一人ひとりを大切にする保育2014/11/17

書店に平積みにしてほしい本が出ました。一斉型の生活と遊びを、一人ひとりを大切にした保育へとどのように変えていったのか、保育を変えたプロセスが描かれた待望の一冊です。

サライ美奈著、全国私立保育園連盟保育国際交流運営委員会編『ハンガリーたっぷりあそび就学を見通す保育 一人ひとりを大切にする具体的な保育』かもがわ出版、2014.7



第一部は、サライ美奈さんによるハンガリーの保育・就学前教育の紹介です。美しいカラー写真は、「一人ひとりを大切にした保育」を象徴しています。私も海外の保育の写真を見てショックを受けたことが自分の保育を変えるきっかけになりましたが、これまでにない編集で、ハンガリーの保育がわかりやすく紹介されています。

とくにお薦めしたいのは、第二部です。全国私立保育園連盟保育国際交流運営委員会委員長であるユリアさんが、わらべうたとの出会いから、園の保育を見直し、担当制と流れる日課へと、どのように保育を変えていったのかを具体的に説明しています。保育を数年をかけて変えている園を、今各地で目の当りにしながら、その経緯を伝えることが私にはできませんでした。

第二部では、一斉に保育を変えたわけではなく、取り組める部分から少しずつ変えていった経緯が、ていねいに説明されます。そして、「まるで戦場のような慌ただしさで食事の後は食べこぼしがいっぱい」だった乳児クラスの食事風景が、「子どもたちが落ち着いて食べることに集中」するようになり、保育士も「子ども一人ひとりを介助できるようになった」など、子どもの変化と、保育者の気持ちの変化についても記されています。これから保育を変えていきたいと考えている保育者に、ヒントと大きな希望を与えてくれるだろうと思いました。



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