理不尽な苦情に悩まされる先生に2011/01/15

寒いですねえ。受験生がんばれ。

牛島定信監修「境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本」講談社2008

教員や保育士をしていると、理不尽な苦情に悩まされることがありますよね。正当な苦情と違うのは、その内容がウソや理不尽であるばかりではなく、仕事をやめたくなるほど、しつこく、あなたを傷つける方法で、苦情を申し立てることです。

日本では過保護により未熟な人格を持つ大人が増加していると言われます。
「人格障害」に関する知識は、園長・主任・保育者は、必ず持っておく必要があります。保育者同士の関係を切るような動きをするため、知識を持たないと保育者同士の関係が悪化し、苦情に振り回されることになります。
相談を受けるたびに、読みやすい本がないかしら~と思っていましたが、見つけました。
イラスト満載で、ちょっとした合間に読める本としてお薦めです。

人を愛しすぎるあなたに。


講談社のホームページより 

内容紹介

自ら対人関係を壊してしまう人たち
激しい怒りは「見捨てないで!」という叫び。未熟なパーソナリティが生む障害の実態とは?

【主なポイント】
●境界性パーソナリティ障害は、感情・行動・対人関係が不安定になる障害
●未熟なまま、成長しきれていないパーソナリティが、症状を生む
●周囲とのトラブルを起こしやすく、「困った人」と思われてしまう
●不安や怒り、孤独などの感情を同時に感じ、整理しきれない
●リストカットや過食など、自分を傷つけることで気持ちを落ち着かせる
●よい人、悪い人など両極端な考え方しかしない
●新しい治療ガイドにもとづく診断方法と正しい治療の進め方
●家庭や職場、医療現場でのトラブル回避のヒント集

家族援助論2010/04/29

「家族援助論」那須信樹編著 北﨑恵理、高山静子、山崎 篤、飯浜浩幸、森 康博著 保育出版社

私が「家族援助論」の授業で使用しているテキストです。
保育園・幼稚園の具体的な子育て支援の記述が充実しており、(私がその章を書いているから・・)保育者向けの講演会で御紹介していますが、保育出版社の本は、アマゾンなどで購入できないため、先生方も探すのに苦労されるようです。

この本は、保育出版社のホームページで購入できます。
http://www.hoiku-pub.jp/index.html


保育園・幼稚園の子育て支援では、入園児童家庭への支援と、地域の子育て家庭への支援を分けて書き、入園児童の保護者に対して、具体的にどのような支援を行うのか、保護者とのコミュニケーションの取り方、ノートの書き方、参観の組み方など、保育者に伝えたいことをコンパクトにまとめました。地域の子育て家庭への支援は、園庭開放などの居場所・交流型の支援を中心に、預かり、学童なども入れています。

相談の対応や問題発生後の支援が中心のテキストが多いなかで、育成・予防を中心に記述されている珍しい「家族援助論」テキストだと思います。とはいえ、他の章で虐待の早期発見と対応についても充実した記述があり、資料を別途用意することなく、予防と対応をこの一冊で指導ができます。

家族援助論は、他にもいくつか書かせていただいていますが、保育所と幼稚園の保護者支援をたっぷり書かせていただいたのはこの本だけで、学生たちに支援の実際をよく理解してもらいたいと思うと、どうしてもこの本を選んでしまいます。

この本の編者である那須先生も、執筆者の北崎さんも、(わたしも)、ファシリテーターでもあり、エンパワメントが基本にあります。読者に役立つ本にしたいという著者の思いも、とても強い本かもしれません。

育つ・つながる子育て支援2010/04/29

「育つ・つながる子育て支援~具体的な技術・態度を見に付ける32のリスト」子育て支援者コンピテンシー研究会編著 チャイルド社


この本は武蔵大学の武田信子さん、日本保育協会の今井豊彦さんらと一緒に行った子育て支援者のコンピテンシー研究を基にしています。
子育て支援の技術と態度をイラスト満載で解説。イラストはとくに大枝桂子さんのイラストがつぼにはまります。「こんなイラストをお願いします」とイメージを伝えるのですが、毎回筆者の想像をはるかに超えたイラストが届いて大爆笑でした。この本で一番楽しめるのは、大枝さんのイラストです。

子育て支援を行う広場の環境では、「視覚刺激・音刺激の質と量に配慮」といった高度な内容と「安全チェックリスト」のような基本的な内容を一緒に盛り込んでいます。

この本を出版してからは、子育て支援の講演依頼が来ると「この本を読んで下さい」とお断り。2時間講師の話を聞くより、本を何冊も買って継続的に学習するほうが質の向上につながります。

幼稚園・保育園でこれから子育て支援を初めてみようかなという方、それから、子育て支援の担当になったという方、ご一読下さい。

大人の心をあたためる本2010/04/27

福音館書店より
保護者支援の基本は、「育児は学習性の行動である」と理解することだと考えています。
知らないことはできませんし、見たことがない行動は真似できません。思いやりにあふれた行動、あたたかい言葉を知っている人は、子どもにもあたたかい言葉をかけることができます。

絵本には、大人の気持をあたためてくれる本も多くあります。
保護者向けに置きたい絵本を4冊紹介します。


○「ちょっとだけ」瀧村有子作 /鈴木永子絵 福音館書店
・・下にあかちゃんが生まれてママはあかちゃんのお世話で手一杯。「ママ、ちょっとだけ抱っこして」というお姉ちゃんに、「いっぱい抱っこしたいんですけど」というママ。子どもを抱きしめたくなる本です。

○「ちいさなあなたへ」アリスン・マギー文・ピーター・レイノルズ絵主婦の友社
・・親の気持を描いた本。1人ひとりの子どもたちが愛情に支えられて育っていることを思い出します。

○「あやちゃんのうまれた日」浜田桂子作・絵
・・みんながあなたがうまれる日を待っていたという本。子どもたちにも読み聞かせしたい本です。

○「気持の本」森田ゆり作 絵たくさんのこどもたち
・・子どもに感情に気づかせ、感情を表現する力を育てる本ですが、大人にもこの本によって元気づけられる人がいるようです。

保護者向け貸出用本やおもちゃ2010/04/25

保護者の忙しさから、家族で笑いあったりじっくり話をするような家庭が少なくなりました。お父さんはテレビゲーム、お母さんはインターネットと子どもよりも機械と向き合ってしまう保護者も増えてきました。
 
親から愛されている実感が得られないと、子どもたちは園で安定して過ごすことができません。
不安定な子どもの様子から、家庭の親子のかかわりのきっかけになる本やおもちゃの貸出を行う園も増えています。


○お父さんに遊びのヒント

正木健雄監修「脳をきたえる「じゃれつき遊び」―キレない子ども 集中力のある子どもに育つ」小学館 1260円
中川 信子「きほんの遊び142 0~3歳 赤ちゃんの発達に合わせて楽しむ」1365円


○大人の遊び心が動き出す

原賀隆一「ふるさと子供グラフィティ」・「ふるさと子供ウィズダム」オールカラー3000円(自費出版 ネクストカルチャーhttp://shop.bbaha.jp/ )
さとうち 藍, 松岡 達英「冒険図鑑―野外で生活するために」
福音館書店 1680円
木内 勝 田中 皓也「工作図鑑―野外で生活するために」
福音館書店 1680円


○子どもが思わず遊びたくなる

折り紙・あやとり・新聞紙遊び・空き箱工作など家庭での遊びのヒントになる本


○親子でお料理

平野レミ「平野レミのおりょうりブック―ひも ほうちょうも つかわない (かがくのとも傑作集)」福音館書店 880円
さとうわきこ「サンドイッチつくろう (かがくのとも傑作集・ばばばあちゃんシリーズなど) 福音館書店 880円
その他、一般的な親子クッキングの本


○テレビゲームよりおもしろいボードゲームや図鑑、おもちゃ

昆虫・動物・魚・鳥・水の生物・植物・宇宙・きせつの図鑑 (小学生向けの大型図鑑)野球盤ゲーム、オセロゲーム、ボードゲーム、積み木、迷路つみ木、くみかえ迷路など。

専門性を高めたい先生へお薦めの50冊2010/04/25

ルソー、モンテッソーリ、フレーベルなど古典に加えてこれだけは読んでおきたいお薦め本リストです。


1 子どもの発達をよく理解したい

今井和子 「0・1・2歳児の心の育ちと保育」 小学館
コダーイ芸術教育研究所「乳児の体の育ちとあそび」明治図書
窪田容子・村本邦子 「人格の土台をつくる子育て」 三学出版
斉藤公子「ヒトが人間になる」太郎次郎社
田中昌人・田中杉恵「子どもの発達診断」(乳児前・後半・幼児ⅠⅡ)大月書店


2 難しいあの子を理解したい

石崎朝世「社会性の発達と援助法~友達ができにくい子どもたち」すずき出版
石崎朝世「落ち着きのない子どもたち~多動症候群への理解と対応」すずき出版
湯汲英史「わがままといわれるこどもたち~自己中心性の原因と対応」すずき出版
杉山 登志郎「子ども虐待という第四の発達障害」 ヒューマンケアブックス
片岡直樹・山崎雅保「しゃべらない子どもたち・笑わない子どもたち・遊べない子どもたち」メタモル出版
佐藤 剛「感覚統合Q&A」協同医書出版社


3 食事、睡眠、排泄・・もっと生活指導上手になりたい

窪田容子・村本邦子「子どもにキレてしまいそうなとき」 三学出版
森田ゆり「しつけと体罰―子どもの内なる力を育てる道すじ」 童話館出版
米山千恵・渡辺幸子「0歳児クラスの楽しい生活と遊び」明治図書
米山千恵・渡辺幸子「1歳児クラスの楽しい生活と遊び」明治図書
米山千恵・渡辺幸子「2歳児クラスの楽しい生活と遊び」明治図書


4 すてきな保育室をつくりたい

吉本和子「幼児保育」
吉本和子「乳児保育」
辻井正「ベストキンダーガーデン」 オクターブ
斉藤 桂子・渡辺 幸子・米山 千恵「異年齢クラスの楽しい生活と遊び」明治図書
テルマ・ハームス,デビィ・クレア,リチャード・M.クリフォード「保育環境評価スケール幼児版・乳児版」法律文化社


5 プロとしての遊びの援助ができるようになりたい

メーヘシュ・ヴェラ「ハンガリー保育園・幼稚園の遊び」明治図書
ちいさいなかま編集部 「保育園で人気の0・1歳児のあそび」 草土文化
ちいさいなかま編集部 「おにごっこいろいろ」 草土文化
島崎田鶴子・山田真理子「いま「創造保育」を」葦書房
相良敦子「お母さんの敏感期―モンテッソーリ教育は子を育てる親を育てる」ネスコ
浜島代志子「おはなし上手は子育て上手」大月書店
原賀隆一(「ふるさと子供グラフティ」「ふるさと子供ウイズダム」自費出版3000円)


6 難しいあの子とコミュニケーションがとれるようになりたい

湯汲英史「ADHDさとるくんの場合~落ち着きのない子をどう育てるか」すずき出版
湯汲英史「感情をうまく伝えられない子への切りかえことば22」すずき出版
湯汲英史「子どもが伸びる関わりことば」すずき出版
一松麻実子「人と関わる力を伸ばす~社会性が弱い子への援助法」すずき出版
武藤英夫「発達障害をもつ子への身辺自立の指導と援助~できる!をめざして」かもがわ出版
斉藤公子「さくら・さくらんぼの障害児保育」.青木書店


7 保護者支援を具体的に知りたい

那須信樹「家族援助論」保育出版社(高山静子が保育園・幼稚園の子育て支援について書いています)
柏木恵子・森下久美子「子育て広場0123吉祥寺」ミネルヴァ書房
子育て支援者コンピテンシー研究会(代表高山静子)「育つ・つながる子育て支援」チャイルド社


8 自分を見直したい

ロビン ノーウッド「愛しすぎる女たち」中央公論新書
クリスティーヌ・A.ローソン「母に心を引き裂かれて : 娘を苦しめる〈境界性人格障害〉の母」 新曜社
竹内敏晴「ことばが劈かれるとき」思想の科学社
サルバトール・R・マッディら「仕事ストレスで伸びる人の心理学」ダイヤモンド社


9 広い視野を持って保育にのぞみたい

武田信子「社会で子どもを育てる」平凡社新書 2002
北島英治ら「ソーシャルワーク実践の基礎理論」有斐閣
北島英治ら「ソーシャルワーク演習(上)」有斐閣
ビル・リー「実践コミュニティワーク」学文社
 

10 特別な保育ニーズに適切に対応したい

学研ラポム編集室「一時保育ハンドブック」学習研究社
前川喜平「保健婦のためのハイリスク児の早期保健指導マニュアル」日本小児医事出版社



11 発表・報告・会議などわかりやすく伝える力をもちたい
 
藤沢晃治「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール」講談社
小野田博一「論理的に書く方法」日本実業出版社


高山静子