「素材」に関する本2冊 ― 2014/10/10
今日は、遊びの素材に関する本を、2冊ご紹介します。
子どもたちが遊びを作りだすことができる遊びの素材には、砂や草等の自然物、自然物から作られた紙やひも、廃材、素材的な玩具があります。これまで、幼稚園や保育園で使われる造形の素材として、ペットボトルなどの廃材や、紙皿・紙コップなどがよく紹介されてきましたが、今月、積み木の本が出版されました。

右の本。吉本和子、脇淵爾良(わきぶちじろう)「積木と保育」エイデル研究所、2014
積み木には、「室内の砂場」という呼び方がありますが、元々積み木は、子どもが遊びながら自然の摂理を知ることを意図して考案されたものです。シンプルな形は、砂や水のように子どもたちを魅了します。
この本の前半は、0歳児から年長児までが、積木でどんな遊びを繰り広げているか、写真で紹介されています。それぞれの写真から、子どもは大人よりもずっと創造力があることを感じさせられます。後半は、積み木の基本的な積み方が紹介されています。レンガ積み、円を積む、三角を積む、屋根を積むなど。私は積木のワークショップで球形をつくってみたときに、陶芸を思い出しました。積木はそっとさわらないと、いとも簡単に崩れてしまいます。
左の本。子ども美術文化研究会「子どもが生み出す絵と造形ー子ども文化は美術文化」エイデル研究所、2012
こちらは、自然素材のみで遊ぶ園の様子が豊富な写真で紹介されています。水、砂、土、木切れ、竹ずつ、石ころ、わら、草、花、木の実、貝殻など。写真を見ているだけで、思わず笑みがこぼれます。
2冊を合わせて読むと、素材の質と量が、子どもの遊びの空間的な広がり、時間的な広がり、友達とのつながりなどに影響を与えることを感じます。ダイナミックな作品は、持ち帰ることや壁に貼ることが難しいので、園庭や保育室にカメラをぶら下げておくことがとても大切ですね。
ちなみに、来月号の「げ・ん・き」の私の連載テーマは、「遊びの素材」です。自然か玩具かの二項対立の思考から脱し、子どもと園の状況に合わせて選んでみるのはどうでしょう、という提案を書いてみました。
大学の保育実習室には、学生たちが素材を比較研究できるように、和久積み木(4.5センチ、3センチ)、保育積木、形の不揃いな積み木、カプラ、井形ブロック、ラキュー等を集めてみました。今は市販の素材的な玩具だけですが、これから廃材と道具を充実させ土も収集できればと野望を抱いています。