園庭に雑草を植える ― 2015/03/17
屋外でも、室内でも、子どもの豊かな遊びを支える環境には、共通点があります。
そのポイントの一つは、遊びの素材があること。
小学校の体育館や運動場は、遊びの素材や道具を意図的になくすことで、子どもが集団的な活動に向かいやすくなっています。(それでも、小学校の運動会の練習では「砂をさわらない!」と、先生の声が聞こえてきますが(笑))。
各園では、園庭に種類の違う土や砂を入れたり、草花や木を植えたりと、子どもの遊びが豊かにひろがるように工夫しています。しかし、園庭に実のなる木を植えたいと思っても、保育者の立場ではなかなか難しいもの。
保育士の立場で、園庭に少しずつ雑草を植え、ビオトープを作っている先生がいると聞き見学に伺いました。
甲斐裕之先生。こども環境管理士の資格をお持ちだそうです。今回は、甲斐先生のお仕事を紹介します。
まず、園舎の裏側のデッドスペースに「エデンの森」をつくりました。入り口は茶室風です。(写真が甲斐先生)

いつも子どもから見えるところに地元の名産品であるしいたけ。道路側には水仙の花。考えられていますね。

シダ、ふきのとうなど、様々な植物を植えました。どれが雑草でどれが植えたものだかわからない・・・、甲斐先生すみません。解説ができませんでした。補足説明をお願いします。

園庭の端には菜の花を植えました。春にはモンシロチョウがやってきそうです。

園庭の隅には、めだかのがっこうをつくりました。看板の文字がまた素敵ですね。

こちらは非常階段の前、クローバーの種を蒔いたそうです。小さな芽がいっぱいでした。遊びでは、ちぎってもいい草花が必要。この園では、雑草で遊ぶ日本の文化を伝承できそうです。

他にも、ヒヨドリに食べられてしまったブロッコリーなど、多くのお仕事を見せていただきました。
園庭の環境が豊かになれば、子どもの経験の幅が広がります。また土を耕したり、種を蒔いたり、芽が出てきたのを喜んだり、鳥に食べられたのを残念がる先生方の姿そのものが、何より子どもにとっての豊かな環境だと感じました。大人が働く姿を見せることができるという点では、「遠くの畑よりも園庭の隅」なのですね。
園の入り口には、アンネのバラに平和の鐘、これは園長先生のお仕事でした。アンネのバラは地域の方にも分けていらっしゃるそうです。信念をもった園長先生に保育者の仕事は支えられている、と感じた瞬間でした。

甲斐先生は、匂いや香りを大切にされているそうです。日本アロマ協会の環境カオリスタ資格も取得されたのだとか。なるほど。匂いや香りを、空気の質に含めずに、環境の要素として取り出すことで、雑草や木や草花や野菜や生き物を、子どもの環境に配置する必要性が出てきます。重要な視点を学ばせていただきました。
貴重なお時間をいただき丁寧にご説明をいただきましたグレース保育園の廣安愼太郎園長生、甲斐先生、先生方、どうもありがとうございました。
先日はありがとうございました。保育者一同、環境についての意識が高まっています。
先生の記事の中で、”保育者の姿こそ豊かな環境”とありますが本当にその通りですね。
これからも自身も楽しみながら園庭づくりをしていきたいと思いました。(今も十分楽しんでますがw)
グレース保育園の隣の町には世界でも例の少ない世界農業遺産に認定された宇佐市がありまして、その理由の一つであるしいたけ栽培を園庭環境に配しました。
子どもたちには生まれたこの国、この地域、この世界を愛してほしいと願っています。
地域に根差した保育園として身の回りでしか体験できないことや、環境の伝承をしていく必要があると考えます。
またそれをするのには保育者、保護者、地域の協力が必要ですので課題は多いですが
目の前の子どもたちは待ってくれないので一歩ずつ歩みを進めていこうと思っています。
次回お会いしたときにはもっと豊かな環境構成が出来ているように励みますので、また大分の地でお目にかかれる日を楽しみにしています。
グレース保育園 保育士 甲斐裕之