経験を広げる手作り玩具2025/06/22

どの園からも相談が多いのが、興味や関心に強い偏りがある子どもたち。
発達障がいと診断される子どもも年々増えています。

生まれつき脳に障害があってもなくても、脳は環境に合わせて変化する臓器です。
乳幼児期は脳が著しく発達する時期ですから、その時期に人や環境と関わり、脳が発達できる生活が欠かせません。しかし家庭では朝も夜も映像視聴、園では寝っ転がって電車を横から眺めているとなると、脳は発達のしようがありません。

子どもの興味をいかして、子どもの経験を広げようと玩具や遊びで工夫している園があります。
たとえば愛恵保育園さんでは、車好きの子どもが指先の遊びができるように手作り玩具を作っていました。



手作り玩具に一人ひとりの子どもへの思いが感じられますね。

頭の中にトーマスや働く車の動画のイメージを強くもっている子どもは、電車の玩具を置いておくと一人遊びが続き、年齢と共に他の子どもと発達の差が広がることが心配されます。

映像イメージが強く遊びが極端に偏る子どもがいる場合には、電車の玩具は相談室や病児保育室へと移してしまうことも一つの手。保育室にはシンプルな段ボール箱や、牛乳パックの積み木を置いて、保育者や子どもたちで一緒に電車ごっこや自動車ごっこをすることもできます。

こちらは他の園のゼロ歳児クラスです。

単純な段ボールの方が自動車、お風呂などに見立てやすくなります。
大人の感覚で、ハンドルやタイヤやクマちゃんなどの飾りをつけないことが大事。
これなら保育者の負担はゼロでいつでも準備できます。


こちらは城南区こどもプラザの牛乳パックの手作り積み木。

牛乳パックの積み木は、押して走り回ることや、上を歩く、自動車を作って座るなどを想定して重く作ります。
また幅や高さは子どもの体の大きさに合わせ、細長すぎたり大きすぎたりしないようにします。
4個の横並べなど単純な形の方が、子どもが積み重ねたり動かしたりして試行錯誤ができます。
押すときに段ボールよりも姿勢が低くなるだめ、雑巾がけやハイハイと似た負荷がかかります。

弱い刺激では届きにくい子どもには、大声ではしゃぐ活動が必要です。
先生がトーマスになって「出発進行!」と牛乳パック積木を押して走り回れば、他の子どもたちが一緒に大はしゃぎで走り出すでしょう。療育施設と違い、園には子どもたちがいます。映像のイメージを、他の子どもと先生によって身体運動や人との関わりが伴う遊びへとつなげることができます。

療育機関は月に一度か二度。園は週5日、家庭は毎日、園と家庭が変われば子どもは変わります。

各園への訪問指導はあっても、その子どもと関わって一緒に遊ぶ指導者はなかなかいないと思います。
保育の専門性研究所では、療育のプロである今井寿美枝先生に実際に園で子どもたちと遊び、保育者や保護者への研修をするお手伝いを始めました。その子をもっと理解したい、具体的な関わり方や遊び方を知りたいという先生、保育の専門性研究所へご相談下さい。


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