感染リスクを下げる行動のチェックリスト ― 2020/05/13
保育園では、感染防止対策は常日頃から行われていますが、休園措置が行われる感染症は初めてのため、改めて厚生労働省の通知を読み直した人も多いと思います。私もそう。「保育所における感染症対策ガイドライン」(2018)を土台に保育の視点を加え感染防止の行動をチェックリスト形式で作成してみました。
【保育所・認定こども園の感染拡大を防止する行動のチェックリスト】
A 園長・副園長による環境づくり
o クラス、トイレ、職員室等、各場所で換気の時間や、状況(~の後等)を決めて掲示し実施している。又はいつも窓を開けている。
o 各クラスには温度計・湿度計があり、季節による適切な気温や湿度が掲示されている。
o 口に入れる乳児の玩具は、洗浄交換用に同じものを複数準備している。
o 固形石けんは共有となるため、液体石けんを使用している。
o 子どもも保育者も、紙タオルまたは個人持参のタオルを用いている。
o オムツ交換は一定の場で行えるようにオムツ交換台等が整えられている。
o 交換は段取りよくできるように物が整備され配置されている。
o 交換後のオムツは密閉できる容器に保管し保育室内のロッカーには持ち込まない。
o マスク、消毒薬等、感染防止に必要なものが確保されている。
o 嘔吐物や排せつ物等の処理等を行う際に使える使い捨て手袋が準備されている。
o 保育者は、感染症流行時にはマスクをして保育をすることができる。
o 保育補助者や短時間職員にも感染拡大防止行動を文書で説明している。
o 必要に応じて、部外者の保育室、園内への立ち入りを制限している。
o 外部の人と接する事務職員等は、感染症流行時にはマスクをつけている。
o 行事は子どもに必要な行事にとどめ、保護者に見せるための行事は行っていない。
o 保育者は壁の飾りつけ、必要性の低い計画や記録、報告等で残業や持ち帰りを行っていない。
o 職員は、休日出勤や残業の振替休日、時間休をとることができる。
o 職員は、体調が悪いときに休みをとることができる。
o 園長・副園長と職員は、感染リスクの高い場所や行動を共有し、情報を更新している。
□保育室は、保育者がゆとりをもちていねいな指導ができる物的環境を整えている。
□保育室でも、園庭でも保育者と子どもが水分補給を行える環境を整えている。
B 保育者(クラス担任)による時間的な環境づくり、子どもへの指導
o 子どもを一斉にトイレに行かせ、並んで待たせるなどの混み合う方法をとらずに、子どもが排せつしたいときに排せつができるようにしている。
o 保育の合間に、子どもを壁に並ばせて待たせたり、立って並んで待たせたりしていない。
o 一人ひとりに丁寧に指導ができる物的環境と時間の環境をつくり、ゆとりのある保育を行っている。
o 012歳児は一人ひとり排せつを誘い、手洗いまでていねいに指導を行っている。
o 子どもに感染症や病気について分かりやすく説明している。
o 子どもに免疫力や抵抗力を高める生活習慣について説明している。
o 子どもに咳エチケットの必要性を説明し、やり方を見せている。
o 子どもに鼻水の意味を説明し、かみ方をていねいに見せたり指導したりしている。
o 子どもに手洗いの意味を説明し、適切な手洗いの方法を見せ、個別に指導している。
o オムツ交換は、交換後の消毒も含めて手順が保育者同士で共有化されている。
□子どもがのどが渇いたときにいつでも水分がとれるようにしている。
C 保育者・保育補助者の手洗い、身支度等
o 保育に入る前後、食事前、調乳前、配膳前、トイレの後、おむつ交換後、嘔おう吐物処理後、子どもの鼻をかんだ後等には、液体石けんを用いて流水でしっかりと手洗いを行う。
o 母乳は血液を取り扱うと捉えて慎重に取り扱っている。
o オムツ交換や鼻をかんだ後など手を洗う前に、髪の毛や顔、洋服をさわらない。
o 髪の毛をかきあげるなど髪をさわる必要が生じる髪型は、ゴム等でまとめている。
o 爪は短く切っている。保育中は指輪をしていない。
o 調乳時、食事介助時は、遊びで着用していないエプロン等を着用している。
o 保育者は咳エチケットを理解し、マスクをつけている際にも遵守している。
D 保育者と保育補助者、清掃担当者による清掃
o 遊具は、水(湯)洗いや水(湯)拭きを行う。
o 乳児がなめた遊具は、湯等で洗い流して干す。
o 尿、糞便、嘔吐物、血液等で汚れた箇所、その他必要な個所は消毒を行う。
o トイレは、ドア、ドアノブ、蛇口、サンダル等も清掃する。
o 砂場は、定期的に掘り起こす日を決め、砂全体を日光によって消毒する。
o 感染症が流行している時期は、職員や外来者が共通して使用する場所・物を消毒する。
E 園長・副園長・主任等による保護者との連携
o 入園前に、ケガや感染症のリスクについて保護者に説明している。
o 入園前に、発熱等体調不良時の利用はしないように保護者に文書で説明している。
o 代わりの保護者がいない家庭に、ファミリー・サポート・センター等を紹介している。
o SNS等で緊急連絡網を整備し、保護者に速やかに連絡ができるようにしている。
o 保護者からの相談を受けている(=保護者から信頼されている)。
o 感染症防止に関する国、市区町村の通知等の情報を分かりやすく保護者に伝達する。
o 感染症流行時には、園長より保護者に感染防止行動についての文書を出している。
o 休園、登園自粛等に関する文面を準備し、必要なときに保護者に出している。
とはいえこの全部ができていても、保育園の感染リスクはゼロにはできません。
お母さんは勤務でお父さんと1歳、3歳の子どもは自宅待機の家庭で感染リスクをゼロにできないように、保育のプロ集団でも感染リスクを下げることはできても、ゼロにすることは不可能です。