武術研究家の甲野先生と対談 ― 2016/10/21
武術の研究家であり、動きの専門家である甲野善紀先生と、対談が実現しました。
・乳児期に腰を中心にした動きを封じ込められた子どもは、動きを上手く身につけられるのか?
・幼児期に本当に優先すべき運動はどのようなものか?
・緊張した体を育てる体育と、ゆるすぎる動きのお遊戯、・・・緊張と弛緩のバランスの良い体を育むには?
・保育者がもっと楽になる体の動し方のコツは?
など、甲野先生に伺ってみたい質問が山積みでした。
先生のご回答は・・・フレーベル館の「保育ナビ」2月号をご覧ください(笑)。

こちらは11月号。
幼児期の運動というと、マットや鉄棒のような小学校の先取り体育を思い浮かべがちですが、
甲野先生は、道具を使うために体を動かす、火を見るためにしゃがむなど、
動きが必要な環境をつくることの重要性を強調されました。
まさに「小学校の先取り体育」から、「必要感に基づく運動」への視点の転換です。
甲野先生との対談は、立って動いている時間の方が長かったかもしれません。
先生が次々と繰り出す実技に対して、
対談後の編集部は、甲野先生を囲んで「ふしぎ」「どうして」と、大騒ぎになりました。
遠い昔の前足を、現代に生きる私たちは、なめらかに動く「手」として使っています。
この手を、虎拉ぎ(とらひしぎ)という動物が獲物を狙うような形にして、
四つ足のように動かすと、腹に力がこもり、普段はできない動きができます。
これで歩いたり階段を登ると、楽なのです。
階段を怪しい姿で登っている中年女性がいたら、私かもしれません(笑)。
また、ある手の形をつくると、心が鎮まり、腹が座り、
頭を殴られる真似をされても、ビクリともしないのです。
ほんとうに不思議!
甲野先生の最新の著書としては、
「甲野善紀と甲野陽紀の不思議なほど日常生活が楽になる身体の使い方
日常動作を磨く77のコツ (DVDブック)」や
小関勲先生との共著「ヒモトレ革命 繫がるカラダ 動けるカラダ」があります。
「ヒモトレ」は、障がい児の療育、保育者の肩こりと腰痛防止に活用できそうです。
甲野先生は、「体育で最初に教えるべきことは転び方」ともおっしゃっています。
舗装された平坦な道しか体験できない地域では、
どのような環境を園内につくるべきか、ヒントをいただいた気がしました。
そこで「転ぶことを体験できる環境」を探してみました。

土がたっぷりと入れられた、かほる保育園さんの園庭は、でこぼこが満載。
泥の上を子どもは上手く歩きますが、私はすべって歩けません。
サッカーや集団遊びができる平らな園庭も、別に準備されています。

ゆうゆうのもり幼保園さんの天井に張り巡らされた大きなネット。
よつばいで渡る経験ができます。(大人はへっぴり腰になります)。

以前も紹介したたばる愛児園さんのホールにある巨大なマット。
安心して、わざと転ぶ子どもたちです。

保育室内にデコボコ空間をつくっている龍雲寺学園さんの工夫でした。