保育を中心に建物を考える ― 2025/07/08
認定こども園 石動青葉保育園さんへ建て替え後の園舎を見学に伺いました。
以前の園舎や園庭も素敵でしたが、想像をはるかに超える驚きだらけの見学となりました。
それまで20年以上改修に携わった建築士さんと話し合いを重ね、設計に3年かかったそうです。
園舎のパンフレットに「全てが君の場所です」とありますが、
345歳児のクラスはホームの部屋があり、そこもコーナーの一つとなっています。
アトリエ、積み木部屋、談話コーナー、ホール、こどもキッチン、手芸室、組み立て遊び、図書室、マグネットモザイクとビー玉積木の部屋、広いデッキと二つの園庭があります。
子どもたちは、このすべての空間をつかって遊びます。

アトリエの空間 中二階は製作途中のものを置くそうです。

子どもキッチン

積木の空間

組み立て遊びの部屋

手芸室 手前は子どもが編んだベスト。
室内には段差が意図的につくられており、日々生活をするだけで運動量が高くなる仕組みがありました。
345歳児の子どもたちの目がキラッキラッしているのが印象的でした。
見学の目的であった倉庫と休憩室も勉強になりました。
井端園長先生、見学をさせていただきありがとうございました。
子どもが積み木の本をフル活用 ― 2025/07/13
保育園では、遊びも食事も午睡も一つの部屋で行う園が多くあります。
また幼稚園とは違い、教材費を保護者から毎月徴収しません。
そのため表現の素材として積み木を使う園は、幼稚園よりも保育園に多いように感じています。
(園と家庭の状況による素材選びは、「保育内容5領域の展開」のp186をご覧ください)
木の積み木は、「自然物に最も近い玩具」と言われます。
また基尺が揃う積み木は、プラスチックブロックよりも数量図形感覚を育みます。
「保育環境評価スケール」では、積み木がない園は「不適切」、2人の子どもがそれぞれに遊ぶのに十分な量がある場合は「最低限」と評価されます。
積み木がある園では、よくこの本が積み木の空間に置いてあります。
保育者向けの本ですが、子どもたちがこの本を使っているのです。

子どもたちは、どれだけ読み込んでいるのでしょうか。
先生よりも内容を把握していそうです。
元の本はこちらです。表紙も中身も美しいですね。
倉庫に眠っている保育者向けの造形や制作の本なども、子どもたちの空間に置くとよいかもしれませんね。
手がない絵 ― 2025/07/21
ある園で、年長さんの絵のすべてに手が描かれていないことに気づきました。
サーキットをしている場面の絵なので、手を使っているはずなのに、手がない。
筋肉も使っているはずなのに、ほとんどの腕が細い線で描かれています。
自分の身体に意識を向けなくても、跳び箱や鉄棒はできる種目なのでしょうか。
よほど気になっていたのか、(手を描かないのはなぜだろう)と夜中に思い出して目が覚めました。
その園ではサーキット活動は0歳から毎朝行います。ホールには大きな音楽が流れ、先生たちは大声で、「がんばれー」「すごーい」とひっきりなしに声をかけていました。
同じく運動を重視し、運動量の高いリズム運動を行っているある園では、腕は太く、指は一本一本描かれています。同じ年長児でも、自分の身体への認識が異なるようです。
その園の保育者は、「指の先までぴーんと伸ばして」、「大きく腕を広げて」、「胸を開いて」と動きのイメージを言葉で伝えていました。そして保育者が指先の隅々にまで神経を行き届かせた動きのモデルを見せていました。
(先生方、バレリーナですか?)
幼児期には、保育者が言葉で補足することで、子どもは自分の体に注意を向けて意識するようになり、自分を客観的に見る「メタ認知」、ひいては「メタ学習」が育つと考えられました。
保育者が提供するその活動、指導は、どのような体を育てるのでしょうか?
その活動、指導によって、どのような人間が育つのでしょうか?

幼児期に必要な動きを研究したゼミ合宿。すでに懐かしい。

歴代で最も運動量が高いゼミ合宿でした。
乳児クラスの椅子とテーブル ― 2025/07/27
都心の園の保育者たちは、部屋の狭さに苦しんでいます。
家庭では親子二人が生活する程度の広さに、保育園では子どもと大人がびっしり。
ドアを開け放し、廊下も保育室として使っても、子どもたちの活動欲求を充足するには足りません。
室内の人口密度が高くなれば、かみつきや子ども同士のトラブルも増えます。
少子化で定員割れが生じるようになり、これで日本の保育園の子どもたちも人間らしい暮らしができると思っていましたが、「子ども誰でも通園制度」でまたそれが遠のいたように感じます。
保育室が狭い場合、家具と大型遊具の選び方によって、子どもが使える面積が変わります。
またテーブルの大きさや形によって、保育者の労働の質や量、そして子どもに援助する内容が変わります。
たとえば0歳児クラスでは、このように高いテーブルと椅子を使っているところがあります。

高い椅子だと保育者は大人用の椅子に座って食事を介助します。
子どもが自分でよじ登るときに保育者は少し援助します。
テーブルがついた一人だけ座る椅子を選んだ場合は、保育者は床に座って介助を行います。
乳児は抱きあげて椅子に座らせます。
一人の保育者が2,3人の子どもに一度に食べさせる半円型のテーブルもあります。カーブのあるテーブルは床面積をとるため、狭い園では置きっぱなしでも、片付けるにしても扱いにくさがあります。
小規模の園、保育室の面積が狭い園では、大規模園と同じ保育用家具を選ばずに、部屋に合わせた家具を探すとよいと思います。
部屋が狭いというハードの条件が悪くなると、保育者が個人的な努力でカバーすることが増えますね。
この災害級の暑さのなかで、保育室内だけで子どもたちの保育を行う保育者の皆様、本当にお疲れ様です。
保育者の皆さんは、体調を崩すことなく園へ毎日行くだけでも表彰ものだと思います。
