特別な支援を必要とする子どもが9.8%2012/12/10

文部科学省から「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」の結果が公表されました。

文部科学省の調査結果のPDFファイルは以下のアドレスから。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1328849.htm

調査期間は平成24年2月~3月。調査対象は全国(岩手、宮城、福島の3県を除く)の公立小中学校の通常の学級に在籍する児童生徒(小学校35,892人、中学校17,990人)

担任教員が回答した内容から、知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は6.5%。平成14年の調査では6.3%でした。
校種別にみると小学校は7.7%、中学校は4.0%。
学年別では、小学校一年生が9.8%、三年生が7.5%、六年生が6.3%

この数字からは、学級によっては机に座って先生の話を聞く形式では、授業が成り立たない場合もあるだろうと推測されます。教育・福祉のインクルージョンが進められ、今後ますます子どもの多様性の幅は広がってくるでしょう。教育者は、これまでの教育方法に加えて、多様性の幅が広がっても個々の学びを確保できる方法を持つ必要性があります。

それで思い出したのが、この本。
OECD教育研究革新センター「OECD未来の教育改革2個別化していく教育」明石書店、2007

人間には多様性があり、すべての子どもが個別のニーズをもっていることを前提に、その子らしい学びを促進する教育が解説されています。フリーサイズの教育を、オーダーメイドの教育にすることで、排除される子どもと自尊心を削られる子どもが減る可能性が示されます。

保育所では、障がいのある子どもの在籍率も高く、福祉ニーズをもつ多様な家庭の子どもが入所し、かつ乳児も在籍することから子どもの多様性の幅が大きく、その幅に合わせた生活と遊びを通した教育の積み上げが行われてきました。

たとえば、食事の時間はある程度の幅をもたせることで、行動が遅い子どもや障がいがある子どもの行動が問題になりにくくなります。食事の量は子どもによって違っていて当たり前なら保育者は苦しみません。発達に合わせて012歳は発表会をなくして自由参加にした園もあります。子どもの発達段階をよく見極め、自分の体に染みついた「皆さん、ご一緒に」の感覚を捨てることで、子どもに無理をさせなくていいし、保育者も楽になる。このことを先進的な保育に取り組む先生方から学ばせていただきました。

特別な支援を必要としている子どもに対する支援の専門性には、「子どもの多様性の幅に合わせた活動や教材を選択し、時間や空間の環境を準備すること」が考えられます。教育内容のインクルージョンです。これは保育所の保育者に不可欠な専門性ともいえますね。



多様性の幅に合わせた教育内容の選択は大学教育も同じかもしれません。私も日々意識を改めなくては。


                   冬の浜名湖(新幹線より)

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