35人に一人にビックリ!2014/01/23

先日、他の専攻の学生たちを対象に、保育士について講義をする機会がありました。

最初に保育所という場が、家庭の代わりではなく、子どもを集団で保育する場であることを理解してもらおうと、国が定めた保育士一人が保育する子どもの人数の基準を、0歳、1・2歳、3歳、4、5歳で推測してもらいました。ついでに幼稚園も、学級人数を考えてもらいました。
机間を回り、ノートを見たり話しかけたりして聞いてみると、幼稚園は10人に一人、0歳は子ども一人に保育者一人、1歳は3人に一人など、まあ、みんな書いている人数の少ないこと、少ないこと。
そうですよね。赤ちゃんを一人で育てていても子育ては大変だと聞いているのですから、きっと保育園や幼稚園でも少人数で保育しているだろうと推測して当然です。

しかし日本の保育所の最低基準は、0歳児は子ども3人に保育士一人、1、2歳児は、子ども6人に保育士一人、3歳児は子ども20人に保育士一人、4、5歳児は子ども30人に保育士一人です。幼稚園は35人。そして現在の保育所が認定こども園になると、短時間保育児は35人に一人になること。
学生たちはとても驚いた顔をしていました。最後に課題の提出を行いましたが、よほど驚いたのか「人数が衝撃的でした」「驚きました」と課題の横に書き加えている学生がいました。

学生と同様に、保護者もこれらの情報を知らない人が多いことでしょう。(かくいう私も親の立場であったときには知りませんでした・・・)
保護者には、事前説明会で国の基準と、自園のクラス人数と保育者の人数を話し、園としては基準よりも加配して努力をしていること、行き届かない点があるが協力をしてほしい旨を説明することが必要であろうと思いました。

保育士の場合、集団で子どもを長時間保育するための専門性が必要です。保育士は、幼稚園教諭の幼児教育の専門性に加えて、養護(ケア)の専門性、乳児保育の専門性と、保護者支援の専門性、福祉の専門性が求められます。保育士資格を取得するときは、保育所以外の児童福祉施設で働くための専門性も必要となるため、修得する専門科目の単位は幼稚園教諭の約2倍の数になります。
虐待の可能性や福祉ニーズが高い家庭、子どもに障がいの可能性がある場合、保育所への入園を勧められます。幼稚園では障がいや国籍によって入園を断わる園もありますが、保育所には、むしろ支援を必要とする子どもが優先的に入園します。家庭環境の幅が広く、長時間保育であり、交代制勤務のなかでチームで保育を行うため、保育にも保護者支援にも、より高度な技術と倫理観が求められるのが保育士なのです。

私が保育士をしていたとき、「保育は難しい」「私にはうまくできない」と自分を責めることがよくありました。しかし保育士を辞め客観的に見ることができるようになったとき、保育士という職務は、厳しい労働条件でありながら高度で幅広い専門性が求められるために、保育を難しいと感じることは当然だったのだと気づきました。高度な専門性が必要な職務でありながら、「親の代わり」「子どもと遊んでいるだけ」というまなざしに囲まれ、自分でも専門性を持っていることに気づきにくかったのです。

球を受けとめきれないのは、あなたのせいではない。(佐藤学さんの著作の中からヒントを得ました)


保育士は、乳幼児期の教育と養護、保護者支援を行う福祉と教育の専門職です。
看護という仕事に専門性などないと考えられていた時代に、ナイチンゲールたちが専門性のある看護を追及し、専門性を言語化・理論化したように、保育の専門性を実践として見せ、言語化・理論化して、待遇を改善していきましょう。

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