関わるための話し方とは ― 2017/08/28
保育者の関わりに関連するさまざまな文献を読んでいて、
ますます大きくなっていく疑問があります。
それは、保育者の声の出し方、話し方。
幼児の歌唱指導で、「大きな声で」「元気よく」と
歌わせる指導方法に、賛否両論があるように、
保育者の話し方と声の出し方も、園によって異なります。
ある園では、新任の保育者は、
「大きな声で、子どもたちを引きつけられるように」と、
オーバーな話し方をするように指導を受けます。
先生は、騒音の中で聞き取れる、甲高い裏声を使って話します。
絵本も、声色を使い演劇のように感情をこめて読みます。
反対にある園では、新任の保育者は、
「声は静かに出すように」と指導されます。
絵本は、「子どもたちが想像できるように」
声色は使わずに読みます。
関わりは保育者に任され、
一つの園のなかで、大きな声の先生と静かに話す先生が
混じっている場合もあります。
関わりの研究で観察したある園では、
保育者は、幼児の集団にも静かな話し方をしていました。
インタビューをすると、保育者は、
「子どもが自分で話に注意を向けて聞き取ることができるように
わざと普通の声で話しています」と、その意図を説明されました。
「キャピキャピした保育者」を求める園
(これは関わりに関する本に書かれていた言葉です)と、
「静かで知的な保育者」を求める園とがあり、
そこには子ども観、保育観の違いが現れていると考えられます。
私も中学生の頃、ピンポンパンのさかいお姉さんが大好きでしたが
幼児番組やアニメの話し方や歌い方は、
声が高い、テンションが高い、抑揚が大きいなどの特徴があります。
探索欲求の強い乳幼児を、平面の画面に引きつけるには、
このような話し方が、有効であると考えられます。
しかし、対面のコミュニケーションには向くのでしょうか。
保育者が追及するのは、
赤ちゃんと、情緒的に交わることができる話し方であり、
幼児クラスで、保育者と子どもの豊かな会話が成り立つ話し方です。
目の前の赤ちゃんと信頼関係をつくる話し方は?
目の前の子どもの心と体に届く話し方は?
幼児の集団に対する話し方は?
それらに共通する原則は?
原則づくりの旅はまだまだ続きます。