予備の玩具を遊び別に整理する ― 2026/04/01
新年度が始まりましたね。

年度末から年度始め、春休みのない保育園・認定こども園の先生方はいつにも増してご多忙な日々をお過ごしのことと思います。
新人の保育者にベテランの経験知・実践知をどのように伝えるか、
その仕組みの一つとして、絵本や倉庫を整理するアクションリサーチを行っています。
先日は、玩具の予備棚を見せていただきました。
こんなに大きい玩具の予備棚はめったに見ることがありません。
「再構成をさせて下さい」と園長先生にお願いしたところ、快くお引き受けいただきました。
再構成前の予備の玩具棚、玩具別に整理して並べられています。

これを全部棚から出して遊びの種類(仮)を書いた紙のところへ分けていきます。
遊びの種類は、見立てつもりごっこ、操作・構成、数量・図形、言葉・文字、科学・社会、音楽表現と運動(大きい物が多いので別置き)、造形表現(別置き)に分かれました。

そして遊びの種類別に再度収納します。

再構成する際に留意した点は以下の通り。
①遊び別で分けました。
ブロック、パズル、汽車など玩具の名前で置くと、玩具でコーナーを考えたくなります。(汽車コーナーなど)
保育者は、その時期のこどもの遊びを実現するために、必要な玩具を選びます。
そこで遊びの名前毎に玩具を棚に並べました。そうすることで「この遊びのためにこの玩具が必要」と「遊び」(発達欲求)を意識しやすくなるのではないか、と考えました。
②「ままごと」は、「見立てつもり・ごっこ遊び」と表示します。
「ままごと」と書くと「仕事のごっこ遊び」や、「物語のごっこ遊び」を想定しにくくなるので、「お家ごっこ」と「仕事ごっこ」に分けて棚に入れました。
③テーブルゲームは、数量感覚を育むものと、文字に気づくもの、形や色で簡単にできるゲームに分けました。
とくに年長児向けのテーブルゲームは、幼児教育の教材として欠かせません。
分けることで量の偏り(意識の偏り)に気づき、これから増やすものが分かります。
④テーブルゲームは箱に概要を書いていただき、新人の保育者でも内容を分かるようにしました。
⑤遊び別に棚を分ける意味を新人の先生にも分かるように、扉の裏に発達による遊びの変化の図を貼りました。
⑥量があるものは引き出し式のケースは使わずに、上部が空いたケースのみを使いました。またケースには大きな文字で入っているものを書きました。多忙な保育者がすぐに取り出し片付けやすくします。
意識を変えることは難しいけれど、意識を促す仕組みやしかけをつくることはできます。
その仕組みづくりを検討し、園でお試しいただいている段階です。
玩具の整理は先生方が手伝ってくださったので、2時間ほどで終了しました。
園長先生、先生方、どうもありがとうございました。
自然がつくるでこぼことどろんこ ― 2026/03/29
冬に旭川へ行ったとき、「春の園庭はドロドロベチョベチョですよ」と聞いていました。
本当でした。3月末の園庭です。

私はツルツル滑って歩けないのですが、こどもたちは平気で登り、走っています

昼には、どろんこになったスキーウエアが干されていました。


この景色に、先生と保護者のこどもへの愛を感じました。
面倒がらない大人ってすてきです。
倉庫の量と位置 ― 2026/03/15
研究のために園へ伺うと見せていただく場所があります。
それは倉庫。
どこに倉庫があるか、どんな棚でどのぐらい量が入る倉庫があるかは、保育に影響を与えています。
たとえばトイレに倉庫がない園(あるんです、これが)では、保育者がトイレットペーパーの補充に廊下の倉庫まで行って交換。一人担任であればこどもに目が届かない時間が増えます。
保育室に倉庫がない園(これもあるんです)では、保育者は保育に必要な用品を取りに行くために廊下を走ることになります。倉庫のドアが複雑で、保育者が荷物をもって出入りするのに二人が必要という園もありました。
また倉庫がないために棚の上に物が置かれて、改築したばかりの保育室が雑然としていることがあります。
倉庫の場所や量が、保育者の動きと負担感に影響を与えることを感じています。
改めて保育の質が高い園の写真を見直すと、やはり保育室内の倉庫が充実しています。

ながかみ保育園さん
倉庫内の整理も大事。カテゴリー別に整理され、すぐに取れる、すぐに戻せるようになっていると、保育者も助かりますね。

にしき保育園さん
倉庫の整理は、主任や主幹の先生に期待したいところですが、今後は、園専門の収納アドバイザーのニーズが出てくるかもしれませんね。
指導監査を保育の質につなげる ― 2026/03/10
現場でよく聞く困りごとには、「指導計画」の書式があります。
指針・要領に則って保育を変えた園では、これまでの月カリや週案の書式が使いにくいという悩みを抱えています。マインドマップや環境図を書く方式など各園で試行錯誤していますが、監査では昭和からの伝統的な書式で書くように指導されることがあるそうです。
都道府県や市区町村による指導監査の指摘事項についてネットで調べる内に、東京都中央区で指導監査に携わる方が書いた書籍を見つけました。
書き込み線を引いて内容を熟知したい情報の場合、やはり紙の本が助かります。
本書によると、指導監査には主に「運営管理」「保育内容」「会計経理」の三つの枠があり、本書はこの内、「運営管理」を中心に説明しているそうです。法律をまとめた本と違ってとても分かりやすい。私も本書を読んで初めて知った情報がいくつかありました。
「保育内容」に関する監査の情報は、東京都や東京の各区がネットに指摘事項等の情報を公開していて参考になります。ただ「環境を設定」や「評価・反省」などの「保育所保育指針」とは異なる用語が気になります。
なぜ、こどもを虐待している園は、監査では発見できないのか。
指導計画(書類)は、「保育所保育指針」を超えた細かな指摘が行われるのに、なぜ指針から大きく外れた保育(実践)は指摘事項にならないのか・・・。
保育の質は社会の重要課題です。
本書のタイトルにあるように保育の質につながる監査と保育の書類のあり方について研究を続けたいと思います。
保護者との連絡に使うベトナム語・ポルトガル語・英語他 ― 2026/02/17
以前、日本保育協会さんから保育の用語を英語、中国語、ポルトガル語などに翻訳した冊子が出ていました。
偶然書店で、それらの冊子が一冊の本にまとまっているものを見つけました。
掲載されているのは、中国語、ポルトガル語、ベトナム語、タガログ語、英語、スペイン語。
翻訳されているのは、園の一日、行事、調査票、送迎時間連絡カード、持ち物絵カードなど、
翻訳アプリが便利になったとはいえ、保育でよく使う書類の翻訳を一覧できるのは助かります。
ある園では一つのクラスに10か国語以上の言語を母語とするこどもがいるそうです。
保育も、幅の広い多様性を前提とした保育に変える必要性がありますね。
夏の園庭・冬の園庭 ― 2026/02/07
夏は最高気温が35℃で、冬の最低気温はマイナス15℃の旭川市(2025年)。
これまでの人生で初めて「吹雪く」と「ホワイトアウト」という言葉を使いました。
夏の園庭とは様変わりした冬の園庭にも圧倒されました。
園庭改造を重ねておられる「おひさまの森」の夏の園庭


そしてこちらが「おひさまの森」の2月の園庭


こどもも先生もスキーウエアを着こんで園庭で遊んでいました。
雪遊びは、登ったりすべったり転がったりといった全身を動かす遊びです。
水遊びと同じ大はしゃぎの遊びが毎日できるとはうらやましい限りです。
雪とこどもたちと先生方の笑顔がまぶしく、見ていてほんとうに嬉しくなりました。
マイナスの気温の中で準備や片付け、園庭の整備も重ねた上で、こどもたちと一緒に遊ぶ先生方、ほんとうに毎日お疲れ様です。
車まんなか社会をこどもまんなか社会に ― 2026/01/27
あっという間に年を超えてしまいました。
2026年は、いよいよ多くの保育現場が変わり出す、という予感がしています。
「こどもまんなか社会」も、三年目に入ります。
子育て支援元年と比べると子育て家庭への経済的な支援、相談体制の充実など子育てを応援する制度が揃ってきました。ただ何十年も変わらないままなのは、こどもが育つ、こどもを育てる住宅環境と、まちの環境です。
壁や床が薄い集合住宅では、こどもが走ると苦情、泣くと苦情です。
こどもが走るだけで叱らないといけない家で子育てをして楽しい人はいないでしょう。
運動という基本的な欲求を充足できないこどもも問題を抱えかねません。
こどもを外で遊ばせたい”意識高い系”の親だってつらい。
こどもと歩けば危ない危ないと叱ってばかり、公園には日陰もない、遊具のそばにベンチはない。
道路は、車が優先です。
車はどこでもスイスイ曲がり、ベビーカーや車いす、高齢者は段差のたびに苦労します。
斜めの歩道は、ベビーカー等を押しにくく、体に不自由があると転びやすい。
まちは、社会的弱者に厳しいのです。
こどもたちを育てているのは、人だけではありません。
家も道も街路樹も、こどもたちを育てています。
家庭や地域が、こどもを育てる環境として貧しいと、平日は園にこどもを預け、休日にはどこかに連れて行き、物やサービスを与える状況が生まれがちです。地域が豊かであればこどもの体験格差も生じにくいでしょう。
子育てしやすい住宅やまちのモデルは、すでにあります。
経済的に恵まれた人が住むまちは歩道は広く、道にも公園にも緑があふれています。
こどもまんなか社会では、住宅と地域環境の格差を減らすハードの充実にも期待したいと思います。

水と緑が豊かな公園
こどもは大人の小型ではない ― 2025/12/17
もう12月半ばですね。発表会にクリスマス会にと忙しい先生方も多いことでしょう。
先日若い先生が、「2歳児は5歳児の小型ではないってどういう意味ですか?」と質問して下さいました。
「こどもは大人の小型ではないですよね。それと同じように2歳児と5歳児は全く異なる段階にいるということです」とお話すると、?????の表情。
あ~!!ルソーとかモンテッソーリって今は保育原理の科目で学ばないんだと気づきました。
わたしは前提をすっとばして本を書いていたのか・・・。
そこで、その質問を受けて図をつくってみました。
こどもは大人の小型ではないことを分かりやすく説明したのが、モンテッソーリです。

青虫は成長すると蝶々になります。しかし最初から小型の蝶で生まれてくるわけではありません。
最初は青虫、そしてさなぎ、蝶々へと姿を変えていきます。
モンテッソーリは、カエルのお母さんがオタマジャクシに陸に上がってジャンプしなさいと言ってはだめですよという分かりやすい例でも説明しています。
その時期、その時期に必要な経験があるということですね。
(敏感期について熱く語りたいけど、長くなるのでやめます)

0歳も、5歳児の小型ではありません。
0歳独自の発達段階があり、その時期に必要な経験は5歳とは違います。
もし早く立ちなさい、歩きなさいと練習をさせたら、不安定な歩行と残念な運動神経につながってしまうでしょう。
2歳も同じです。
一人遊びを止めて集団活動を優先すると、かえって人との関わりが難しくなります。
ルソーも、その時代の人たちに、こども時代には独自の価値があることを訴えました。
何百年経っても、早く早くと発達を急がせる風潮は変わりませんね。
発達が分からないと、「何かをさせなくては」と焦りが生まれます。
その時期の発達と必要な経験が分かっていると、ゆとりをもってこどもを見守れるようになりますね。
質問してくださった先生、ありがとうございました。
環境を構成しはじめると生じる悩み ― 2025/11/27
熊の出没で外で遊べない園の先生方、大変にお疲れ様です。心労はいかばかりかと思います。
熊は地域差がありますが、研修会場で保育者の皆さんから受ける相談は、本当によく似ています。
今日は、一斉保育から主体的な活動を中心とした保育へ変えはじめた先生方からよく受ける質問と、私の回答をご紹介します。
〇食事も午睡もお部屋で行うためコーナーを常設できない
保育室のほかにレストランや午睡室がある園はごく一部であり。環境を構成している園の多くは食事と午睡が同じ部屋です。食事と午睡の時間には棚と机を移動する、食事のテーブルは机上遊びのテーブルとして使う、各コーナーの中で午睡する、廊下やテラスで食事をする、廊下も保育室にする、0歳児は運動遊び、1歳児は操作遊び、2歳児はごっこ遊びなど各クラスにコーナーを設置し移動が自由にできるようにするなどの工夫があります。
保育室のほかにレストランや午睡室がある園はごく一部であり。環境を構成している園の多くは食事と午睡が同じ部屋です。食事と午睡の時間には棚と机を移動する、食事のテーブルは机上遊びのテーブルとして使う、各コーナーの中で午睡する、廊下やテラスで食事をする、廊下も保育室にする、0歳児は運動遊び、1歳児は操作遊び、2歳児はごっこ遊びなど各クラスにコーナーを設置し移動が自由にできるようにするなどの工夫があります。
〇すべてのこどもにぴったりの環境がつくれない
とくに012歳のこどもは発達の差が著しいため、月齢の高い子に合わせると月齢の低い子には危険などとても迷うことと思います。こどもが10人いれば、10人とも発達欲求が異なります。どの子にもOKの玩具や環境を見つけられればよいですが、難しい状況も多いと思います。10人のこども全員に良い関わりをしようとか、全員に良い環境をつくろうと思う必要はありません。半分のこどもがよく遊ぶ環境がつくれていたらよしとしましょう。環境づくりは100点満点中30点で十分です。012歳の異年齢でも事故が起きず、よく遊ぶ玩具については「子育て支援の環境づくり」をご参照下さい。
〇ケガをしそうでこどもを止めてしまう
0歳が登ると危険なすべり台があるとか、大きなけがをしそうな場所が園内にある場合には、まずはその環境を変えましょう。危険の発見と改善は木村歩美先生の「ワクワクと安心の保育づくりへ」ひとなる書房2024が参考になります。
0歳が登ると危険なすべり台があるとか、大きなけがをしそうな場所が園内にある場合には、まずはその環境を変えましょう。危険の発見と改善は木村歩美先生の「ワクワクと安心の保育づくりへ」ひとなる書房2024が参考になります。
他の保育者が止めないような行為でも止めてしまう保育者は、発達の勉強をすることで、”ダメダメ率”が下がります。とくに012歳児は発達を理解すると、こどもを止める、叱る率が下がります。「どうしてそんなことするの」、「だめでしょ」が口癖の保育者は、発達の勉強をしてみましょう。こどもの行動を理解し、こどもの発達欲求が見えるようになると、こどもを見守ることができるようになります。
〇部屋が散らかり、これでいいのと感じる
手は”突き出た大脳”と言われます。散らかったお部屋は、子どもたちが脳を発達させた証拠です。
手は”突き出た大脳”と言われます。散らかったお部屋は、子どもたちが脳を発達させた証拠です。
部屋が散らかるとイライラする方は、「子育て支援ひだまり通信」をご覧ください。
0歳、1歳は秩序を壊すこと自体が遊びになります。歩き始めた1歳児は物をもって移動することが遊びです。記憶力がついてきた2歳児は物を移動させてどこかに”巣”をつくるために行ったりきたりします。このような発達に伴う姿が分かっていると、子どもが物を移動させることを不安に感じません。
環境の工夫としては、遊びの空間ごとに色の異なるじゅうたんを使うと物が移動しにくくなります。また床に玩具が散らばると子どもは遊ばなくなりますので、012歳児クラスでは保育者は常に遊んでいない玩具を棚にさりげなく並べ続けましょう。
ブロックやままごとを大きなケースの中に入れている場合、ケースをガラガラとひっくり返す行動も起きやすく、散らばりやすくなります。こどもがお家の空間やお出かけの空間の中でイメージをもって遊んでいる場合には、部屋中に玩具が散らばることは少ないと思います。
玩具の質も散らばる原因になります。こどもを楽しませてくれるだけのお菓子のような玩具が多いと、こどもはすぐに飽きるため、あちらこちらに玩具が散らばることが起きやすいです。
保育者の悩みは、たいていどこかの本にヒントがあります。
悩んだら本の目次を見ることを習慣にしてみてくださいね。

悩んでいる人は、伸びている人。悩みは成長の証です。
「望ましい経験を環境に置く」が分かる図 ― 2025/11/20
保育者の主体的・対話的な学びの支援が、今の私の関心事。
主体的な学びには、保育者が見る・読むだけで分かる良質な教材作成が欠かせません。

写真や映像は、具体的すぎて情報量も多いため、理論(原則)の伝達には向きません。
文章の理解は、読む人の読解力に左右されます。
図とキャッチコピーは分かりやすいけれど、省略するものがあまりに多くて、厳密さからは遠ざります。
これらを織り交ぜて教材化することが、今のところ有効ではないかと考えています。
ここ数年で環境の構成が広がった結果、”託児”のようなコーナーが増えていることに気づきました。
そのため環境構成の研修会では、誤解を解くための新しい言葉をつくる必要性が出てきました。
今、原則を伝えるために試行錯誤を続けているのが下の三種類の図です。

これだと絵本や歌、リズム活動など保育者が文化を提供する必要性が見えません。

この図だと、令和も一斉活動をしなくてはならない感が出てしまいます。
012歳児クラスでも一斉活動を行うと誤解されるとその弊害は大きい。
こどもの生涯にわたる意欲と学ぶ力に悪影響があるため、誤解を広げることはできません。

これだと、令和の保育は昭和の一斉活動でも自由遊びでもないことが表現できません。
保育者へのヒアリングを続けて最適な図を作りたいと思います。


