自然がつくるでこぼことどろんこ ― 2026/03/29
冬に旭川へ行ったとき、「春の園庭はドロドロベチョベチョですよ」と聞いていました。
本当でした。3月末の園庭です。

私はツルツル滑って歩けないのですが、こどもたちは平気で登り、走っています

昼には、どろんこになったスキーウエアが干されていました。


この景色に、先生と保護者のこどもへの愛を感じました。
面倒がらない大人ってすてきです。
夏の園庭・冬の園庭 ― 2026/02/07
夏は最高気温が35℃で、冬の最低気温はマイナス15℃の旭川市(2025年)。
これまでの人生で初めて「吹雪く」と「ホワイトアウト」という言葉を使いました。
夏の園庭とは様変わりした冬の園庭にも圧倒されました。
園庭改造を重ねておられる「おひさまの森」の夏の園庭


そしてこちらが「おひさまの森」の2月の園庭


こどもも先生もスキーウエアを着こんで園庭で遊んでいました。
雪遊びは、登ったりすべったり転がったりといった全身を動かす遊びです。
水遊びと同じ大はしゃぎの遊びが毎日できるとはうらやましい限りです。
雪とこどもたちと先生方の笑顔がまぶしく、見ていてほんとうに嬉しくなりました。
マイナスの気温の中で準備や片付け、園庭の整備も重ねた上で、こどもたちと一緒に遊ぶ先生方、ほんとうに毎日お疲れ様です。
「望ましい経験を環境に置く」が分かる図 ― 2025/11/20
保育者の主体的・対話的な学びの支援が、今の私の関心事。
主体的な学びには、保育者が見る・読むだけで分かる良質な教材作成が欠かせません。

写真や映像は、具体的すぎて情報量も多いため、理論(原則)の伝達には向きません。
文章の理解は、読む人の読解力に左右されます。
図とキャッチコピーは分かりやすいけれど、省略するものがあまりに多くて、厳密さからは遠ざります。
これらを織り交ぜて教材化することが、今のところ有効ではないかと考えています。
ここ数年で環境の構成が広がった結果、”託児”のようなコーナーが増えていることに気づきました。
そのため環境構成の研修会では、誤解を解くための新しい言葉をつくる必要性が出てきました。
今、原則を伝えるために試行錯誤を続けているのが下の三種類の図です。

これだと絵本や歌、リズム活動など保育者が文化を提供する必要性が見えません。

この図だと、令和も一斉活動をしなくてはならない感が出てしまいます。
012歳児クラスでも一斉活動を行うと誤解されるとその弊害は大きい。
こどもの生涯にわたる意欲と学ぶ力に悪影響があるため、誤解を広げることはできません。

これだと、令和の保育は昭和の一斉活動でも自由遊びでもないことが表現できません。
保育者へのヒアリングを続けて最適な図を作りたいと思います。
乳児クラスの遊びの素材と道具選び ― 2025/10/26
012歳の遊びは、発達欲求のあらわれ。
まず、乳幼児の遊びとは何か、「改訂環境構成の理論と実践」p52,53で確認しましょう。
そして参考資料を選ぶ際は、子どもの発達欲求を遊びと捉えている書籍を選ぶようにします。
子どもを喜ばせる菓子のような玩具を掲載する本も多いため、書籍選びには注意しましょう。
以下の本は、発達の道筋に合わせて市販のおもちゃを紹介しています。
オールカラーで、市販のおもちゃと子どもが遊ぶ姿を同時に見ることができる本です。
瀧薫「新版 保育とおもちゃー発達の道すじにそったおもちゃの選び方」エイデル研究所 2018

以下は後半に手作りの玩具が掲載されています。文庫版になって内容は減りましたが、文章の部分を読むと玩具をつくる、選ぶ基本が分かります。今はkindle版は無料期間でした。
相良敦子「モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる お母さんの「敏感期」2013(文庫版)文藝春秋
上記に限らず、モンテッソーリの考え方に基づく本には、発達に合った玩具が多く紹介されています。

上記に限らず、モンテッソーリの考え方に基づく本には、発達に合った玩具が多く紹介されています。
モンテッソーリは子どもの発達欲求をとらえて環境をつくることを理論化した環境構成の元祖です。
幼児クラスの遊びの素材と道具選び ― 2025/10/20
遊びが幼児教育になるためには、遊びの素材と道具選びが肝。
子どもが遊びを広げる素材には、砂や草花等の自然物、玩具(市販・手作り)、紙などの人工的な素材、廃材等があります。素材に働きかけるための道具には、玩具、生活用品、用具・工具等があります。(「改訂環境構成の理論と実践」p58)
しかし、保育カタログから、子どもが遊びを広げることができる玩具を選ぶことは至難の業です。
そこで、保育室の環境を充実させる具体的な方法を提案します。
まず準備するのはこの本です。同僚と一緒に検討できるとよいですね。
高山静子「学びを支える保育環境づくり」小学館、2017

(準備 第2章の「保育環境で保育が変わる」は環境構成の基礎知識ですので、各自で読んでおきます。
基礎が分かっている場合にはここは省略でかまいません)。
1 第1章の「保育環境最前線」の写真と見出しをざっと見ます。
2 p38のコラムを交代で声を出して読み、実践を振り返って意見を交換します。
3 第3章の「幼児期の学びを支える保育環境」を一緒に見ながら、一つひとつの項目(話し言葉、数量感覚など)の見出しと写真を見ながら自分のクラスに加えた方がよいものに付箋をつけたり、書きだしたりします。
4 第4章の「遊びを豊かにする保育環境」の見出しと写真をながめながら、クラスの子どもの遊びが豊かになるための玩具や空間づくりを考えます。
5 コラム(「遊びで自己制御を育む」等9つある)は、一つのコラムを交代で読みお互いの意見を聴き合う、幼児教育の意義を保護者に説明しやすくなります。言葉での表現力を高めるために声に出して読む、意見を話すことがポイントです。
これらを自分たちのペースで、できるときにできるだけ積み重ねてみましょう。
きっと子どもの姿が目に見えて変わってくると思います。
ままごとと、ごっこ遊び ― 2025/10/05
幼児のおもちゃとして誰もが思い浮かべるのは、ままごと、ブロック、パズル、電車。
これらは、保育士資格や幼稚園教諭免許がなくても、誰もが知っているおもちゃです。
専門家がつくる保育室が、ままごと、ブロック、パズルコーナーでは残念ですよね。
保育者が心理学で学ぶのは、「ままごと」ではなく、「ごっこ遊び(虚構遊び・想像遊び)」です。
子どもの想像遊びは、一人での見立て・つもりから、平行遊びへ、そしてイメージを共有するごっこ遊びへと変化していきます。ごっこ遊びには、「ままごと」といわれるお家ごっこの他に、お店やさんごっこなど仕事のごっこ遊び、絵本等の物語のごっこ遊び、お祭りや運動会など印象的な出来事のごっこ遊び等があります。

ごっこ遊びの共通イメージには、子どもたちが地域でよく行くお店での経験、地域のお祭りなど印象的な体験、園で繰り返し読む共通の絵本、消防署見学などの園での共通体験があります。保育者は、それらの子どものイメージから、そのごっこ遊びのきっかけとなるシンボルを準備したり、子どもがシンボルを作れるように素材を準備したりして、遊びの広がりを助けています。
4,5歳児クラスでままごと用品しかないのはちょっと残念。
お皿とスプーンとプラスチックの食材しかない、人形もいないとなると、「どうぞ~」「いただきます」のやりとりばかりになります。木製の小さなお鍋やフライパンでは、お料理も作れません。
しかし残念ながら保育カタログには、遊びが広がりにくい玩具が掲載されていることも多いのです。

料理を作れず遊びが限られる保育用玩具

料理を作れない、料理を盛れない保育用玩具
以前ゼミで、上記の写真のような野菜やパンの玩具と、小さな木製ままごと用品を並べて、「これでできるだけ豊かに遊ぶ」という課題を出したら、学生たちは、「むずっ!!」と怒っていました・・・。(玩具が残念でも新聞紙や広告紙でバッグや財布をつくる、新聞紙の帽子をかぶり新聞紙を敷いたり、イスを使ってパン屋や八百屋になる、お店の看板や値札をつくる、スーパーのレジになる、実物カルタ遊びなど、できることもあります)
ごっこ遊びの環境を充実させるには、まず子どもと一緒に遊んでみましょう。
お家ごっこも、一緒に遊びに入ることで、お料理の具材がほしい、テーブルが狭い、人形を寝かせる場所がほしい、車に見立てられるものがほしいなどいろいろと発見があると思います。
保育室の灯り ― 2025/08/11
今、全国で園舎の建て替えが進んでいます。
せっかく新しい園舎ができたのに、棚の位置も照明も昭和のままの園をお見掛けします。
保育者から「音環境も動線も前の園舎より悪く、保育がしにくい」という声を聞くこともあります。
どの分野も、専門性に大きな差がありますね。
設計に保育者が関わる園では、保育室の灯りが昭和の蛍光灯のまま、ということはありません。

どのような灯りをどの場所に配置するか、それによって保育者や子どもの活動のしやすさが変わります。
子どもや保育者が休む場はあたたかでゆったりとできる灯り。
反対に倉庫やトイレは、蛍光灯で細部までよく見え、掃除もしやすい灯り。
機能に合わせて、灯りも選びたいですね。
園舎の建て替えや改築は、保育を進化させる大きなチャンスです。
設計には、保育者が意見を出していきたいですね。
(意見は文書にまとめ、〇年〇月〇日、〇〇課〇〇氏に提出と文書のコピーをとっておきましょう)
乳児クラスの椅子とテーブル ― 2025/07/27
都心の園の保育者たちは、部屋の狭さに苦しんでいます。
家庭では親子二人が生活する程度の広さに、保育園では子どもと大人がびっしり。
ドアを開け放し、廊下も保育室として使っても、子どもたちの活動欲求を充足するには足りません。
室内の人口密度が高くなれば、かみつきや子ども同士のトラブルも増えます。
少子化で定員割れが生じるようになり、これで日本の保育園の子どもたちも人間らしい暮らしができると思っていましたが、「子ども誰でも通園制度」でまたそれが遠のいたように感じます。
保育室が狭い場合、家具と大型遊具の選び方によって、子どもが使える面積が変わります。
またテーブルの大きさや形によって、保育者の労働の質や量、そして子どもに援助する内容が変わります。
たとえば0歳児クラスでは、このように高いテーブルと椅子を使っているところがあります。

高い椅子だと保育者は大人用の椅子に座って食事を介助します。
子どもが自分でよじ登るときに保育者は少し援助します。
テーブルがついた一人だけ座る椅子を選んだ場合は、保育者は床に座って介助を行います。
乳児は抱きあげて椅子に座らせます。
一人の保育者が2,3人の子どもに一度に食べさせる半円型のテーブルもあります。カーブのあるテーブルは床面積をとるため、狭い園では置きっぱなしでも、片付けるにしても扱いにくさがあります。
小規模の園、保育室の面積が狭い園では、大規模園と同じ保育用家具を選ばずに、部屋に合わせた家具を探すとよいと思います。
部屋が狭いというハードの条件が悪くなると、保育者が個人的な努力でカバーすることが増えますね。
この災害級の暑さのなかで、保育室内だけで子どもたちの保育を行う保育者の皆様、本当にお疲れ様です。
保育者の皆さんは、体調を崩すことなく園へ毎日行くだけでも表彰ものだと思います。
子どもが積み木の本をフル活用 ― 2025/07/13
保育園では、遊びも食事も午睡も一つの部屋で行う園が多くあります。
また幼稚園とは違い、教材費を保護者から毎月徴収しません。
そのため表現の素材として積み木を使う園は、幼稚園よりも保育園に多いように感じています。
(園と家庭の状況による素材選びは、「保育内容5領域の展開」のp186をご覧ください)
木の積み木は、「自然物に最も近い玩具」と言われます。
また基尺が揃う積み木は、プラスチックブロックよりも数量図形感覚を育みます。
「保育環境評価スケール」では、積み木がない園は「不適切」、2人の子どもがそれぞれに遊ぶのに十分な量がある場合は「最低限」と評価されます。
積み木がある園では、よくこの本が積み木の空間に置いてあります。
保育者向けの本ですが、子どもたちがこの本を使っているのです。

子どもたちは、どれだけ読み込んでいるのでしょうか。
先生よりも内容を把握していそうです。
元の本はこちらです。表紙も中身も美しいですね。
倉庫に眠っている保育者向けの造形や制作の本なども、子どもたちの空間に置くとよいかもしれませんね。
保育を中心に建物を考える ― 2025/07/08
認定こども園 石動青葉保育園さんへ建て替え後の園舎を見学に伺いました。
以前の園舎や園庭も素敵でしたが、想像をはるかに超える驚きだらけの見学となりました。
それまで20年以上改修に携わった建築士さんと話し合いを重ね、設計に3年かかったそうです。
園舎のパンフレットに「全てが君の場所です」とありますが、
345歳児のクラスはホームの部屋があり、そこもコーナーの一つとなっています。
アトリエ、積み木部屋、談話コーナー、ホール、こどもキッチン、手芸室、組み立て遊び、図書室、マグネットモザイクとビー玉積木の部屋、広いデッキと二つの園庭があります。
子どもたちは、このすべての空間をつかって遊びます。

アトリエの空間 中二階は製作途中のものを置くそうです。

子どもキッチン

積木の空間

組み立て遊びの部屋

手芸室 手前は子どもが編んだベスト。
室内には段差が意図的につくられており、日々生活をするだけで運動量が高くなる仕組みがありました。
345歳児の子どもたちの目がキラッキラッしているのが印象的でした。
見学の目的であった倉庫と休憩室も勉強になりました。
井端園長先生、見学をさせていただきありがとうございました。
