ひとりでできないもん2014/03/30

保育者の専門性研究会のメーリングリストで、木村明子さんが紹介して下さった「弱いロボット」というタイトルの本。
タイトルだけ聞いてもワクワク。さっそく購入しました。

岡田美智男「弱いロボット」医学書院,201209
「ひとりでできないもん 他力本願なロボットがひらく弱いという希望、できないという可能性」という帯のキャッチコピー、最高!!

医学書院の「シリーズ ケアをひらく」、あの「べてるの家の『非』援助論」、「感情と看護」などと同じシリーズです。

人の話に、「む~」と赤ちゃんのような言葉で対応する目玉だけのロボットや、よたよたっと歩いてきて、そこにいる子どもに思わずゴミを拾わせてしまったり、ときに子どもに蹴られたりするゴミ箱ロボットなど。「役に立つ」ことから遠そうに見えるロボットたちがどのようにして生まれたのか、そしてそのロボットたちが、子どもたちやおばあちゃんたちとどんな世界を繰り広げるのか、というお話。

岡田先生が、じゃんけんで負けて音声研究に入ったところから、自分がどうやってこれらロボットに行き着いたのか、著者の内的な視点を追って経験談的に書かれていて、読み物としてさらさら読めます。それでいて弱さのもつチカラであったり、主体を支えている環境の役割であったり、能力観、関係観を根本から考えさせられます。一般書のところに平積みになっていてほしい本です。おもしろかった。


それにしてもこの本が図書館に並ぶと、こんなさびしいお姿に。表紙がないと、本の内容を判断する情報が半減します。そのうえ本の表紙をながめる楽しみや本を選ぶ楽しみも半減。表紙のない図書館で本を探すのは、中学校の運動会で、同じ体操服の子どもたちの中からわが子を探すときみたい。文字以外の「情報」も残しておいてほしい。



先週は三軒の大型書店に立ち寄りました。東京駅丸の内口にある丸善は、さすがに保育の本が揃っていました。別の大型書店は、一般書がちょっと硬派な品揃えでPOPもおもしろい。ここは期待できるかも、と思ったのに・・・保育の5つの書棚の内、二つの棚が「パネルシアター」(なんてこと!)、もう二つの棚は「保育実務」(なぜ実務?)、一つの棚が「保育基本書」、中央にはキラキラ雑誌が平積み・・・。「保育=幼稚」という一般的な「保育」の捉え方に、やけビールを飲みました。


さて来週から4月。気分一新といきましょう。


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