赤ちゃんの運動発達と育児用品2016/04/08

標記の研究について、アフォーダンス研究者の細田直哉先生から教えていただきました。
8か月の赤ちゃん(N=43)を対象に、赤ちゃん用品の使用と運動発達との関係を調査した研究です。

赤ちゃん用品として使われるジャンパー、スウィング、シート、チェアーなどは、使用時間と運動発達には負の相関がある。明確な相関が見られなかったのは、ベビーサークルと歩行器。正の相関が見られたのはソーサーという赤ちゃんが動くように作られた用品だったという研究です。
(Abbott,A.L. and Bartlett,D.J.(2001),Infant motor development and equipment use in the home,ChildCare,Health and Development,27,pp295-306)

サンプルは少ないけれども結果は実感と一致。能力は練習の機会があればあるほど伸びるのは、誰でも体験的に知っています。能力を獲得した大人でさえ、使わなければ能力は落ちます。まして、日々爆発的に運動能力を発達させていく赤ちゃんが自発的な運動をしない時間が長ければ長いほど能力の獲得に影響が出るのは、ナイーブな感覚と一致しますね。


乳児の前期は、仰向けが最も全身を自由に動かすことができる姿勢。声をかけられ全身で喜びを表しています。
人間だけが、子どもを仰向けに寝かせて、目を見つめ、手に物を持たせます。 すごいことです。



うつ伏せで動けるようになると、全身を使って環境を探索。ずりばいで動くときには、全身の皮膚や筋肉から脳へと刺激が送られているのでしょうね。頭のあたりを見つめると、感覚運動野がスパークしているのが見えるようです(笑)。

この時期、環境を探索している子どもは、(おっ!)(あれ!?)と常に新しい発見をしているので、目がキラキラと輝いています。乳児クラスの保育者は、学びのファシリテーターとして、どもが、おっ!と、思わず這い出していくように環境をつくります。

どんなに豊かな物的環境や自然環境があっても、赤ちゃんをお座りさせる大人がいると、とたんに子どもは探索活動ができなくなります。乳児クラスの保育者が運動の重要性を意識していることが大切ですね。
家庭は家族みんなの生活の場ですから育児用品を使うことはあります(家庭では大人の都合だって大事です)が、子どもの教育と養護(ケア)の場である認定こども園と保育園では、育児用品や育児DVDを使用しなくてもよいように時間と空間の環境をつくっていきたいものです。

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