感覚統合理論による大型遊具 ― 2025/04/13
見学に伺った園の保護者よりお手紙をいただき、ある公園を教えていただきました。
高崎市観音山公園にある「ケルナー広場」。
ドイツのアトリエ・ケルナー社が提供する大型遊具が設置されています。
こちらがつくられた経緯や活動の内容はNPO法人「時をつむぐ会」のページをご覧いただきたいと思います。
ケルナー遊具は、エアーズの感覚統合理論を、遊具の設計に活用しています。
また形状の特徴は、自然の樹木や地形など自然の形に近いことです。
木村歩美先生がつくる大型遊具とも考え方が共通しています。
多くの園庭にある大型遊具は遊具の”引付け力”が強すぎて、子どもが遊具に遊んでもらう状態になりやすいものです。ケルナー遊具は自然物と関わるときと同様の動きを引きだす形状をもちながらも、人工素材を用いているため耐久性が高いのはうれしい点です。隣の遊園地の跡地には子どもを遊んでくれる遊具があり、様々な大型遊具と子どもの姿を見て、遊具のあり方を考えることができました。

足元は小さな砂利で風の強い高崎でも砂が舞いにくくなっています。
とても勉強になりました。
教えていただきありがとうございました。
保育環境ビフォーアフター ― 2023/02/27
木村歩美先生が環境づくりについて解説するYouTube動画を発見しました。
動画をアップしたのは、「保育士チャンネル」【仕事Live】。
このチャンネルは、藤原里美先生の動画が面白いよと
人に教えていただいて、よく拝見していました。
この動画では、園長先生が
環境改善のプロセスを語り、
木村先生が解説を行っています。
保育室をたっぷりと見ることができるのも魅力です。
9分間ですから、昼休みにクラスで見るのにぴったりですね。
チームで保育をする保育では、
園内研修で全員が同じ情報を共有することで
保育の質を高めていくことができます。
たとえば
同じ本の読み合わせをする。
同じ動画を見る。
それを題材に、「自分の園ではどうするか」を話し合う。
このような主体的・対話的な学びを継続的に行うことで
学び合う文化、対話の文化がつくられていきます。
この動画も他園の保育室や改善のプロセスを知ることで
自園の環境づくりを考えるきっかけとなりそうです。
ただネットの保育関連の動画には、
昭和の時代のような残念な保育室や
昭和の時代はよくても、
今では「幼児期にはふさわしくない」と言われる実践も
数多くアップされています。
情報を、取捨選択しながら使いたいものです。
森を開拓した保育者たち ― 2022/10/31
「開拓」の文字は、北海道の歴史資料館では見たことがありましたが、
生きている人で「ぼくたちが森を開拓しました」と話す人に初めて会いました。
それも保育園の保育者たちがゼロから木を伐り、下草を刈り、園庭をつくったというのですから驚きです。
開拓者たちが集まるのは、札幌市の「富丘バオバブ保育園」と「富丘ニンニン保育園」。
一度、子どもがいない森を見せていただいたのですが、実は子どもの姿が想像できませんでした。
私はたいていの園庭や保育室は子どもがいなくても姿が想像できる自信があったのですが、
この起伏の豊かな森で、ゼロから年長までが遊ぶ姿が想像がつきませんでした。
そのうえ0歳児クラスの保育者たちは、急な坂を重いカートを押しても毎日この森に遊びに来たいというのです。
それで、もう一度子どもがいる日に見学に伺いました。

0歳児クラスから年長まで、なんとも自然に混じりあって遊んでいました。
保育者は子どもをゆったりと見守り、一緒に遊んでいます。
森に響く子どもたちの声が心地がよく、いつか座り込んで子どもの姿をながめていました。
日頃、「園庭を森に」、「保育室は森のように」とお話していますが、
やはり本物にはかなわない、と実感しました。
自然の複雑さ、多様さ、勾配の高さ、腐葉土の深さ、香り、風、命の豊かさ・・・・・・、
この森の豊かさを、認可保育園で日常的に享受できる子どもたちは、いや~幸せですね。
この森の開拓は、男性保育者が中心に行ったそうです。
この園は、男性保育者の割合がとても高いのです。(たぶん日本一、このことは別に書きます)
森を開拓するって、どれほど大変でしょう。
こんな貴重な園庭を作ってくださった先生方に感謝しかありません。
森を開拓してくださった先生方、見せてくださった先生方、
ほんとうにありがとうございました。
園庭に「のっぱら」をつくった公立園 ― 2021/10/16
ソニー教育財団が主催する「科学する心を育てる」保育実践論文で
今年度最優秀園に選ばれた
世田谷区立希望丘保育園さんの実践発表会に参加しました。
子どもと話し合って園庭に虫が集まる「のっぱら」をつくり、
子どもの探究や探究を支援する職員の姿が報告されました。
保育士のときに園庭に雑草を残してほしいと園長に嘆願し続けて
実現できなかった私には、うらやましい限りの実践でした。
家のまわりや公園では子どもが土も掘れない、草もちぎれない
という地域が多い中で、園庭にちぎっていい草がある、
虫が来る原っぱがあるのは何と豊かな環境でしょうか。
発見は、園庭の端に雑草を残すこと以外にも、
畑や花壇のような小さな雑草園をつくれるということでした。
園庭の一部に、虫が来る野菜を植えることがありますが、
雑草園では、花壇や畑以上に子どもが関わる頻度が高くなります。
園庭の一部に雑草を生やすのは、
木を植えるよりも取り組みやすい環境づくりですね。
また、子どもが虫と関わり探究する姿は、
大人から「子どもの学び」が見えやすいため、
子ども主体の学びに軸を移すきっかけにもなるでしょう。
詳細は、ソニー教育財団さんのホームページでご覧ください。

実は、一番興奮したのは、
希望が丘保育園さんの二階は東京シューレで、
三階は若者の交流居場所だということでした。
いやあ、こんな複合施設ができているなんて
保坂市長、さすがです!
子育て支援施設の支援機能をチェックする ― 2019/10/06
休日は雨。孫たちと一緒に某市の子育て支援センターへ行きました。
でもまた出ました悪い癖。孫と遊ぶより、すぐに環境チェックをしてしまうのです。。。
「子育て中の親子が自由に交流できるフリースペース」とうたわれた施設は、
木の広場や水遊びの広場など設備も充実しています。
しかし実際に利用してみると、
そこは公営の『屋内遊戯場』であり、子育て支援の場ではありませんでした。
まず、全体の空間づくりと、雰囲気づくり。
ショッピングセンターの子どもの遊び場やゲームセンターよりもうるさく、
体感的には80㏈をはるかに超えている感じです。
そのうえ赤ちゃんのコーナーの真横に、楽器のコーナーがあり、赤ちゃんの空間が最もうるさい。
乳児を子育て中の保護者は睡眠不足がちで肩こりもあります。
ここを利用するとますます疲労が増え、頭痛が起きるかもしれません。
大型遊具が多く設置されているコーナーも吸音材を使っていないために、声と音が響いていました。
次は、人的環境です。
スタッフは立って子どもを監視、いえ失礼、子どもの安全を見守っていました。
残念ながら笑顔で親に話しかけたり相談にのる人を、この日は見ることができませんでした。
物的環境を変えれば、スタッフは笑顔で座っていられるのに、う~ん言いたい!と悩みました。
安全性はどうでしょう。
『子育て支援の環境づくり』の事故防止チェックリストの項目を浮かべながらチェック。
赤ちゃんのハイハイ広場には堅いおもちゃ、転倒すると危険な大きさの玩具があります。
幼児が遊ぶ場所には「走りません!」とあちこちに書かれています。
いや、「走りなさい」という環境の情報をなくせばよいのですが・・・。
スタッフは大型遊具のそばに立ち、子どもに「下から登りません」と、注意をしていました。

段差が小さく広い階段、足がかりのある斜面(黄色の矢印部分)は、
ハイハイの赤ちゃんでも登ることができます。
しかし赤ちゃんが上に上って座ると落ちる形状(赤の矢印部分)になっています。
小さな段差をはずしてしまえば、赤ちゃんは上らないので、保護者に注意をしなくてよくなります。
大人が注意をして見ていないと大きな事故が起きる可能性がある遊具は、
公園にも園にもあります。
保護者がハラハラして、わが子だけを見ていないといけない場所では、
人と情報交換をしたり、ちょっとした相談をすることはできません。
子育て支援の場は、安心と心地よさがあることで、相談や、人との気持ちの良い交流が生まれます。
子育て支援の場は、子育てをはじめたばかりの保護者が
気軽に相談し交流できる場所、深刻な相談を防止する場としてつくられました。
集合住宅やまちのなかでは、赤ちゃんや小さな子どもは迷惑がられるばかり。
道ばたや縁側のような居場所や交流の場がなくなった地域のなかで、
みんなで一緒に育てられる場所、それが子育て支援の場です。
まちのハードが子どもが育つ、子どもを育てる環境として貧困になったため、
地域子育て支援拠点が必要になりました。
子どもを健やかに育てられる地域環境がなく、
子育て支援の場に行っても居心地が悪く、
子育てを大変だとしか感じられなければ、
保育園への入園希望者は増える一方でしょう。
子どもが育つ環境として、まちのハードを見直し、
子どもが歩ける、遊べるまちづくりに改善するとともに、
各市町村の子育て支援施設の機能を点検をする必要性を感じました。
子育て支援の機能を果たしているかどうかは、相談件数でチェックができます。
イベント以外の毎日の利用者数と、毎日の相談件数が重要です。
人形のお洋服、エプロン、具材など ― 2018/11/12
浜松こどものとも社の安田さんから、園で使える手作り品のカタログをいただきました。
さっそく大学の保育実習室用に、いくつか購入しました。
納品を知らせる事務の方からのメールには、
「あまりにかわいらしくて納品チェックでテンションがあがりました」とあります。

人形のワンピースや甚平、浴衣、おむつカバー、布団、子ども用エプロンなど。
ごっこ遊び用の具材はこんな感じです。

現在、カタログが行方不明。
発見したら写真をアップします。
浜松市なごみこども園のお隣にある店舗でも、実物を見ることができます。

子どもの本とヨーロッパのおもちゃの店パディントンさん
服で就職希望者が増える!? ― 2018/09/23
高校生の Iさんから、ブログの内容についてメールをいただきました。
許可をいただき、メールの内容を転載します。
「保育士の服装が園児に与える影響について」
「はじめまして。僕は、現在高校3年のIといいます。
メールの題にも書いたように、 保育士の服装が園児に与える影響について気になることがありイン ターネットで検索していたところ高山さんのブログを拝見し、 連絡させていただきました。
なぜ気になったかというと、保育士の方々の服装というと、 キャラクターがプリントされているようなTシャツにエプロン、 下はジャージというものがステレオタイプとしてあると思いますが 、先生の服というのは子供が日々目にするものですし、 もしもTシャツに絵画がプリントされていれば、 園児たちの興味や関心がそちらのほうに向き脳の発達などに関係す る可能性はないか?と考えたからです。
近頃保育士不足や離職率の高さが問題になっているといわれていま すし、 今よりもスタイリッシュな服装をすることで例えばキャビンアテン ダントの制服に憧れて、 それを目指すように先生たちにとっても保育士という職業に対する 誇りがさらに生まれて、 それによって少しでも現状が改善される可能性はないかと考えてい ます。
もし、 今回の内容に関する情報をお持ちでしたら教えていただきたいです 。
突然失礼しました。」
メールを拝見して唸りました。
保育士の服装は、
保育士の「職業イメージ」や、「社会的地位・待遇」に、
確実に影響を与えているだろうと
個人的には思っていました。
このように「スタイリッシュな服装をすることで・・・」とハッキリ書かれると、
なるほど高校生でもこのような感じ方をする学生さんがいるのか、
と考えさせられました。
今でも、自らを人的環境として意識している専門性の高い保育者は、
子どもの遊びが豊かに展開できるように、シンプルな服装を選んでいます。
環境の研究で取材をさせていただいた園では、
キャラクターのエプロンをつけているのは、実習生か中学生でした。
保育者は、子どもの興味関心を広げたり、新しい興味を引き出すために環境を構成します。
壁に絵を貼るように、服もその一つとして活用できると思います。
日常は、専門職にふさわしく、かつ自分らしい服ですごし、
行事では、服で演出することもできます。
保育は、人格の土台に影響を与える重要な仕事でありながら、
(ただ子どもを預かっているだけ)
(子どもをただ遊ばせているだけ)
といったイメージをもたれやすいのは、
服装の影響も大きいのではないでしょうか。
一通のメールから、様々なことを考えさせられました。
Iさん、ありがとうございました。

自然は、静かに私たちを引きつけます。
服装も含め、自然界のような調和とリズムを、子どもたちのまわりに準備したいと願います。
*最近、写真が入らない、行間が取れないなどのトラブルが多くなかなか思い通りに書けない状況が続いています。読みにくいと思いますが、ご了解のほどをお願いします。
ウサギノネドコ ― 2018/02/26
先日、授業研究会で見せていただいた教材が忘れられず、ネット検索を続けています。
二子玉川に科学ショップがあると知り、行ったら2月18日に閉店していました・・・。
同じくネットで見つけた京都にあるウサギノネドコ。http://usaginonedoko.net/
ネットショップもあるのですが、
どうしても直接見たくて、先週行ってきました。

店内の写真をブログへ掲載する許可をいただきました。

アクリルの中に閉じ込められているのは、花や木の実など。
自然の形を、手元でいつも眺められるなんて最高です。

3月までは、「自然の石・人工の石」の企画展中。
スタッフの説明がとても面白くて一時間以上も展示品を堪能しました。

一つだけ残っていた結晶を育てるキットは、園へのお土産に買いました。
子どもはさわることができないので、眺めるだけになりますが。
「銀河通信社」で通信販売があるそうです。

これが欲しかったのです。これは自分用に購入。
子どもの頃、タンポポをそのまま家に持ち帰ろうと、
根を掘って、植木鉢に入れては、
毎回枯らしていました。
大学で購入してもらったものと一緒に、
保育実習室に置いておくので、学生の皆さんお楽しみに~。
縫い物が苦手でも ― 2018/02/04
先週末、学生たちとオルト保育園さんの作品展へ行きました。
と、下書きを書いたまま、もうふた月も経ってしまいました。
0歳児クラスの展示では、
子どもが様々な素材を選んで入れた容器が並んでいました。
(写真は個人情報保護のために粗く加工しています)

日々の遊びが、表現であることを示した展示、
おもしろいですね。
最近では、0・1・2歳クラスは、発表会も、造形展も、
日頃の写真掲示やビデオにする園も増えているようです。
行事を、日常を豊かにするきっかけや、
保護者との協働のきっかけにしている園もあります。
横には、子どもたちが使った素材が並べられ、
実際に保護者が体験できるようになっていました。

素材は、縫い物が苦手な人にも作ることができるものばかりでした。
この展示を見て、縫うことにこだわらなくても、
いろいろな素材を使えばいいのか、
と、目からうろこでした。
もちろん日常の遊びで使う場合には、
誤飲しない形と大きさであること
素材が口に入れても安全であることが必要です。
年長さんに、赤ちゃんのクラスで使う紐を編んでもらうこともできるのかも、
など、新しい発想をいただいた展示でした。
ありがとうございました。
自然素材の収集 ― 2017/11/28
先日、木曽の先生方に、
「木の実を集めるのが大変なんです」と愚痴をこぼしたら、
先生方が自分の保育室からあれやこれやと
珍しい木の実を持ってきてプレゼントしてくださいました。
なんと豊かな地域なのでしょう!
紙袋一杯の木の実を、無事に保育実習室まで持ち帰ることができました。
先生方、本当にありがとうございました。

購入した自然素材も、容器に入れてみました。

昨日の授業研究会×保育の質的研究会×ゼミでは、
中部大の千田先生が、松ぼっくりの種飛ばしを披露。
この種の形から、工作に広がる、松の実は食べられるけどあれ何の松?
松ぼっくりはフィボナッチ数だ、フィボナッチツリーがあると、話が広がりました。

千田先生には、次回の授業研究会で、講師をお願いしました。
今週の環境の授業では
森のようちえんピッコロの中島久美子先生の特別授業も予定。
今から楽しみです。