまま車で来る子どものなかには朝は走り回り落ち着かないこともある。子どもの声には家庭の経験が現れるので、家庭と一緒に考えることも必要。
〇公立の子育て支援の場、幼稚園・保育所は、休日の子育て支援、ホール・園庭開放などを行う。
〇質が確保された保育を行っている園は、保護者の保育体験の機会を増やす。家庭で過剰な刺激を与えすぎないために、子どもがもつ価値観を大人が知る機会をつくる。
〇市長さん、議員さん、市役所の保育課職員等の保育士体験の機会を設ける。(北九州市の議員さんはやっているそう)
○地域の自治会長さん、民生委員さんとの関係を深めておく。地域の方との交流機会を設ける。
○地域の回覧板に園のお便りを入れてもらう。
○苦情は園長や保育者が抱え込まない。保護者に、「こんな苦情があります」と情報を公開していく。
○理不尽な苦情で園長や保育者が疲弊しないように人格障害と精神疾患に関する知識を身に着けておく。
○鬼ごっこのような興奮性の高い活動、遊びのなかで大声を出すことが、幼児期の発達に必要であることを、わかりやすく保護者に伝えるお便りを出す。(これは私の仕事ですね)