子育て広場・子育て支援センター2025/08/03

「育児には正解がない だから迷ってあたりまえ 
はじめてのことはわからない だから悩んであたりまえ 
ここに来て 一緒に子育てしませんか 」
と看板を掲げ、一緒に子育てができる場をつくったうん十年前。

それまで各地でボランティアで行われていた子育て支援を、厚生労働省の少子化対策室の皆さんが尽力し、「地域子育て支援拠点事業」という国の事業として創設された時の喜びは忘れることができません。
子育て支援元年、2003年、平成15年のことです。
あれから20年余り、通称子育てひろば、支援センターと呼ばれる場所は全国で8000箇所以上に増えました。

地域子育て支援拠点事業基本事業は、
 ア 子育て親子の交流の場の提供と交流の促進 
 イ 子育て等に関する相談、援助の実施 
 ウ 地域の子育て関連情報の提供 
 エ 子育て及び子育て支援に関する講習等の実施(月1回以上)
の4つです。

20年経った今、どれも保護者を対象とした事業になっていると気づきました。
今の時代ですと、0歳の赤ちゃんも、1,2歳の子どもも一人の市民として、子どもの育ちの支援を明記する必要があるように思いました。

子育てひろばは、子どもの健やかな育ちを支え、親が親として育つ、地域が育つために考えた事業でした。

親子が一緒のひろばでは、012歳という年齢にふさわしい育ちの機会を得ることができます。
子どもは、子育てひろばへ連れていってもらえれば、他の保護者やスタッフなど斜めの関係を得られます。
子どもは、自分よりも少し年齢の高い子どもが遊ぶ様子を見ることもできます。
家では親にベッタリだったり、映像漬けの子どもも、遊びの環境が整っている場では、親から離れて自ら遊ぶことができます。それも保護者に見守られながら安心して遊ぶことができるのが子育てひろばです。

しかし、012歳の子どもを保護者から離して一時的(継続的ではない)に預かる事業では、親子の関係ができている子どもほど、預けられると泣き続け、預けられている間は不安で遊ぶこともできません。保護者もひと時はリフレッシュできても、その後子どもが情緒が不安定になり離れなくなると、その後かえって育児負担が増えてしまう場合もあります。

全国8000箇所の子育て支援の場が、子どもの育ちを支え、親子の安定した愛着形成を助ける機能を果たしていけば、保育園・こども園の先生方も今より保育がしやすくならないでしょうか。

保育室の灯り2025/08/11

今、全国で園舎の建て替えが進んでいます。

せっかく新しい園舎ができたのに、棚の位置も照明も昭和のままの園をお見掛けします。
保育者から「音環境も動線も前の園舎より悪く、保育がしにくい」という声を聞くこともあります。
どの分野も、専門性に大きな差がありますね。

設計に保育者が関わる園では、保育室の灯りが昭和の蛍光灯のまま、ということはありません。

どのような灯りをどの場所に配置するか、それによって保育者や子どもの活動のしやすさが変わります。
子どもや保育者が休む場はあたたかでゆったりとできる灯り。
反対に倉庫やトイレは、蛍光灯で細部までよく見え、掃除もしやすい灯り。
機能に合わせて、灯りも選びたいですね。

園舎の建て替えや改築は、保育を進化させる大きなチャンスです。
設計には、保育者が意見を出していきたいですね。
(意見は文書にまとめ、〇年〇月〇日、〇〇課〇〇氏に提出と文書のコピーをとっておきましょう)

タイミーさんがいないと園が開けられない2025/08/17

令和5年の保育士の有効求人倍率は3.5倍(全職種は1.35倍)。
4園の内、1園のみが採用できる数値です。

募集をかけても誰も来ない、タイミーさんがいないと園が開けられないいう声も聞きます。

反対に「誰か辞めたら私を雇ってください」という待機保育者がいる園もあります。
また実習生が就職を希望しても退職者がいないため就職できない園もあります。
保育者の採用にも、格差が生じ始めています。

厚生労働省の調査によると養成校の学生が就職先を決める際に重視したことは、
第一位 園の保育理念・方針や保育内容が自分に合っている
第二位 職場の人間関係がよい
第三位 保育環境が充実している
です。
学生は、給与(第四位)、休暇(第五位)、福利厚生(第六位)等の待遇よりも保育の質を重視することが数値から分かります。

わたしも実習園に就職しない理由を聞きとっていましたが、
・子どもに一日中指示する保育がつらい
・行事の練習ばかりで自分にはできない
・保育者が悪口を言っている
・不適切な関わりをする保育者がいる
・記録の量が多すぎる
という声は本当に多く聞きました。

反対に実習園に就職を希望した学生は人間関係と保育環境の良さを挙げました。

保育環境が良いのは、子どもを大切にしている証拠です。
人間関係が良いのは、保育者を大切にしている証拠です。
環境や人間関係が良い園が自然にできるはずはなく、園長先生の学びと努力の成果だと考えられます。
そのため、そういう園はたいてい待遇も良いのです。

保育の質を高め、子どもも保育者も幸せな保育をつくることは、人が集まる園づくりのためにも有効です。
これからも若者の総数は減り、全ての職種で人の取り合いとなります。
保育者不足で園が開けられない、そんな状況にならないように、頑張りどきは今だと思います。
現場と行政が一緒になって保育の質を高める動きを加速化していきたい。私も頑張ります。

動物がくれる力2025/08/27

街頭でしか購入できない「THE BIG ISSUE」、久しぶりに販売者さんを見つけ4号まとめて購入しました。
VOL.506、7月1日号のスペシャル企画は、「スイミー」や「あおくんときいろちゃん」の作家レオ・レオーニ。
絵本の背景にあるレオ・レオーニの育ちや経歴を電車の中で夢中で読みました。
そして特集の「動物たちの力を借りる」があまりにも面白くて、満員電車の中で、「この雑誌知ってます?面白いですよ!」と周りの人に見せたくて仕方がない衝動にかられました。

特集では、アニマルセラピー(動物介在介入)の多様な実践、子どもたちが犬に読み聞かせを行う実践(三鷹市立三鷹図書館)、生きづらさを抱える子ども・若者に保護犬・猫のケアやトレーニングの機会を提供する実践(認定NPO法人キドックス)などのインタビュー記事があります。

アニマルセラピーの多様な実践では、
学校犬や図書館犬、
一時保護所で子どもに寄り添うセラピー犬、
重い病気の子どもの検査や、治療に寄り添うファシリティドッグ、
被害者の子どもが裁判所で証言する際に寄り添う付き添い犬、
少年院等で保護犬の訓練を行う実践など、
わずか数ページの記事のなかに様々な実践が紹介されていました。
加えて、「犬には、子どもの心を瞬時に開かせる力がある」、
「全面的に受け入れられていると感じることができる」、
傷ついた子どもたちが、「傷ついた犬の世話をするなかで生きる力を取り戻していく」、
(いずれも大塚敦子さんのインタビュー)
など、保育にも共通する示唆に富む言葉があふれていました。

も、ぜひ読んでみたいと思いました。