めずらしく研究室に男性陣2010/08/30

高山研究室といえば、学生がたむろしているか、美しい熟年女性がたまっているかと相場が決まっているのですが、この日だけは違いました。



若手の園長先生の勉強会が、なぜか私の研究室で・・。お土産に桃まるごとケーキ(ほんとに丸ごと一個!)をご馳走になりました。おいしかった~。ありがとうございます。



園長先生方の関心は、どのようにして保育士の待遇を守るか、向上させるかでした。

日本の保育園の基準って、世界では非常識レベルなんです。一つの園が200人とか世界では非常識。一クラスが30人とか非常識。多すぎです。6人の1歳児を保育士一人でみるとか、20人の3歳児を一人でみる園があったら「大人の人数が少なすぎる」と閉鎖させられるでしょう。日本は、未だに戦後レベルなのです。

皆さんは、1歳のおむつをつけている子どもを、一人でどのぐらいの人数を食べさせて、散歩に連れていって、着替えやおむつを換えて、お昼寝をさせることができますか?3歳の子ども20人の食事やお昼寝や遊びを一人で行うことができますか?20人の子どもたちに毎日笑顔で優しく子どもに接する自信がありますか?

「一人でもたいへん、つらい」と言う人が多いというのに、保育士は一人で1歳の子どもを6人保育します。これが、日本の国家基準です。どう考えても先進国ではありません。だから「子どもを大切にしない国、日本」なんてキャッチコピーがつけられてしまうわけです。私は1×6保育を経験したことがありますが、心の中で「非常事態保育」と呼び、(今は戦後だ)と思い込むようにしていました。そうでないと毎日を暮らしていけないのです。

どんなに専門性が高い保育士であっても、一歳の6人の子どもを一人で保育をすることは無理です。私はその頃、ストレスで声が出なくなってしまいました。日本全国で、心ある先生たちが体を痛めたり、心を痛めたりしていることを思うと胸が苦しくなります。

今、子どもたちの育ちが変わってきていると言われています。家庭と地域の状況が変わり、10年前よりも、保育士が特別に支援しなくてはならない子どもが増えています。長時間保育、一時保育に加えて福祉ニーズを持つ家庭も増え、保育士の負担はますます増える一方です。認定子ども園では、構造の質の基準は、保育園よりも低くなります。保育園と保育士の職務内容は増加する一方、そして待遇と構造の質と園の運営資金が下がる一方では、良い保育者が集まらない状況が早々にやってくるでしょう。

今、保育は園長先生や保育士の先生方の善意で成り立っています。各園の自助努力で保育士の対数がカバーされていますが、そうなると個々の先生方が休みを取れない、長時間労働や、仕事の持ち帰りなど負担が増加します。園長先生方は、この状況を何とかしたい、浜松の子どもたちを守りたい、子どもを大切にする浜松をつくりたいと考えていらっしゃることがよくわかりました。

浜松には素晴らしい保育園や幼稚園が数多くあります。園長先生方とお話して、子どもを大切にする伝統をもつ浜松を、日本の保育モデル都市にしたいという気持がますます強くなりました。

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