好き嫌いが多い子どもの援助 ― 2021/09/07
食事の指導で迷っているという保育者にお勧めしている本があります。
クレア・ルウェリン、ヘイリー・サイラッド「人生で一番大事な1000日の食事」ダイアモンド社 2019
子どもの食事についての様々な研究が紹介されています。
たとえば、
・子どもは「甘い物は栄養がある」と認識するために好きであり、「苦い物は毒がある」と認識するために、苦みのある野菜を嫌う。
・子どもは、生まれつき小食の子どもとたくさん食べる子どもがいる。食事量は子どもにより異なる。
・子どもにプレッシャーをかけると、食事量は減り、好き嫌いが増える。子どもに強要しない食事指導は、科学的な指導である。
7月にある園の研究発表を聞きました。
食欲が薄い子どもへの働きかけで子どもが変わったという実践です。
その内容は、遊びや生活全体を通して、
食事への関心を促し、食事の意欲を改善するものでした。
食事の環境の改善や、野菜づくり、食に関する多様な教材研究が紹介されていました。
この実践を聞いて、上の図が浮かびました。
優れた保育者は、子どもを変えようとするのではなく、
食事の環境や関わり、教材、遊びなど、自らの保育を変えようとする。
もしも、保育者が子どもが食べないことにこだわり、
子どもを変えようとしたならば、
子どもは自分のネガティブな部分によけいにこだわるようになるでしょう。
また食の意欲は、自律神経に影響を及ぼす生活全体の現れです。
自律神経が機能していないと、食欲はわきません。
日中、光を浴び、走り回り、声を出して笑い、じゃれつきあい、
いきいきと心と体を動かす生活をする
保育者は、そういった生活全体で食の意欲を支えます。
食事場面の「指導」だけで、子どもの食の意欲を引き出すことには限界があります。
まずは、その子どもへのまなざしを変えることからはじめてみましょう。
「改訂保育者の関わりの理論と実践~保育の専門性に基づいて」郁洋舎2021 p44より